アップルが今秋公開するiPhone向け基本ソフト(OS)「iOS 15」とiPad向けOS「iPad OS 15」の5つの注目機能を紹介していこう。なお、本稿はアップルから許可を得て、パブリックベータ版の画像や情報を掲載している。
iOS 15の目玉機能のひとつが「FaceTime」だ。新型コロナウイルスの影響で、多くの人がテレビ電話やオンライン会議をする機会が増えており、マイクロソフトの「Teams」、Zoom Video Communicationsの「Zoom」といったオンライン会議アプリを使わない日はないほどだ。
FaceTimeは今までアップル製デバイス間でテレビ電話を行うアプリだったが、iOS 15のFaceTimeではWindowsやAndroidからも利用できるようになる。仕組みはTeamsやZoomと同じ。「リンクを作成」というボタンを押して、招待用のURLを作成して、テレビ電話したい人に送るだけ。招待用URLはメッセージやAirDrop、メールアプリなど多彩な方法で送れる。
iOS 15のFaceTimeのトップ画面。左上に「リンクを作成」というボタンが追加されている
「リンクを作成」ボタンを押すと、リンクを送る相手やツール(AirDrop、メッセージ、メールなど)が表示される。リンクはhttps://facetime.apple.com/join………というURLだった
FaceTimeの通話画面。画面下の中央に背景をぼかすボタンがあるので、実際にやってみた。きれいに背景がボケるので、部屋を見せたくない場合に重宝しそうだ
TeamsやZoomのように大がかりなウェビナー用に使えるのかは現時点ではわからない。FaceTimeは無料で利用できる機能だが、参加人数が多ければ有料になるのかどうかなど気になる部分もある。
FaceTime参加者で同じ動画や音楽を楽しめる「SharePlay」にも注目だ。パブリックベータ版では、iOS 15またはiPad OS 15同士でしか画面共有することはできなかったが、仕事での資料共有や、オンライン飲み会をしながら一緒に動画を楽しむなど使い道はいろいろだ。
iPhoneの画面を共有されたiPadの画面をスクリーンキャプチャしたもの。仕事や趣味などで、相手に画面を共有するシーンは意外と多く、エンタメ用だけでなく、仕事などにも使えそうだ
2つ目の注目機能は、「集中モード」。シーンに応じて通知や通話を制限し、仕事とプライベートの区別を付けたいときなどに役立つ機能だ。在宅勤務が広がり、仕事とプライベートの区別が付きにくくなっているという人にはピッタリの機能と言える。
考え方としては、既存の「おやすみモード」に似ているが、より細かくカスタマイズできるのが違い。各モードで通知を許可する連絡先とアプリを選ぶだけなので、設定は簡単。場所や時刻、指定のアプリを開いたときに、選択したモードに自動で切り替わり、関係ない通知を遮断することもできる。
集中モードの設定画面。オリジナルの項目を作りたいときは、右上の「+」をタップする
何に集中したいかを選択する。ゲームやフィットネスというテンプレートのほかに、カスタムでオリジナルの設定を作成できる
通知を許可する連絡とアプリを選べば設定は完了
面白いのは、ゲーム集中モードで、ワイヤレスコントローラーを接続して対応しているゲームを開始すると自動的にゲーム集中モードをオンにすることができる。
ワイヤレスコントローラーでゲームをはじめると自動でゲーム集中モードがオンになる。じっくりゲームを楽しみたい人にはうれしい機能だ
集中モードは通知センターからも設定できる
iPad OS 15にも注目機能は盛りだくさんだ。まず紹介したい新機能が「クイックメモ」。パソコンやスマホを使っていて、ふとメモをとりたくなることは少なくない。
iPad OS 15はメモをとりたくなったら、画面の右下から真ん中へスワイプすると、クイックメモが現れ、文字通り、素早くメモをとれる。もちろん、「Apple Pencil」を持っていれば、手書きで文字や図形を書き込める。
クイックメモが便利なのは、たとえば、「Safari」を開いている途中でクイックメモを立ち上げると、開いているWebページのリンクを一緒にメモに残せること。メモとWebページの相性は抜群で、後から見返すときに便利だ。
画面右下から中央にスワイプすると、クイックメモが表示される
SafariでWebページを開いているときにクイックメモを立ち上げると、Webページのリンクを一緒に保存dえきる
iPad OS 15ではマルチタスクがより使いやすくなった。これまでも複数のアプリを同時に開いて作業はできたが、「Dock」を使う必要があり、使いこなすのが正直難しかった。
iPad OS 15の新しいマルチタスクは、アプリを開くと上部に「…」が表示され、これをタップすると、アプリの表示方法が3つ(全画面、Split View、Slide Over)現れる。Split Viewを選択すると、ホーム面が表示され、あとは一緒に開きたいアプリを選ぶだけだ。
Safariを開くと、上の画像のように上部中央に「…」が表示される。これをタップすると下の画像のように、表示方法が3つ表示される
Split View
Slide Over
「メッセージ」や「メール」など複数のウィンドウを表示できるアプリでは、さらに3つめのウィンドウを表示することも可能。「シェルフ」という機能で、マルチタスクを行いながら、素早くメールを作成したり、プレビューを確認したりできる。
メールなど、複数のウィンドウ表示ができるアプリだと、さらに3つ目のウィンドウを表示できる
開いているアプリをサムネで一覧表示する画面でも、Split Viewで表示したいアプリを重ねるようにドラッグするSplit Viewで表示される。Split Viewで設定した2つアプリは記録されるのも便利だ。
アプリのサムネ表示の画面からでも、Split Viewで2つのアプリを同時に開ける
最後は「ユニバーサルコントロール」。ひとつのマウスとキーボードで、iPadとMacの間を移動できる便利な機能だ。カーソル移動や文字入力だけでなく、デバイス間でコンテンツをドラッグ&ドロップすることもできる。
パブリックベータ版で試すことはできなかったが、正式版でその使い勝手をぜひ試してみたいところだ。