レビュー

スマホで撮った写真をその場で大きくプリント! スマホ用チェキプリンター「instax Link WIDE」の実力をチェック

以前から気にはなっていたが、遠巻きに見守っていた"カメラ"がある。それは「チェキ」、写真を撮ったその場でプリントできるインスタントカメラだ。数年前に現在高校生の娘が欲しがっていた折、いまどき紙がいいの? と尋ねたら、その場でプリントできて書き込めるのがいい、色合いがエモい、などとオジサンにはよくわからないことを言っていた。ポラロイドも「写ルンです」もリアルタイムで知らない世代には、新鮮に感じられるのだろう。

先日富士フイルムから「instax Link WIDE」が発売された折、それがスマホプリンターであり「チェキ」として使えるという説明を受け、娘にこの製品のことを尋ねてみた。すると、いくつかの点で既存のチェキにないものがあるという。どういうことか? 写真用プリンターとしてのクオリティをチェックしたいこともあり、製品を借りて試すことにした。

instax Link WIDEでできること

instax Link WIDEは、簡単に言えば「Bluetooth経由で印刷できるスマートフォン対応のポータブルプリンター」だ。本体寸法は139(幅)×127.5(高さ)×33.7(奥行)mmの重量349g、外観はポータブルCD(CDケース?)のよう。上部に細い切り込みがあり、そこから印刷されたフィルムが出てくる仕組みだ。印刷開始からフィルム排出までは約12秒、画像データ送信時間を含めれば30秒ほどで1枚の写真が刷り上がる。

本製品および"チェキ"製品群に採用されているinstaxシステムは、フィルムに含まれる色素に光が当たることで化学反応が起こり発色するというもの(有機ELによる3色露光方式)。プリントアウト後はしっかり乾燥させるなど多少のコツは必要なものの、富士フイルム独自の酸化防止技術により経年劣化が起こりにくいとされる。この点、20年以上の歴史を持つ"チェキ"だからこその安心感がある。

プリント画面サイズは62×99mm、チェキフィルムでいえば「ワイド」に該当する。カードサイズのチェキプリントと比較すると、ちょうど2倍の大きさだ。プリント画素数は800×1260ドット、解像度は12.5ドット/mm、318dpiだから一般的なプリントサービスと同水準。フィルムは1パック10枚、店頭小売価格の水準が1,600円前後だから1枚あたり約160円という計算になる。

1枚あたりのコストはコンビニの写真プリントサービスと比べると割高だが、"チェキ"ならではのメリットはどこでも撮影&印刷できるということ。instax Link WIDEはUSBによる充電式で、かつフル充電から約100枚プリントできるため、"チェキ会"でも催さない限りは電力不足に陥る心配はない。ストラップが付属するなど持ち運びやすく、フィルム交換は背面のドアを開ければ一瞬で終了する。

L型並みの大きなプリントに対応したinstax Link WIDE

L型並みの大きなプリントに対応したinstax Link WIDE

付属のストラップで持ち運びやすく、充電もUSBだからかさばらない

付属のストラップで持ち運びやすく、充電もUSBだからかさばらない

このように上部から用紙が排出される

このように上部から用紙が排出される

と、ここまでは"チェキ目線"での機能/特性だが、instax Link WIDEは2014年発売の「スマホ de チェキ」ことinstax SHARE SP-1、および有機EL露光ヘッド採用により画質が向上したinstax SHARE SP-2の後継となるプリンター製品だ。系統としては、2019年に発売されたinstax mini Linkの姉妹機という位置付けで、スマートフォンアプリとの連係によるイマドキの機能を用意している。

ひとつは「QRプリントモード」。画像の隅にQRコードを重ねてプリントする機能で、添付するデータ別にWEBチェキ(URL)、音チェキ(音声データ)、地図チェキ(位置情報)、手紙チェキ(テキストデータ)の4種類が用意される。PC/スマートフォンから独立した形で写真に付加情報を与え、instaxサーバーへアップロードされたデータを2回までダウンロードできる点がポイントだ。

4種類のQRコード印刷に対応

4種類のQRコード印刷に対応

専用アプリで文字の追加やコラージュなどの加工も可能

専用アプリで文字の追加やコラージュなどの加工も可能

もうひとつが「instax-Richモード」(以下リッチモード)の追加だ。従来方式(instax-Naturalモード、以下ナチュラルモード)に比べ鮮やかで勝るプリントモードで、"チェキ"というよりは店頭でのプリントに近い仕上がりを得られる。ナチュラルモード同様に各種フィルターを適用できるため、表現力は大幅に増している。

リッチモードは"ナチュラルモードよりナチュラル"かも

このinstax Link WIDE、確かに"エモい"。印刷するたびに聞こえる、フィルムを巻き上げるようなジージーという音。若者世代には新鮮に、ポラロイドを知る世代にはノスタルジックに映る用紙排出/現像待ちは、Bluetooth接続のプリンターであっても一種のギミックとして有効だ。

新設のリッチモードは、画質面で従来の"チェキ"が持つイメージを一新している。iPhone 12 ProでHDR撮影した花の写真は、赤/バイオレット系は鮮やかに、グリーン系は濃厚に描かれ、ナチュラルモードで印刷した時と比べるとまるで別モノ。iPhoneのディスプレイで見時ほどHDR/輝度のピーク感はないものの、ナチュラルモードに比べれば実物を見た時の記憶に近く、色褪せ感もない。特に被写体が植物の場合は、仕上がりがナチュラルモードよりナチュラルな印象を受けた。

独特の色味こそがチェキらしさという見方があるかもしれないが、最近のスマートフォンディスプレイの描画力からすると、ナチュラルモードはむしろ画質劣化の印象のほうが強い。利用するフィルムが同じで印刷コストに差がなく、スマートフォンの画面で確認してから印刷を開始するという作業フローからしても、リッチモードを選ぶユーザのほうが多いのではないだろうか。

プリントアウトから現像完了まで5分ほどかかるが、この待ち時間こそ"チェキ"らしさ

プリントアウトから現像完了まで5分ほどかかるが、この待ち時間こそ"チェキ"らしさ

CAPTION:リッチモード(左列)とナチュラルモード(右列)の比較。赤系・緑系の色の乗りはリッチモードのほうがむしろ自然な印象だ

CAPTION:リッチモード(左列)とナチュラルモード(右列)の比較。赤系・緑系の色の乗りはリッチモードのほうがむしろ自然な印象だ

QRコードのサポートは、"チェキ"の用途を広げるという点で効果的だ。写真の隅にモザイク模様が陣取るというデメリットはあるものの、肉声などの音データやメッセージというスパイスを気軽に添えることができる。ダウンロードは2回まで、アクセス期間はプリントアウトから2年以内という制約はあるものの、データを送信したらそれで終わりのスマートフォン写真にはない楽しさがある。

QRコードを添えてプリントすれば、スマートフォンで音声などの付加データを読み取れる

QRコードを添えてプリントすれば、スマートフォンで音声などの付加データを読み取れる

あえて言うなら、instaxサーバーへアップロードする画像をもっとリッチにしてほしい。声チェキを例にすると、音声データを扱う都合上H.264ムービーに変換されることはいいとして、写真が896×1,440ピクセルの画像の一部(約788×494ピクセル/72dpi)に縮小されてしまい、オリジナルからかけ離れた画質になってしまう。スマートフォンやPCで見るのだからプリント紙のような余白は不要、せめてフルHDの画像をダウンロードさせてほしいところだ。

声チェキをiPhoneでダウンロードしたところ。H.264ムービーに変換されている

声チェキをiPhoneでダウンロードしたところ。H.264ムービーに変換されている

触れ込みとしては「スマホプリンター」だが、"チェキ"ライクな活用を可能にする提案性こそがinstax Link WIDEという製品の真骨頂だ。兄弟機のinstax mini Linkと比べると、1枚あたりの単価は若干高くなるものの、用紙サイズの大きさとリッチモードの質感・色味という付加価値がある。若者でなくても、手もとに置いておこうかな、と思える1台だ。

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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