レビュー

新機能のすべてが使える 「iPhone 14 Pro」の実力をチェック!

「iPhone 14」シリーズの中でも、最注目は最新の「A16 Bionic」を搭載し、新機能のすべてが使える「iPhone 14 Pro」と「iPhone 14 Pro Max」でしょう。筆者は、発売当日に「iPhone 14 Pro」を購入しました。今回は、「iPhone 14 Pro」ならではの機能や使い勝手、カメラの性能などを検証しました。なお、「iPhone 14 Pro」と「iPhone 14 Pro Max」は、本体と画面のサイズ、バッテリー容量以外のハードウェア構成や機能は共通です。

「Dynamic Island(ダイナミックアイランド)」(左)や「常時表示ディスプレイ」(中央)、進化したカメラ機能(右)に注目

「Dynamic Island(ダイナミックアイランド)」(左)や「常時表示ディスプレイ」(中央)、進化したカメラ機能(右)に注目

ハードウェア面の特徴は?

はじめに、ハードウェア面について簡単におさらいしておきましょう。

本体の前面は高強度の「Ceramic Shield(セラミック シールド)」、背面は「テクスチャードマットガラス」、側面は医療で使われるレベルの「ステンレススチール」です。

とにかく頑強な作りということですが、仕上がりはとても美しいです。まだ使い始めたばかりで長期間の使用で変化するのかもしれませんが、画面への指紋残りが少ないと感じています。

ディスプレイは「Super Retina XDR(スーパー レティナ エックスディーアール)」。屋外でのピーク輝度が2000ニト(「iPhone 13 Pro」の2倍明るい)となり、とても明るいです。

確かに、太陽光の当たるところでも画面が見やすくなっています。特に実感したのは、撮影時です。これまでは「iPhone 12 Pro」を使っていましたが、太陽光によって被写体がとても見づらくなることがありました。しかし今回の撮影時はそれがなく、撮影に集中することができました。

iPhoneの頭脳部は、最新の「A16 Bionic」。

2つの高性能コアと4つの高効率コアで構成される6コアCPU、メモリー帯域幅が50パーセント広く、高速化された5コアGPU、毎秒17兆回近くの演算が可能な16コアのNeural Engineを搭載しています。

こうした数値だけではピンと来ませんが、後述する「Dynamic Island」の滑らかな動き、高い描画性能を求めるゲームやアプリの快適な表示、撮影写真の作り込みなど、随所でその威力を発揮しています。

また、「衝突事故検出」機能が搭載されました。これは、すべての「iPhone 14」シリーズが対応です。

この機能のために、新たに最大256Gの重力を測定できるデュアルコア加速度センサーとハイダイナミックレンジのジャイロスコープを搭載。

エアバッグが開くときの圧力変化を検知する気圧計と、速度の変化を計るGPS、大きな衝突音を認識するマイクと合わせ、衝突事故を検出します。

万一、衝突事故が発生したときには、緊急通報サービスに発信します。さすがに実際には試せませんが、いざというとき役に立つ機能です。

さらに、すべての「iPhone 14」シリーズは「衛星経由の緊急SOS」機能も搭載しています。

これは、モバイル通信やWi-Fiが利用できない環境でも衛星に直接接続し、緊急通報サービスにメッセージを送ることができる機能です。

2022年11月に、2年間無料で米国とカナダのユーザー向けにサービスを提供開始する予定となっています。その他の利用できる国に関しては、2023年に発表するそうです。

日本でも、電波の届かないアウトドアシーンはたくさんあります。また、自然災害等で通信機能が麻痺・遮断されることもあります。万が一の時に命を守る可能性が広がる機能なので、日本でも早く利用できるようになってほしいものです。

カメラシステムに関しては、後述します。

パンチホールを上手に活用した「Dynamic Island」

「iPhone 14 Pro」では、画面上部のノッチがパンチホールに変更されました。このスペースを上手に活用し、さまざまなアプリの情報を表示するのが「Dynamic Island」です。

通話中、音楽の再生中、マップでの経路案内中、タイマーの使用時、気になるスポーツの試合の途中経過など、アプリを切り替えることなく、必要な情報を素早く確認できます。

通常は横長の表示ですが、長押しでより詳しい情報を表示。いずれの状態でも、タップすればアプリが起動します。表示の切り替え時などの動きは非常に滑らかで、とても使い勝手のよい機能だと思います。

通話中の表示例。左が通常の表示で、長押しすると領域がスルスルッと広がり、操作ができる。もう一度タップすると元に戻る

通話中の表示例。左が通常の表示で、長押しすると領域がスルスルッと広がり、操作ができる。もう一度タップすると元に戻る

この領域には、2つまでのアプリの情報を表示できます。たとえば、「マップ」で経路案内を使いながら音楽を聴く、といったケースです。

片方のアプリは横長に、もういっぽうのアプリは右側に小さく表示されます。いずれも、長押し、タップ操作に対応します。

経路案内を使いながら、音楽を再生している場合の例

経路案内を使いながら、音楽を再生している場合の例

常に情報の確認ができる「常時表示ディスプレイ」

画面を消灯させず、通常の表示よりもやや暗くして常にウィジェットや各種通知などの情報を確認できるようにしたのが「常時表示ディスプレイ」です。

消費電力が気になるところですが、1Hz〜120Hzのリフレッシュレート(画面を1秒間に書き換える回数)をシーンに合わせて可変させるアダプティブリフレッシュレートを持つ「ProMotionテクノロジー」により、消費電力を抑えています。

「常時表示ディスプレイ」のリフレッシュレートは1Hz。つまり、1秒間に1回画面を書き換えるようになっています。

左が「常時表示ディスプレイ」の表示で、右が通常のロック画面。サイドボタンを押すことで、表示を切り替えることができる

左が「常時表示ディスプレイ」の表示で、右が通常のロック画面。サイドボタンを押すことで、表示を切り替えることができる

ロック画面の表示だけでなく、「マップ」を使った経路案内時にも利便性を感じました。

徒歩で経路案内を利用するとき、「常時表示ディスプレイ」になると文字情報を表示。次に曲がる場所などは、画面をチラ見するだけでわかります。また、サイドボタンを押すと地図でも確認ができます。

左が「常時表示ディスプレイ」で、右がサイドボタンを押して表示させた画面

左が「常時表示ディスプレイ」で、右がサイドボタンを押して表示させた画面

「常時表示ディスプレイ」が不要だとか、消費電力が気になる場合には、「常時表示ディスプレイ」をオフにすることもできます。

設定は、「設定」の「画面表示と明るさ」で「常にオン」をオフにするだけです。サイドボタンで、消灯画面とロック画面の表示を切り替えることができます。

「常にオン」をオフにすると、「常時表示ディスプレイ」が無効になる

「常にオン」をオフにすると、「常時表示ディスプレイ」が無効になる

大幅に進化したカメラシステム

「iPhone 14 Pro」には、メイン(広角)、超広角、望遠の3つのカメラがあります。

メインカメラ
  画素数:4800万画素
  焦点距離:24mm
       48mm(2倍望遠)
  絞り値:F1.78
  クアッドピクセルセンサー
  センサーシフト光学式手ぶれ補正(第2世代)
超広角カメラ
  画素数:1200万画素
  焦点距離:13mm
  絞り値:F2.2
  レンズ補正
望遠カメラ
  画素数:1200万画素
  焦点距離:77mm
  絞り値:F2.8
  光学式手ぶれ補正

3つのカメラの中で、大幅に進化したのがメインカメラです。iPhoneでは初めて、画素数が4800万画素になりました。

画素数が増えた分、単純に高画質化したわけではなく、ハードとソフトの連携により高画質の写真撮影を実現しています。

ひとつは、メインカメラに採用された「クアッドピクセルセンサー」の働きにあります。これは、4つのピクセルを結合して1つのピクセルとして機能させるもの。そのため、出力される写真は1200万画素になります。

従来の1200万画素とは違い、4倍多くの光が取り込めるので明るくなり、より精細な写真撮影ができます。

4800万画素の写真を撮るには、カメラの「×1」で「ProRAW」をオンにします。「×1」以外では1200万画素のRAWデータになるので注意してください。容量は70〜100MB程度とかなり大きくなります。

もうひとつは、カメラシステム全体で機能する新しい「Photonic Engine(フォトニック エンジン)」にあります。

「iPhone 11」シリーズから搭載された機能に「Deep Fusion(ディープ フュージョン)」がありますが、これは機械学習を使ってピクセルごとに写真を処理し、画像全体の質感やディテール、ノイズを最適化します。

Photonic Engineは、このDeep Fusionをこれまでよりも早い段階で適用します。これにより、非常に高精細な写真撮影を実現しているのです。

また、異なる露出などの複数枚の写真からいいとこ取りをして最適な写真を生成する合成技術の「スマートHDR4」によって、白飛びや黒つぶれなどを抑える機能もあります。

これらは、ユーザーが意識することなく、撮影時に自動で瞬時に行われています。

では、実際の撮影でその実力を検証してみましょう。

●光学ズームオプションが4つに

「iPhone 13 Pro」のズームオプションは「×0.5」「×1」「×3」の3つでしたが、「iPhone 14 Pro」には「×2」が加わり、4つのズームオプションが選べるようになりました。

画角の違いを比較してみましょう。

左が「×0.5」(超広角カメラ)、右が「×1」(メインカメラ)

左が「×0.5」(超広角カメラ)、右が「×1」(メインカメラ)

左が「×2」(メインカメラ)、右が「×3」(望遠カメラ)

左が「×2」(メインカメラ)、右が「×3」(望遠カメラ)

上から「×0.5」「×1」「×2」「×3」

上から「×0.5」「×1」「×2」「×3」

今回、さまざまなシーンで撮影をしましたが、ズームオプションが4つに増えたことで、撮影時の構図決めの自由度が増したと感じました。特に、新しく追加された「×2」がいちばん使いやすいのではないかと思います。

ちなみに、撮影後にどのズームオプションで撮影したのかなどを確認したいときは、写真を表示して「i」ボタンをタップ。詳細情報画面が表示され、使ったカメラや絞り値、ISO感度、シャッタースピードなどの情報を確認できます。

撮影時の詳細を確認するときは「i」ボタンをタップする

撮影時の詳細を確認するときは「i」ボタンをタップする

●作画性能を比較

「iPhone 14 Pro」と「iPhone 12 Pro」の「×2」で撮影した写真の作画機能を比較してみます。

「iPhone 14 Pro」は、色味が自然でとても引き締まった写真ですが、「iPhone 12 Pro」は、明るさ重視なのか全体的に少し白っぽくなっています。

写真は見る人の好みもあるので一概には言えませんが、個人的には「iPhone 14 Pro」のほうが断然よいと思います。

なお、「iPhone 14 Pro」の「×2」はメインカメラを使いますが、「iPhone 12 Pro」の「×2」は望遠カメラを使います。そのため、画角が異なります。

「iPhone 14 Pro」の「×2」(メインカメラ)で撮影撮影写真(4032×3024、2.99MB)

「iPhone 14 Pro」の「×2」(メインカメラ)で撮影
撮影写真(4032×3024、2.99MB)

「iPhone 12 Pro」の「×2」(望遠カメラ)で撮影

「iPhone 12 Pro」の「×2」(望遠カメラ)で撮影
撮影写真(4032×3024、4.02MB)

●画質を比較

次に、「iPhone 12 Pro」と、「iPhone 14 Pro」の通常の写真とRAW写真の3枚で画質を比較してみます。いずれもズームオプションは「×1」です。

パッと見では、大きな差がないように思います。これは、太陽光がしっかり当たっていて光量が十分であることも影響していると考えられます。

「iPhone 12 Pro」の「×1」(広角カメラ)で撮影

「iPhone 12 Pro」の「×1」(広角カメラ)で撮影
撮影写真(3024×4032、6.08MB)

「iPhone 14 Pro」の「×1」(メインカメラ)で撮影。「iPhone 14」シリーズでは、「広角カメラ」から「メインカメラ」へと名称が変更された

「iPhone 14 Pro」の「×1」(メインカメラ)で撮影。「iPhone 14」シリーズでは、「広角カメラ」から「メインカメラ」へと名称が変更された
撮影写真(3024×4032、6.60MB)

「iPhone 14 Pro」の「×1」(メインカメラ)でProRAW撮影し、JPEGデータで書き出した写真

「iPhone 14 Pro」の「×1」(メインカメラ)でProRAW撮影し、JPEGデータで書き出した写真
撮影写真(6048×8064、19.3MB)

3枚の写真を拡大表示してみると、画質の差がわかりやすくなります。

下の画像は、左から「iPhone 12 Pro」、「iPhone 14 Pro」の通常写真、RAW写真です。

「iPhone 12 Pro」と「iPhone 14 Pro」の通常写真は、あまり差がないように感じます。しかし、よく見ると石灯籠の質感や紅葉の葉先のディテールが「iPhone 14 Pro」のほうが精細です。

いっぽうRAW写真は、一目で高精細であることがわかります。竹筒から石灯籠、葉先まで、シャープでクリアに表現されています。

左から、「iPhone 12 Pro」、「iPhone 14 Pro」の通常写真、「iPhone 14 Pro」のRAW写真

左から、「iPhone 12 Pro」、「iPhone 14 Pro」の通常写真、「iPhone 14 Pro」のRAW写真

●ナイトモードで比較

では、光量の少ない夜間のナイトモード撮影を比較してみます。

こちらも「iPhone 12 Pro」の写真は全体がやや白っぽくなるのに対して、「iPhone 14 Pro」は色味が引き締まり、自然な夜景写真だと思います。

また、建物の屋根や尖塔部分などの精細さも「iPhone 14 Pro」のほうが精密です。

なお、「iPhone 14 Pro」のRAW写真ですが、ナイトモードでは1200万画素になります。そのため、通常の写真とRAW写真の画質の差は、それほど大きくなりません。

「iPhone 12 Pro」の「×1」(広角カメラ)でナイトモード撮影

「iPhone 12 Pro」の「×1」(広角カメラ)でナイトモード撮影
撮影写真(4032×3024、1.58MB)

「iPhone 14 Pro」の「×1」(メインカメラ)でナイトモード撮影

「iPhone 14 Pro」の「×1」(メインカメラ)でナイトモード撮影
撮影写真(4032×3024、1.15MB)

「iPhone 14 Pro」の「×1」(メインカメラ)のRAWでナイトモード撮影した写真をJPEGで出力。ナイトモードでは1200万画素になる

「iPhone 14 Pro」の「×1」(メインカメラ)のRAWでナイトモード撮影した写真をJPEGで出力。ナイトモードでは1200万画素になる
撮影写真(4032×3024、1.45MB)

●性能向上したTrue Toneフラッシュの性能比較

「iPhone 14 Pro」には、新しい「アダプティブTrue Toneフラッシュ」が搭載されました。

これは、焦点距離に合わせて9つのLEDのパターンと明度を調整します。そのため、被写体にベストな光を当てることが可能です。また、光量が最大2倍にアップされました。

下の写真は、左が「iPhone 12 Pro」、右が「iPhone 14 Pro」です。

「iPhone 12 Pro」のフラッシュは背景までまんべんなく光を飛ばしているため、やや被写体がボケています。対して「iPhone 14 Pro」は被写体をメインに光を当て、光量も調整されているので被写体がくっきりと浮かび上がっています。

左が「iPhone 12 Pro」、右が「iPhone 14 Pro」。焦点距離に合わせて光量がうまく調整されているので、「iPhone 14 Pro」のほうが被写体がくっきりと映える

左が「iPhone 12 Pro」、右が「iPhone 14 Pro」。焦点距離に合わせて光量がうまく調整されているので、「iPhone 14 Pro」のほうが被写体がくっきりと映える

上記以外にも、進化点は多数あります。

「ポートレートモード」では被写体の背景だけでなく、前景もボケさせることができるようになり(「iOS 16)による機能)、ナイトモードも使えるようになりました。

「ポートレートモード」の撮影画面。背景と前景をボケさせることができる

「ポートレートモード」の撮影画面。背景と前景をボケさせることができる

「TrueDepthカメラ」はオートフォーカスを搭載し、これまでよりも明るくシャープな自撮りができます。

ビデオ撮影時に使えるようになった「アクションモード」は、とても優秀です。手ぶれ補正機能が強化され、子供やペットなどを追いかけながら手持ちで撮影しても、手持ちの撮影だとは思えないくらい滑らかな動画撮影を実現しています。

また、「シネマティック」モードでは、4K HDRの撮影ができるようになりました。

まとめ

「iPhone 14 Pro」を購入していちばんよかったと思うことは、カメラの性能向上です。

筆者は「iPhone 12 Pro」からの機種変更のため、「マクロ撮影」や「シネマティック」、「フォトグラフスタイル」なども新鮮に思えます。

そして何より、画質や写真の仕上がりの完成度が、「iPhone 12 Pro」と比べると格段に向上したことを実感しました。

まだ1週間程度の使用でしかありませんが、機種変更したことにとても満足しています。

今回の記事が、「iPhone 14」シリーズへの機種変更や乗り換えを検討している方の参考になれば幸いです。

小野均

小野均

パソコンからモバイルまで、ハード&ソフトのわかりやすい操作解説を心がける。趣味は山登りにクルマという、アウトドア志向のIT系フリーライター。

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