日本マイクロソフトは「Surface」シリーズの新モデル「Surface Laptop Go 3」を2023年10月3日に発売した。12.4型ディスプレイを搭載した、クラムシェルタイプの小型ノートパソコンだ。サンプル機を試す機会を得たので、レビューをお届けしたい。
携帯性にすぐれた小型ノートパソコン「Surface Laptop Go 3」
「Surface Laptop Go 3」は12.4型ディスプレイを搭載したクラムシェルタイプの小型ノートパソコン。初代モデルの「Surface Laptop Go」がコロナ禍の2020年に、2代目の「Surface Laptop Go 2」が2022年に発売された。初代モデルはレビューしているので、気になる人はこちらの記事をチェックしてもらいたい。
初代モデルは7万円台からという、価格の安さが魅力だったが、「Surface Laptop Go 3」は価格.com最安価格で12万円台からと、残念ながら5万円ほど値上がりしている。円安も影響しているだろうが、メモリー容量が4GBの低スペックモデルがなくなったことが大きい。
本体のデザインや画面サイズは、初代モデルから変わらない
価格の安さという、「Surface Laptop Go」シリーズの魅力はダウンしたが、「実用的で比較的購入しやすい価格の小型ノートパソコン」というポジショニングは以前よりも際立っている。
価格.comで同クラスのモデルを探すと、12型前後の小型ノートPCは、低スペックで安価なモデルとパナソニックの「Let‘snote QV1/SR4」のような20万円オーバーの高性能モデルに二分されている。「Surface Laptop Go 3」のように、実用的なスペックで12万円〜15万円という、価格的にもスペック的にも真ん中のモデルは、実は選択肢が少ないのだ。
>>価格.comで11インチ〜13インチ未満のノートパソコンをチェック
3世代目となる新モデルの「Surface Laptop Go 3」は、初代モデル、2代目モデルから大きな変化はない。12.4型ディスプレイを搭載したコンパクトボディで、重量は約1.13kg。バッテリー駆動は最大15時間ですぐれた携帯性が魅力だ。劇的に軽いわけではないが、バランスのとれた小型ノートパソコンと言えるだろう。
キッチンスケールでの実測は1114g。カタログスペックよりもわずかに重かった
デザインは、ほかのSurfaceシリーズと同じく、むだな装飾のないシンプルな見た目。天板やパームレストはアルミにウム素材、ベース部分はグラスファイバーを使ったポリカーボネート複合樹脂が使われている。天板はアルマイト処理が施されおり、汚れや指紋が付きにくい。手にすると、堅牢さも感じられ、安心して持ち歩けるだろう。
カラーバリエーションは、「プラチナ」「アイスブルー」「セージ」「サンドストーン」の4色。今回は緑系の「セージ」を試したが、深みのある緑色で、プライベートでもビジネスでも、どんなシーンでも違和感なくマッチする色味だ。
むだな装飾のないシンプルなデザイン。天板のロゴは精密に整形され、別素材があしらわれている
「セージ」は緑色系だが、見る角度によってはシルバー系にも見える
本体サイズは278(幅)×206(奥行)×15.7(高さ)mmとフットプリントが小さいのもポイント。小さめのカバンにもスッキリ収まるし、持ち運びしやすい。
ディスプレイはほかのSurfaceシリーズと同じ、アスペクト比3:2の12.4型。解像度は1536×1024ドットとやや低めだが、画面サイズが小さいので“粗さ”は感じない。絶対的な表示面積が狭いため、複数のウィンドウを開いての作業には向かず、1つのアプリを開いて作業するスマホやタブレットに近い使い方が向いているのではないだろうか。
アスペクト比が3:2の12.4型液晶ディスプレイ。解像度は1536×1024と数値上は控えめだが、粗さは感じない。発色も自然で見やすいディスプレイだ
生体認証は指紋認証で電源ボタンに搭載されている。ディスプレイはタッチ操作できるが、「Surfaceペン」を使ってのペン入力には非対応なので、ペンが使いたい人は注意したい。ペンが使いたいなら、「Surface Laptop」シリーズが「Surface Pro」シリーズなどを検討するといいだろう。
小型ノートパソコンで気になるのがキーボード。キーレイアウトがいびつだったり、極端に小さなキーがあったりするモデルもあるが、本モデルはキーピッチが実測で約19mmと一般的なノートパソコンと同じで窮屈さは感じない。Enterキーが細いのは気になるが、実用上はそれほど不満は感じなかった。
生体認証は指紋認証。電源ボタンと一緒になっており、電源投入からWindowsのログインまでスマートに行える
一部小さなキーはあるが、メインのキーのキーピッチは実測で約19mmでタイピングはしやすい。タッチパッドも広く複数の指を使ったマルチタッチ操作も問題なくできる。小型ノートパソコンとしては操作性は良好と言える
スペースバーの両サイドに「A」キーと「あ」キーがあり、それぞれ英語と日本語を切り替えられる。これはMacの日本語キーと同じ配置
「Surface Laptop Go 3」(個人向けモデル)のラインアップは、メモリーが8GBのモデルと16GBのモデルの2機種。メモリー以外のスペックは共通で、CPUが第12世代の「Core i5-1235U」、ストレージが256GBのSSD。OSはWindows 11 Homeだ。3世代のモデルの主なスペックは以下のとおり。
黄色い部分は各モデルの注目ポイント
初代モデルにはメモリーが4GB、ストレージが64GB eMMCの低スペックかつお手ごろ価格のモデルがあったが、「Surface Laptop Go 2/3」ではラインアップから消えてしまった。「Surface Laptop Go 3」には、「Surface Laptop Go 2」にはなかったメモリー16GBモデルが用意されているのがポイント。ヘビーな作業を少しでも快適に行いたい人は、メモリーが16GBのモデルを選ぶといいだろう。
CPUの性能を測定する「CINEBENCH R20」の結果は、CPUが「1860」、シングルコアが「256」だった。初代モデルの結果はCPUが「843」、シングルコアが「273」だったので、大幅にCPU性能がアップしていることがうかがえる。
左が「Surface Laptop Go」、右が「Surface Laptop Go 3」の「CINEBENCH R20」の結果
今回はメモリーが16GBの上位モデルを試したが、動作は軽快そのもの。メモリー容量が16GBなので「Edge」のタブを大量に開いてももたつくこともなかった。
外部インターフェイスは左側面にUSB 3.1 Type-A、USB 3.2 Type-C(DisplayPort、充電)、3.5mmヘッドホン出力/マイク入力、右側面にSurface Connectポートを備える。充電はSurface Connectポートだけでなく、USB Type-Cタイプのアダプターを使ってUSB 3.2 Type-C経由でも可能
ACアダプター(39W)はコンパクトで、持ち運びしやすい
最新の「Surface Laptop Go 3」は、魅力だった価格が高くなって、微妙なポジショニングのモデルになったと思っていたが、前述のとおり、比較的手ごろな価格かつ実用的なスペックの小型ノートパソコンとして、実は魅力が増したとも言える。スペックと価格を考えると、コストパフォーマンスは上々だ。
ノートパソコンを毎日持ち歩く人で、携帯性を重視する人や、手ごろな価格の小型ノートパソコンを探している人は、最新の「Surface Laptop Go 3」をチェックしてもらいたい。