ASUS JAPANが2024年1月24日に発表した最新ゲーミングノートPC「ROG Strix G18(G814JIR-I94R4070)」をレビュー。インテルが発表したばかりの最新CPU「第14世代Core i9-14900HX」を搭載した高性能なモデルだ。
ノートPCとしては最大級の18型ディスプレイを搭載する「ROG Strix G18(G814JIR-I94R4070)」。市場想定価格は329,800円(税込)。発売は2024年1月24日
ASUS JAPANは「Republic of Games(ROG)」ブランドで、数多くのゲーミングデバイスを展開している。ゲーミングノートPCは、モバイルゲーミングPCの「ROG Flow」、性能だけでなくデザイン性にもこだわった「ROG Zephyrus」、パフォーマンス重視の「ROG Strix」という3つのシリーズのほか、堅牢性が高くコストパフォーマンスにすぐれた「TUF」シリーズもラインアップする。
同社は2024年1月24日にゲーミングノートPCの最新モデルとして、9シリーズ15製品を一挙に発表。既存のモデルをベースに、インテルおよびAMDの最新CPUを搭載し、基本性能を底上げしている。GPUの信号を、CPUを経由することなく直接出力することで、高いグラフィック性能を実現するMUXスイッチという機能を搭載するモデルも増えた。
新製品の概要は以下のとおり。
(1)ROG Strix SCAR 18
(2)ROG Strix SCAR 16
Core i9-14900HX+GeForce RTX 4090 Laptop GPU/GeForce RTX 4080 Laptop GPUを組み合わせた最上位モデル。ディスプレイにはmini LEDを採用する。画面サイズは「ROG Strix SCAR 18」が18型、「ROG Strix SCAR 16」が16型。ディスプレイのリフレッシュレートは240Hz。市場想定価格はROG Strix SCAR 18が529,800円(税込)から、「ROG Strix SCAR 16」が539,800円(税込)から。
左が「ROG Strix SCAR 18」(2024年1月24日発売)、右が「ROG Strix SCAR 16」(2024年1月24日より順次発売)
(3)ROG Strix SCAR 17
Ryzen 9 7945HX3D+GeForce RTX 4090 Laptop GPUを組み合わせたAMD版の最上位モデル。画面サイズは17.3型。ディスプレイのリフレッシュレートは240Hz。市場想定価格は499,800円(税込)。
「ROG Strix SCAR 17」(2024年3月下旬以降発売予定)
(4)ROG Strix G18(今回レビューしたモデル)
(5)ROG Strix G16
Core i9-14900HX+GeForce RTX 4080 Laptop GPU/GeForce RTX 4070 Laptop GPU/GeForce RTX 4060 Laptop GPUを組み合わせた高性能モデル。画面サイズは「ROG Strix G18」が18型、「ROG Strix G16」が16型。ディスプレイのリフレッシュレートは240Hz。市場想定価格は「ROG Strix G18」が299,800円(税込)から、「ROG Strix G16」が279,800円(税込)から。
左が「ROG Strix G18」、右が「ROG Strix G16」(どちらも2024年1月24日発売)
(6)TUF Gaming A16
Ryzen 9 7845HX+GeForce RTX 4070 Laptop GPU/GeForce RTX 4060 Laptop GPUを組み合わせた堅牢かつ高コスパなモデル。画面サイズは16型でリフレッシュレートは165Hz。市場想定価格は209,800円(税込)から。
(7)TUF Gaming F16
16型ディスプレイとCore i7-13650HXを搭載するゲーミングノートPC。GPUはGeForce RTX 4060 Laptop GPU。画面解像度は1920×1200で、リフレッシュレートは165Hz。市場想定価格は199,800円(税込)。
左が「TUF Gaming F16(FX607)」(2024年3月下旬以降発売予定)、右が「TUF Gaming A16(FA607)」(2024年2月7日から順次発売予定)
(8)TUF Gaming A15(FA507UV)
Ryzen AIに対応するRyzen 9 8945HSを搭載する堅牢かつ高コスパなモデル。GPUにはGeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載。画面サイズは15.6型で、リフレッシュレートは144Hz。市場想定価格は189,800円。
(9)TUF Gaming A155(FA506NC)
Ryzen 5 7535HS+GeForce RTX 3050 Laptop GPUを搭載する手ごろな価格のゲーミングノートPC。画面サイズは15.6型で、リフレッシュレートは144Hz。市場想定価格は129,800円(税込)。
左が「TUF Gaming A15(FA507UV)」(2024年2月7日発売予定)、右が「TUF Gaming A15(FA506NC)」(2024年1月24日発売)
今回取り上げる「ROG Strix G18(G814JIR-I94R4070)」は、「ROG Strix」の最新モデル。本気でeスポーツに取り組んでいる人や、あらゆるeスポーツタイトルを快適に楽しみたい人がターゲットだ。そのために、最新のCPU&GPUを搭載するのはもちろん、高性能なパーツの性能を引き出す最新かつ強力な冷却機構を備える。eスポーツに欠かせない、高リフレッシュレートのディスプレイを搭載するのもポイントだ。
●今回試したモデル「ROG Strix G18(G814JIR-I94R4070)」の主なスペック
CPU:Core i9-14900HX
GPU:GeForce RTX 4070 Laptop GPU
メモリー:32GB(DDR5-5600)
ストレージ:1TB(PCI Express 4.0 x4接続 NVMe/M.2)
ディスプレイ:18型液晶ディスプレイ(ノングレア、2560×1600、リフレッシュレート240Hz)
Webカメラ:92万画素
通信機能:1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T(RJ45)、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1
外部インターフェイス:HDMI、Thunderbolt 4(Type-C)、USB 3.2(Type-C/Gen2)、USB 3.2(Type-A/Gen2)×2、マイク入力/ヘッドホン出力
バッテリー駆動時間:約11.8時間(JEITA2.0)、約7.1時間(動画再生時)/約13.8時間(アイドル時)(JEITA3.0)
本体サイズ:約399(幅)×294(奥行)×23.1〜31.1(高さ)mm
重量:約3.0kg
OS:Windows 11 Home 64ビット
その他:Xbox Game Pass Ultimate(3か月利用権)
市場想定価格:329,800円(税込)
なお、ディスプレイにmini LEDを搭載した「ROG Strix SCAR」という、ワンランク上のモデルもラインアップする。ただし、こちらは市場想定価格が50万円オーバーからと、「ROG Strix」よりも高価。今回取り上げる無印の「ROG Strix」のほうが、手の届きやすいモデルと言える。
「ROG Strix G18(G814JIR-I94R4070)」の特徴は、インテルが今年1月に発表したばかりの最新CPU「14世代Core HXプロセッサー」を搭載すること。構造は前世代の「第13世Core HXプロセッサー」と同様だが、動作周波数が引き上げられ、新たにThunderbolt 5、Wi-Fi 7に対応する(本モデルはどちらも非対応)。
本モデルが搭載する「Core i9-14900HX」はPコア8、Eコア16の24コアCPU。Pコアのターボ時最大周波数は「Core i9-13900HX」の5.4GHzから5.8GHzに、Eコアは3.9GHzから4.1GHzに引き上げられている。
CPUの情報を取得する「CPU-Z」の結果
「Core i9-14900HX」のパフォーマンスを定番のベンチマークアプリ「CINEBENCH R23」で測定したところ、CPU(マルチコア)が30093と、非常にハイスコアだった。ノートPC向けCPUで3万を越えるのは、ほとんど見たことがない。
本モデルは「サイレント」「パフォーマンス」「ターボ」という動作モードが用意されているが、「パフォーマンス」で3万を超えるのは驚きだ。より高いパフォーマンスを発揮する「ターボ」で再度、「CINEBENCH R23」を実施したところ30415とわずかにアップした。
CPUの処理性能を測定するベンチマークソフト「CINEBENCH R23」の結果。動作モードは「パフォーマンス」(標準的なモード)ながら、CPU(マルチコア)のスコアが3万を超えた
今回試したモデルの主なスペックは、CPUが前述のCore i9-14900HX、GPUがGeForce RTX 4070 Laptop GPU、メモリーは32GB(DDR5-5600)、ストレージが1TB(PCI Express 4.0 x4接続 NVMe/M.2)。このほかGPUにGeForce RTX 4060 Laptop GPU
を搭載したモデルもラインアップする。GeForce RTX 4060 Laptop GPUモデルの市場想定価格は299,800円(税込)。今回試したGeForce RTX 4070 Laptop GPUモデルよりも3万円ほど安い。
実際にゲームではどうなのか、「サイバーパンク2077」「フォートナイト」「Apex Legends」の3タイトルを試した。ヘビー級の「サイバーパンク2077」のベンチマークでは、レイトレーシングを有効(オン)にしても、クイックプリセット「レイトレーシング:低」であれば平均72fpsを実現。「フォートナイト」は自動設定でも120fps前後でプレイ可能だった。解像度を下げて、フレームレート優先の「パフォーマンス」なら240fps以上は出るので、ディスプレイの高リフレッシュレートを生かせるだろう。比較的軽めのゲーム「Apex Legends」も120fps前後でヌルヌルの画質で楽しめた。
これだけの性能なら、多くのPCゲームがストレスなく楽しめそうだ。
■ベンチマーク結果(動作モードは「パフォーマンス」)
CINEBENCH 2024
GPU(System Requirements):11899
CPU(マルチコア):1616
CPU(シングルコア):127(MP Ratio 12.76x)
CINEBENC R23
CPU(マルチコア):30093
CPU(シングルコア):2110(MP Ratio 14.26x)
CINEBENCH R20
CPU(マルチコア):12054
CPU(シングルコア):820(MP Ratio 14.71x)
ストリートファイター6ベンチマークアプリ
トータルスコア:100
FIGHTING GROUND スコア:100 AVERAGE:59.97FPS
BATTLE HUB スコア:100 AERAGE:115.48FPS
WORLD TOUR スコア100 AVERAGE:108.90FPS
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
スコア:17157
評価:非常に快適(2560×1600、最高品質)
PC Mark 10 Professional Edition
トータル:8127
Essentials:10720
Productivity:10471
Digital Content Creation:12977
3D Mark Professional Edition
Speed Way:3023(Legendary)
Port Royal:7701
Solar Bay:58470
Time Spy Extreme:6293(Legendary)
Time Spy:13188
Fire Strike Ultra:7074(Legendary)
Fire Strike Extreme:13931(Legendary)
Fire Strike:26227(Legendary)
サイバーパンク2077 ベンチマーク(クイックプリセット)
レイトレーシング:低:平均fps 72.18
レイトレーシング:中:平均fps 52.79
レイトレーシング:ウルトラ:平均fps 52.79
レイトレーシング:オーバードライブ:平均fps 32.81
Steam Deck:平均fps 114.58
ウルトラ:平均fps 59.18
高:平均fps 86.46
中:平均fps 117.29
低:平均fps 130.98
ゲーミングノートPCで課題となる熱対策も万全だ。液体金属グリス、7本のヒートパイプ、放熱性を高める超高密度フィンによるヒートシンク、ベイパーチャンバー、3つのファンと抜かりがない。ダストフィルターや塵(ちり)を遠心力で自動排出する「アンチダストトンネル2.0」など、冷却性能を落とさないシカケも盛り込まれている。
吸排気口が多く設けられたボディ。ゴム足が大きく、安定してゲームをプレイできるのもいいところ
「ROG Strix G18」のもうひとつのウリがディスプレイ。ノートPCとしては最大級の18型液晶ディスプレイを搭載する。15型前後のノートPCと比べると、画面サイズはひとまわり大きく、大画面でゲームを楽しめるのはもちろん、日常使いでも見やすく、作業しやすい。
もちろん、画面が大きい分、取り回しはしにくくなる。本体サイズは、重量も約3.0kgとヘビー級なので、据え置きでの利用がメインになるだろう。使う場所が決まっているという人なら苦にならないが、使わないときは棚などに片付けるという人は16型の「ROG Strix G16」のほうがいいかもしれない。
画面サイズが大きいだけでなく、スペックも充実している。色域はDCI-P3を100%カバー。リフレッシュレートは240Hz、応答速度は3ms、明るさは500ニット。GPUの信号を、CPUを経由せずに出力するMUXスイッチもサポートする。
18型は15型よりもひとまわり、大きく迫力ある画質でゲームが楽しめる。ベゼルが細く没入感の高い体験を味わえるのも魅力
大画面はゲームだけでなく、Webページの閲覧など日常使いでも見やすい
カラーは「エクリプスグレー」。LEDで光るようなシカケはなく、比較的シンプルな天板だ
天板はシンプルだが、本体手前にLEDが配置されており、「ゲーム中は光らせたい」という人にもぴったりだ
キーボードはテンキー付き。本体サイズが大きい分、余裕のある配置でキーピッチも実測1.9mmはある。キーストロークも1.5〜2mmと深め。メカニカルキーボードではないものの、RGBで光らせられる、ゲーミング仕様のキーボードだ。
テンキー搭載のキーボード。本体が大きいので、キーピッチにも余裕があり、快適にタイピングできる
ボリュームやマイク、動作モード、ファンという5つのキーを備える
バッテリー駆動時間は約11.8時間(JEITA2.0)とモバイルノートPC並み。もちろん、ゲームプレイ中はどんどんバッテリーが減るので、ACアダプターに常時接続しておくことになるだろう。
外部インターフェイスは必要最小限。多くもなく、少なくもない。背面は吸排気口なので、インターフェイス類はすべて左右に配置されている。
外部インターフェイスは両サイドに配置されている。有線LANは1000BASE-Tにとどまる(2.5GBASE-Tではない)
ゲーム分野ではAMDのAPUが人気だが、インテルも「第14世代Core HXプロセッサー」で性能の高さをしっかりと示してきた。両者が競い合って、よりすぐれたCPUが登場することを期待したい。
本機はそんなインテルの「第14世代Core HXプロセッサー」を搭載し、そのパフォーマンスをしっかり引き出してくれる高性能なゲーミングノートPC。「第13世代Core HXプロセッサー」を搭載していた前世代モデルから大きく仕様を変えていないため、動作に安定感があり、安心して選べるモデルと言えるだろう。いろいろなPCゲームを快適に楽しみたい人はもちろん、本気でPCゲームに取り組みたい人の要望にもしっかり応えてくれるだろう。
今回試したGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載したモデルの市場想定価格は約33万円と高めだが、GeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載したモデルは約30万と少し安いので、予算重視の人はこちらを検討してみてはどうだろうか。