スマホとおカネの気になるハナシ

「紹介キャンペーン」で化ける、楽天「最強家族プログラム」を解説

スマートフォンやモバイル通信とお金にまつわる話題を解説していく「スマホとおカネの気になるハナシ」。今回は、「最強家族プログラム」などの新サービスによって、お手ごろ感が戻りつつある楽天モバイルを取り上げよう。

※本記事中の価格は税込で統一しています。

月々110円の割引が期限なしで受けられる「最強家族プログラム」

2023年末に契約数が600万を超えたことが明らかになり、復調の兆しが見えてきた楽天モバイル。その楽天モバイルが2024年2月21日より、新たな割引サービス「最強家族プログラム」を開始した。

楽天モバイルは2024年2月21日に「最強家族プログラム」の提供を開始。家族割引施策で他社に追随する形だ

楽天モバイルは2024年2月21日に「最強家族プログラム」の提供を開始。家族割引施策で他社に追随する形だ

これは、家族で同じ携帯電話会社やブランドの料金プランを契約することで、毎月の料金から一定の金額が割り引かれる、いわゆる家族割引施策の一種。具体的には「Rakuten最強プラン」を契約している家族同士でひとつのグループを組むと、そのグループに属している人の月額料金が110円値引きされるというものだ。

楽天モバイルの個人向け料金プランである「Rakuten最強プラン」を簡単におさらいしよう。個人向けの料金プランはこれひとつのみで、通信量に応じて月額料金が変化する仕組みだ。具体的には月間3GBまでは1,078円、月間3〜20GBまでは2,178円、月間20GB以上であれば3,278円となる。「最強家族プログラム」の対象者はそこから毎月110円値引きされることから、適用すると月額料金はそれぞれ968円、2,068円、3,168円となる。

「最強家族プログラム」が適用された人は「Rakuten最強プラン」の料金が月額110円引きとなり、3GB以下であれば1,000円を切る価格での利用が可能だ

「最強家族プログラム」が適用された人は「Rakuten最強プラン」の料金が月額110円引きとなり、3GB以下であれば1,000円を切る価格での利用が可能だ

「最強家族プログラム」は最大20回線まで適用可能だが、家族の人数に応じて割引額が変化する仕組みなどはなく、グループに何人参加しても値引き額は110円のままで地味な印象を持つ人もいるだろう。そうはいっても、毎月110円、年間で1,320円の値引きがなされるわけで、3人家族であれば年間3,960円、4人家族であれば年間5,280円の割引となることから、お得であることは間違いない。

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「家族用プランはないのか?」の声が根強くあった

こうした家族施策は競合の携帯各社も展開しているもので、細かな仕組みに違いはあれど決して珍しいものではない。NTTドコモの「みんなドコモ割」やKDDIの「au」ブランドの「家族割プラス」、ソフトバンクの「新みんな家族割」などがそれに当たるし、サブブランドでもKDDIの「UQ mobile」ブランドで「UQ家族割」、ソフトバンクの「ワイモバイル」ブランドで「家族割引サービス」が提供されている。

だが、楽天モバイルはこれまで“シンプルなワンプラン”であることを前面に打ち出し、家族割引施策などがなくても十分安いことをセールスポイントとしてきた。それがなぜ、料金の仕組みがシンプルではなくなってしまう家族割引施策を導入するにいたったのだろうか。

楽天モバイルの代表取締役会長である三木谷浩史氏はその理由について、楽天モバイルをすすめたところ「家族プランはないのか」という声が返ってくることが多かったためだと答えている。楽天モバイルがどれだけ安くても、他社にある割引がないとなれば利用をためらう人が一定数いることから、そうした人たちが安心して楽天モバイルに加入するためには家族割引施策が必要と判断したようだ。

楽天モバイル会長の三木谷氏は「最強家族プログラム」を開始した理由として、家族割引を求める声が多かったことをあげている

楽天モバイル会長の三木谷氏は「最強家族プログラム」を開始した理由として、家族割引を求める声が多かったことをあげている

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家族の加入でも使える「紹介キャンペーン」はかなり強力

そしてもうひとつ、家族割引施策を導入した理由としてあげられるのが「紹介キャンペーン」の存在だ。インフラへの先行投資で経営が厳しい状況にある楽天モバイルは、現在積極的にテレビCMなどを展開して顧客を獲得するのが難しい状況にある。とはいえ、契約数を増やさないと売上が増えないだけに、契約拡大が経営改善のための最重要テーマのひとつとなっている。

そこで楽天モバイルが今非常に重きを置いているのが、既存契約者からのクチコミによる顧客獲得であり、その強化策として展開しているのが「紹介キャンペーン」なのだ。2024年2月時点で実施されている第3弾の「紹介キャンペーン」は、既存の楽天モバイル契約者が新しい契約者を紹介すると、「楽天ポイント」が紹介した側に7000ポイント、紹介された側は6000ポイント、他社からの乗り換えであればさらに7000ポイント追加され13000ポイントが入る。

楽天モバイルは既存ユーザーによるクチコミでの顧客獲得に力を入れており、現在展開している「紹介キャンペーン」は紹介した側に7000ポイント、紹介された側が他社から乗り換えた場合は13000ポイントが入る仕組みだ

楽天モバイルは既存ユーザーによるクチコミでの顧客獲得に力を入れており、現在展開している「紹介キャンペーン」は紹介した側に7000ポイント、紹介された側が他社から乗り換えた場合は13000ポイントが入る仕組みだ

実は2024年2月14日に実施された楽天グループの決算説明会で、楽天モバイルの常務執行役員CMOである河野奈保氏は、「紹介キャンペーン」で新しい契約者を紹介した人は累計25万に上り、推定でそのうち49%が家族を招待していたと話している。「紹介キャンペーン」が家族のユーザー獲得に非常に効果的だったことから、家族の獲得を強化するべく「最強家族プラン」の提供にいたった側面も強いようだ。

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家族4人なら約1年で65,280円相当の還元

実際「紹介キャンペーン」の適用でどの程度お得になるのか計算してみよう。家族で他社回線から乗り換えた場合、紹介した家族1人に7000ポイント×紹介した人数、紹介されたほかの家族にもそれぞれ13000ポイントが入ることから、3人家族なら合計で(7000×2)+(13000×2)=40000ポイント、4人家族なら合計で(7000×3)+(13000×3)=60000ポイントが入る計算だ。

そこに「家族最強プラン」で1回線当たり毎月110円が値引きされることを考慮すれば、1年間で3人家族なら実質43,960円相当、4人家族なら実質65,280円相当がお得になる。もちろん紹介キャンペーンを適用できるのは1回限りだが、それでもかなりお得であることに間違いない。

家族4人が「紹介キャンペーン」を用いて楽天モバイルに乗り換えた場合、最初に加入した紹介者に21000ポイント(7000×3)、紹介される側3人それぞれに13000ポイント、家族全体で合計60000ポイントが入る

家族4人が「紹介キャンペーン」を用いて楽天モバイルに乗り換えた場合、最初に加入した紹介者に21000ポイント(7000×3)、紹介される側3人それぞれに13000ポイント、家族全体で合計60000ポイントが入る

元々楽天モバイルの料金は競合他社より安いので、他社から乗り換えた場合、その差分も含めればさらにお得になる。改善が進んでいるとはいえ、楽天モバイルの通信品質やエリア、サポートなどではほかの携帯3社に追いついていない部分が多いだけに、楽天モバイルのサービス内容に不満がないのであれば……という条件はどうしても付いてしまうのだが、それさえクリアできるのであれば「紹介キャンペーン」と「最強家族プログラム」の組み合わせが非常にお得であることは間違いない。

ただし、「最強家族プログラム」を適用するうえでは注意が必要な点もある。それはグループを組むことができる家族の基準だ。

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同じ名字が「家族グループ」の条件

実は家族割引施策で「家族」を判断する基準はサービスによってかなりの違いがあり、家族のあり方によってはグループを組めない場合もある。

なかでもauの「家族割プラス」はグループを組むための条件が厳しく、対象プランに加入しており、なおかつ同居している必要がある。離れた家族とグループを組むには「auスマートバリュー」に加入しており、なおかつ離れている家族の年齢が50歳以上という条件をクリアしなければならずハードルがかなり高い。

KDDIのWebサイトより。auブランドの「家族割プラス」でグループを組めるのは同居する家族に限られ、別居の家族を含めるには複数の条件を満たす必要があるなど、条件がかなり厳しい

KDDIのWebサイトより。auブランドの「家族割プラス」でグループを組めるのは同居する家族に限られ、別居の家族を含めるには複数の条件を満たす必要があるなど、条件がかなり厳しい

ただ、最近では多様性の時代に合わせて基準を緩和する傾向が強く、親等数や住所を基準としながらも、事実婚や同性のパートナーなどでも柔軟に対応するケースが増えている。実際ソフトバンクの「新みんな家族割」は、親等数の制限なく血縁・婚姻関係があれば同居していなくてもグループを組むことができるほか、同一住所であれば名字が違ってもグループを組めるので、シェアハウスの住人同士でグループを組むことも可能だ。

ソフトバンクのWebサイトより。ソフトバンクの「新みんな家族割」はグループを組める対象がかなり広く、親等数の制限がないほか、同一住所であればシェアハウスの住人同士でグループを組める

ソフトバンクのWebサイトより。ソフトバンクの「新みんな家族割」はグループを組める対象がかなり広く、親等数の制限がないほか、同一住所であればシェアハウスの住人同士でグループを組める

では「最強家族プログラム」はどうなのか? というと、制限がゆるいようで厳しいというのが正直なところである。というのも、グループを組む条件としてあげられているのが、グループの代表者が18歳以上で、なおかつ代表者と同一の名字であることだからだ。

それゆえ名字が同じであればグループを組むことができるので、極端な話全国に散らばっている同じ名字の赤の他人が集まってグループを組むこともできてしまうことから、そうした意味では制限が非常にゆるい。いっぽうで名字が違うとグループが組めないので、結婚などで名字が変わった人が元の名字の両親とグループを組むことはできないほか、事実婚などにも対応できないので、人によっては制限が厳しいと感じてしまうことだろう。

「最強家族プログラム」の適用条件。親等数や住所などに関係なくグループの代表者と同じ名字であることが条件なので、名字が同じであれば赤の他人とグループを組むことも可能だ

「最強家族プログラム」の適用条件。親等数や住所などに関係なくグループの代表者と同じ名字であることが条件なので、名字が同じであれば赤の他人とグループを組むことも可能だ

グループを組む条件がこのような形となったのは、サービス提供を急いだためシステムの改修を最小限で済ませるべく、グループの基準を名字にしたためではないかと筆者は見ている。楽天モバイル側も一連の条件がもたらす問題は把握しており、今後より多様な家族の形に対応できるよう改善を図っていくいっぽう、問題のある行為には随時対処を図っていくとのことだ。

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家族にはお得。音声通話用サブ回線などの用途も考えたい

現時点でグループを組む条件に当てはまり、なおかつ楽天モバイルのサービスに満足できるのであれば、「最強家族プログラム」と「紹介プログラム」の活用がお得であることは確かだ。もちろん契約した楽天モバイル回線を、国内通話無料の「Rakuten Link」を使った音声通話専用回線として使う手もある。一連の仕組みをうまく活用してお得に利用する手段を探ってみるのもいいだろう。

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佐野正弘
Writer
佐野正弘
福島県出身。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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