FCNT合同会社は、2024年5月16日、エントリースマートフォン「arrows We2」および、ミドルレンジスマートフォン「arrows We2 Plus」の2機種を8月に発売すると発表した。旧FCNTは、昨年5月に民事再生法の適用を申請し事実上経営破綻、現在はレノボグループ傘下として生まれ変わっている。そんな新生FCNTの第一世代となる2製品に迫ろう。
レノボグループ傘下となった新生FCNT初のスマートフォンが登場した
エントリーモデル「arrows We2」は、約6.1インチの液晶を搭載する小型モデル。約5.7インチディスプレイの旧「arrows We」のよりも大型化されたが、現在のスマートフォンの中では十分コンパクトだ。IPX5/8等級の防水仕様、IP6X等級の防塵仕様に加えて、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」の23項目をクリアしている。また、高さ1.5mからコンクリート面への落下に耐える耐衝撃性能や、浴室での使用、ハンドソープで丸洗いできるなど、「arrows We」の特徴だったタフネス性能が受け継がれている。
米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」の23項目をクリア。タフネス性能が継承されている
ハンドソープで丸洗いできる
基本性能を見てみよう。MediaTeK社のエントリー向けSoC「Dimensity 7025」に4GBのメモリー、64GBのストレージ、最大1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。これにより「arrows We」と比較して処理性能が約30%、グラフィック性能も約18%向上した。なお、OSとしてAndroid 14をプリインストールし、発売後2回のバージョンアップと最大4年のセキュリティアップデートを予告している。また、仮想メモリー機能を搭載しておりストレージ容量の一部をメモリーとして利用可能になった。
基本性能が向上し、より快適に使えるようになった
操作性を見てみよう。旧「arrows」の特徴だった操作「Exlider(エクスライダー)」が復活し、指紋センサーをなぞることで画面のスクロールや拡大が行える。また、「スライドインランチャー」や「FASTフィンガーランチャー」「FASTメモ」など、旧arrowsユーザーには懐かしい機能が数多く復活している。このほか、安全機能として「迷惑電話対策機能」、IDやパスワードを端末本体に一括して保存して情報流出に備える機能など、富士通時代から重視していたセキュリティ機能が復活している。
旧「arrows」の特徴だった操作「Exlider(エクスライダー)」が復活した
通常モードに加えて、アイコンや文字を大きくしたシンプルモード、使用できるアプリや時間帯の指定、1日の使用可能時間を細かく指定できるジュニアモードを備える
メインカメラは約5010万画素の標準カメラと約190万画素のマクロカメラを組み合わせたデュアルカメラだ。旧「arrows」は同時期の競合製品と比べてカメラ性能の立ち遅れが見られた。しかし、本機は夜景を明るく鮮明に撮影する「スーパーナイトショット」を搭載するなど、見栄えのする写真が手軽に撮れるようになっている。
見劣りしていたカメラ性能も向上。「スーパーナイトショット」を使えば鮮明な夜景撮影が行える
なお、本機はNTTドコモ、au、UQ mobileを通じて8月中旬の発売を予定している。
自律神経計測機能を備えたミドルレンジスマートフォン「arrows We2 Plus」が登場
「arrows We2 Plus」は、約6.6インチのフルHD+表示対応の有機ELディスプレイ(qOLED)を備えたミドルレンジモデルだ。IPX5/8等級の防水仕様、IP6X等級の防塵仕様に加えて、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」の23項目をクリアしている。また、高さ1.5mからコンクリート面への落下に耐える耐衝撃性能や、浴室での使用、ハンドソープで丸洗いできるなど「arrows We2」と同レベルのタフネス性能を備えている。加えて、「スライドインランチャー」や「FASTフィンガーランチャー」「FASTメモ」といった独自の操作機能も搭載されている。
有機ELディスプレイ(qOLED)は、リフレッシュレート最大144Hzや最大輝度1200nitに対応。ステレオスピーカーや「Dolby Atmos」対応などでゲームや動画視聴にも高い適性を備えている。また、USBポートはDPオルタネートモードの映像出力に対応しており、ディスプレイなどに映像が投影可能となっている。
144Hzのリフレッシュレートやステレオスピーカーなど、エンタメ性能も高い
搭載されるSoC「Snapdragon 7s Gen 2」に8GBのメモリーと256GBのストレージ、最大1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。これによって旧FCNT時代のフラッグシップモデル「arrows NX9」と比較してCPU性能が約50%、グラフィック性能も約60%向上するなど、大幅な性能向上を果たした。また、OSバージョンアップは最大3回、セキュリティアップデートも最大4年間の配布を予定するなど、より長く使い続けられるようになった。
久しぶりに登場したarrowsの旗艦モデルにふさわしい基本性能を備える。2020年登場の「arrows NX9」と比較して大幅な性能アップを実現した
メインカメラは約5010万画素の広角カメラと約800万画素の超広角カメラを組み合わせたデュアルカメラだ。特に広角カメラは、arrowsシリーズ初の光学式手ブレ補正機構を搭載するなど、競合製品と比べて見劣りしていたカメラ性能の向上が図られている。
広角カメラに光学式手ブレ補正機構を搭載。ネックだったカメラ性能が強化されている
本機ならではのユニークな機能として自律神経測定機能を搭載している。これは、背面のカメラ近くに備わる「脈波センサー」に指を当ててバイタルデータを読み取り、自律神経の活性度を「自律神経パワー値」として計上。それが何歳平均相当か表示することで、自律神経の状況を“見える化”するというユニークなものだ。
背面のカメラ近くに備わる「脈波センサー」に指をあててバイタルデータを読み取り、自律神経の活性度を計測できる
なお、本機は8月中旬にNTTドコモを通じて発売される。