価格.comノートPCカテゴリの「人気売れ筋ランキング(2024年5月14日時点)」トップ20にスペック違いで2機種がランクインする人気のノートPCがASUS「Zenbook 14 OLED UX3405MA」です。今回は、そのうちのCore Ultra 7搭載モデル「Zenbook 14 OLED UX3405MA-U7161W」(以下、「UX3405MA-U7161W」)をピックアップして人気の理由を探ります。
ASUS「Zenbook 14 OLED UX3405MA Core Ultra 7 155H/16GBメモリ/1TB SSD/14型有機EL/WPS Office 2 Standard Edition搭載モデル UX3405MA-U7161W [ポンダーブルー]」164,800円(税込。2024年5月14日時点の価格.com最安価格)
「Zenbook」シリーズは、クリエイター向けやゲーミングを除く同社ノートPCのうち、最上位に位置づけられる高性能なシリーズです。
その1つである「UX3405MA-U7161W」の最大のメリットは、14インチ、解像度2880×1800、アスペクト比16:10、リフレッシュレート120Hzの有機ELディスプレイでしょう。電源を入れた際のログイン画面から有機ELディスプレイの鮮やかさ、コントラストの高さが目立ちます。同じ画像を筆者が業務で使っている液晶ディスプレイのノートPC(Dell Latitude 5340 13.3インチ、フルHD)と見比べてみても、やはりきれいです。
輝度を最高にしてWindows 11標準の壁紙を表示したところを一部抜粋して表示。左が液晶ディスプレイの「Latitude 5340」、右が「UX3405MA-U7161W」。「UX3405MA-U7161W」は黄色い部分がしっかりと発色しているほか、背景のグラデーションが滑らか
次に本機で動画を視聴してみました。
YouTubeで「機動戦士ガンダム バトルオペレーション2」の宇宙ステージプレイ動画を再生した際は、宇宙空間の暗さ、そして光が当たっている部分の微妙な色合いの再現が、宇宙船やモビルスーツの質感を際立たせて、非常にリアルです
Amazon Primeで個人的に何度も見た「THE BATMAN−ザ・バットマン−」を再生してみたところ、映像が全般的に暗いこちらは、黒をより黒く表現できる有機ELとの相性がよかったです。
暗闇からバットマンの輪郭が徐々に現れてくるシーンでは、背景となる暗闇はしっかり暗く、かといって暗闇に溶け込んでいるけれどうっすらと見えているバットマンはしっかりと描写されています。また、バットマンのスーツに光が当たった際の質感のリアルさ、あるいは朝焼けを背景にヒロインと並ぶシーンの空のグラデーション。このあたりは比較に使った液晶ディスプレイとは段違いでした
これは余談ですがオーディオ機能も薄型ノートにしては頑張っている部類だと思います。1W×2のステレオスピーカーは動画視聴の際も、しっかりと音声が聞き取れるくらいクリアに再生してくれるため、映画鑑賞なども十分楽しめるでしょう。
輝度を最高にして写真を表示したところを並べて撮影後に一部抜粋して表示。左が液晶の「Latitude 5340」、右が「UX3405MA-U7161W」。「UX3405MA-U7161W」の方が自然な色合いで表示できており、立体感が感じられます
有機ELディスプレイと液晶ディスプレイの違いを感じられる部分はメディア再生時以外でもあります。簡単な文字入力を行う際でも、液晶ディスプレイだと文字に白みがかかっているように見えますが、有機ELディスプレイだと文字がくっきりとして明らかに視認性が高くなります。
輝度最高、解像度を揃えてWordの画面を表示したところ並べて撮影したものから一部抜粋して表示。左が液晶ディスプレイの「Latitude 5340」、「右がUX3405MA-U7161W」。「UX3405MA-U7161W」は白と黒のコントラストがはっきりしており、文字が見やすいです
また、残像感が少ない特徴を持つ有機ELディスプレイに加えて、120Hz駆動のリフレッシュレートにより、Webサイトを縦にスクロールして読む際にも見やすいと感じました。
有機ELディスプレイと聞くと、焼き付きなどを心配する人がいるかと思います。その点、「UX3405MA-U7161W」は、デフォルトの設定が焼き付きの発生しにくい「ダークモード」となっているほか、ディスプレイ保護のための「有機ELケア機能」を搭載。加えて、2年間の保証も付いているので、焼き付きを心配することなく安心して使えそうです。
標準状態ではWindowsの「ダークモード」が設定されている。バッテリー節約と有機ELディスプレイの劣化保護に効果があります
気になる点としてはディスプレイの反射があげられます。本機の有機ELディスプレイは光沢があるタイプなので、特にダークモード使用時は画面の反射が目立ちます。撮影時にカメラをノートPCの正面に設置すると、ばっちり映り込みました。
ディスプレイに三脚や収納ボックスが画面にバッチリ映り込んでいる
キーピッチがしっかり確保されたキーボード。バックライトを搭載
右上が電源キーではなく、Deleteキーになっているなど、やや特徴のあるキー配列ですが、キーピッチが19.05mm確保されていて基本的には押しやすいです。
タッチ感はやや軽めで多少カチャカチャする感じ。それも不快な感じではなくこの辺は、「静音キーボード」の効果が発揮されていると思います。ある程度静かな空間で入力作業をしても問題ないレベルと言えます
タッチパッドは実測で13cm超と結構大きめ。人によっては気になるかもしれません。この原稿は「UX3405MA-U7161W」で書いていますが、打ち始めは、意図せずタッチパッドに触れてしまい、誤入力をしてしまうことがありました。ここは慣れでカバーできる部分もあるでしょう。作業スペースが確保できるのであれば、マウスを接続し、タッチパッドをオフにすることを検討してみてもいいと思います。
本機はCPUがインテルの最新世代「Core Ultra 7」で、メモリーは16GB、ストレージは1TB SSDを搭載するなど、なかなかのハイスペックマシンです。ソフトウェアの起動は高速で、文字入力などの処理ももたつくことはありません。一般的な仕事用途においてストレスは皆無と言えるでしょう。
Webブラウザーでタブを10個くらい開いて調べ物をしつつ、Wordを使う程度の作業の場合、CPUの負荷は10%でかなり余裕がありました。写真の現像を行うようなデジタルカメラユーザー、あるいは本格的な動画編集用により高いスペックが欲しいという人は、「Core Ultra 9」、32GBメモリーを搭載するモデルがあるので、そちらも検討するといいでしょう。
参考までに、CPUベンチマークソフト「Cinebench R23」でのテスト結果は「Multi Core」が11729、「Single Core」が1838で、十分なスコアが出ました。なお、計測時はファンを「パフォーマンスモード」にして行いましたが、このモードではファンの音が大きかったです。
「Cinebench R23」でのテスト結果
「UX3405MA-U7161W」が搭載する「Core Ultra 7」はAI処理を効率的に行うNPUを搭載しています。AI処理を行うソフトウェアを高速で実行できるほか、電力効率が高いため、バッテリーの持ちがいいという特徴も備えています。
レビューでは、バッテリー残量80%の状態から「音量20、輝度60、全画面表示」で「THE BATMAN−ザ・バットマン−」を最高画質で連続再生してみました。映画が2回終了した6時間4分経過時点でバッテリー残量は36%。つまり6時間超の再生に対して44%のバッテリーを消費したことになります。バッテリー持ちは優秀ですね。ただし、暗いシーンが多い「THE BATMAN−ザ・バットマン−」がバッテリー消費に有利だった可能性はあるかもしれません。
左下に製品名、ほかはラインのシンプルな天面。指紋はかなり目立ちます
次に本機の外観を見ていきましょう。
「UX3405MA-U7161W」は重量が約1.2kg、サイズが312.4(幅)×14.9(高さ)×220.1(奥行き)mm。薄型のボディですが、米国軍用規格に準拠しているため、片手で持ったときのたわみなどは感じず安定感があります。また、天面にはロゴが刻まれており、すっきりしたデザイン。ただし、指紋は結構目立ちます。
左側面にはUSB3.2 Type-A/Gen1を配置。中央に見えるスリットは排気口
右側面にはThunderbolt 4 USB Type-Cポート×2とHDMI2.1ポート、マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャックを装備
外部インターフェイスはThunderbolt 4 USB Type-C2基とUSB3.2 Type-A/Gen1、HDMI2.1ポート、さらにマイクロホン/ヘッドホン・コンボジャックを搭載。アダプターからの電源供給にはThunderbolt 4 USB Type-Cポートが1基使われます。
従来ノートPC選びの基準というとCPU、メモリー、ストレージ、ディスプレイサイズです。しかし、本機をレビューした後は、これらに加えて”ディスプレイが有機ELか液晶か”も検討すべきと感じます。
特に1日でノートPCの画面を見ることが長い人は、有機ELディスプレイのメリットを実感できることが多いでしょう。写真や動画編集の際にも、有機ELディスプレイの高画質が作業をよりハイレベルなものに昇華してくれるはずです。
「UX3405MA-U7161W」は、インテルの最新CPUを搭載するなどスペック面でも高いものがあります。さらに、同スペック(「Core Ultra 7」、メモリー16GB、SSD 1TB、Microsoft Office非搭載)の液晶ディスプレイ搭載モデルと比べてもほとんど価格差はありません(「UX3405MA-U7161W」の最安価格は164,800円。それに対して、同水準スペックの液晶ディスプレイモデル3製品の最安価格平均は168,886円。2024年5月14日時点の価格.com最安価格)。本機はスペックに対するコスパが優秀なのです。
日中は仕事にバリバリ使え、終業後のプライベートタイムでも活躍。しかも手ごろな価格で入手できる。この”万能さ”とコスパの高さこそが人気の理由ではないでしょうか。