マウスコンピューターの「DAIV(ダイブ) Z4-I7I01SR-A」(以下、「DAIV Z4」)は、写真や動画の編集に対応できるスペックを持つ、クリエイター向けのノートパソコン。14型(インチ)の液晶ディスプレイを搭載しながら薄型・軽量ボディを実現し、性能と携帯性を両立しているのが特徴です。
本記事では、そんな「DAIV Z4」の価格.com限定モデルをレビュー。クリエイター向けとしてどこまで便利に使えるのかをチェックしました。
「DAIV Z4」の価格.com限定モデル(型番:Z4I7I01SRACAW102DECKK)、価格.com最安価格:194,800円(2024年6月28日時点)、2023年8月発売
・写真/動画の編集をこなせるクリエイター向けの14型モデル
・重量約975gの薄型/軽量ボディで持ち運びやすい
・正確な色を表示できる高品質ディスプレイを搭載
マウスコンピューターは、創業30年を超える日本国内のパソコンメーカーです。予算やニーズにあわせて製品の構成を選択できるBTO(Build To Order)パソコンに力を入れているほか、生産工場や修理工場、コールセンターを国内に設置し、国内での生産・サポートにこだわっているのも特徴です。
同社は、さまざまな用途に対応できるように、大きく以下の5つのシリーズに分けてパソコンを展開しています。
「mouse」 ホームユースを中心した一般用途向けPC
「DAIV」 写真・動画編集に活用できる高性能なクリエイター向けPC
「G-Tune」 ゲームを快適に楽しめる高パフォーマンスのゲーミングPC
「NEXTGEAR」 オンライン限定販売でコスパにすぐれるゲーミングPC
「MousePro」 最長5年保証のビジネス向けPC
今回紹介する「DAIV Z4」は、クリエイター向け「DAIV」シリーズの14型ノートパソコン。第13世代の「Core i7 1360P」や32GBメモリー、1TB SSD(※上位機種の場合)といった高性能を備えながら薄型・軽量ボディを実現しているのが大きな特徴です。重量は1kgを切る約975gに抑えられています。
性能面では、写真・動画を編集しやすいようにディスプレイの品質にこだわっているのがポイント。sRGBの色域を100%カバーする広色域タイプの液晶ディスプレイを採用しています。
薄型・軽量ボディに高い基本性能と高品質なディスプレイを搭載しています
■「DAIV Z4」価格.com限定モデルの上位機種 筆者による評価チャート
価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート
評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも参考程度にとどめてください。
価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧
「DAIV Z4」の特徴で特に押さえておきたいのは「薄型・軽量ボディ」と「高品質ディスプレイ」の2つです。上記の評価チャートでは、全項目で3点以上(標準以上)を付けていますが、特に「持ち運びやすさ」は5点、「画面」は4点と高く評価しています。
どんな用途に向いているかというと、やはり、写真・動画の編集がメインになるのではないでしょうか。特に写真編集に向いていると思います。とはいえ、14型のノートパソコンとしては処理性能にすぐれているので、クリエイティブ用途だけでなく、文書作成などビジネス用途でも問題なく活用できることでしょう。
詳細な特徴は、次項以降のレビューをぜひご確認ください。
「DAIV Z4」のサイズ/重量
サイズ:308.8(幅)×16.4(高さ)×213(奥行)mm
重量:約975g
「DAIV Z4」を使ってみて最も印象に残ったのが“薄くて軽い”ボディです。
ノートパソコンは一般的に重量が1kgを切ると軽量な部類に入りますが、本機は、マグネシウム合金を使用することで重量約975gの軽量ボディを実現しています。2024年6月28日時点では「DAIV」シリーズ最軽量です。
厚さ16.4mmのスリム設計なのも特徴で、カバンの中に収めやすく、高性能な14型ノートパソコンとしては携帯性が高いです。薄型・軽量ながら作りがしっかりしているので、持ち運んで使用するモバイルノートとして活用しやすいと感じました。
重量約975g/厚さ16.4mmの軽くてスリムなボディを実現
さらに、シャープで洗練されたデザインにも注目してください。直線を生かしたフォルムを採用し、外装表面に上質な光沢を生み出す梨地加工(無方向の微細な凹凸を形成する加工)を施すことで、先進的な雰囲気のボディに仕上がっています。
エッジの立ったシャープなデザインを採用
表面の梨地加工も質感の向上にひと役買っています。ちなみに、「DAIV」は「Dynamic Approach Imagery of Visual」の略です
クリエイター向けのノートパソコンを選ぶ際にチェックしておきたいのが、ディスプレイの性能です。特に、写真・動画編集用として使用するなら、ディスプレイの色再現性は重要です。
その点、「DAIV Z4」は、デジタルカメラの標準的な色域であるsRGBを100%カバーする14型液晶ディスプレイ(1920×1200、ノングレア)を採用しているので安心です。実際に写真を表示してみても、ノートパソコンのディスプレイにありがちな色温度の高さがなく、画面が青被りしないのが好印象でした。写真・動画を自然な色で表示できるディスプレイだと思います。
自然な色再現性が特徴の14型液晶ディスプレイを採用。画面が少し縦に長いアスペクト比16:10の1920×1200表示に対応しており、タスクバーやメニューバーを表示した状態でフルHDの作業領域を確保できます。さらに、狭額縁デザインによって画面占有率が約92%と高く、画面の没入感が高いのも特徴。写真・動画編集用としては、映り込みがないノングレア仕様なのも押さえておきたい点です
本機のディスプレイは自然な色再現性を重視し、鮮やかさやコントラスト感が抑えられているため、映画やドラマなどの動画コンテンツを視聴するときは映像にインパクトを感じにくいかもしれません。しかし、ギラギラとした感じが少ない分、長時間視聴しても目が疲れにくいと感じました。
このほか、動画視聴に関しては、HDR技術「Dolby Vision」と立体音響技術「Dolby Atmos」に対応しているので、対応コンテンツを高画質・高音質に楽しめます。ヘッドホン・イヤホンで立体音響を再現する「Dolby Atmos for Headphones」機能も備わっています。
ディスプレイ上部に顔認証対応のWebカメラ(200万画素)を内蔵。マイクはノイズを抑えられるデュアルアレイマイクなので、クリアな音声通話が可能です
右側面:HDMI×1、Thunderbolt 4(40Gbps)×1、USB Type-A(5Gbps)×1
左側面: USB Type-C(10Gbps)×1、USB Type-A(5Gbps)×1、SDメモリーカードリーダー×1、ヘッドホン端子×1
「DAIV Z4」は、厚さ約16.4mmの薄型ながら、写真・動画編集で便利に使えるインターフェイスを搭載しています。
特に注目したいのが、最大40Gbpsの高速データ転送が可能なThunderbolt 4端子。最近のデジタル一眼カメラは記録メディアにCFexpressカードを採用するものが増えていますが、本機ならCFexpressカードリーダーを使う場合に、Thunderbolt 4経由でよりスピーディーにデータをコピーできます。
Thunderbolt 4端子やUSB Type-C端子などを搭載。クリエイター向けとしてはSDメモリーカードリーダーを搭載しているのも便利です
Thunderbolt 4端子は、デイジーチェーン接続によって計2台のディスプレイをつなげられるのもポイント(※デイジーチェーン対応ディスプレイが必要)。HDMI端子も使えば、本体液晶を含めて最大4画面のマルチディスプレイ環境を構築することも可能です。
BTOオプションでLTE通信モジュールを追加すれば、SIMカードを利用してデータ通信が行えます
続いて、「DAIV Z4」の操作性とバッテリー性能を見ていきましょう。
キーボードはバックライト付きの日本語配列(83キー)で、キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.2mm。キーストロークが浅く、打鍵感は少しゆるいですが、薄型の14型ノートパソコンとしては申し分ないキーボードです。
タッチパッドは、実寸で約132(横)×82(縦)mmの大きなサイズを確保しているうえ、滑らかな操作感で使いやすいです。外出時のちょっとした編集作業なら、このタッチパッドで十分に対応できると思います。
ノーマルなキーの形状/レイアウトなので、使い始めからとまどうことはないでしょう。キートップはフラットな形状です。キーボード部の右上にある電源ボタンが小さくて押しにくいのが気になりましたが、総じて使いやすいキーボードです
タッチパッドが大きいのも本機の特徴。余裕のあるカーソル操作が可能です
バッテリー駆動時間はカタログスペックで約11時間。14型のノートパソコンとしては標準的な値ですが、実際のところはどうでしょうか? 以下の条件で、約2時間の映画(フルHD解像度のアクション映画)を2本続けてストリーミング再生してみて、バッテリーの残量をチェックしてみました。
動画再生時のパソコン設定
Windows 11の電源プラン:バランス(初期設定)
ディスプレイの明るさ:100%(最大輝度)
表示モード:全画面表示
音量ボリューム:50%
Wi-Fi/Bluetooth:オン
結果は、1本目の再生が終わった時点でのバッテリー残量が57%。2本目が終わった時点では11%でした。約2時間の映画を大体2本視聴できるバッテリー性能です。コンテンツの内容にもよりますが、約11時間というスペックを考慮すると少し物足りない印象。1日外に持ち出して使いたい場合は、付属の電源アダプターは必携です。
2時間の映画を2本再生し終えた段階でのバッテリー残量は11%
なお、本機は、右側面のThunderbolt 4端子と左側面の USB Type-C端子がUSB Power Delivery(PD)の入出力に対応しています。65W以上の出力が可能なUSB PD対応機器であれば本体を充電できる仕様です(※すべての対応機器で動作を保証しているわけではありません)。ノートパソコンを持ち出す機会が多いのであれば、65W出力以上のUSB PD対応モバイルバッテリーを用意しておいてもよいでしょう
付属のACアダプターは65W出力タイプで、本体部のサイズは約39(幅)×28(高さ)×94(奥行)mm、重量は約240g。比較的コンパクトに収まっています
最後に、各種ベンチマークの結果をレポートします。
「DAIV Z4」の上位機種は、CPUに、第13世代「Core」シリーズの「Core i7 1360P」を搭載しています。このCPUは、インテルのモバイル向けプロセッサー(※末尾が「P」)の上位モデルで、性能と消費電力のバランスにすぐれるのが特徴。薄型の14型ノートパソコンが搭載するCPUでは高性能な部類に入ります。メモリーは32GB、ストレージは1TBで、クリエイター向けとして余裕のあるスペックを誇ります。
「DAIV Z4」上位機種の基本スペック
CPU:Core i7 1360P(2.2GHz/12コア)
メモリー:32GB(DDR5)
ストレージ:1TB SSD(M.2)
ディスプレイ:14型液晶(1920×1200)
ベンチマークを実行する際は、Windows 11の電源プランを「最適なパフォーマンス」(システムのパフォーマンスを優先するモード)に設定しました。
「PCMark 10 Professional Edition」のスコア
トータル:5797
Essentials:10586
Productivity:7958
Digital Content Creation:6277
「CineBench 2024」のスコア
CPU(Multi Core):373
CPU(Single Core):98
「CineBench R23」のスコア
マルチコア:6338
シングルコア:1606
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」のスコア
標準品質、1920×1080、フルスクリーン:2075(重い)
軽量品質、1920×1080、フルスクリーン:2613(やや重い)
標準品質、1280×720、フルスクリーン:3045(普通)
「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」のスコア
標準品質(ノートPC)、1920×1080:5247(普通)
ベンチマークの結果は、使用したアプリによってバラツキが出ました。全体的にシングルコアの数値は悪くないのですが、マルチコアの数値が若干落ちる印象です。「PCMark 10 Professional Edition」のスコアはすべて推奨値を上回っていますが、ハイスペックなノートパソコンとしてはもうひと声欲しいところです。
「PCMark 10 Professional Edition」の結果
「CineBench R23」の結果
ゲーム用のベンチマーク「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」では、標準画質/1920×1080の条件で重い/やや重いという結果に。外部グラフィックを備えているわけではないので、負荷のかかる3Dゲームをフルスペックで快適に楽しむのは厳しいと思います。
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の結果
写真の編集は、「Photoshop」などを使ってRAWデータを処理してみましたが、編集結果の反映が比較的スムーズでストレスなく操作できました。データの容量にもよりますが、RAWデータを1つひとつ選択して編集する限りでは、快適に使用できると思います。
動画は、動画編集アプリ「Davinci Resolve」を使って、4K解像度(4K/30p)の動画データ(計20ファイル、H.264/MOV、容量約8GB)を編集してみました。プロキシ(元データを低容量化した編集用ファイル)を作成してから作業してみたところ、クリップの切り替え時などに動作が重くなることはあるものの、カラーグレーディング作業などを問題なく行えました。タイムラインの数がそれほど多くなく、かつ複雑な構成でないのであれば4Kデータも十分に扱えると思います。
動画編集アプリ「Davinci Resolve」を使ってみたところ、シンプルなタイムラインなら4Kデータも編集できると感じました
なお、計20ファイルのプロキシ作成にかかった時間は約6分30秒。約2分間の4K/24pファイルへの書き出し(品質:自動/最高、可変ビットレート/高画質)は約2分50秒で終了しました。プロキシの作成には少し時間がかかりましたが、書き出しは思ったよりも速かったです。
使っていて少し気になったのがファンの動作音です。ベンチマークアプリを動かしているときや、動画編集ソフトでファイルの書き出しを行っているときには、かなり大きな音が出ます。パフォーマンス設定を下げても音は小さくならないようです。薄型のノートパソコンですので目をつぶらないといけない部分かもしれません。
写真・動画編集に活用できるクリエイター向けのノートパソコンは、大きく、デスクトップパソコンの並みの処理性能を持つ据え置き型と、性能とサイズ感のバランスを重視した携帯型に分けられます。今回レビューした「DAIV Z4」は携帯型。約975gの薄型・軽量ボディを実現するなど、持ち運んで使うための工夫が随所に施されています。
本格的な4K動画編集用としては力不足なところがありますが、自然な色再現性のディスプレイや、Thunderbolt 4端子を備えたインターフェイスなど、ツボを押さえた性能・機能を採用しているのがうれしいです。持ち運べるクリエイター向けのノートパソコンとしてトータルバランスにすぐれたモデルと言えるでしょう。sRGBカバー率100%というスペックを考慮すると、特に写真編集用に適していると思います。
なお、「DAIV Z4」は、今回取り上げた32GBメモリー/1TB SSDの上位機種のほかに、16GBメモリー/500GB SSDの下位機種も用意されています。2024年6月28日時点での価格.com限定モデルの価格を見ると、上位機種と下位機種の価格差は1万円しかなく、上位機種のコストパフォーマンスの高さが光ります。通常販売モデルよりもお買い得なプライスなので、予算が許すなら価格.com限定モデルの上位機種を選ぶのがベターですよ。
2024年6月28日時点では、「DAIV」シリーズのノートパソコンには、据え置きタイプの16型「DAIV Z6」と14型「DAIV S4」もラインアップしています。いずれも、デスクトップ用CPUと外部グラフィックを搭載する高性能モデル。本格的な動画編集用のパソコンを探しているのなら、これらのモデルもあわせてチェックしてみてください。