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「Xperia 1 VII」レビュー! エンタメ性能を極めたソニー流AIスマホの実力は?

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本日2025年5月13日に発表されたばかりの、ソニーの新しいフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 VII」の実機を入手! すでにSNSを中心にさまざまな意見が寄せられている注目の1台だ。短い時間ではあるが試用できたので、いち早くレビューをお届けしよう。

ソニー「Xperia 1 VII」。2025年6月上旬発売予定。SIMフリー版の市場想定価格(税込)は205,000円〜

ソニー「Xperia 1 VII」。2025年6月上旬発売予定。SIMフリー版の市場想定価格(税込)は205,000円〜

Xperia 1 VII

「Xperia 1 VI」と見た目はよく似ている

「Xperia 1」シリーズの最新モデル「Xperia 1 VII(エクスペリア・ワン・マークセブン)」が、2025年6月5日に発売される。今回検証するのは一般流通モデル、いわゆるSIMフリー版だが、NTTドコモ、au、ソフトバンクの通信事業者各社からも発売される予定だ。なお、毎年「Xperia 1」シリーズと同時に発表されるミドルレンジ向け「Xperia 10」の新モデルは、今年の秋頃発表される予定だ。

「Xperia 1 VII」の外見は、前モデル「Xperia 1 VI」とよく似ている。約6.5インチのフルHD+有機ELディスプレイを継続するほか、滑り止めの凹凸加工が施された背面、細かな切り込みの作られた側面、ボタンの配置といった特徴が継承されている。

ボディサイズは約74(幅)× 162 (高さ)×8.2(厚さ) mmで、重量は197gとなっており、「Xperia 1 VI」から約5g軽くなったが外寸は変わっていない。IP6Xの防塵仕様と、IPX5/8の防水に引き続き対応している。なお、背面のカメラ部分のデザインが変わっているので、「Xperia 1 VI」のケースを使い回すことができないようだ。

「Xperia 1 VI」から外見の変化は小さい。5gほど軽くなったが外寸はそのままだ

「Xperia 1 VI」から外見の変化は小さい。5gほど軽くなったが外寸はそのままだ

ボディ正面に今や貴重なヘッドホン端子を配置する

ボディ正面に今や貴重なヘッドホン端子を配置する

USB Type-CポートとSIMトレーはボディ下面に配置する

USB Type-CポートとSIMトレーはボディ下面に配置する

左側面に、ボリューム、指紋センサー内蔵の電源、シャッターの各ボタンを配置。この配置も「Xperia 1 VI」から変わっていない

左側面に、ボリューム、指紋センサー内蔵の電源、シャッターの各ボタンを配置。この配置も「Xperia 1 VI」から変わっていない

背面に細かな凹凸が作られており、滑りにくく持ちやすさを高めている

背面に細かな凹凸が作られており、滑りにくく持ちやすさを高めている

カラーバリエーションは、オーキッドパープル、スレートブラック、モスグリーンの3色。なかでもオーキッドパープルは、人気の高かった「Xperia Z」シリーズの雰囲気があり、古参のXperiaファンには待望のカラーかもしれない。

3色のカラーバリエーションを用意。左からオーキッドパープル、スレートブラック、モスグリーン

3色のカラーバリエーションを用意。左からオーキッドパープル、スレートブラック、モスグリーン

ディスプレイは最大輝度がアップ。逆光耐性も高められた

ディスプレイは1〜120Hzの可変リフレッシュレート対応で、120Hz駆動時に1コマごとに黒い画面を差し込む残像低減機能付き240Hz駆動機能も搭載されている。タッチサンプリングレートも240Hzで変わっていない。「Xperia 1 VI」と画質の違いを比べるのは難しいが、ピーク輝度が20%高められたほか、照度センサーを表面に加えて背面にも装着しており、逆光における色の再現性が高められている。画質を維持しつつ、より厳しい視聴環境に耐えられるように進化しているようだ。

ディスプレイに大きな変更はないが、より厳しい環境でも画質を維持しやすくなっている

ディスプレイに大きな変更はないが、より厳しい環境でも画質を維持しやすくなっている

照度センサーをボディの表と裏の2面に搭載。明暗差を感じ取り逆光を感知できるようになっている

照度センサーをボディの表と裏の2面に搭載。明暗差を感じ取り逆光を感知できるようになっている

「WALKMAN」の技術を取り入れたサウンド性能

「Xperia 1」シリーズはサウンド性能の高さでも好評を得ているが、本機はソニーのデジタルオーディオプレーヤー「WALKMAN」の技術を積極的に採用している。これは大きな注目点だ。

ただし、ハードウェアの面では「Xperia 1 VI」から劇的な変化があるわけではない。ヘッドホン端子や左右対称に配置されたスピーカーなどが継承されているし、サウンドアプリも従来のままだ。だが、内部を見るとサウンド周辺の集積回路のグレードを高め、オーディオ端子周辺に「WALKMAN」ゆずりの金を混ぜた“はんだ”を使用するなど、強化がなされている。スピーカーも高音域の拡張と中〜低音域の音圧を10%高めるなどブラッシュアップされている。

さらに、ワイヤレス接続において送信出力が「Xperia 1 VI」比で最大2倍まで高められた。これにより、人の多い環境でも接続の安定性が向上しているという。従来から採用されている独自のサウンドエンハンサー「DSEE ULTIMATE」はAIを活用することで効果を高められている。このように、強化された点はかなり幅広い。

Bluetoothの出力向上は効果的に感じた。短期間の検証ではあったが通勤時間の電車の中でも途切れることが、普段使っているスマートフォンよりも減っているし、スマートフォンから離れても音が途切れにくくなった。筆者は最新のオーディオ製品に触れる機会は多いもののその分野の専門家ではない、そんな筆者の耳でも普段使っている有線イヤホンを「Xperia 1 VII」と組み合わせると、音圧や音の粒度が向上したように感じる。もちろんスピーカーの音場感は良好で、今でもこの点でライバルに大きな差があることは実感できた。

損失の少ない金を加えた“はんだ”を採用し、内部のサウンド回路のグレードを高めるなど、「WALKMAN」シリーズで採用実績のある部品や技術が使われている

損失の少ない金を加えた“はんだ”を採用し、内部のサウンド回路のグレードを高めるなど、「WALKMAN」シリーズで採用実績のある部品や技術が使われている

超広角カメラを強化。広角と望遠カメラは前モデルの持ち越し

カメラ機能を見てみよう。前モデルと同じく16mmの超広角カメラ、24mmの広角カメラ、85〜170mmの望遠カメラのトリプルカメラを搭載する。そのうち、超広角カメラは中身を一新。広角カメラと望遠カメラは「Xperia 1 VI」からの変更はない。

超広角カメラは、画素数が約1200万画素から約4800万画素に強化。センサーの大きさも、1/2.5インチから1/1.56インチに大型化されている。組み合わせるレンズも焦点距離こそ変わらないが、F値が2.2から2.0に大口径化されている。

超広角、広角、望遠のトリプルカメラ。そのうち、超広角カメラは設計を一新している

超広角、広角、望遠のトリプルカメラ。そのうち、超広角カメラは設計を一新している

超広角カメラのセンサーが1/2.5インチから1/1.56に大型化。レンズも一新され、広角カメラと並ぶメインカメラ格となった

超広角カメラのセンサーが1/2.5インチから1/1.56に大型化。レンズも一新され、広角カメラと並ぶメインカメラ格となった

超広角カメラを中心に作例を掲載しよう。一部で少々旧型だが「Xperia 1 II」と比較してみた。

超広角カメラで撮影(上がXperia 1 VII、下がXperia 1 II)

「Xperia 1 VII」は、ハイライトの白飛びが激減しているうえ、フレアも押さえ込まれている。ダイナミックレンジが大きく向上している印象だ

「Xperia 1 VII」は、ハイライトの白飛びが激減しているうえ、フレアも押さえ込まれている。ダイナミックレンジが大きく向上している印象だ

超広角カメラで撮影(上がXperia 1 VII、下がXperia 1 II)

下の「Xperia 1 II」はゆがみ補正をかけていない状態で撮影。「Xperia 1 VII」はソフトウェア補正なしでここまでゆがみが抑えられる

下の「Xperia 1 II」はゆがみ補正をかけていない状態で撮影。「Xperia 1 VII」はソフトウェア補正なしでここまでゆがみが抑えられる

超広角カメラで撮影(Xperia 1 VII)

ハイライト部分の飽和がかなり少ないうえに構図周辺のノイズや荒れも抑えられており、かなり高品質だ

ハイライト部分の飽和がかなり少ないうえに構図周辺のノイズや荒れも抑えられており、かなり高品質だ

広角カメラで撮影(Xperia 1 VII)

ハイエンドスマートフォンらしく、低照度でも情報量が多い。手ブレも抑えられており扱いやすい

ハイエンドスマートフォンらしく、低照度でも情報量が多い。手ブレも抑えられており扱いやすい

望遠カメラで撮影(Xperia 1 VIIのテレマクロモード)

望遠カメラを使ったテレマクロ撮影。被写体と距離を保ちつつマクロ撮影が行えるのが魅力だ。オートフォーカスの性能が非常に高いうえ、レスポンスも速く動きの激しいミツバチにもしっかりピントが合った

望遠カメラを使ったテレマクロ撮影。被写体と距離を保ちつつマクロ撮影が行えるのが魅力だ。オートフォーカスの性能が非常に高いうえ、レスポンスも速く動きの激しいミツバチにもしっかりピントが合った

「Xperia 1 VII」の超広角カメラの画質は明白に向上している。まず、ダイナミックレンジが向上し、明暗の大きい構図に強くなった。発色もよく、定評の広角カメラと比べても違いはほとんど感じない。また、超広角特有のゆがみをレンズで補正するようになったことで、画質とゆがみの補正が両立されている点がポイントになるだろう。

動画関連の新機能2点にも注目だ。ひとつは「オートフレーミング」で、カメラが構図を認識して、被写体を自動でクローズアップしてくれる。カメラ任せてズーム動画が撮影できるので、動きのある子どもや動物の撮影で役に立つだろう。

被写体を認識して自動でクローズアップしてくれる「オートフレーミング」。超広角カメラと広角カメラの動画撮影で使用できる

被写体を認識して自動でクローズアップしてくれる「オートフレーミング」。超広角カメラと広角カメラの動画撮影で使用できる

もうひとつは、こちらも動画撮影において常に被写体を構図の中央に維持し続ける「AIカメラワーク」だ。これは、強力な手ブレ補正とAIを使ったトラッキングを組み合わせることで、構図の中央に被写体を固定できるもの、画面を見なくてもスマートフォンを適当に被写体に合わせておけば、構図を外さずに撮影が行えるため、学校の発表会などで子どもをとり続けたい場合に便利だ。

「AIカメラワーク」を使えば、フレーミングに集中しなくても構図の決まった動画撮影が可能になる。こちらも、超広角カメラと広角カメラで使用できる

「AIカメラワーク」を使えば、フレーミングに集中しなくても構図の決まった動画撮影が可能になる。こちらも、超広角カメラと広角カメラで使用できる

「Xperia 1 VII」のカメラは引き続き強力なものだ。とはいえ、カメラはライバル製品も差別化ポイントにしており、優劣は画質よりも付加価値にシフトしている。その点、本機は、撮影シーンを逃さない動作スピードやオートフォーカスの性能、あるいは本格的なマクロ撮影機能、そして動画撮影における新機能「オートフレーミング」や「AIカメラワーク」など武器が多く、選ぶ理由が豊富なカメラだろう。

バッテリー持ちは引き続き良好

内蔵するバッテリーは前モデルと同じく容量は5000mAh。平均的な充電サイクルなら4年後も容量の80%が維持される長寿命のバッテリーが使われている。また、2日のバッテリー持ちや36時間の連続動画再生が可能な点も前モデルから受け継がれている。なお、今回の検証機は、SIMカードを使わない条件で借りており、あくまで屋内のWi-Fiで運用しているが、1日に4〜5時間断続的に使っても2日程度のバッテリー持ちは可能だった。

本機のバッテリー持ちの理由のひとつは、ディスプレイの可変リフレッシュレートの制御だ。このほかにSoCの消費する電力を最適化しており、ソフトウェアの制御で実現している部分が多いとのことだ。

「Snapdragon 8 Elite」を搭載。OSバージョンアップは4回に

本機が搭載するSoCは、「Snapdragon 8 Elite」。12GBメモリー+256GBストレージ、12GBメモリー+512GBストレージ、16GBストレージ+512GBストレージの3モデルを用意する。なお、通信事業者向けは128GBメモリー+256GBストレージモデルのみで、SIMフリー版は3モデルのラインアップになる。microSDXCメモリーカードスロットは最大2TBまで利用できる。

今回の検証機は、ベンチマークアプリを実行しないことを条件に借り受けているのであくまで体感速度の印象をお届けする。「Snapdragon 8 Gen3」搭載機と比べるとアプリの起動にかかる時間は少し短い。また、ゲームアプリにおけるフレームレートの低下も「Snapdragon 8 Gen3」搭載機よりも減っていた。ただし、ゲーム中および、カメラアプリを長時間動作させた場合の発熱は多かった。本機は、ベイパーチャンバーを使用するなど時代相応の冷却技術が取り入れられているが、冷却性能を強化したゲーミングスマートフォンと比べると、熱暴走は起こらなかったが冷却のためSoCの処理性能を一時的に抑えるサーマルスロットリングは起こりやすいように思われた。

「Snapdragon 8 Elite」を搭載する

「Snapdragon 8 Elite」を搭載する

効率的に熱を拡散させるベイパーチャンバーを採用している

効率的に熱を拡散させるベイパーチャンバーを採用している

なお、OSバージョンアップは1回増えて4回、セキュリティアップデートは2年増えて発売後6年行われる予定だ。「Galaxy S」シリーズや「Pixel」シリーズのような、OSバージョンアップ7回と比較するとまだ少ないが、スマートフォンの買い替えは現在3〜4年ごとが多いと言われており、4回のバージョンアップなら使用のうえで困ることは少ないだろう

【まとめ】「Xperia 1」シリーズはエンタメ機であることを再確認

「Xperia 1 VII」のSIMフリー版における市場想定価格(税込)は、12GBメモリー+256GBストレージモデルが205,000円、12GBメモリー+512GBストレージモデルが219,000円、16GBメモリー+512GBストレージモデルが235,000円。前モデルの発売当初の価格は最安モデルが189,200円だったので、今年も値上げとなった。これは、世界的な物価高騰や円安、通信事業者に課された端末の値下げ規制などの経済事情が重なったものだ。メーカーや販売者だけではどうしようもない部分が大きい。今の「Xperia 1」シリーズはより高付加価値化した高級品となっている。

そんな状況で本機を選ぶとすれば、やはりバッテリーが長持ちすることや、有線・ワイヤレス・スピーカーいずれでも音質がよいことなどになるだろう。また、連写性能とオートフォーカスの性能にすぐれた、動く被写体に強いカメラは、「Xperia 1」シリーズならではの魅力だ。いっぽうで、本機はゲームも売りにしているが、熱心なゲーム好きには熱処理がややもの足らないように感じられた。

もうひとつ、この1年でAIに注力する製品が増えた。「Xperia 1 VII」をAIから見ると、翻訳や生成AIなどライバルが注力する技術はGoogleに任せている。そして、ボイスレコーダーの文字起こしや画像や文書の生成、アイデア出しなど、ビジネス向けのAI機能は備えていない。そのいっぽうで、カメラやサウンドなどソニーの得意とする映像やサウンドのエンターテインメントにAIを活用している。

AIの扱いが端的に示しているが、「Xperia 1 VII」はソニーが伝統的に強いエンターテインメントに最適化されたスマートフォンと言えるだろう。

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2025/05/13 11:41 新製品ニュース
田中 巧(編集部)
Writer / Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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