2026年9月18日に発売された、iPhoneの新しいハイエンドモデル「iPhone 18 Pro」は、シリーズ初の可変絞りカメラや排熱・バッテリー性能の向上など、堅実な進化を遂げました。本記事では前モデル「iPhone 17 Pro」と実機で比較し、実際の使い心地や進化点を詳しく検証します。
進化点を中心に「iPhone 18 Pro」の使用感を詳しくお伝えします
まずは、デザインをチェックします。
「iPhone 18 Pro」の外観は、基本的には、前モデル「iPhone 17 Pro」を踏襲しています。ディスプレイは6.3インチで、本体サイズは71.9(幅)×150.0(高さ)×8.75(厚さ)mm、重量は211gです。前モデルより5g重くなっていますが、実際に持ってみると差を認識できないレベルの違いです。
左が「iPhone 17 Pro」で、右が「iPhone 18 Pro」(以下同順)。外観デザインはほぼ踏襲されています
背面。MagSafe対応エリアのマットな質感や、カメラバンプ(カメラ部の盛り上がった土台)の立体感を確認できます
底面。中央にUSB-Cポート、左右にスピーカーホールとマイク穴が配置されています
右側面。サイド(電源)ボタンと、カメラ撮影を直感的に操作できる「カメラコントロール」を備えます
天面。ボタン類が配置されていない、すっきりとした仕上がりです
左側面。おなじみのアクションボタンと、音量ボタンが並びます
「iPhone 18 Pro」のデザインは、「iPhone 16 Pro」以前のモデルと比べると、アルミニウム製のユニボディが採用され、カメラバンプが横長に拡張されたほか、MagSafeアクセサリーを固定できる背面中央が若干光沢感を抑えた仕上げになっていることなどが大きな変更点です。数世代ぶりの機種変更ならば雰囲気がガラッと変わります。
いっぽう「iPhone 17 Pro」と比べると、外観の変化はかなり限定的。具体的には、ディスプレイ上に備わったインカメラ用のパンチホールが小さくなりました。
また、カラーバリエーションは「iPhone 17 Pro」が「ディープブルー(※紺系)」「コズミックオレンジ(※橙系)」「シルバー」の3色だったのに対し、「iPhone 18 Pro」では「ブラック」「シルバー」「グレイシャー(※水色系)」「バーガンディ(※濃い赤〜紫系)」の4色に変わりました。
「iPhone 18 Pro」のカラーバリエーション。左から「ブラック」「シルバー」「グレイシャー」「バーガンディ」
「iPhone 17 Pro」のカラーバリエーション。左から「ディープブルー」「コズミックオレンジ」「シルバー」
今回試用したのは「バーガンディ」。まるでフルボディの赤ワインのようなシックな色味が特徴です。このあたりは好みの問題になってきますが、前モデルの「コズミックオレンジ」と比べると、“Pro”の名に恥じないシックな雰囲気をまとっているように思えました。
ちなみに、濃い赤系のカラーを選択できるのはProシリーズでは初めてです。また、水色系の仕上げがあるのも「iPhone 13 Pro」の「シエラブルー」以来なので、同系統のカラーが好きな人は注目しておくとよいでしょう。
続いて、ディスプレイの違いをチェックしていきましょう。
「iPhone 18 Pro」のディスプレイサイズは先述したとおり6.3インチ。「iPhone 17 Pro」と同じく「Super Retina XDRディスプレイ」で変わっていません。
仕様の数値については、解像度が2622×1206ピクセル(画素密度=460ppi)、輝度が屋外ピーク輝度3000nits、HDR時ピーク輝度最大1600nits、通常最大1000nitsで変化なし。ロック画面上で時刻や通知を確認できる「常時表示ディスプレイ」、最大120Hz駆動で滑らかなスクロールを実現する「ProMotionテクノロジー」、周囲の環境光に合わせて画面の色味を自動調整する「True Tone」といった、シリーズおなじみの機能も引き続きサポートします。
前モデルと比べた場合、画面の表示性能自体には大きな変化はありません。ただし、「iPhone 15 Pro」以前のモデルと比較した場合は、屋外での最大輝度が向上しているため、直射日光下での見え方にはっきりと差を感じます。屋外で撮影した写真をその場で確認するような場面ではメリットになるはずです。
いっぽうで構造面においては、前モデルと比較してDynamic Island用のパンチホールが小型化し、Face ID用センサーの位置が変更されています。正直、肉眼ではほぼわからないレベルですが、よーく目を凝らしてみると、ディスプレイ左上に画素密度を下げた円形の領域があります。ここにIRカメラが埋め込まれていて、センサーから放たれた赤外線がディスプレイを透過しつつ、生体認証を行う仕組みになっています。
前面カメラシステム用の横長パンチホールは、「iPhone 18 Pro」(右)の方が少し短くなりました
Dynamic Islandに通知やアクティビティが表示された状態の比較
注意したいのは、この新機構の影響で、一部の厚手な保護フィルムの使用時や、メイク・装飾によって顔の印象が大きく異なる際に、Face IDが正常に機能しない場合がある点です。うっかりこの部分を指でふさいでしまっても顔認証ができません。どれも限定的な状況ではありますが、どうしても該当する場合にはApple Watchを併用してのロック解除などを利用するのがよいかもしれません。
「iPhone 18 Pro」の画面左上を拡大した様子。時刻表示(21:25)の「21」の数字付近に、わずかに画素密度が低い部分が見られます
「iPhone 18 Pro」における最大のトピックは、背面のメインカメラが可変絞りに対応したこと。iPhoneシリーズでは初めて搭載されるギミックです。
背面カメラの構成自体は、メイン(4800万画素)+超広角(4800万画素)+望遠(4800万画素)という3眼を踏襲。このうちメインカメラのみが可変絞りに対応しています。
具体的に、メインカメラの絞り値は、F1.48、F1.8、F2.8、F4.0の4つから選択可能。ちなみに、メインカメラを近くで覗いてみると、実際に絞りが動いている様子を確認できます。
「iPhone 18 Pro」の背面カメラ。絞り値を変えると、メインカメラ(左下)の中央部の円が変化しているのがわかります
こうした絞り値は、“メインカメラを使っている際にのみ”——すなわち1倍や2倍ズームでの撮影でのみ——シーンに応じてオートで最適化される仕組みです。そのため、普段使いの撮影でさほど意識する必要はありません。
ただし、実際に撮影した画像を比べてみると、「iPhone 17 Pro」と比べて、可変絞りの有無による大幅な画質向上は感じられませんでした。もちろん、場面によっては若干黒い箇所が引き締まったり、暗所が明るく写ったりすることもありましたが、ソフトウェア処理の恩恵もあるでしょうし、すべてのシーンで「iPhone 18 Pro」のほうがうまく撮れたわけでもありません。
プロカメラマンやハイアマチュアとしてカメラに精通している人でなければ、そこまで絞りの有無による仕上がりの差は気にしなくてよいでしょう。
「iPhone 17 Pro」のメインカメラ2倍望遠で撮影した画像(左)と「iPhone 18 Pro」のメインカメラ2倍望遠で撮影した画像(右)。このケースでは確かに後者のほうが若干引き締まって見えますが、絞り値を確認してみると左が「F1.78」で、右が「F1.8」でほぼ同じ状態です。オートで絞りが調整されるとはいえ、日中の撮影で極端に絞りが変化するシーンはあまりない印象を受けました
いっぽう、かなり近い前景を含む構図で遠景に対するボケを緩和したいとき(=被写界深度を深めたいとき)や、強い光源に対して光条(光から放射状に伸びる線)を発生させたいときには、手動で絞り値を変更できるのはメリットです。さほどマニュアル撮影が得意でない筆者でも、コツを掴めば楽しめると感じました。
左右ともに「iPhone 18 Pro」のメインカメラ・1倍にて撮影したもの。「F1.48」での撮影(左)では背景の高架やビル、街灯の先端がボケていますが、「F4.0」での撮影(右)ではそれらがややシャープに写っているのがわかります。こうした撮り分けができるのが、「iPhone 18 Pro」のメリットです
また、「iPhone 18 Pro」では、シャッタースピード、ホワイトバランス、ヒストグラムなどのカスタムも可能です。カメラに精通した人の場合、より自由度の高い撮影が行えるでしょう。たとえば、シャッタースピードは1/16000〜1秒の範囲で調整可能なので、超高速で動く被写体の動きを止めた撮影や、スローシャッター効果を使った撮影を手軽に行えます。ちなみに、iOS標準のカメラアプリの場合、ISO感度はオートのみで、手動設定はできません。
「iPhone 17 Pro」の「Live Photos」で長時間露光で処理した画像(左)と、「iPhone 18 Pro」でシャッタースピードなどを手動調整して撮影した画像(右)。ともに三脚は使わずに手持ちで撮影しました(※照明条件が異なっているため厳密な比較ではありません)。「Live Photos」でもある程度近い表現は可能ですが、「iPhone 18 Pro」は手動設定による表現の自由度が魅力です
カメラ画面の右下のアイコンから(左)、「レンズ絞り」を選び(中)、強い光源にカメラを向けてみると光条が発生します(右)
夜の街灯や夜景を狙うと光条が効果的に発生して、手軽に印象的な撮影を楽しめます(画像は街灯部分の拡大)。ただ、iPhoneのカメラは相変わらずゴーストが出やすいので、そもそも光源に向けた撮影にはあまり向かない気がします。試みる場合も、クリーンアップ機能でのレタッチ前提での使用になるのではないでしょうか
なお、検索してみると「iPhone 18 Pro」向けの「NDフィルター」(※スローシャッター撮影などで、レンズが取り込む光量を抑えるために使う、カメラ用のサングラスのようなもの)もサードパーティから発売されているようでした。明るいシーンを狙いたい場合には、検討してみるとよいでしょう。
ちなみに、撮影した写真にピクセル単位で電子署名する「Appleリファレンス画像」機能が使えるのも「iPhone 18 Pro」ならでは。「設定」アプリで「カメラ」→「リファレンス画像」→「リファレンスモードを追加」と操作して指定手順を進め、「リファレンス」モードを有効にすることで、カメラアプリの中での撮影モード切り替えに「リファレンス」という選択肢が出てくるようになります。
カメラアプリで「リファレンス」モードを使えるようにする設定手順。「設定」からモードを追加し(左)、「完了」をタップすると有効化されます(右)
「リファレンス画像」の詳細設定画面(左)。共有や転送の設定も行えます。カメラアプリ起動時の「リファレンス」モード選択画面(右)
「リファレンス」モードを選んで撮影した画像を「写真」アプリで表示した様子(左)。「リファレンス画像」をタップすると、「写真」と「リファレンス画像」の表示をタップで切り替えながら確認できます。なお、右上の「i」ボタンからは画像データの詳細を一覧で確認できます(右)
このほか、「iPhone 18 Pro」は、動画撮影後にシネマティックモードを反映できる新機能や、指定した被写体にピントを合わせ続けるスマートフォーカストラッキング機能なども新たにサポートしています。本記事では動画撮影についての詳細は割愛しますが、従来どおり画質はかなりきれいでした。普段使いで動画を撮影することが多い人ならば、魅力的に感じると思います。
次に、処理性能について検証していきます。
「iPhone 18 Pro」はチップセットに、順当にナンバリングを上げた「A20 Pro」を搭載しています。構成については、CPUが6コア、GPUが7コア、Neural Engineが16コアです。
処理性能の目安としては、「iPhone 17 Pro」が備える「A19 Pro」と比べると、CPUが最大20%、GPUが最大40%高速化しているとされます。
また、排熱機構に関して、前モデルから搭載された「ベイパーチャンバー」(※内部の液体の蒸発・凝縮によって熱を移動させる金属部品)の表面積が3倍に拡大されたこともポイント。動画撮影や長時間のゲーミングなどにおけるパフォーマンスをより持続させやすくなりました。
「iPhone 18 Pro」で処理の重い3Dゲームの例として「原神」を30分ほどプレイしましたが、温度上昇は目立たず、手元の温度計では表面温度36度前後をキープ。検証範囲ではパフォーマンスの低下も起こりませんでした
パフォーマンスについての定性的な比較評価は難しいので、ひとまず定量的に確認しやすいベンチマークアプリのスコアを比較してみます。
まず「Geekbench 7」において、「iPhone 18 Pro」(2TBモデル)のCPUのシングルコアスコアは4009、マルチコアスコアは11198でした。いっぽう「iPhone 17 Pro」(512GBモデル)はそれぞれ3172、8802でした。順当に性能が向上していると言っていいでしょう。
「Geekbench 7」でのCPUスコア
「Geekbench 7」でのGPUスコアは、「iPhone 17 Pro」の41692に対して「iPhone 18 Pro」は62324を記録しました。約1.5倍のスコア向上が見られ、グラフィック処理性能においても仕様どおりの進化が数値として表れています。
「Geekbench 7」でのGPUスコア
「Geekbench AI」で「Backend」を「Neural Engine」に指定して測定したスコアは、「iPhone 18 Pro」だと単精度スコアが6931、半精度スコアが47462、量子化スコアが68572でした。「iPhone 17 Pro」だとそれぞれ5547、38789、53929でしたので、数値としては前モデルから着実に伸びています。
「Geekbench AI」(Backend = Neural Engine)でのスコア
続いて、バッテリー持ちについて確認していきます。
「iPhone 18 Pro」は、仕様上のバッテリー持ちの数値が伸びています。たとえば「ビデオ再生」の時間は「iPhone 17 Pro」より3時間長い最大36時間、「ビデオ再生(ストリーミング)」は、3時間長い最大33時間です。
ただし、実際に「YouTube」アプリでApple Eventの動画を再生しながら、新品の「iPhone 18 Pro」(バッテリー最大容量100%)と、バッテリーが少し劣化している「iPhone 17 Pro」(バッテリー最大容量91%)のバッテリー消費具合を比べてみましたが、数時間ほど使った限りでは、両者の“画面の見え方”、“音の聞こえ方”、“バッテリーの減り方”に、ほとんど違いは見られませんでした(なお、画面輝度は自動、音量=3/4くらいでした)。
もちろん、公称値のそれとは測定方法も異なりますし、バッテリー用のベンチマークアプリを使ったわけでもないので、あくまで参考程度ではあるのですが、筆者が普段の使い方に近い形で試してみた所感は「そんなに変わらないのかな」というものでした。
とはいえ、両モデルともに1時間後に98%、2時間後に94%のようにパーセンテージの減りはかなり緩やかでした。結局どちらのモデルもかなりバッテリー持ちがよいことには変わりません。
「iPhone 18 Pro」は、前モデル「iPhone 17 Pro」からの普段使いにおける体感差は正直なところ限定的ですが、カメラ機能や排熱性能など、使い込むほどに進化を感じられる端末に仕上がっています。
Apple Storeでの価格は219,800円(税込)〜。前モデルの発表時の価格が179,800円(税込)〜だったことを踏まえると、4万円高くなっています。決して安い端末ではないものの、絞り値やシャッタースピードのコントロールが可能になったことや、放熱機構が強化されていることなどを踏まえると、プロユースを想定する場合には魅力的な端末であることは間違いありません。
また、数世代前の「iPhone Pro」シリーズから乗り換える場合には、屋外でのディスプレイの視認性もよくなったことや、バッテリー持ちが強化されたこと、放熱機構の強化によってパフォーマンスを維持しやすいことなどが恩恵を感じやすいポイント。プロユースではなくても、たとえば、屋外で画面が見づらいと感じたことがある人や、過去モデルのゲームプレイでサーマルスロットリングによるカクツキなどを感じたことがある人ならば、機種変更を検討してみる価値はあると思いました。
「iPhone 18 Pro」のラインアップとApple Storeでの価格(税込)
256GBモデル:219,800円
512GBモデル:254,800円
1TBモデル:324,800円
2TBモデル:429,800円
2TBモデルは「iPhone 17 Pro」にはなかった選択肢です。為替の影響もあって、一般ユーザーにとっては明らかにオーバースペックかつ高額すぎるモデルですが、iPhoneを動画撮影機器として考える場合には、うれしいラインアップだと感じる人もいるかもしれません。
なお、最上位モデルである「iPhone 18 Pro Max」(Apple Storeでの税込価格239,800円〜)については、既報にて別途レビューされています。詳細については、そちらの記事にてご確認ください。