今年5月から、スマートフォンのSIMロック解除義務化がスタートした。これまでキャリアで購入したスマホは、SIMロックがかかっており、他社のSIMを入れても使えなかった。要するに他社に乗り換えできないようにするための施策だったが、回線を借りて通信事業を行なうMVNO事業者の増加にともない、自由競争を促進するために総務省主導で導入された制度だ。
SIMロックが解除されたスマホ、あるいは最初からSIMロックフリーのスマホには、料金の安いMVNO事業者のSIMが使える。5月から6月にかけて、多くのメディアがMVNO事業者のサービス比較を行なっていたので、ご記憶の方も多いだろう。価格.comでも「格安SIMカード比較」という専用ページが登場した。
このブームから少し遅れてスタートした事業者にiStreamというのがある。ここが販売するファンダムSIMは、これまでとは系統の違う料金システムで7月よりサービスを開始したのでご紹介したい。
従来MVNOのプランでは、月の通信量が1GBや3GBなど固定されていた。自分の使う量に合わせたプランがきちんと選べればいいが、利用可能なデータ量が余るようであれば、結果的には払いすぎとなる。使わなかったぶんは翌月に繰り越せるとは言え、ずーっと繰り越し続けるようではやはりプラン選びに失敗したと言える。反対にいつも月末には利用上限に届いてしまい、そのたびに追加料金を払って容量を買うようなことでも失敗だ。
そうは言っても、自分が毎月どれぐらいデータ量を使うのかなど、これまで気にしたことがない人にはさっぱり目安がわからないだろう。それでは最適なデータプランは選べない。
いっぽうファンダムSIMは、月額のデータ量はユーザーが自由に設定できる。最初は少なめに選んでおいて、足りなければ途中から自分で容量を変更することもできる。多めに見積もって設定しても、使ったぶんだけしか課金されないので、ある意味従量制に近いとも言える。つまり上限とは、一種のリミッターだ。設定した上限に近づくとメールで知らせてくるので、ちょっと利用を控えようとか、もう1GB上限を足そうといった変更も自分でやればいい。
データの上限は、目安となる利用量をスライダーで設定できる
日々のデータ量も確認できる
こういったフレキシブルな料金システムは、ヨーロッパではすでに実績があるようだが、日本では初めて登場した。初期投資額を抑えたいという人にも、最低月額料金398円でスタートでき、最低利用期間もないので、不要ならいつでも解約できる。ただし現在は音声通話ができず、対応は今年9月頃となっている。今はデータ用プランだと考えておくといいだろう。
料金体系もユニークだが、もう1つほかのSIMには絶対にない設定がある。このSIMの月額利用料の一部を、支援したいボランティア団体に寄付できるのだ。
実際には利用者が直接寄付するのではなく、事業者であるiStreamがその利益の中から一定の割合をボランティア団体に寄付するという格好になる。だから寄付の設定をしたからといって、月額使用料が上がるわけではない。このようなファンドレイジングシステム付きのSIM販売は、筆者の知る限り世界で初めてである。
利用を通じて特定の団体を支援できる
2011年の東日本大震災依頼、日本にはボランティア活動が着実に根付いたという手応えがある。すぐれた事例もたくさん見てきた。そのいっぽうで、何かやりたくても体が忙しくて参加できない、かといってネットでわーわー言うだけでは何一つ事態は変わらないと、歯がゆい思いをしている人も多いことだろう。
だがボランティアは自分の労働で奉仕するだけではない。募金や寄付も立派な活動だ。どのみち毎月払う料金であれば、一部をどこかのボランティア団体に寄付するのも、悪くない話ではないだろうか。
支援できる法人や団体はここから選択できる。筆者はこの中のシーズ オブ ラブという法人の立ち上げを手伝っているが、ここに寄付して欲しいと言っているわけではない。あなたの理念に合う団体を選んでいただければそれでいい。
表だってボランティア活動をするのが面はゆいという人もいるだろう。実はコッソリ社会貢献しているというほうが、粋というものかもしれない。