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「価格.comプロダクトアワード」10年の歴史を振り返る

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今年2015年も「価格.comプロダクトアワード」が発表になった。「価格.comプロダクトアワード」とは、価格.comユーザーのレビュー評価をベースに、その年にユーザーからもっとも支持された製品を選出する、他にはないユニークなアワード。今年2015年は、このアワードがスタートして10年という節目の年となっている。そこで、価格.comマガジン編集長の鎌田剛が、「価格.comプロダクトアワード」の10年の歴史を製品部門別に振り返った。パソコンやAV家電、生活家電、カメラといった部門の大賞受賞製品から、各部門の「過去、現在、そして未来」を解説する。

価格.comプロダクトアワード2015

今年も「価格.comプロダクトアワード」が発表になった

今年も「価格.comプロダクトアワード」が発表になった

パソコン本体部門

価格.comプロダクトアワードの「パソコン本体」部門は、開始後3年目となる2008年より、それまでの「パソコン関連」部門から分割される形でスタートした。なお、本年2015年からは、ここからさらに「タブレット」部門を分割し、「パソコン」部門と「タブレット」部門の2つの部門で大賞を選出している。

その歴史を振り返ってみると、第1回となる2008年の大賞受賞製品は、ASUS「Eee PC 901-X」だった。当時は「ネットブック」と呼ばれる低価格モバイルノートが人気となっており、価格.comの「ノートパソコン」カテゴリーでも常に上位に数製品がランクインしているという状態だったが、そうした世相を反映して、ネットブックの中でも人気のあった本製品が大賞を受賞するということになった。性能はそこそこであるが、実売4万円台という低価格設定と、約8.3時間という長時間駆動バッテリー、1kg程度の軽さといった要素が、家庭でのメインPCではなく、持ち運ぶためのサブマシンという用途にピッタリはまった形だった。

第1回となる2008年の大賞を受賞したASUS「Eee PC 901-X」。低価格設定でネットブックの中でも人気のあった製品だ

しかしながら、このASUS「Eee PC 901-X」を最後に、ネットブック、さらにはWindowsパソコンの人気は徐々に下がっていき、プロダクト大賞を取るということも久しくなくなってしまう。そしてこれと入れ替わるように、人気を獲得していったのが、アップルの「iMac」「iBook」「MacBook」「iPad」といった製品達だった。これらアップルのパソコンやタブレット製品は、2009年(iMac MB950J/A)、2010年(MacBook Air 1400/11.6 MC505J/A)、2011年(iPad 2 Wi-Fiモデル 16GB)の3年連続でプロダクト大賞に選ばれ、さらには、1年挟んだ2013年にも「MacBook Air MD711J/A」で大賞を受賞している。

このように、2009〜2013年の5年ほどの間は、アップル製品が大いに人気を博したわけだが、この流れは、ちょうどスマートフォンの先駆け的製品である同社の「iPhone」の歴史とかなりシンクロしている。日本市場に初めて投入された「iPhone 3G」の登場は2008年のこと。その後毎年バージョンアップを繰り返しながらユーザー数を拡大していったのは、記憶に新しいところだろう。この「iPhone」の人気拡大によって、アップル自体のブランド価値も上昇し、それまでWindowsパソコンを使っていたユーザーが、Macに乗り換えるといった現象も多く目にするようになった。特に、この流れを決定づけたのが、2010年にプロダクト大賞を受賞した「MacBook Air 1400/11.6 MC505J/A」に代表される「MacBook Air」の人気だ。非常に薄くて軽くて、しかもデザインがスタイリッシュ。そのスマートなデザインに愛用者が急増し、モバイルノートと言えば「MacBook Air」と言わしめるほどの人気となった。この期間は、まさにアップルの勢いが最高潮にあった頃と言えるだろう。

2010年にプロダクト大賞を受賞した「MacBook Air 1400/11.6 MC505J/A」。スマートなデザインに愛用者が急増し、モバイルノートと言えば「MacBook Air」と言わしめるほどの人気となった

そして、こうしたパソコン市場の流れを再び大きく変えたのは、やはりアップルだった。2010年に発売されたタブレット端末「iPad」が瞬く間に人気となり、それまでノートパソコンが担ってきたモバイルコンピューティングの役目をタブレットという新しいデバイスが担うことになった。2011年には、その改良版である「iPad 2 Wi-Fiモデル 16GB」がプロダクト大賞を受賞しているが、このことは、ノートパソコンからタブレットへのデバイスシフトを象徴する出来事だったと言えるかもしれない。

2011年にプロダクト大賞を受賞した「iPad 2 Wi-Fiモデル 16GB」。ノートパソコンからタブレットへのデバイスシフトを象徴する出来事だったと言える

実際、その後の2012年(Google「Nexus 7 16GB」)、2014年(ソニー「Xperia Z2 Tablet Wi-Fiモデル」)、2015年(ソニー「Xperia Z4 Tablet Wi-Fiモデル SGP712JP」:※タブレット部門として独立)の3年は、このカテゴリーでは、タブレット端末が軒並みプロダクト大賞を受賞している。ただ、この3年で受賞しているのはアップルの「iPad」ではなく、すべて、急激な進化を遂げてきたAndroidタブレットであることに注目したい。

元々はアップルの「iPad」が切り開いたタブレット市場であったが、今や進化の速いAndroidタブレットに押される形だ。2012年に受賞した、Googleの「Nexus 7」は、7インチタブレットという新たな可能性を切り開き、Androidのレファレンスモデルとして今でも人気のある製品。さらに、2014年に「Xperia Z2 Tablet Wi-Fiモデル」、2015年に「Xperia Z4 Tablet Wi-Fiモデル SGP712JP」でそれぞれ受賞している、ソニーの「Xperia Z Tablet」シリーズは、ソニーが得意とするレコーダーとの連携機能などを中心に、そのすぐれたAV性能で独自の個性を発揮している。このように、今やタブレットもそれぞれの個性が問われる時代になってきており、そうした時代のニーズに合った製品でないと、ユーザーからの高い評価が得にくくなっているのだ。

2012年の受賞製品であるGoogle「Nexus 7」。7インチタブレットという新たな可能性を切り開き、Androidのレファレンスモデルとして今でも人気のある製品だ

レコーダーとの連携機能などを中心に、そのすぐれたAV性能で独自の個性を発揮する、ソニーの「Xperia Z Tablet」シリーズ。2015年は、最新モデル「Xperia Z4 Tablet Wi-Fiモデル SGP712JP」が大賞を受賞した

こうしたタブレット人気のいっぽうで、ノートパソコンの人気は徐々にふるわなくなってきている。今年2015年は、8月に期待の新OS「Windows 10」がリリースされたが、パソコン市場を大きく盛り上げる起爆剤とはなっていないのが実情だ。こうした状況下で、パソコン自体がコモディティ化していった結果、コストパフォーマンスがよりシビアに求められるようになってきた。一時期は勢いを失ったかに思えたネットブックの系譜であるASUSの「EeeBook X205TA」が、今年2015年に久々のプロダクト大賞受賞に至ったのは、そうしたユーザーのシビアなコスト意識に合致し、そこそこの処理性能を持ちながらも、3万円台で購入できるというコストパフォーマンスのよさが最大限に評価された結果といえる。

ネットブックの系譜であるASUSの「EeeBook X205TA」。今年2015年に久々のプロダクト大賞を受賞した

ネットブックの系譜であるASUSの「EeeBook X205TA」。今年2015年に久々のプロダクト大賞を受賞した

以上のように、この8年間のパソコン市場・タブレット市場の変遷を見ていくと、かなり激しくトレンドが変化していったことがわかる。8年前にはパソコンだけが担っていた役割は、新たに台頭してきたスマートフォンやタブレットに取って代わられつつあり、もはや人気という意味では、従来のノートパソコンをしのいでいる。このようにデバイスが多様化する中で、今後これらのカテゴリーの製品がどのように変化していくのか、目が離せない。

価格.comプロダクトアワード2015 パソコン部門
価格.comプロダクトアワード2015 タブレット部門

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