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夏スマホ商戦動向:SIMフリー機Huawei「P9/lite」が急上昇! 今週末発売の「Xperia X Performance」にも注目

いよいよ夏のスマートフォン市場がにぎやかさを増してきた。5月28日にお伝えしたレポートでは、5月19日に先行発売されたサムスン「Galaxy S7 edge」と、今週末に発売になるソニー「Xperia X Performance」が人気を二分する動きだということをレポートした。しかし、あれから1か月ほどが経ち、人気ランキングの上位製品もまた大きく変化している。そのトレンドの変化を、「価格.comトレンドサーチ」のデータを使って解説する。

キャリア系スマホでは「AQUOS ZETA」が、SIMフリー機ではHuawei「P9/P9lite」の人気が急上昇

図1:「スマートフォン」カテゴリーのアクセス推移(過去2年間)

図1:「スマートフォン」カテゴリーのアクセス推移(過去2年間)

図1は、過去2年間における、価格.com「スマートフォン」カテゴリーのアクセス推移を示したものだ。これを見ればわかるように、「スマートフォン」カテゴリーへの注目度はここのところほぼ横ばいあるいは漸減で推移している。約1年前のアクセス数を見ても、昨年が約190万PV/週だったのに対して、今年は約171万PV/週と、10%ほど下げた形での推移だ。それだけ、スマートフォン市場全体としては厳しい市況といえるが、春先のアクセス低下からは徐々に抜け出しつつあり、ようやくここへ来て夏のスマートフォン商戦が盛り上がりつつあるという状況を迎えている。

図2:「スマートフォン」カテゴリーの人気ランキングベスト6(2016年6月22日時点)

図2:「スマートフォン」カテゴリーの人気ランキングベスト6(2016年6月22日時点)

そんな中で、人気製品の顔ぶれにも若干変化が生じている。図2は、2016年6月22日時点での「スマートフォン」カテゴリーの人気ランキングベスト6製品だが、すでに注目度が高く、今シーズンの本命モデルと目されてきた、サムスン「Galaxy S7 edge(SC-02H)」と、今週末に発売になるソニー「Xperia X Performance(SO-04H)」(いずれもドコモ)に加えて、1位と4位に、HuaweiのSIMフリーモデル「HUAWEI P9 lite」と「HUAWEI P9」が入り、5位には、シャープの「AQUOS ZETA(SH-04H)」(ドコモ)が入っているのが大きな違い。なかでも、Huawei勢の急激な人気上昇が目を引く展開となっている。

図3:「スマートフォン」カテゴリーのメーカー別アクセス推移(過去3か月)

図3:「スマートフォン」カテゴリーのメーカー別アクセス推移(過去3か月)

図3は、過去3か月における「スマートフォン」カテゴリーのメーカー別アクセス推移を示したもの。これを見ると、5月に「Galaxy S7 edge」で猛烈なスタートダッシュを切ったサムスンの勢いがやや落ちてきており、いよいよ今週末に発売が迫った「Xperia X Performance」のソニーが安定してアクセスを上げてきていることがわかる。またそれ以外では、「AQUOS ZETA」でじわじわと注目を集めてきているシャープが底力を見せており、「P9/lite」の両モデルが好評なHuaweiがこれにからんで2位の座をシャープと争うという展開になっている。なお、ここ数年、SIMフリー機で人気を博してきたASUSは、人気下落の傾向に歯止めがかからない状況。先日発表された最新モデル「Zenfone 3」の発売が待たれる状況となっている。

図4:「スマートフォン」カテゴリーにおける人気5製品のアクセス推移(過去3か月)

図4:「スマートフォン」カテゴリーにおける人気5製品のアクセス推移(過去3か月)

さらに、人気ランキング上位製品の動きについて見てみよう。図4は、過去3か月における「スマートフォン」カテゴリー人気5製品のアクセス推移を示したもの。やはり、これまで大きな人気だった「Galaxy S7 edge(SC-02H)」の注目度が下がりつつあり、シャープの「AQUOS ZETA(SH-04H)」が6月10日の発売を機に注目度を上げている。また、SIMフリーモデルのHuawei勢は、6月9日に製品発表が行われてから急激に注目度をアップさせており、6月17日の発売に向けて注目度を高めてきた。特に、エントリーモデルの「HUAWEI P9 lite」については、価格の安さもあって人気となっており、現状のランキングは1位という状態である。ただし、今週に入ってからは、今週末に発売されるソニー「Xperia X Performance(SO-04H)」が注目度を上げてきており、おそらく首位交代も目前という状況にある。

このように、現状では、各製品がかなり入り乱れての上位ランキング争いとなっているが、大まかに言えば、キャリア版モデルでは、サムスン「Galaxy S7 edge(SC-02H)」、ソニー「Xperia X Performance(SO-04H)」の2強に加え、シャープ「AQUOS ZETA(SH-04H)」が食い込んでの3強状態になりつつあり、SIMフリー機では、Huaweiの「HUAWEI P9」および「HUAWEI P9 lite」の2モデルが、注目の筆頭になっているという状況だ。

価格とバッテリー持ちが好評な「HUAWEI P9 lite」。「ライカ」ブランドのカメラ機能が注目の「HUAWEI P9」。細かい配慮が高評価の「AQUOS ZETA」

Huawei「HUAWEI P9 lite」

Huawei「HUAWEI P9 lite」

では、6月13日の製品発表以降、急激に人気が上昇し、6月22日現在、人気ランキングの首位の座にあるHuawei「HUAWEI P9 lite」と、その上位モデル「HUAWEI P9」について、詳細に見てみよう。この2機種は、その名前からもわかるように、5.2型のフルHD液晶を搭載し、CPUも「HUAWEI Kirin 955 オクタコア」を搭載、バッテリー容量も大容量の3,000mAhを搭載するなど、共通点が多い。ただ、細かいスペックやカメラ機能などが異なっており、「HUAWEI P9 lite」のほうがエントリーモデル。「HUAWEI P9」のほうがハイエンドモデルという位置づけとなっている。いずれも、家電量販店などでの一般販売のほか、楽天モバイルやイオンモバイルといった、流通大手が手がけるSIMカード込みの格安スマホとしても販売されている。

図5:Huawei「HUAWEI P9 lite」のユーザー評価(2016年6月22日時点)

図5:Huawei「HUAWEI P9 lite」のユーザー評価(2016年6月22日時点)

まず、現在人気ランキングでは1位の「HUAWEI P9 lite」であるが、6月22日時点での価格.com最安価格は28,800円。フルHD液晶を搭載するなど、そこそこのスペックでありながら、3万円弱に収めることで人気を集めている。6月22日時点でのユーザー満足度は4.12とやや低めで推移しているが、極端に悪い評価はなく、ほとんどのユーザーが4か5の高評価をつけている。処理性能はさほどでもないものの、価格を考えれば納得という評価が多く、プラス評価としては、持ちのいいバッテリーと、指紋認証機能があげられている(図5)。

Huawei「HUAWEI P9」

Huawei「HUAWEI P9」

図6:Huawei「HUAWEI P9」のユーザー評価(2016年6月22日時点)

図6:Huawei「HUAWEI P9」のユーザー評価(2016年6月22日時点)

次に、上位モデルの「HUAWEI P9」(現在ランキング4位)を見てみよう。こちらの製品の特徴は何と言ってもカメラ機能で、名門ブランド「ライカ」と協同開発した二眼カメラを搭載するのがトピック。片方のカメラで色(RGB)を、片方のカメラで輝度(濃淡)を計測し、その2つの情報を合わせて最適な写真を作り出すという凝ったものとなっている。当然ながら、写真好きのユーザーから大きな注目を集めており、ユーザーレビューでもカメラ関連の評価コメントが多くついている。6月22日時点での価格.com最安価格は58,112円と、SIMフリー機としてはかなりの高額製品となるが、ユーザー満足度は現時点で4.75とかなり高く、出来のよさを物語っている。ユーザー評価では、やはりレスポンス(3GBのメインメモリーを搭載)と、カメラ機能、バッテリーなどの評価が特に高めで、高機能でありながらも「HUAWEI P9 lite」よりもさらにコンパクトに収めたボディのデザインや質感も高く評価されている。

シャープ「AQUOS ZETA(SH-04H)」

シャープ「AQUOS ZETA(SH-04H)」

図7:シャープ「AQUOS ZETA(SH-04H)」のユーザー評価(2016年6月22日時点)

図7:シャープ「AQUOS ZETA(SH-04H)」のユーザー評価(2016年6月22日時点)

さらに、もうひとつ、キャリアモデルとしてここのところ注目度をあげている、シャープ「AQUOS ZETA(SH-04H)」についても見てみよう。本機は、従来モデルから引き続きシャープ独自の「IGZO液晶」を採用しており、長時間駆動可能なバッテリー性能で人気を表しているが、そのIGZO液晶が120Hz駆動の「ハイスピードIGZO」となったのが最大のトピック。これにより、動画再生などがよりなめらかに行えるようになった。正直、従来モデルからの進化点が少なく、この夏の商戦では苦戦するのではと思われていたが、根強い固定ファンもおり、その底力の強さを見せている。現時点でのユーザー評価は4.57と、そこそこの高評価。ただ、細かい評価コメントを見ていくと、賛否両論の部分も多い。まず、シリーズ最大の特徴であるIGZO液晶については、画質面などでの評価は高いものの、バッテリーについては前モデルよりも悪化したとコメントする人が多い。デザインについても、前モデルの狭額デザイン「Edgest」から、丸みを帯びたボディになったことに対して賛否両論となっている。ただ、5.3型の大型画面でも片手で扱いやすいように工夫された独自のメニューやインターフェイス、指紋認証など、主にソフトウェア面での工夫に対しては評価が高く、取り立てて飛び抜けたところはないものの、手堅い1台としての評価が定着しつつあるようだ。

以上の3機種が、6月中旬くらいから一気に注目度をあげているわけだが、いよいよ今週末には、今期の2強モデルのひとつと目されていた、ソニー「Xperia X Performance」が発売される。本製品の発売によって、ランキングがどう変化するのか、そしてユーザー評価がどのようになってくるのかは、非常に興味深いところ。7月には追って続報をお届けしたい。

鎌田 剛(編集部)
Writer / Editor
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
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