食材の表面に焼き色を付けつつも中は加熱しすぎない「あぶり焼き」ができる、ウォーターオーブン「ヘルシオ」が誕生しました。「あぶり焼き」機能を利用すれば、ミディアムやレアなステーキ、かつおのたたきもヘルシオにおまかせで完成。過熱水蒸気で焼くヘルシオだからこそできる業界初の機能で、一般的なオーブンレンジではできないといいます。発表会で見てきたあぶり焼きの実力と仕組みを紹介しましょう。
あぶり焼き機能を搭載したシャープ「ヘルシオ AX-XW400」は2017年8月30日発売予定です。市場想定価格は18万円前後
一般的にあぶり焼きをする場合、串に差した食材を火にかざしたり、ガスバーナーであぶるといったように直接火で加熱します。つまり、高火力でスピーディーに加熱しなければ、中はほどよい火のとおり具合で、表面だけをカリッと焼くことはできません。そんなあぶり焼きが、今回登場したヘルシオ(AX-XW400)でできるようになったヒミツは、過熱水蒸気を食材に直噴射する構造にしたことと、過熱水蒸気を生成するヒーターのワット密度を高くしたこと。そもそも過熱水蒸気は電気式オーブン加熱の約8倍の熱量があり高火力なのですが、ヒーターのワット密度を前モデルの1.39倍としたことでより高温の過熱水蒸気が生成できるようになりました。その過熱水蒸気を、庫内天面から食材に直噴射することで表面を素早く焼く「あぶり」を実現したのです。なお、オーブン加熱は高温でじっくり焼き上げるため、ミディアムやレアな仕上がりは望めません。
あぶり焼き機能が搭載されていないヘルシオは庫内奥から過熱水蒸気が放出されますが、AX-XW400は食材に直接当たるように庫内天面から噴射します
水を沸騰させて水蒸気を発生させ、天面にあるヒーターで水蒸気をさらに加熱して過熱水蒸気にします
庫内天面にある複数の穴から過熱水蒸気が噴出。あぶり焼き機能が搭載されていないヘルシオの場合、過熱水蒸気は庫内背面から放出されます
あぶり焼き調理をする際には、角皿に網を2枚重ねて置きます。高さを出すことで、食材を過熱水蒸気が出る噴出口に近づけています
このように、その仕組みを聞くと「それだけ?」というぐらいシンプル。もちろん、過熱水蒸気の噴出位置を変えただけでなく、自動調理の細かいプログラミングによりあぶり焼きが実現できるのだと思いますが、過熱水蒸気を直接当てることでそれほど焼き上がりが変わるのでしょうか。「百聞は一見しかず」ということで、目の前で行われたあぶり焼きの実力をご覧ください。
網にステーキ肉を載せて焼くのですが、添え物のアスパラとパプリカが角皿に並べられていました。あぶり焼きでメイン食材を調理するだけでなく、同時に添え物も加熱できるようです。また、過熱水蒸気は、電子レンジでは使えないアルミホイルが使えるのも魅力ですね
ステーキ肉を載せた角皿は上段にセット。と、ここで皿が庫内にあることに気付きました。あぶり焼き調理では、上段でのみ調理を行うので、下の部分では皿を温めることができるのだそう。このように温めた皿を使えば、加熱した食材をより熱々で食卓に提供できます
自動調理メニューが登録されているので、選択してスタート。なお、内蔵されているあぶり焼きの自動調理のメニュー数は13メニューですが、今後、クラウドで増やしていく予定だそうです
一般的な調理方法であぶり焼きを行うと煙がモクモクと出ますが、ヘルシオのあぶり焼きでは煙が出ないのもいい!
約8分後、ステーキが焼き上がりました。いい焦げ色がついており、おいしそう! 余分な脂も網から落ち、ヘルシーです
カットしてみると、中はミディアム! なお、もっとレアに焼き上げることもできるそう(「弱」を選べばOK)
焼きたてを試食してみましたが、表面の香ばしさと中のジューシーさが最高。とてもオーブンレンジで焼いたステーキとは思えません。ガス火+フライパンで焼いたステーキに近い味わいです。添え物の野菜も食感を残した絶妙な仕上がりでした
続いて、かつおのたたきを作ってみましょう。今回は土佐の食べ方にならい、冷水には入れず、出来立ての温かい状態で食します。
ステーキ肉と同様にかつおを焼き網に載せ、該当するメニューを選択してスタート
約6分でかつおのたたきが完成しました。が、まだ中を見ていないので成功しているかはわかりません
切ってみると、中はレア!
皮がパリッとしており、ステーキと同じように火で焼いたような味わいを感じました
筆者だけが「ガス火で焼いたようだ」と感じているだけでなく、味香り戦略研究所がかつおのたたきを数値化して味覚を調べたところ、ガスバーナーであぶったかつおと、ヘルシオであぶり焼きしたものはほど同等の味わいであるという結果が!
なお、あぶることにより生で食べるよりも香ばしさは約17%アップ。飲み込んだあとに続くうまみの余韻は約18%高くなります
かつおのたたきと同じ要領でサーモンのたたきも作れますし、いかもただ焼くのではなくあぶれば香ばしさが増します!
また、ピザ生地にチョコとマシュマロを載せてあぶったものもおいしかったです
進化点ではありませんが、2015年モデルから搭載された「まかせて調理」はAX-XW400にも装備されています。赤外線センサーで食材の温度を検知し、過熱水蒸気の量をコントロールするため、冷凍・冷蔵・常温の各食材を並べて同時に調理できるのが大きな特徴。食材の種類や量も自由にセットできるので、準備の手間が激減します。
過熱水蒸気は温度が低いほうにより多くの熱を与える特性があるため、温度の異なる食材を一度に調理できるのです
<関連記事>まかせて調理の実力は、2015年モデルの発表会記事でチェック!
2016年モデルでは人工知能(AI)を搭載し、ユーザーとヘルシオが対話して献立選びなどができるようになりましたが、AX-XW400は音声対話により適切なメニュー画面を表示してくれるまでに進化。高機能なオーブンレンジは自動メニューを選ぶにも階層が深く、時間がかかる、わかりづらくて使いこなせないという課題を解決するための機能で、ユーザーがやりたいことをヘルシオに音声で伝えると、それに応じた設定が表示されます。なお、シャープによると、ヘルシオ購入者のかなりの数がWi-Fiに接続しており、クラウドサービス「COCORO KITCHEN」を利用しているとのこと。ヘルシオ本体にはないメニューを「COCORO KITCHEN」からヘルシオに送信して調理することもできます。
「おはなし」キーをタッチし、ヘルシオに話しかけます※Wi-Fiで接続し、インターネット経由でクラウドサービス「COCORO KITCHEN」とつながるようにしておく必要があります
たとえば、下の動画のように「とんかつをあたためたい」とヘルシオに伝えると、ヘルシオが最適だと思う調理方法「サックリあたため」を推奨してくれました。「COCORO KITCHEN」からメニューをダウンロード後、スタートキーをタッチすれば調理が始まるので、メニューを探す手間がありません。手が汚れて操作できない時にも役立ちますね。