新しい冷蔵庫を選ぶとき、必ずポイントになるのが“ドアの開く方向”です。この点で注目のメーカーといえば、やはりシャープ。同社の冷蔵庫は、左右のどちらからでもドアを開けられる“どっちもドア”が有名ですよね。さて、そのシャープから、ついに“電動のどっちもドア”を搭載する新モデルが登場しました! 実物を見てきたので、さっそくご紹介しましょう。
写真右のホワイトモデルが、業界初“電動どっちもドア”を搭載する新プラズマクラスター冷蔵庫「WX」シリーズです。ちなみに左は、通常のフレンチドアに電動アシスト機能が付いた「GX」シリーズですが、こちらは何と無線LANと発話機能に対応しクラウド連携できちゃったりします。詳細はのちほど!
今回シャープからは、大容量冷凍室を備えたプラズマクラスター冷蔵庫「メガフリーザー」シリーズの最新モデルとして、合計6機種が発表されました。その中で、“電動どっちもドア”を搭載するのは「WX」シリーズの2機種。定格内容積551L の「SJ-WX55D」と、同502L の「SJ-WX50D」をラインアップします。
容量以外の基本仕様は2機種とも共通。“電動どっちもドア”のほかにも、チルド室にプラズマクラスターを放出する「プラズマクラスターうるおいチルド」などの新機能を備えていて、食材の鮮度保持性能を高めています。今回はこのWXシリーズをメインに、新プラズマクラスター冷蔵庫の特徴をご紹介していきましょう。
というわけで、“電動どっちもドア”を備えるWXシリーズをメインにご紹介します
冷蔵庫のドアが右開きか左開きかというのは、製品の設置場所に大きく関わるポイントです。そこで約30年前、シャープは1枚のドアが左右のどちらにでも開く“どっちもドア”の付いた冷蔵庫を独自開発。これまでに市場でも高い評価を受けてきました。そして今回、新開発の電動回転機構を採用することにより、“どっちもドア”の電動アシスト化に成功したのです。
冷蔵庫のドアポケットはわりと収納量が多いゾーンなので、冷蔵庫を開けるときは重くて手に負荷がかかりがち。新しい“電動どっちもドア”は、電動アシスト機能のおかげで、かなり開閉が楽になりました。ドア表面に配置された矢印マークに“そっと触れるだけ”で、ドアを開けることができるのです。さらに、半開きになっているドアは自動で閉じてくれるので、うっかり閉め忘れを防げるメリットもあります。
詳細は以下の動画の通り。ドア表面に表示された矢印に触れると、自動で開きます。
右開きでも左開きでも、電動でドアを開閉できます。なおドアの内側には、調味料が整理しやすくなる収納器具「どこでもスパイスポケット」が付属
以下の動画は、半ドアの状態になったときに自動で閉まるところです。
ドアの上部に新開発の電動回転機構を内蔵
モーターと連動して電動ピンが回転し始めることでゆっくりとやさしいスピードでドアが開きます。モーターの振動を抑えて開閉時の動作音を低減する工夫も
こちらは電動回転機構メカの内部を見えるようにしたカットサンプル。円盤型の機構が付いているのがおわかりいただけるでしょうか
“どっちもドア”の歴史は実に約30年! その間、メカ部とハンドル部の進化を続けてきました
歴代メカがこちら。今回の電動回転機構方式は第4世代の“どっちもドア”になるそうです。メカ部の基本構造ごと大きく刷新されたのは、1997年にカム式が登場して以来20年ぶりとのこと
本製品は、もちろん製品名にある通り「プラズマクラスター」機能を搭載。本機能を「入」にしておけば、プラズマクラスターが冷蔵庫内の浮遊菌や付着菌を除去して、庫内の空気を清潔に保ってくれます。今回は、通常の冷蔵庫内のほかに、チルドルームにもプラズマクラスターを放出する「プラズマクラスターうるおいチルド」が新しく搭載されました。
同社の空気清浄機に採用される技術を応用した新しいユニットを搭載することで、チルドルーム内を無風状態に保ちながら、プラズマクラスターを放出できるようになっています。風を発生させずにプラズマクラスターを放出できるので、加工肉やお刺身など生ものの乾燥を抑えながら、同時に清潔さを保てます。
新搭載! プラズマクラスターを放出するチルドルーム「プラズマクラスターうるおいチルド」
左が従来モデル、右が新開発のプラズマクラスター発生デバイスです。従来は1本の針からプラズマクラスターを放出していたので、風をあてないと庫内に充満させることができませんでした。新開発のユニットは、複数のプラズマクラスター発生デバイスを束にしたブラシ状とすることで、風をあてなくてもデバイス1本1本から放出される多数のプラズマクラスターがチルドルーム内に充満する仕組みになっています
従来のチルドルームとでは、お刺身や加工肉の保存状態にこんなに差が出ました
「プラズマクラスターうるおいチルド」の手前には、ドアポケットに収納しきれない小物類を収納できるユーティリティルームを装備
そのほか、大容量ながら整理しやすい冷凍室「メガフリーザー」はもちろん、雪の下に埋もれた野菜の状態を再現し、低温・高湿で野菜のみずみずしさをそのまま保持できるようにした「雪下シャキット野菜室」など、従来モデルから人気の機能も引き続き搭載。冷蔵庫としての機能性を高めています。
細やかな温度コントロールによって、大容量3段式ながら鮮度も保つ冷凍庫「メガフリーザー」(※上の中身写真は同構造を持つGXシリーズのもの)
新モデルでは、中段に野菜室を設けていることも特徴です。隣にある製氷機と、下段にある冷凍室で、野菜室が囲まれることによって雪下に近い低音高湿環境を再現する「雪下シャキット野菜室」
従来の野菜室で保存したもの(左)と比較すると、チンゲン菜もこんなに鮮度が違います
省エネ性能も高めており、インバーター制御によって運転効率を向上させたほか、人工知能が冷蔵庫の使用状況を判断して節電してくれる「節電25モード」も搭載。ホタテ形状の断熱構造によって結露防止ヒーターの消費電力量を低減するネイチャーテクノロジーなど、独自の省エネ技術も採用しています
さらに、「冷蔵庫のドアに液晶ディスプレイを搭載するスタイル」が今回復活したのもポイントです。かつてシャープでは液晶付きの冷蔵庫を開発していた時代があったのですが、2003年以降はストップしていました。当時は、液晶による設定機能を設けても、そこまで操作する機能が多いわけでもなく、冷蔵庫を1度設置したらそのままの設定で使用する人が多数だったので、不必要な機能として省略されたそうです。
それが近年になって、複数の冷凍モードや、製氷機能、プラズマクラスターのオン/オフ設定など、冷蔵庫自体が持つ機能が増えてきました。そこで、それらを一括して操作できるよう、14年ぶりに液晶ディスプレイが復活したというわけです。実際に、節電モードは状況にあわせてオン/オフしたい機能ですし、製氷機の自動洗浄機能などはその都度操作をしなくてはなりません。液晶から指1本でコントロールできることで、冷蔵庫の持つ最新機能がとても楽チンに使えるようになっています。
14年ぶりに冷蔵庫の液晶ディスプレイが復活。節電モードや製氷機能の操作のほか、冷凍機能の設定も指1本でカンタンに行えます
さて、同時に発表された「メガフリーザー」シリーズの残り4機種は、通常のフレンチドアを搭載するタイプのモデル。「GX」シリーズと「GT」シリーズの2ラインが展開されます。それぞれ、大容量冷凍室「メガフリーザー」はもちろん、「プラズマクラスターうるおいチルド」「雪下シャキット野菜室」など、上述の「WX」シリーズと共通した仕様を備えています。
ここで注目したいのは、GXシリーズのほうは“電動のフレンチドア”を備えていること。定格内容積551Lの「SJ-GX55D」と、定格内容積502Lの「SJ-GX50D」をラインアップしており、それぞれWXシリーズと共通の電動回転機構を採用し、ドアの矢印に触れると自動で開閉することができるようになっています。
GXシリーズも、電動回転機構を搭載。フレンチドアの開閉が楽に行えます
さらにこの“電動フレンチドア”のGXシリーズにはもうひとつ大きなポイントが。何と、無線LANと発話機能を搭載しているのです! 冷蔵庫本体が家庭内のWi-Fiネットワークと接続することで、シャープが提供するクラウドサービス「COCORO KITCHEN」と連携することが可能。クラウド上にある料理レシピから、おすすめのものを冷蔵庫が選択して、ドアに搭載している液晶ディスプレイに表示しつつ音声で教えてくれたりします。
「COCORO KITCHEN」は、ウォーターオーブン「ヘルシオ」などシャープの調理家電と連携できるサービス。ユーザーIDを紐づければ、冷蔵庫の液晶で選択した料理レシピがスマートフォンの専用アプリにも自動共有されるので、その日の買い物に役立てることができます。今回発表の6機種の中でクラウド連携に対応するのはGXシリーズ2機種のみ(“電動どっちもドア”のWXシリーズはクラウド連携非対応)
残る2機種は、電動ではない通常のフレンチドアモデル「GT」シリーズ。定格内容積502Lの「SJ-GT50D」と、同474Lの「SJ-GT47D」をラインアップします。GXシリーズとの違いは、ドアが電動ではないことと、液晶を搭載しないこと、クラウド連携機能に対応しないことです。
電動ではない通常のフレンチドアモデル「GT」シリーズ
オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。