バッテリーで稼働する製品を長時間使用する時には交換用のバッテリーを用意しなければならないというわずらわしさや経済的負担を軽減するため、シリーズ共通のバッテリーを採用したケルヒャー「バッテリーパワー」シリーズ。2019年10月3日に発売される3製品のうち、洗浄機「ハンドヘルドクリーナー KHB 5 バッテリーセット」を先日レビューしたが、今回は、掃除機「乾湿両用コードレスバキュームクリーナー WD 1 バッテリーセット」(直販オンラインショップ販売価格25,800円/税別)を使ってみた!
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「乾湿両用コードレスバキュームクリーナー WD 1 バッテリーセット」(以下、WD 1)は、乾いたゴミだけでなく湿ったゴミが吸い込めるほか、液体も吸引できる掃除機。さらに、ブロア(送風)機能も装備されているので、サッシなどに溜まったゴミを吹き飛ばすなど、多目的に使うことが可能だ。この手の家庭用掃除機は少ないながらもいくつか発売されており、ケルヒャーでも2製品(「WD 5」と「WD 3」)をリリースしている。既存の2製品と今回発表されたWD 1の大きな違いは、コードレス仕様でコンパクトになったこと。パワフルな吸引とシンプルな操作性は保持しながら、どこにでも持っていける携帯性と使い勝手を向上させた。
本体サイズは279(幅)×386(長さ)×312(高さ)mm。ホースの長さは約150cmある(筆者測定)
WD 1と同じ機能を備えたWD 3は、このようなデザイン。本体サイズは340(幅)×388(長さ)×525(高さ)mmとなっており、WD 1はコンパクト化が図られたことがわかる。ただし、WD 3はAC電源で稼働するタイプなので、こちらのほうがパワフルだ
WD 1の電力となるバッテリーは、容量2.5Ah(18V)のものがひとつ同梱。ディスプレイが装備されているのがポイントで、バッテリー残量(%表示)が確認できるほか、使用時には稼働可能な時間が表示される
充電はバッテリーを取り外して、専用の充電器で行う。その際、ディスプレイに表示されるのは充電完了までの残時間だ。2.5Ah(18V)の場合、バッテリー残量ゼロの状態から満充電になるまで約310分かかる
交換用のバッテリーを別途購入可能(直販オンラインショップ販売価格11,980円/税別)。同梱される2.5Ah(18V)よりも大きな容量の5Ah(18V)タイプ(直販オンラインショップ販売価格19,980円/税別)も用意されている
シリーズ共通のバッテリーを利用するので、同じ18Vタイプを装着する「ハンドヘルドクリーナー KHB 5」とはバッテリーをシェア可能だ
スイッチは、電源のオン/オフのみ。運転モードの切り替え機能など、その他のボタン類は搭載されていない
一般的な掃除機には必ずあるクリーナーヘッドはないが、ホースの先端には角度がついた「ハンドグリップ」が装着されている。ハンドグリップを握って、掃除機がけを行う
もちろん、ノズルも標準装備。用途に合わせて、「スモールノズル」(上)と「すきまノズル」(下)をハンドグリップに装着する
付属する2種類のノズルは本体に設けられたスタンドにセットしておけば、掃除中にいちいち取りに行く手間が省ける
非常にシンプルな構造で、ボタン類は電源スイッチしかない。となると、どのようにして吸引とブロア(送風)を切り替えるのだろう? という疑問がわくが、その仕組みも実にシンプルであった。一般的に掃除機は、ホース(ヘッド)で吸引しながら、後方や側面などから排気する。この基本構造をそのまま利用し、吸引と排気の部分にホースの接続口をそれぞれ配置。ホースを差し替えることで、吸引と排気(ブロア)を切り替えられるようにしたのだ。
本体前方にある接続口は吸引、後方は排気に使う(下の動画参照)
ホースを差し替えれば、普通の掃除機がけ(吸引)とブロア(送風)を切り替えられる
さっそく使ってみようと思うのだが、その前に確認しておくべき注意点がある。WD 1は、吸い込むものに合わせて紙パックやフィルターを着脱しなければならないのだ。紙パックに関しては必須ではないが、乾いたゴミやホコリを吸引するだけなら装着しておいたほうが、フィルターの目詰まりも防げ、吸引力が持続しやすい。そのうえ、メンテナンスも圧倒的にラクだ。いっぽう、濡れたゴミや液体を吸引する際には、紙パックは使用できない。乾いたゴミと濡れたゴミのどちらも掃除する場合は、都度、紙パックを着脱する。また、フィルターについては、大量の液体を連続して吸引する以外であれば、つけっぱなしでかまわない。このようなキマリがあるので、掃除を始める前にチェックを忘れないようにしよう。
サイドにあるカバーロック(灰色の部分)を解除し、本体を持ち上げるとゴミが溜まる「コンテナ」部と分離できる
吸い込まれたゴミは、コンテナに溜まる。コンテナの容量は7L。濡れたゴミや液体を吸引する時は、この状態で使う
乾いたゴミだけ吸引する際は、紙パック(1枚同梱)を装着しよう。交換用の紙パックは5枚1セット(WD 1 バッテリーセット用 紙パック5枚組)で、直販オンラインショップ販売価格1,980円(税別)
※WD 1購入時は、紙パックが取り付けられた状態で出荷される
本体に装着されているフィルターは、乾いたゴミや濡れたゴミのどちらにも対応。ただし、濡れたまま使用すると吸引力が落ちるおそれがあるので、乾いてから使うほうがいいとのこと。紙パックを使ったほうが、このフィルターにゴミやホコリが付着しにくいため、目詰まりも防げる
なお、大量の液体を吸引したい時は、別売の「スポンジフィルター」(直販オンラインショップ販売価格1,100円/税別)を取り付ける
今回は、ゴミの取れ具合も確認したいので、紙パックは装着せずに使用することにした。掃除する場所は、自動車の中。コードレスで持ち運びしやすくなったWD 1は、自動車の掃除にうってつけだという。まずは、普通の掃除機と同じように吸引で掃除する。
ホースやバッテリーをすべて装着した総重量は約3.7kg。持ち運びも、持ったまま掃除機がけするのも苦痛にならない重さだ
筆者が掃除したいのは、車内の床。スモールノズルを取り付けて掃除するほうが効率はよいようだが、あまりにも汚れが激しいので今回はハンドグリップで掃除することにした
電源スイッチをオンにして、掃除スタート! ちなみに、「-」がオン。個人的には「〇」のほうが稼働中というイメージなので、少し違和感があったが、大きな問題ではない
運転を始めると、バッテリーのディスプレイ表示は稼働できる残り時間に切り替わる。満充電の状態から約10分、連続使用できるという
最初は、サイドドアを開いてすぐの部分にある床を掃除する(下の動画参照)。
仕込みではなくガチの汚れなのだが、なぜこんなにゴミが落ちているのかと自分の自動車ながらショックを受けた
ついでに、細かい部分はすきまノズルを取り付けて掃除した
上の動画では、ハンドグリップで掃除しているので効率が悪そうに見えるが、1分も掃除機がけはしていない。大きなゴミが吸い取れたのは一目瞭然だが、掃除した部分としていない部分(赤い線の奥)を見比べると細かいゴミも除去できたことがわかる
続いて、荷室も掃除機がけすることに。正直、ここは汚れすぎているので撮影したくなかったのだが、「激しい汚れにこそWD 1が役立つもの!」と、同行した価格.comマガジン編集者さんの力説に負けて掃除することとなった。
ゲートを開けた瞬間に、あまりの汚さに価格.comマガジン編集者さんが思わず息をのんだのを筆者は見逃していない! でも、たしかに、それほど汚いのは事実……
オフロードを走行したマウンテンバイクをそのまま積んだりしているからか、土や砂、ホコリだけでなく、木くずもいっぱい。広さ的にはスモールノズルを使いたいところだが、汚れが激しいので、ここもやはりハンドグリップで掃除する(下の動画参照)
マットに染み込んだ汚れのせいで、あまりキレイになっていないように見えるかもしれないが、木くずや土ゴミ、プラスチックゴミがなくなってすっきりとした
ちなみに、筆者がかたくなにスモールノズルを使わなかったのは座席を掃除したいから。筆者の自動車ほど床が汚れていると、さすがに床と座席を同じノズルで掃除するのはためらわれる。
しっかりと吸引しつつ、布に吸い付きすぎないので、動かしやすさも上々
吸引の掃除性能を試したので、次はブロア機能を使ってみよう。ただ、車内にブロアで飛ばしたいゴミがなかったので、近くにあった枯れ葉を除去することにした(下の動画参照)。
ホースを本体後方の接続口に差し込み直す。これで準備完了だ
上の動画でわかるように、乾いた枯れ葉なら簡単に吹き飛ばせる。少々、手こずったのは、数日前の雨で泥と混ざり、縁石にこびりついた枯れ葉。正直、送風で飛ばすのはムリだと思っていたのだが、吹出口を近づければ飛ばすことができた。枯れ葉だけでなく、砂などの小さな粒子も同時に吹き飛ばせたので、ホウキで掃くより素早くキレイにできそうな気がする。
この結果を見て、玄関や窓のサッシの掃除に使ってみたくなり、帰宅後、窓のサッシをブロア掃除してみた。サッシは細いので、すきまノズルを装着したのだが、これが大正解だったようだ(下の動画参照)。
掃除機は、お手入れのしやすさも重要なポイントとなるのでチェックしておこう。
コンテナには、先ほど吸い込んだ車内のゴミが溜まっていた。紙パックを取り付けていれば、紙パックがいっぱいになった時に交換するだけで済む
コンテナのゴミは、いったんビニール袋などに捨てる。可燃ゴミと不燃ゴミなどに分別しなければならないので、そのまま廃棄とはいかないだろう
コンテナも汚れてしまったが、フィルターも黒くなってしまった
でも、ご安心を! フィルターとコンテナは水洗いできる。洗ったあとは、しっかり乾燥させてから使うようにしよう
ただし、本体は水洗いできない。コンテナに面する部分も汚れてしまうが、これは布で拭いて落とすしかない。もちろん、紙パックを取り付けていれば、この部分の汚れも大幅に低減できる
きっと、WD 1は万人受けする掃除機ではないだろう。一般的な掃除機をイメージしている人からすると、気になる点は多いはずだ。しかし、ヘッドやパイプもないその仕様からしても部屋の床をキレイにするためのものではないことは明らか。普通の掃除機で掃除するにはちゅうちょしてしまうような場所の掃除にこそ、うってつけなのだ。ゆえに、仕事柄、濡れて泥汚れがついたままの自転車やバイクを自動車の荷室に積まなければならない筆者からすると、ゴミが濡れていようが、小石や砂が散乱してようが、液体が少々あろうが吸い込んでくれる無骨さは魅力的。木くずが出たり、激しく土汚れするような趣味や仕事をしている人たちにも重宝するのではないだろうか。普段の掃除機がけでは避けていたところもキレイにできるので、サブ掃除機として購入するのもよさそうだ。ゴミの種類を問わず、ガツガツ掃除したいと思っているならベストな掃除機かもしれない。
ホースを本体に巻き付けてゴムで留めておけるので、収納もコンパクト。こうやって車内に置いておけば、汚れた時にすぐに掃除できそうだ
ちなみに、今回はスポンジフィルターがなかったので大量の液体を吸引することはできなかったが、少量の水であれば下の動画のように標準装備で吸い込むことができた。中に液体を入れたままコップを落として割ってしまった時にも、WD 1なら液体もガラスも同時に吸引できる。
【お得な情報】
ケルヒャーの直販オンラインショップで2019年10月10日まで、今回紹介した「乾湿両用コードレスバキュームクリーナー WD 1 バッテリーセット」を含む「バッテリーパワー」シリーズの「先行予約キャンペーン」を開催中。先行予約した人全員に、特典として「急速充電器」がプレゼントされる。