一家にひとつ以上ある電源タップ。一見すると昔から機能や性能は変わらないように思えるが、安全性の向上が図られていたり、高出力のUSBポートを搭載するなど多機能化した製品が増えており、時代に合わせて進化してきている。ここでは、ベーシックな製品から高機能モデルまで、最新・定番の電源タップ16シリーズ、59製品を取り上げる。
ACコンセントの延長や増設を手軽に行える電源タップ。一度購入したら使いっぱなしになりがちだが、実は、日本配線システム工業会によると3〜5年が製品の寿命とされており、定期的な買い換えが推奨されている。製品を選ぶ際は、増設するコンセントの口数やコードの長さ、プラグの形状が折り曲げられるスイングプラグか通常プラグかなどを確認すると思うが、そのほかにも以下のような点にも注目して製品選びを行ってもらいたい。
コンセントからコードの出っ張りを抑えられるスイングプラグ。メーカーによっては、スナップキャップと呼んでいるところもある
家庭の一般的なACコンセントは、よく見られる2極タイプと、アースを備えた3極タイプとがある。通常の電化製品なら2極タイプで十分だが、海外メーカー製のPCやオーディオ機器、冷蔵庫や電子レンジなどの調理家電では、3極タイプも使われることが多い。なお、3極タイプでアースを使うには、当然ながら接続元のコンセントも3極タイプでアースに接続している必要がある。
アースに対応した3極タイプコンセントは、PCやディスプレイなどで使われることが多い
電源タップに備わる代表的な安全機能として、落雷などによる瞬間的な過電圧(サージ電圧)から電気製品を守る「雷サージ保護」や「雷ガード」と呼ばれる機能がある。これは電源タップの中に、過電圧を吸収する素子を備えることで、サージ電圧を防護するものだ。なお、吸収素子は原則として1回のみの利用となるので、過電圧を吸収した場合、新しいものに買い換える必要がある。
最近、電源タップの内部にたまったホコリと湿気が漏電を引き起こす「トラッキング現象」に対する危険性が注目されるようになった。これへの対策として、コンセントにシャッターを装着したり、プラグの根元を絶縁素材で覆った製品が存在する。また、ボディの素材を燃えにくいものにしたり、高伝導素材を使うなどして発熱を抑えるための工夫が施されているものも多い。ほこりが多く溜まりそうな場所で使う際には、こうした製品を選ぶのがよいだろう。
大容量給電規格のUSB PDに対応したUSBポートや、ワイヤレス充電のQi(チー)ポートを備える電源タップも最近は増えてきており、スマートデバイスやノートPCなどの充電に便利だ。しかし、これらのポートは、製品によって供給できる電力に大きな違いがあるので、どれだけの電力に対応しているかを確認したい。なお、スマートフォンやタブレットを充電するのであればUSBポートの出力は10〜20W程度でも十分だが、ノートPCの充電なら30W以上の出力が欲しい。
また、さまざまな出力ポートを備えた多機能電源タップは、1口当たりのACコンセントの合計出力が一般的な1,500Wよりも少ない場合が多い。大電力を使用する機器を接続しようとしている場合は気をつけよう。
パナソニックの電源タップは多くのバリエーションがある。ここで取り上げる「ザ・タップX」シリーズは、口数やコード長などのバリエーションが多く、安全性能にもこだわった基本モデルだ。比較的安価な製品だが、飛沫防水に対応しており、コードの付け根部分の強度を高め、難燃性のユリア樹脂製ボディやシャッターを備えるなど、安全性能は十分以上のレベルにある。ここでは、スイッチの有無とその種類によって製品を3種類に分類した。いずれも合計出力は1,500Wとなっている。
コンセント個別のスイッチを備えたシリーズ。待機電力を機器ごとに細かくコントロールしたい場合に適している。なお、スイッチも防水仕様に対応しているのでほかのシリーズ同様に水回りでも安心して使うことが可能。プラグはいずれもスイングプラグ仕様となっている。
タップ全体のオン/オフを管理するスイッチをひとつ備えたタイプで、待機電力の削減を効率的に行うことができる。こちらもスイッチは防水仕様なので水しぶきが多少かかるくらいであれば水回りに設置も可能だ。プラグはいずれもスイングプラグ仕様となっている。
スイッチを持たないシンプルモデル。難燃性ボディやシャッター搭載など安全性能は上記モデルと変わりなく、シャッターを備えた飛沫防水仕様となる。ケーブル長5mのモデルが用意されているので延長コードとしても選びやすいだろう。また、ケーブル長によってはカラーバリエーションにグリーン、オレンジ、ピンクといった明るい色も選ぶことができる点も魅力だ。こちらもスイングプラグ仕様となっている。
3基の3極ACコンセントに加えて、2基のUSB Type-Aポート(最大12W)と、1基のUSB Type-Cポート(最大30W)を備える。ケーブル長は1.8m。30Wの出力に対応するUSB Type-Cポートは、iPhoneやiPad、Androidスマートフォンに加えてMacBook AirのようなUSB PD対応のモバイルノートPCでも利用できる。いっぽう、ACコンセントは合計出力が1,000Wと少なめで、瞬間的に大電力を消費するドライヤーなどに適していない点には注意だ。兄弟モデルとしてACコンセントを6個口備える「Anker PowerPort Strip PD 6」と、2個口備える「PowerPort Strip PD 2 mini」も用意されている。
ユニークなデザインのボディに、合計出力1,000Wに対応した3個口の2極ACコンセント、2基のUSB Type-Aポート(2ポート合計12W)、2基のUSB Type-Cポート(USB PD規格対応、2ポート合計最大65W)に加えて、アップルの「iPhone 13」などで対応するマグネット式ワイヤレス充電ポートを備えた多機能モデル。USB Type-Cポートは、単体でも45Wという高い出力に対応しているので、大型のノートPCの充電にも利用できる。ACコンセントの出力が少なめなので、消費電力の大きな機器の使用には不向きだ。ケーブル長は1.5mとなる。
合計出力1,400W対応の6個口の2極ACコンセントと2ポートのUSB Type-Aポートを備える。ACコンセントはホコリの侵入を防ぐシャッターを備えるほか、ブレーカー内蔵の一括スイッチ、雷ガード機能を備える。なお、ACコンセントは3方向にそれぞれ2個口ずつ分散して配置されているので、ACアダプターの利用にも向いている。また、USB Type-Aは、2ポート合計17W(5V×3.4A)、各ポート最大12W(5V×2.4A)の出力に対応している。ケーブル長は2m。カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色となる。
合計出力1,400Wに対応した10個口の2極ACコンセントと、USB Type-CポートとUSB Type-Aポートを各1基備えるスリムな電源タップ。コード長は2.5mで、スイングプラグを採用している。雷ガード機能を備えるほか、熱硬化性樹脂を使った差し込み口はシャッターも備えるなど安全性能にも配慮されている。USB Type-Aポートは最大12W、USB Type-Cポートは単体で使う場合20Wの出力に対応する。両ポート同時に使用した場合の出力は15Wとなる。
8個口の2極ACコンセントを備えたタワー型電源タップ。USB Type-Aポートを3基、USB Type-Cポートを2基搭載する。コード長は2mだ。雷ガード機能を備えるほか、コンセントは熱硬化性樹脂を使用し、シャッターも備える。USB Type-Aポートは各ポート最大12Wの出力に対応。また、USB Type-Cポートは、1ポートのみ使用する場合45Wの出力に対応する(複数のポートを利用する場合の出力は15Wとなる)。ACコンセントの合計出力は1,300Wとやや少なめなため、電力消費の大きな機器の使用には向いていない。
個別のスイッチを備えた6個口2極コンセントを備える。合計出力は1,500Wだ。コード長は2.5mのほか5mモデルも用意されている。なお、両モデルともスイングプラグを採用。雷ガード機能を備えるほか、熱硬化性樹脂を使った差し込み口はシャッターも備える。
抜け止め防止付きの3極コンセントを8個口備える。合計出力は1,500Wで、コード長は2m。雷ガードはヒューズを組み合わせることで、最大5,500Aの電流2回分のサージ容量を備えている。また、ノイズフィルターを備えており、0.5〜10MHzで30dB以上のノイズをフィルタリングできる。
3極コンセントを6個口備える。コード長は2mで、スイングプラグを使用。6個のコンセントに個別のスイッチを搭載するほか、サーキットブレーカーを備えており、接続している機器の消費電力の合計が1,500Wを超過した場合に電源が遮断される。
フリップタイプのコンセントを備えた直付け型電源タップ。3個口の2極ACコンセントと、USB Type-AポートとUSB Type-Cポート各1基を備える。ACコンセントは合計出力1.400W、USBポートは2ポート合計で18Wの出力に対応。また、雷ガード機能も搭載している。
2個口の2極コンセントを備えた直付け型タップ。合計出力は1,500Wとなる。プラグはスイングプラグだ。雷ガード機能とノイズフィルターを備えており、接続機器をサージ電圧や電源ノイズから守ることができる。
合計出力1,400W対応の3個口の2極ACコンセントと、2基のUSB Type-Aポートと1基のUSB Type-Cポートを搭載する。コード長は25cmと短めで、持ち運びに便利だ。USB Type-Aポートは12W(5V×2.4A)の出力に対応。USB Type-Cポートは最大30Wの出力に対応する。なお3ポートの合計出力は42Wとなる。
合計出力1,400W対応の3個口の2極ACコンセントと、3基のUSB Type-Aポート、1基のUSB Type-Cポートを搭載する。コード長は約27cmで本体に巻き付けるように収納できる。3基のUSB Type-Aのうち1ポートはAndroidスマートフォンで広く使われる急速充電規格「QuickCharge」に対応。残りの2ポートは合計12Wの出力に対応する。また、USB Type-Cは18Wの出力に対応する。
合計出力1,500Wに対応した3個口の2極ACコンセントを備えたクリップ型タップ。机の隅などに手軽に固定できるのが魅力だ。ケーブル長は2.5mだが、ブラックモデルに限りケーブル長5mのものが用意されている。プラグはスイングプラグだ。コンセントにはホコリの侵入を防ぐシャッターや熱硬化性樹脂を採用し、トラッキング現象を防止。雷ガード機能も備えている。カラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、ブラウンの3色となっている。
FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。