消防庁の発表によると、直近の6月5日から6月11日の期間に、熱中症で救急搬送された人の数は前年同期比約1.5倍だったそう。これから本格的な夏を迎えるにあたり、熱中症対策を心掛ける必要がありますが、2023年6月1日から電気代が上がったため、エアコンの使用をためらう人も増えそうです。そんな折、パナソニックが、暑さと電気代高騰を乗り切るコツを伝えるメディア向けセミナーを開催。同社のエアコン「エオリア」の機能による“我慢をしない節電”やエアコンの冷房運転を賢く使う方法を教えてくれました。
部屋の温度が高いと入眠しづらく、眠りについても暑さで途中覚醒してしまうことがあるなど、暑い時期は睡眠の質が落ちやすくなります。本セミナーにゲストとして登壇した小児科・アレルギー専門医の清益功浩医師によると、睡眠が不足していると眠気や疲労が出て、日中の活動に影響を及ぼすそう。さらに、その状態で運動をすると体温が上がりやすく熱中症になりやすいため、睡眠環境を整えることは熱中症対策につながる重要なことだといいます。
小児科・アレルギー専門医の清益功浩医師。高齢者や子どもは特に熱中症の注意が必要とのこと
快眠には、室温だけでなく湿度のコントロールも重要です。部屋の湿度が高くなるにつれ汗が蒸発しにくくなるため、同じ室温でも体温が上がりやすくなるそう。風通しをよくして多湿にならない環境を作るほか、我慢せずにエアコンを使ったほうがいいそうです。
熱中症対策としてよく言われていることですが、必要な部位に水分が届くまでには時間がかかるので喉の渇きを感じる前に水分補給するようにしましょう。汗をかくと水分とともに体内のミネラルも排出されるため、毎回でなくてかまいませんが塩分の補給も忘れないように!
では、就寝時、どのようにエアコンを使ったらいいのでしょうか。パナソニックのエアーマイスター 福田風子さんによると、入眠のタイミングで快適な状態にしておくことがポイントなのだそう。昼間使っていない寝室は熱がこもってしまうので、寝室に入る30分ほど前に風向を上向きにしてエアコンの冷房をオンにしておくといいそうです。そして、就寝中は切タイマーを使わずに、室温が26〜28度、湿度が60%以下をキープ。エアコンは、外気温と設定温度の差が大きいほど消費電力も大きくなりますが、熱帯夜と言っても昼間より外気温は低いので、夜間使用時のほうが電気代は抑えられます。
パナソニックのエアーマイスター 福田風子さん。部屋に温湿度計を置いておくことをおすすめされていました
また、良質な睡眠に重きを置くなら、快眠を考慮した機能を備えたエアコンを選ぶのもひとつの手。たとえば、パナソニックには「エオリア スリープ」という寝室用モデルがあります。一般的なエアコンは、室内機に搭載されたセンサーを使って温度や湿度を検知しますが、「エオリア スリープ」は枕元に設置する「ベッドサイドセンサー」で人が寝ている付近の温度や湿度をセンシングできるため、エアコン本体のセンサーよりもより緻密にベッド付近の温度や湿度を検知可能。このセンサーで快眠に導くだけでなく、「快眠環境運転」を選べば、快眠アルゴリズムに基づいた運転で入眠から起床まで睡眠の経過時間ごとに最適な温度制御をしてくれます。さらに、連携させたスマートフォンのアプリで起床時に就寝中の「暑い・寒い」の体感をフィードバックすることで、ユーザー好みの寝室環境を学習する機能も搭載。就寝する際、入眠前に部屋の温度が快適な状態にしておくことが大切と上述しましたが、連携したスマートフォンのアプリを使い、ウィークリータイマーを活用すると曜日ごとにエアコンを入れる時間が決められるので、就寝前に忘れずに部屋を冷やして快適にしておけます。
「エオリア スリープ(PXシリーズ)」には、6畳用の「CS-PX222D」、8畳用の「CS-PX252D」、10畳用の「CS-PX282D」がラインアップされています。無線LANを内蔵しているので、設置後、すぐにスマホアプリを使用可能
枕元に設置する「ベッドサイドセンサー」。サイズは70(幅)×70(奥行)×24.5(高さ)mmなのでそれほど場所は取りませんが、コンセントに挿す必要があります
「エオリア スリープ」の「快眠環境運転」は、室温を常に一定にキープするのではなく、睡眠の経過に合わせて室温が変わります。すっきり目覚められるように起床前から徐々に室温を上げていくので、一般的なエアコンの冷房運転よりも電気代が抑えられるのもメリット。夜間は昼間よりも電気代が抑えられるので、「エオリア スリープ」の「快眠環境運転」を使えばさらなる節電が期待できそう
夜間は電気代が抑えられるとはいっても、夏場は日中もエアコンの冷房運転が必要。長時間エアコンを使用するのは電気代が気になりますが、そんなときは冷房の設定温度を1度上げると約10%の省エネになるそう。設定温度を上げると快適性が損なわれる懸念がありますが、体感温度は部屋の温度だけでなく、湿度や気流、着衣量、活動量などによって変化します。快適性と省エネを簡単に両立する方法として、着衣量の調整、扇風機を併用し風を直接体に当てる、エアコンと一緒にサーキュレーターを使って冷気のムラをなくすというようなことから始めてみるといいでしょう。
同社のエアコンのスタンダードモデル「CS-J403D2」でも、設定温度を26度から27度へ1度上げるだけで、ひと夏で最大1,400円の節約になるそう(1kWhあたりの電力量料金を31円で算出)
エアコンの設定温度を1度上げ、その分、気流で体感温度を下げるのもいい方法。扇風機「中」程度の風で、体感温度は1〜2度下がるそうです
部屋の形やエアコンの設置場所によって異なりますが、エアコンの冷気が滞留しがちなところにサーキュレーターを置き、冷気が届きにくい方向の上部に向けて冷気を送るのをアシストしてあげると、温度ムラがなくなります。冷気が滞りなく広がれば、普段より設置温度を上げても快適度はアップ!
上述のとおり、涼しい、暑いと感じる体感には、温度以外の要素も関係します。その中で、エアコンの冷房運転において快適性を大きく左右するのは湿度でしょう。冷房運転は温度と一緒に湿度も下がりますが、温度コントロールを優先しているので、設定温度に到達すると運転がいったん止まり、それと同時に除湿も止まってしまうため湿度が上がります。しかも、温度と湿度は下がり方が異なるため、温度に合わせてエアコンの運転をコントロールする冷房運転では、少しずつ温度が上がり、蒸し暑く感じるようになってしまうそう。
一般的なエアコンの冷房運転は、設定温度まで温度が下がったら運転を停止し、設定温度よりも室温が高くなったら再び運転をオンにするという動作を繰り返します。そのいっぽうで、湿度は上昇。室温は設定温度なのに蒸し暑いという状態になり、設定温度をどんどん下げるはめに……
こうした状況を緩和するため、パナソニックのエアコンの上位機種には「エネチャージシステム」を搭載しています。従来は排出されていた熱エネルギーを溜めておき、暖房運転時の霜取り運転に使うというものでしたが、2020年から冷房運転にも活用。設定温度に到達し、冷房運転がストップしていたタイミングで排熱を活用し、設定温度以下にならない程度で弱い冷房運転を続けるので湿度の上昇も抑えられます。
室外機の右側にあるのが「エネチャージシステム」
コンプレッサーを覆うように配置された「蓄熱ユニット」に、排熱(エネルギー)を溜めます
「エネチャージシステム」を使った冷房運転なら、室内の温度が設定温度に到達しても湿度はほとんど上昇せず、温度変動もわずか。運転のオン/オフも減らせるので、省エネも期待できます
この「エネチャージシステム」を搭載した一般家庭向けの2023年モデルは、「LXシリーズ」「Xシリーズ」の2機種。設定温度になっても除湿が続くだけでなく、湿度が高いときには設定温度より少し低めの温度まで冷やすように自動でシフトする制御や冷たい風を体に直接当てないようにする「天井シャワー気流」といった、温度と湿度のバランスを調整し、快適さを提供する冷房運転を備えています。さらに、少しずつ除湿を抑えることで、快適な温度を維持しながら乾燥や手足の冷えを抑える「しっとり冷房」も新たに搭載されました。
2023年モデルの「エオリア LXシリーズ」は6畳用〜29畳用の10機種、「エオリア Xシリーズ」は6畳用〜29畳用の11種類(14畳用に100Vタイプと200Vタイプを用意)をラインアップしています
パナソニックのエアコン「エオリア」(2023年モデル)の一般家庭向けモデルには全機種に無線LANが内蔵されており、連携させたスマートフォンから専用アプリ「エオリアアプリ」を使って遠隔操作や部屋の温度・湿度の確認、切り忘れ防止の通知を受けるなどが可能。スマートフォンのGPS機能との連動で、家に近づいた自動で運転がオンになる機能も搭載しています。
直近1週間分の詳細な運転内容をチェック可能に。電気代のかかり方を確認でき、運転ごとの電気代を通知してもらうこともできます。また、住まいの地域にあるパナソニックエアコンのデータを集め、現時点で最も多い設定温度を表示する機能も新搭載。設定温度に悩んだときに役立ちます
1時間程度外出するとき、エアコンの運転を停止させるか悩むことがありますが、そんなときはアプリの「つけっぱなし判定」を使ってみて。「運転したまま」にしたときと、運転を停止して「帰宅後に再運転」したときの電気代と帰宅時の部屋の温度を予想して表示してくれます
ちなみに、パナソニックでは、ネットにつながる家電「IoT家電」を対象にした「IoT延長保証サービス」を開始しています。スマホアプリ「エオリア アプリ」で購入したIoT家電を「マイ家電登録」した後、サービスの申し込みをすると、1年のメーカー保証に加えて、保証期間が無料で2年間延長される「IoT延長保証サービス」が適用され、計3年間の保証サービスが受けられるというもの。2023年7月10日時点で「IoT延長保証サービス」の対象となっているのは、2023年モデルのエアコン「LXシリーズ」「Xシリーズ」「HXシリーズ」「EXシリーズ」「GXシリーズ」「Jシリーズ」「ELシリーズ」「Nシリーズ」「 UXシリーズ(フル暖)」「TXシリーズ(フル暖)」「Kシリーズ(フル暖)」のみですが、順次、対象製品を拡大していく予定だそうです。
家電流通専門誌で白物家電と家電量販店と流通に関する取材・執筆・編集を担当。趣味は料理、旅行、舞台鑑賞、米国ドラマ視聴など。クラシック音楽の”現代音楽ファン”というと変人扱いされることが悩み。