レビュー

急速充電できるっていい! 手軽に使えるEcoFlowのポータブル電源「RIVER 2」を試してみた

キャンプや車中泊などのアウトドアシーンだけでなく、災害時などへの備えとしてもニーズが高まっているポータブル電源。1つは持っておきたいと考えている人も少なくないだろう。多くのメーカーからリリースされているが、今回はEcoFlowのエントリーモデル「RIVER 2」をピックアップ。容量は256Whと大きくはないが、小容量モデルながらリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、急速充電もできる。実際に使って、その実力をチェックしてみた!

リン酸鉄リチウムイオン電池を採用した小容量モデル

EcoFlowには、1,000Whを超える大容量で1,500Wの出力に対応した「DELTA」シリーズと、1,000Wh以下の「RIVER」シリーズという2シリーズがあり、売れ筋モデルや新しいモデルは耐久性にすぐれたリン酸鉄リチウムイオン電池を採用している。今回紹介する「RIVER 2」は容量256Whと、「RIVER」シリーズの中で最も容量が小さいエントリーモデル。コストがかかるリン酸鉄リチウムイオン電池を小容量モデルながら採用しているのが魅力だ。これにより、従来モデルに比べて6倍の長寿命を実現。約3,000回の充放電にも対応しているため、1日1回充電したとしても10年くらいは使える。発火の危険性も低いとされているので、安全性も高い。

サイズは24.5(幅)×21.4(奥行)×14.2(高さ)mm。容量は256Whで、300Wの出力に対応する。公式オンラインストア価格は29,900円(税込)

サイズは24.5(幅)×21.4(奥行)×14.2(高さ)mm。容量は256Whで、300Wの出力に対応する。公式オンラインストア価格は29,900円(税込)

前モデルの「RIVER」と比較すると、「RIVER 2」は容量が288Whから256Whに、出力が600Wから300Wに低くなっている。その分、価格を1万円近く抑え(「RIVER」は39,600円)、重量が5kgから3.5kgへと軽くなったのがメリットだ。スペックを必要最小限に抑えつつ、コストパフォーマンスと可搬性を上げることで気軽に使いやすくなったと言えるだろう。

従来モデルは天面に付いていたハンドルを背面に変更。持ち運ぶときは本体が若干斜めになるが、重量が軽くなったので持ちづらさは感じない

従来モデルは天面に付いていたハンドルを背面に変更。持ち運ぶときは本体が若干斜めになるが、重量が軽くなったので持ちづらさは感じない

ハンドルの位置が背面に変わったことで、天面に物が置けるようになった。スペースが限られたシーンでは便利

ハンドルの位置が背面に変わったことで、天面に物が置けるようになった。スペースが限られたシーンでは便利

出力ポートは、家庭用のAC100コンセント2口を装備し、合計で300Wの出力に対応。ただし、「RIVER 2」には「X-Boost」機能(詳しくは後述)が搭載されているので、450Wまでの電化製品を動かすことができる。このほか、USB Type-Aポートを2口(各ポート最大12W)、USB Type-Cポートを1口(最大60W)、DC出力のシガーソケット(最大100W)を装備。

出力ポートは、すべて前面に配置。液晶パネルの中央に表示されているのが電池残量で、その左側の数字が使用できる時間、右側が入力(充電)と出力の数値

出力ポートは、すべて前面に配置。液晶パネルの中央に表示されているのが電池残量で、その左側の数字が使用できる時間、右側が入力(充電)と出力の数値

出力中は、電池残量のほか、使用しているポートの出力合計値と、その出力でどのくらい使い続けられるかをリアルタイムで表示

出力中は、電池残量のほか、使用しているポートの出力合計値と、その出力でどのくらい使い続けられるかをリアルタイムで表示

「RIVER 2」に充電するときは、本体背面のポートを使用。家庭用コンセント(100V)のほか、自動車のシガーソケットからも充電できる

「RIVER 2」に充電するときは、本体背面のポートを使用。家庭用コンセント(100V)のほか、自動車のシガーソケットからも充電できる

急速充電の実力を検証

まず、急速充電を試してみよう。ポータブル電源をアウトドアに持っていくこともあるが、出かける当日にポータブル電源を充電し忘れていたことに気づくことがある。そんなとき、急速充電できれば準備をしている間に充電が間に合う可能性がアップ。「RIVER 2」の場合、バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで60分で充電できる。同じくらいの容量の他社製品では1.5〜5時間程度かかるので、かなり早いと言えるだろう。大容量モデルで急速充電の機能を搭載しているものは多いが、小容量モデルでは少ない。容量が小さい分、充電時間も短くて済むので必要ないのでは? と思われるかもしれないが、やはりこの機能はあるほうが便利。たとえば、災害時に充電できる機会があったとしても、コンセントを長時間占有するわけにもいかないので、そうしたときにも重宝するだろう。

ということで、筆者の知人が持っていた容量240Whの「Jackery 240」と充電時間を比較してみた。

家庭用100Vコンセントから給電。左が「RIVER 2」で、右が「Jackery 240」

家庭用100Vコンセントから給電。左が「RIVER 2」で、右が「Jackery 240」

どちらもバッテリー残量が「0%」の状態でスタートしたが、「RIVER 2」はACアダプターをコンセントに挿した瞬間に「1%」になってしまった。充電の入力は「RIVER 2」が314W、「Jackery 240」が59Wと表示されている

どちらもバッテリー残量が「0%」の状態でスタートしたが、「RIVER 2」はACアダプターをコンセントに挿した瞬間に「1%」になってしまった。充電の入力は「RIVER 2」が314W、「Jackery 240」が59Wと表示されている

充電を開始してから10分後にチェックしてみると、バッテリー残量が「RIVER 2」は22%、「Jackery 240」は3%とすでに大きな差が! 充電の入力の数値も「Jackery 240」は59Wと変わらないのに対し、「RIVER 2」は346Wと高くなっている

充電を開始してから10分後にチェックしてみると、バッテリー残量が「RIVER 2」は22%、「Jackery 240」は3%とすでに大きな差が! 充電の入力の数値も「Jackery 240」は59Wと変わらないのに対し、「RIVER 2」は346Wと高くなっている

そのまま充電を継続し、スタートから40分後に再び確認してみると、「RIVER 2」の充電入力の数値は352Wとさらに高くなり、バッテリー残量は79%になっていた。いっぽう、「Jackery 240」はまだ22%。「RIVER 2」は10分で22%に到達していたので、やっぱり早い!

そのまま充電を継続し、スタートから40分後に再び確認してみると、「RIVER 2」の充電入力の数値は352Wとさらに高くなり、バッテリー残量は79%になっていた。いっぽう、「Jackery 240」はまだ22%。「RIVER 2」は10分で22%に到達していたので、やっぱり早い!

その後も充電を続け、「RIVER 2」は約1時間で満充電になった。カタログどおりのスペックだ。このように「RIVER 2」が急速充電できるのは、EcoFlow独自の「X-Stream」という充電テクノロジーのおかげ。従来の充電方式ではアダプターを使って交流(AC)から直流(DC)に変換していたが、「X-Stream」はアダプターを介さずに交流電源を直流電源に変換し、本体側で入力値を高めることで高効率な充電を実現した。なお、「X-Stream」を採用しているモデルは大容量でも充電が早い。たとえば、「RIVER」シリーズで最も容量が大きい768Whの「RIVER 2 Pro」は70分で満充電になる。

「X-Stream」を搭載したモデルの電源ケーブルにはアダプターがない。充電が短時間で終えられるだけでなく、持ち運ぶ際にアダプターがじゃまにならないのもメリットだろう

「X-Stream」を搭載したモデルの電源ケーブルにはアダプターがない。充電が短時間で終えられるだけでなく、持ち運ぶ際にアダプターがじゃまにならないのもメリットだろう

ちなみに、自動車のシガーソケットから充電する場合は、充電入力が100Wになるため、ACコンセントからの充電と比べると3倍以上時間がかかる。

時間はかかるが、自動車で走行中に充電できるのはありがたい

時間はかかるが、自動車で走行中に充電できるのはありがたい

「RIVER 2」を車中泊での使用を想定して使ってみる

筆者は、仕事で車中泊をすることがあり、その際、車内でパソコンを使って仕事をしている。近年はAC100Vで給電できる機能を持った自動車も増えているが、基本的にエンジンをかけなければならない。全国的にアイドリングストップ条例の制定が広がっていることもあり、エンジンをかけずに電化製品を使用するにはポータブル電源が必要になる。ただ、「RIVER 2」は容量256Wh、出力300Wなので、電気ケトルやオーブントースターを使えるほどのパワーはない。一部の炊飯器やミキサー、ポータブル冷蔵庫など300W以下で稼働する電化製品はあるが、筆者はスマートフォンの充電、ノートパソコンや扇風機、電気毛布の電源として使用できれば十分だ。

スマートフォンの充電はUSBポートを使用。消費電力は8W程度なので、まったく問題はない。「RIVER 2」の電池残量は44%だったが、それでも充電時間できる時間は5時間と表示されているので、長期間の車中泊やほかの人のスマートフォンの充電も余裕だ

スマートフォンの充電はUSBポートを使用。消費電力は8W程度なので、まったく問題はない。「RIVER 2」の電池残量は44%だったが、それでも充電時間できる時間は5時間と表示されているので、長期間の車中泊やほかの人のスマートフォンの充電も余裕だ

夏場には欠かせない扇風機も使ってみる。筆者が持っているのはUSBで給電する、コンパクトなタイプ。消費電力は7Wと小さいので、「RIVER 2」の電池残量44%でも6時間使い続けられる。就寝中に、ひと晩中動かしておけそうだ

夏場には欠かせない扇風機も使ってみる。筆者が持っているのはUSBで給電する、コンパクトなタイプ。消費電力は7Wと小さいので、「RIVER 2」の電池残量44%でも6時間使い続けられる。就寝中に、ひと晩中動かしておけそうだ

あらかじめノートパソコンのバッテリーをフルで充電しておけば、それほど必要ないかもしれないが、長年使っている筆者のノートパソコンはバッテリーの持ちが悪い。AC100Vコンセントを使用するので、コンセントの下にあるボタンを押して給電をオンにする。ノートパソコンの消費電力は25W程度。「RIVER 2」の電池残量44%からは3時間充電が続くようなので、ポータブル電源を満充電にしておけば、ノートパソコンのバッテリーと合わせて1日分の仕事はまかなえそう

あらかじめノートパソコンのバッテリーをフルで充電しておけば、それほど必要ないかもしれないが、長年使っている筆者のノートパソコンはバッテリーの持ちが悪い。AC100Vコンセントを使用するので、コンセントの下にあるボタンを押して給電をオンにする。ノートパソコンの消費電力は25W程度。「RIVER 2」の電池残量44%からは3時間充電が続くようなので、ポータブル電源を満充電にしておけば、ノートパソコンのバッテリーと合わせて1日分の仕事はまかなえそう

ここまで1製品ずつ給電したが、今回使用したスマートフォン、扇風機、ノートパソコンの3製品を合わせても消費電力は37Wなので、まとめて給電することもできる

ここまで1製品ずつ給電したが、今回使用したスマートフォン、扇風機、ノートパソコンの3製品を合わせても消費電力は37Wなので、まとめて給電することもできる

寒い時期を想定して、電気毛布もテストしてみた。筆者宅にある電気毛布は暖かさを調節できる。最も高温になるモードを選択してみると、消費電力は72〜75Wだった。「RIVER 2」の容量は256Whなので、単純計算すると満充電にしておいても使える時間は3.5時間程度となる。

筆者は何回か冬場に車中泊しているが、寝袋を使っているので、電気毛布の温度設定を最大にして就寝したことはない。衣服や就寝具などを工夫すれば、低めの設定で朝まで持たせることができそう

筆者は何回か冬場に車中泊しているが、寝袋を使っているので、電気毛布の温度設定を最大にして就寝したことはない。衣服や就寝具などを工夫すれば、低めの設定で朝まで持たせることができそう

最後に、定格出力以上の電化製品に給電できるようになる「X-Boost」機能について触れておこう。「RIVER 2」の定格出力は300Wなので、本来であれば300W以上の消費電力の電化製品を動かすことはできない。しかし、「X-Boost」機能が搭載されていれば、300Wを超える消費電力の電化製品を接続すると、その電化製品の動作電圧を「RIVER 2」の定格出力以下に抑える制御が作動。最大450Wの消費電力の電化製品を動かすことができる。ただし、出力が抑えられるため、たとえば電気ケトルを使えたとしても、通常の状態よりもお湯が沸騰するまでに時間がかかるというように、電化製品の性能をフルに発揮できるわけではない。

消費電力が400Wの電気ストーブがあったので試してみたところ、「RIVER 2」の定格出力を超えているが稼働した

消費電力が400Wの電気ストーブがあったので試してみたところ、「RIVER 2」の定格出力を超えているが稼働した

「RIVER 2」の出力表示は297Wとなっているので、消費電力が300W以下に抑えられている。ちなみに、以前、400W出力のポータブル電源でこの電気ストーブを使おうとしたところ稼働しないことがあった

「RIVER 2」の出力表示は297Wとなっているので、消費電力が300W以下に抑えられている。ちなみに、以前、400W出力のポータブル電源でこの電気ストーブを使おうとしたところ稼働しないことがあった

まとめ

最近は大容量モデルの需要が伸びているが、容量250Wh前後のモデルがまだまだ売れ筋。そのクラスに該当する「RIVER 2」は高い消費電力の電化製品には対応しないが、筆者の場合、車中泊で使用する用途としては十分だった。緊急時に家族全員のスマートフォンを充電することもできそうなので、役立つシーンは多そう。ポータブル電源は容量が大きくなると、その分、サイズや重量も大きくなる。持ち運びや設置場所のことも考えて、自分に必要な容量と出力のモデルを選んでほしい。そのうえで、「RIVER 2」のように急速充電の機能があると便利。リン酸鉄リチウム電池を採用し、定格出力を超える消費電力の電化製品を動かせる機能を備えているのも魅力的だ。同クラスの中では軽い重量で可搬性もよく、30,000円以下で購入できる価格も競争力がある。手ごろに買えるポータブル電源として、コストパフォーマンスはかなり高いと感じた。

また、ポータブル電源は多くのメーカーがリリースしているが、安全性も重要なので、信頼できるメーカーのものを選んでほしい。EcoFlowは2016年に中国の深センで創業されたメーカーで、歴史は長くないものの、同社のポータブル電源は今や100か国以上で販売され、100万人以上のユーザーがいる。日本国内では自治体の防災活動支援で採用されている例も多く、信頼性については申し分ないと言えそうだ。

今回紹介した「RIVER 2」と同様にリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、「X-Stream」や「X-Boost」機能を搭載した容量と出力が異なる「RIVER 2 Pro」(公式オンラインストア価格は88,000円/税込)と「RIVER 2 Max」(公式オンラインストア価格は64,900円/税込)もラインアップされている

今回紹介した「RIVER 2」と同様にリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、「X-Stream」や「X-Boost」機能を搭載した容量と出力が異なる「RIVER 2 Pro」(公式オンラインストア価格は88,000円/税込)と「RIVER 2 Max」(公式オンラインストア価格は64,900円/税込)もラインアップされている

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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