価格.comで高い人気を誇るデロンギの全自動コーヒーメーカー「マグニフィカ スタート ECAM22020 」(左)と、エスプレッソメーカー「デディカ アルテ EC885J 」
エスプレッソマシンで有名なメーカーといえば、本場イタリアのメーカー「デロンギ」。なかでも人気のモデルが「マグニフィカ スタート ECAM22020」 と「デディカ アルテ EC885J」です。本稿では、デロンギのマシンの選び方を解説しつつ、同社に聞いてきた名作2モデルの魅力をじっくりとお届けします。まずは結論から!
・ドリップコーヒーもカフェラッテも両方よく飲む
・自分はドリップ派だが、家族やパートナーがラテ派
・おいしいコーヒーをなるべく手軽に楽しみたい
・メインで飲むのは、ドリップよりもエスプレッソやカフェラッテ
・タンピングや豆の処理程度のことなら手間だと感じない
・キッチンに空いたスペースが少ない
・なるべく安価なほうがいい
以下では、さらに詳しくデロンギの人気モデルの魅力に迫ります。
デロンギの魅力を探るべく、東京・南青山にある本社ショールームへ。こちらは法人向けですが、一般ユーザー向けのショールーム「デロンギ 表参道」(後述)もあります
デロンギのコーヒーメーカーは、バリエ―ションが幅広く、ラインアップも豊富。大きく分けると、ドリップコーヒーからエスプレッソまで抽出できる「全自動コーヒーマシン」と、エスプレッソやカプチーノの抽出に機能を絞った「エスプレッソ・カプチーノメーカー」に二分されます。
本稿では、下から2番目の「マグニフィカ スタート ECAM22020B/W」を深掘りします。価格.com最安価格は2025年3月末時点のもの
全自動コーヒーマシンは現在、最上位の「エレッタ エクスプロア Wi-Fiモデル」 から、リーズナブルな「マグニフィカS」まで13モデルがラインアップされており、これらは「ラテクレマ」という独自の自動ミルク泡立て機能を搭載しているかどうかで分けられます。
最上位モデルは、多彩なコーヒーメニューに加え、好みに合わせて細かくカスタマイズできる「エレッタ エクスプロア」2モデルと「プリマドンナ クラス」。「エレッタ エクスプロア」2モデルは、冷たいフォームミルクが作れる「ラテクレマ クール」を搭載しています。
豊富なミルクメニューを全自動のワンタッチで楽しめるのが「エレッタ カプチーノ」2モデルと「ディナミカ(ECAM35055B)」。ミルクメニュー搭載のエントリーモデルが「マグニフィカ イーヴォ」2モデルと「マグニフィカ スタート(ECAM22062B/W)」です。
「ラテクレマ」非搭載モデルの上位機種は「ディナミカ(ECAM35035W)」。続いて、「マグニフィカS スマート」「マグニフィカ スタート(ECAM22020B/W)」「マグニフィカS」がラインアップされています。
こちらはエスプレッソ・カプチーノメーカー一覧。本稿では「デディカ アルテ EC885J」を深掘りします。価格.com最安価格は2025年3月末時点のもの
いっぽう、エスプレッソ・カプチーノメーカーは5機種をラインアップ。上位モデルの「ラ・スペシャリスタ・プレスティージオ グラインダー付き」と「ラ・スペシャリスタ・アルテ グラインダー付き」は、その名のとおり、グラインダー(コーヒーミル)が搭載されており、なおかつ前者のほうは、挽いた豆を一定の圧力でタンピングできる機能が付いているのが魅力です。
今回紹介する「デディカ アルテ」は、「スティローザ」と「アクティブ」よりも新しいモデル。どれもシンプルながら本格派エスプレッソ&カプチーノが楽しめるうえ、フォームミルクを作るためのフロッサーも搭載しています。3モデルともデザインが異なるほか、細かい違いがありますが、「デディカ アルテ」のみ操作がボタン式で、タンパーやミルクジャグが付属します。
「マグニフィカ スタート」と「デディカ アルテ」の大きな違いは、全自動か手動か。さらに、前者は手軽に多彩なコーヒーメニューを楽しめるモデルで、後者はシンプルな手動モデルである分、デザインがスマートで価格も比較的抑え目です。
とはいえ、より詳しく双方の違いを理解するなら、やはり実機に触れ、抽出したコーヒーを飲み比べるべきでしょう。そこで、日本法人であるデロンギ・ジャパン本社のショールームを訪問。両モデルの解説を受けながら、深掘り体験をさせてもらいました。
まずは「マグニフィカ スタート ECAM22020」から。
デロンギの全自動モデルは「ラテクレマ」という独自の自動ミルク泡立て機能を搭載しているかどうかで二分され、「マグニフィカ スタート ECAM22020」は非搭載な分、お手ごろ価格な製品だと言えます。
そんな「マグニフィカ スタート ECAM22020」のデビューは2023年11月。濃厚なエスプレッソから一般的なコーヒーまで、数種類のメニューを手軽に楽しめるのが特徴です。
「マグニフィカ スタート ECAM22020」。カラバリは2色で、写真は「ホワイト」(品番はECAM22020W。「ブラック」の品番はECAM22020B)
本体サイズは、240(幅)×440(奧行)×350(高さ)mm、重量は9.5kg。タンクは容量が1,800mLで着脱できるタイプですが、本体の後ろではなく前側から取り出せるのが使いやすいポイントです。
タンクには、本体内部への石灰分の付着を軽減する「軟水化フィルター」を標準搭載。フィルターの交換目安は約2か月です
コーヒーメニューは「エスプレッソ」「スペシャルティ」「カフェ・ジャポーネ」の3種類が用意されており、前面のコントロールパネルから直感的にタッチ操作できます。パネルには文字は書かれていませんが、アイコンがわかりやすく、慣れれば問題ないはず。
コントロールパネルの上段アイコンのうち、右3つのカップが抽出メニュー。左端はフォームミルクを作る際に押すアイコンです
本モデルは、ミル(グラインダー)を内蔵しているのもポイント。つまり、挽き立てのコーヒー豆による香り高い一杯が楽しめるわけです。豆は本体上部から投入し、粒度(細〜粗挽き)を7段階から好みで選べます。
コーヒー豆は、本体天面のフタを取って格納。一般的に、濃厚な味わいには細かめ、あっさりした味わいには粗めがおすすめとされています
取材ではすべて豆から挽きましたが、あらかじめ粉になっているコーヒー豆も使用可能。粉の場合は、写真の「パウダー投入口」に入れます
1杯目は「エスプレッソ」。
カフェラッテやカプチーノなどを楽しむなら、このメニューで淹れてベースにしましょう。なお、抽出ノズルはカップの大小に応じて上下に動かして調整できます。
デミタスカップ(エスプレッソカップ)のような小さい器でも、抽出ノズルを下げれば液が飛び跳ねません
水や豆を準備してアイコンをタッチすれば、抽出スタート。なお、エスプレッソマシンにおいて重要なポンプ圧は最大15気圧で、抽出はおいしいエスプレッソに最適とされる9気圧を採用しています。
きめ細やかな泡は「クレマ」と呼ばれ、このフォーミーなテクスチャーもおいしさの理由。ふわふわのミルクは、本体左にある先端が黒いノズル「ミルクフロッサー」で作れます
挽き立ての豆は香りからしてアロマティックで、味もエスプレッソらしい凝縮感。どっしりとしたコクやビター感に加え、甘みや酸味も豊かでおいしいです。
この味は、エスプレッソマシンならでは。ドリップタイプのコーヒーマシンでは、なかなか実現できない味です
続いて、「スペシャルティ」と「カフェ・ジャポーネ」。
どちらもブラックコーヒーに適したメニューですが、「スペシャルティ」は最初の蒸らし工程を省くことで、よりすっきりとした味わいになるのが特徴。コーヒー豆の産地特性を楽しむのにも適しています。
浅煎り豆の繊細な果実味をブラックで飲むなら「スペシャルティ」がよさそう
そして「カフェ・ジャポーネ」は、ハンドドリップのようにじっくりと蒸らしながら抽出するメニュー。深蒸しによって豊かな香りと旨味が引き出され、日本伝統の純喫茶が得意とするようなコーヒーの味が楽しめます。
「カフェ・ジャポーネ」で抽出。コク深いブラックコーヒーを楽しむ際には、このメニューがおすすめです
コーヒー抽出には豆カスの処理が付きものですが、「マグニフィカ スタート ECAM22020」はその点も手軽。使われた豆は「カス受け」に自動で溜まっていくので、1回ごとに捨てる必要はありません。
「カス受け」にストックできる目安は1杯抽出で15回分、2杯抽出で13回分。もし満杯になった場合は、コントロールパネルでのアラート表示で教えてくれます
なお、コントロールパネルではほかに、豆の量を変えたり、粉を使用するときの設定に変更したりできます。
アイコンの中段はコーヒー豆の設定で、濃さなどを調整可能。下段は石灰除去や設定変更などができ、「×2」は、内部洗浄やエスプレッソを2杯分抽出したいときにタッチするアイコンです
内部洗浄については、電源オンとオフ時に自動で行われますが、手動で洗浄したい場合はコントロールパネルから駆動できるという仕様。また、トレイやカス受けなどの各パーツは取り外して洗浄でき、衛生的です。
次は「デディカ アルテ EC885J」をじっくり深掘り。
こちらで抽出できるメニューはエスプレッソのみですが、用途を絞っているからこそのコンパクトさやスマートなデザインが印象的です。
カラバリは全3色。取材で使った「メタルシルバー」(EC885J-M)のほか、「グレー」(写真左/EC885J-GY)と「ベージュ」(右/EC885J-BG)がラインアップされています
本体サイズは150(幅)×330(奧行)×305(高さ)mm。タンクは容量が1000mLで、本体後部に設置されていますが着脱できる使いやすいタイプです。全体的に「マグニフィカ スタート ECAM22020」よりもひと回り小さく、キッチンなどに広いスペースがない人には特に重宝するでしょう。
ちなみに、写真は「デディカ アルテ EC885J」とそっくりなグラインダー「デディカ KG521J-M」。デロンギのエスプレッソ・カプチーノメーカーのフィルターホルダーに対応しているので、挽いた豆をそのホルダーごと使えます
操作も実にシンプルで、基本的には3つのボタンで操作。エスプレッソを1杯か、2杯分抽出するのか、またはスチームを使うのかを選ぶだけです。
左から「1杯抽出ボタン」「2杯抽出ボタン」「スチームボタン」。側面に見えるレバーは「スチームつまみ」で、「スチームボタン」を押してから下に向けるとフロッサーからお湯やスチームが出ます
淹れる際にはまず、フィルターホルダーを用意。フィルターは1杯用、2杯用、別売りの専用カフェポッド用の3種類があり、用途に応じたものをセットします。そこに挽いたコーヒー豆を入れてタンパーで押し詰め、本体に取り付けたら準備完了です。
写真の、レバーのようなものがタンパー。手前が3種のフィルターです。「デディカ アルテ EC885J」にはこれらに加え、フォームミルク用のジャグ(奥に見えるステンレス製の器)も付いてきます
本体に電源を入れてタンクに注水。そしてコーヒー粉を押し詰めたフィルターホルダーをセットし、ボタンを押せば抽出開始です。なお「デディカ アルテ EC885J」も最大15気圧の電磁ポンプと、ステンレス製のサーモブロックボイラーを搭載。おいしいエスプレッソに適した9気圧で抽出します。
「2杯抽出ボタン」にて。写真ではデミタスカップ2杯で用意していますが、いわゆる「Wエスプレッソラテ」的な深みのある味を楽しみたいときには、通常カップ1杯に2杯分入れるのもおすすめ
エスプレッソの量は、初期設定として1杯抽出30mL、2杯抽出60mL。なお、基本操作はシンプルですが、細かい設定も可能です。たとえば、抽出温度は3段階から選択可能。そのほか、抽出量の設定やオートオフ機能の時間変更もできます。
味は「マグニフィカ スタート ECAM22020」のエスプレッソ同様。アロマティックで濃密、かつ絶妙な甘みや酸味も感じられる至福のおいしさです
フォームミルク作りも見せてもらいました。手順は先述したとおり。ミルクを入れたジャグにフロッサーを差し込み、その先端から出るスチームで空気を含ませていけば完成です。
機種によって操作は少し異なるものの、「マグニフィカ スタート ECAM22020」でも高品質なフォームミルクが作れます
でき上がったフォームミルクをエスプレッソに加え、試飲させてもらいました。うん、さすが本場イタリア譲りのハイクオリティー。デロンギのマシンはレストランでもよく見かけますし、プロが信頼するのも納得のおいしさです。
フォームミルクをエスプレッソの上に載せたカプチーノ。スチームミルク(泡のない、温められた牛乳)をかければカフェラッテの完成です
機能がシンプルなので、操作が簡単。構造もシンプルで、パーツが少ないのも特徴です。フィルターやホルダーはもちろん、カップ受けや水タンク類も丸洗いできます。ただ、抽出ごとに手動でセットし、フィルターの豆カスを処理する必要はありますが、むしろバリスタ気分を味わいたいという人には「デディカ アルテ EC885J」がおすすめだと感じました。
撮影終了後、今回試した2モデルそれぞれの選び方を、デロンギの担当者にも聞いてみました。その要点を以下にまとめたので、こちらもぜひご参考に!
なお、それぞれの上位機種を検討する場合、全自動の場合は自動ミルク泡立て機能付きの「マグニフィカ スタート ECAM22062」、手動の場合はグラインダー付きの「ラ・スペシャリスタ・アルテ EC9155J」が、比較的に新しいモデルです。
2024年11月に発売された「マグニフィカ スタート ECAM22062」
2024年4月に発売された「ラ・スペシャリスタ・アルテ EC9155J」
また、冒頭で触れた一般ユーザー向けのショールームは、「デロンギ 表参道」。同社直営の体験型ストアで、全自動モデルに関しては試飲もできます。
「デロンギ 表参道」は、表参道駅から徒歩数分。原宿駅からでも15〜20分歩けば着きます
同店にはコーヒーマシン以外にもデロンギのさまざまな製品が並び、実機の操作などもできるので、足を運んでみてもいいかもしれません。新生活や買い替えでエスプレッソマシンを検討している人は、本稿と合わせて参考にしてみてください。