夏の必需品といえば扇風機ですが、年々進化しているものの、基本的な構造は変わりません。一方向、もしくは首振りで風を送るだけで、自分が移動したときにそれに合わせて顔を向けてくれるわけでもなく、首振りはするものの行きすぎたり届かなかったり……。1日に何度も扇風機の向きを調整するのが当たり前だと思っていました。
しかし驚くべきことに、人を追尾して風を送ってくれる扇風機が登場していたのです。それが、シロカの「人認識センサー付き DC扇風機 めくばりファン SF-HC151」(以下、「めくばりファン」)。
見た目は白を基調としたシンプルでスタイリッシュなデザイン。組み立てると、大きさは31 (幅)×31(奥行)×88(高さ)cm。重量は3.8kgです。
カラーは「ホワイト」と「ダークグレー」の2種。写真は「ホワイト」です
5枚羽根のDC(直流)モーター搭載扇風機
操作部は本体の台部分にあり、ボタンは凹凸のないタイプ。1〜6時間までの「タイマー」や、「おやすみ・リズム」モード、「首振り」などはイメージできる機能だと思いますが、気になるのは「やまわけ」「ひとりじめ」のボタンですよね。
見慣れない「やまわけ」「ひとりじめ」ボタン
リモコンもシンプルなデザインで、各ボタンは本体に搭載されているものと同じです。ちなみに、リモコンは台部分の側面に収納できる仕様。
リモコンは小さいのでなくしそうだという人も……
本体側面に収納できるので安心!
全体的にフラットなデザインでおしゃれですし、形状的にホコリが溜まりにくそうでいいなという印象です。
さて、この扇風機最大の特徴は、製品名のとおり「人認識センサー付き」であること。認識した人を追いかけて風を当ててくれるのです!
まずは「ひとりじめ」機能を使ってみましょう。扇風機が特定の1人を認識し、その人だけに風を送り続けるモードです。みんなが使いたい場合に使用すると喧嘩になりそうですが(笑)。
使い方は、まず本体(もしくはリモコン)の「ひとりじめ」ボタンを押します。
まずは「ひとりじめ」ボタンを押す
その後、扇風機の正面に立ち、「ひとりじめ」を使いたい人を認識させます。
本体のパイプ部分真ん中あたりに「ひとセンサー」が付いており、白い丸が見えているとオン状態です。
黒い部分が「ひとセンサー」です
扇風機が人を認識!
実際にあちこち動き回ってみましたが、常に自分のほうを向いて風を送ってくれました。これはうれしい!
認識した人が別の場所に移動すると、首を振ってその方向にピタッと止まり送風してくれます
なんだか愛着がわいてくるほどの従順っぷりです
この「ひとりじめ」機能は、掃除や料理中など、部屋の中を移動しながら何か作業をする際、常に風を浴びていたいときにとても便利! 「ひとりじめ」中にほかの人が通りがかったり扇風機のほうを向いたりしても、しっかりと認識した人だけを追い続けていました。「ひとりじめ」運転の際の最大角度は120度(左右各60度)で、認識範囲から人がいなくなると、自動的に運転を停止して待機状態になります。
ちなみに、人を追尾するスピードは通常の首振りのスピードと同じ。自宅でフィットネスをしているときに常に風が当たったらいいなと思い、反復横跳びをしてみたところ、さすがについてこれなかったようです……。からかってごめんね。
反復横跳びにはついてこれませんが、ヨガなどのゆっくりとした動きのフィットネスにはよさそう!
続いては、「やまわけ」モードを試してみましょう。人のいる範囲でのみ首振り運転をしてくれる機能で、首振り時の「そこまでいかなくてもいいのに」を解消できます。
ボタンを押すと「やまわけ」ランプが点灯し、一度左右に120度首振りをして、人がいるかを確認します。その後、人がいる範囲内でのみ首を振ります。途中で人が動いたり増減したりして範囲が変われば、次のターンですぐに角度を修正! 頭がいいです。
ちょうど2人ともに届く範囲で風を送ってくれました
さて、ここまでご紹介した「ひとりじめ」「やまわけ」以外にも、「ひとセンサー」を使ったユニークな機能が搭載されています。それは、ハンドサインによる操作。「ひとセンサー」に向かって、手で「まる」「ちょき」「ぱー」を出すと、その動きだけで扇風機を操作できるのです。右手左手どちらでもOKで、手のひら側を向けるのがコツ。
手を「OK」の形にする「まる」は、運転中なら風量を変更、停止中なら運転を開始できます。
電源につながっていればこのサインだけで運転開始!
「ちょき」は首振り運転のオン/オフを切り替えます。
首振りオン→首振りオフもサインで簡単
「ぱー」は運転を停止します。
「そろそろ寒いから止めよう」も遠隔操作可能
扇風機のすぐ目の前にいるわけでもなく、リモコンが手元にあるわけでもないときってあると思いますが、このハンドサインを覚えておけば、少し離れたところからでも操作ができて便利!
結構敏感に反応してくれて、会話中の手の動きを「ぱー」だと認識して運転が止まってしまうこともありました。
「ひとセンサー」は人の肩から上を認識しているので、「ひとりじめ」「やまわけ」機能で人を認識する際も、ハンドサインで操作をする際も、1〜3m離れた場所から認識させるのがベスト。部屋が暗いときや逆光のとき、太陽光が強く差し込んでいるときも認識しないようです。
近すぎると認識できません
最低このくらい離れましょう
「人の肩から上を認識する」ということで、試しに人の顔写真が貼ってあるうちわを持って「やまわけ」機能を使ってみたところ、うちわの人物も認識して風を送ってしまいましたが、そこはご愛敬。
なお、「ひとセンサー」はオフにもできます。オフにすると、ハンドサインによる操作と、「ひとりじめ」「やまわけ」機能が使えなくなります。
念のためお伝えしておくと、自動で追尾してくれるのは左右の動きだけで、上下の風向きは調節してくれません。一般的な扇風機と同じく、上下の向きは手動で調整する仕様です。
モーター部と前ガードを軽く押さえ、好きな向きに動かします(ハンドルを持って動かしたくなりますが、それはNG)
将来的には、上下左右あらゆる方向に自動で追尾する扇風機が出たらうれしいですよね!
なお、パイプを1本取り外すことで本体の高さを「ショートサイズ」に調節もできます。
パイプを1本取り外して高さ調節が可能
ショートサイズバージョンの高さは64cm
シロカの「めくばりファン」は、未来を予感させる扇風機でした! 人の顔を覚えたり人がいる範囲を認識したり、ハンドサインだけで操作できたりと、これまでの扇風機で「仕方ないけどちょっと不便だな」と思っていたことが解消されていました。
ちなみに、ハンドサインではなく声で操作できる扇風機が欲しいという人は、「DC音声操作サーキュレーター扇風機 シロカのポチタマ扇(2025年モデル) SF-V251」が音声操作に対応しています(※自動追尾機能はありません)。
今回の「めくばりファン」はハンドサインによる操作ですが、声を出すのがちょっと恥ずかしい筆者にとってはありがたいと感じました。一般的な扇風機よりも高価ですが、個人的にはお値段に見合う価値アリです!