人気急上昇中のおうち焼肉に、救世主が登場!
価格.comの「カセットコンロ 人気売れ筋ランキング」で上位を獲得している製品が、イワタニの「カセットガス スモークレス焼肉グリル “やきまるスリム”」です(以下「やきまるスリム」)。
2025年3月に発売された、「やきまる」シリーズの最新作「やきまるスリム」
「やきまる」シリーズは、2016年に誕生したカセットガス式の焼肉グリル。特許取得の独自構造で煙の発生を抑え、室内で手軽に焼肉を楽しめることから高い人気を誇っています。
そんな「やきまる」シリーズの新作が今回の「やきまるスリム」なわけですが、最大のウリは、煙だけでなく油のはねや飛び散りを軽減する構造を新たに取り入れたこと。これにより、さらに快適な焼肉ライフが楽しめるようになったということでしょう。しかし、その効果はどの程度なのかが気になるところ。
そこで本稿では、本製品で実際に肉などを焼き、油のはねや飛び散った量をチェック。一般的なガスコンロを使って焼いた場合と比較し、「やきまるスリム」の実力をレポートします。
ちなみに、冒頭で“おうち焼肉”の人気に触れましたが、エビデンスもしっかりあります。チラシ・買い物情報サービス「トクバイ」が2024年8月に行ったインターネット調査によると、焼肉の日(8月29日)に焼肉をするなら、店より自宅で楽しみたい人のほうが多いという結果に。
「外食で焼肉をしたい」よりも、「自宅で焼肉をしたい」ほうが少し多め。調査エリアは全国で、回答者数は2,576名
物価が年々高まっていることから、おうち焼肉のトレンドもより強まるはず。そんな状況下で新たに登場したのが「やきまるスリム」です。
A4用紙(21.0×29.7cm)と「やきまるスリム」(幅31.9×奥行27.9×高さ14.9cm、重量約1.9kg)
「やきまる」シリーズは、煙が少なく、かつコンパクト(幅・奥行が約30cm)で扱いやすいなどの特徴が好評ですが、いっぽうで「油の飛び散りが気になる」という声もあったとか。そこで「やきまるスリム」では、新たに油が飛びにくい構造を取り入れました。そのひとつが、ガード付きの水皿。
焼き面のプレートを囲む高さ約4.7cmのガードがポイント。フェンスの役目を担い、油の飛散をブロックします
ガードを高く進化させても、サイズは従来同様のコンパクトさに収めた設計も秀逸。事実、2021年から発売されている同社の現行品「やきまるII」(下の写真)と比べても、サイズ感の差はほぼないと言っていいでしょう。
左が「やきまるII」で、右が「やきまるスリム」
また、油の飛び散りだけでなく、もちろん従来品同様に煙の発生も抑制します。そこで光るのが、特許取得の独自構造。バーナーとプレートの間に適度に熱がこもる構造で、人が火加減を調節しなくとも、プレート表面の温度が常に約210〜250度にキープされるため、過熱が原因で発生する肉の脂の煙化を抑えます。
パーツ構成はシンプルで、セッティングも簡単ながら、細部に落とし込まれたこだわりの設計によって、油と煙の少ないスマートな焼肉時間が楽しめます。右下は「プレート用取っ手」
温度のコントロールに加えて、「焼肉プレート」に設けられた傾斜とスリットも活躍。肉の脂やドリップは熱せられると煙が出やすいのですが、本製品ではそれらが自然とプレート下の水皿に落ちる設計なので、煙が出にくいのです。また、スリットにより余計な脂がカットされるためヘルシーかつ、ネガティブなこってり感のない、肉本来のおいしさが楽しめます。
「焼肉プレート」を、「プレート用取っ手」で持ち上げたところ。中央から外側に向かって傾斜しているのがわかるでしょうか
準備は、イワタニカセットガスを装着し、水皿に水を入れればほぼ完了。新品カセットガスの連続燃焼時間は約217分なので、1本あれば焼肉パーティーを十分まかなえることでしょう。
カセットガスの着脱はマグネット式で、凹凸を合わせ、カセットガスを水平にスライドさせるように押し込めばOK。取り外す際も、そこまで強い力は必要ありません
注水の量は約230mL。水皿の側面に記されたラインまで水を入れましょう
カセットガスと水皿の準備ができたら、水皿に「焼肉プレート」を乗せて、後は焼くだけです。
カルビ、ハラミ、ロース、ソーセージなど、ポピュラーな部位を焼いていきましょう
なお、本稿では油の飛び散り低減チェックが一大テーマとなっているので、本製品のそばに紙を敷いて調理。白色よりも見やすいよう、茶色の紙を使ってジャッジします。
「あぶらとり紙」も、多くは茶色。油の飛散をチェックする色としてはバッチリでしょう
※実際に使用する際は、本体の近くに燃えやすいものを置かないでください
ここからはいったん、一連の焼肉タイム。それなりに焼いた後、油がどの程度飛び散ったかを検証します。
ジャンジャン焼いていきます
ちなみに「やきまるスリム」の火力は、同社の他製品に比べて控えめで、最大発熱量は1.0kW(900 kcal/h)。たとえば「カセットフー “タフまる”」シリーズや「カセットフー 達人スリム」シリーズは3.3kW(2,800kcal/h)です。とはいえ、実際に使ってみた感想としては、まったく問題なく焼けます。
MAXの火力がこちら。表面温度は約210〜250度にキープされますが、ホットプレートの多くも最高温度は250度程度ですから、火力に問題はないでしょう
火力が控えめな理由は、やはり油の飛び散りや煙の発生を防ぐためでしょう。加えて、火力が強すぎない分、ガスの消費を抑えられるというメリットも。それでいて、熱き加減や焼き上がりに関しての違和感はなく、普通にこんがり焼けます。
香ばしい焼き目も普通にしっかり。「やきまるスリム」は、焼肉に最適な火力に設定されていると言っていいでしょう
今回は油の飛び散り具合をメインにチェックする記事ですが、焼いていると、煙の量がまったく気にならないことに改めて驚きました。リビングで焼きましたが、モクモク感はありません。ニオイが気になる場合は少し窓を開けるなどしたほうがいいと思いますが、煙を逃がすための大げさな換気はしなくても問題ないと思います。
続いて、「やきまるスリム」の比較対象として、自宅のガスコンロで同様に肉を焼きました。こちらも近くに茶色い紙を置いて、飛び散った油の量を比べます。
こちらは、家庭用ガスコンロと20cmのフライパンで調理。焼く肉の量や、火力もできるだけ「やきまるスリム」と同環境になるように調整しました
こちらはフライパンで焼いたため肉の脂やドリップの逃げ場がなく、やはり煙が多くて味わいも“ベチャギトッ”とした感じでした。
焼肉タイムを終え、「やきまるスリム」と家庭用コンロで、それぞれ近くに置いた紙を比べてみました。すると明らかに「やきまるスリム」のほうが飛んだ油の粒が小さいかつ目立たず、本来は飛び散るはずの油が、約4.7cmのガードで防がれたであろうということがわかります。
左が「やきまるスリム」で、右が家庭用コンロ。トングで肉をつかんだ際に飛んだ油の粒が大きいものの、全体的に「やきまるスリム」のほうが細かくて目立ちません
ちなみに価格.comマガジンでは2016年に、初期モデル「やきまる」のレポート記事も掲載しています。それがこちら。
2016年9月に公開された、「やきまる」記事のワンシーン
当時はまだ高さのあるガードはなく、記事には「焼いてるうちに脂が周りに飛び散るのは、いたしかたないこと」と書かれています。本体に飛び散った油を見比べると、やはり「やきまるスリム」は油の粒が小さくて目立たないことがわかります。
今回の「やきまるスリム」で焼肉をした後の本体。約9年でここまで進化しました
「焼肉プレート」を取り外すと、傾斜とスリットによって落ちた油や肉汁は、水皿の中にしっかり収まっていました。熱源からも十分に離れているので、煙があまり出ないことにも納得です。
余分な肉の脂やドリップは、水皿がキャッチ
各パーツは簡単に取り外しでき、重くもないので洗浄も簡単。扱いやすいことも魅力と言えます。
プレート直径は23.3cm。一般的なシンクなら、すっぽりまるごと洗えます
岩谷産業(イワタニ)はカセットコンロのリーディングカンパニーであり、本製品以外にも多彩なモデルを発売していますが、「やきまるスリム」は焼肉専用に設計されていることが特徴。もし焼肉以外に、たこ焼や鍋なども楽しみたい人には、2025年5月に発売された多機能グリル「カセットフー “マルチカットグリル”」がおすすめです。
こちらも新作の「カセットフー “マルチカットグリル”」。リング(ガード)の着脱ができるうえ、たこ焼プレートや、鍋などを固定させるゴトクが付属
ただし、プレートなどの付属品が多い分「カセットフー “マルチカットグリル”」は少々高価になるので、焼肉メインの人は「やきまるスリム」一択でしょう。
油の飛散が少ないということはテーブルなどが汚れにくく、タイパの側面でもメリットは多大。効率的に焼肉を楽しみたい人にも、「やきまるスリム」は頼りになるはずです!