キッチンのシンクやごみ箱から漂ってくる生ごみのニオイって不快ですよね。ふたを閉めておけば大丈夫と思いきや、別のごみを捨てるときに「うっ!」……なんてこともあります。また、ペットや赤ちゃんのいる家庭なら、その排泄物や紙おむつからの耐えがたいニオイに悩まされることも。かといって、ごみの収集日は決まっているのですぐ処分することもできません。そんな人たちの救世主になりそうなのが、ごみを凍らせてしまうアイリスオーヤマの「冷凍ごみ箱 45L」です。今回はごみ箱として使いやすさに加え、ニオイをどこまで抑えられるのかについても、実際に使って確かめてみました。
アイリスオーヤマ初の冷凍ごみ箱となる本製品。仕組みはシンプルで、ごみを庫内で凍らせ、細菌の繁殖を抑えることでニオイの発生自体を防ぎます。メーカーでは、ニオイの抑制率として生ごみで約98%、ペットトイレで約99%と公表しています。
ただし、これは通電状態と非通電状態(つまり、一般的なごみ箱にそのまま入れた状態)でそれぞれ7日間保管し、非通電時の濃度を基準に低減割合を算出したものです。「いま漂うニオイを98%消す」のではなく、「そのまま7日置いた場合と比べ、ニオイ成分の増加を98%抑えた」という意味。すでに出てしまったニオイを消す脱臭機能があるわけではない、という点は押さえておきたいところです。
容量は45Lで、赤ちゃん用の紙おむつならMサイズで約70個の保管が可能。専用の袋は不要で市販のごみ袋が使え、すぐ凍らせたいとき用の「急冷モード」、動かしやすいように底面にキャスターも備えています。
付属品はスクレーパーと袋留めが各1点。スクレーパーは庫内に付いた霜を落とすためのもの。袋留めは固定パーツに引っ掛けるだけなので、簡単に取り外せます
箱からごみ箱本体を出してみると、まず「かなり大きい」と感じます。サイズは約31.5×54.5×84.5cm、質量は約23kgもあります。奥行きはスリムですが、幅と高さがかなりあり、一般的なごみ箱とは別物の存在感です。目安として、一般的なシステムキッチンの天板の高さは80〜90cmに設定されます。つまり本製品は、キッチンの天板とほぼ肩を並べる高さのごみ箱ということになります。
高さは84.5cm。実際に設置してみるとかなり背が高く存在感があります
ふたが上方向へ開かないスライド式なので、上に棚があるような場所に設置しやすいのは確か。ただし本体の高さが84.5cmある以上、キッチンカウンターの下へ収めるといった使い方は難しいでしょう。なお、放熱のため壁から5cm離す必要があり、電源コードは約2m。周囲の余白とコンセントの位置まで含めて、なかなかのスペースをとるので、置き場所を先に決めておくのがよいでしょう。
ふたは左右どちらからでも開けられるスライド式。上方向へ開かないので、上に棚がある場所でも使えます
一方、本体にキャスターが付いているのは助かりました。本体の下や背面を掃除するときに少しずらせるのは実用的です。しかし、この場合にも「動かせるスペース」がないとあまり意味がありません。
キャスターを搭載。本体が約23kgもあるので、掃除などの際に動かせるのは便利です
ニオイの話に入る前に、そもそも冷凍庫としてきちんと機能するのかを確かめてみます。試しに水を入れたペットボトルを庫内に入れてみたところ、家庭用の冷凍庫と変わらず、しっかりと凍りました。これなら「ごみを凍結させてニオイの発生自体を抑制する」という効果は十分に期待できそうです。
とはいえ、実際の暮らしを考えると、ごみは必ずしもニオイの出ない状態で捨てられるとは限りません。ペットのトイレまわりのごみは捨てる時点ですでに臭っていますし、生ごみもキッチンの隅でしばらく放置してしまい、臭いはじめてから慌てて処分する、なんてケースは少なくないはず。
そこで今回は、あえてすでにニオイが出ている状態のごみを入れて、どうなるのかもチェックしてみました。庫内に入れたのは、猫の尿を含んだトイレシートと猫の便、そして腐敗したサバの干物とマグロ・カツオの刺身です。
今回投入したごみ。効果を確かめるため、すでに強く臭っている状態のものを使いました ※一部モザイク処理をしています
投入直後は本体の周囲にニオイが残りました。ところが、ふたを閉めてしばらく待つと周囲のニオイは消えます。投入時に室内へ残ったニオイが拡散したものと考えられ、ふたから漏れ続けている様子はありません。ふたの継ぎ目に鼻を近づけると多少はニオイを感じましたが、庫内から漏れたものか、ふたに付着した汁のニオイかは判別できませんでした。
凍結後の結果は、素材によってはっきり分かれます。猫の尿を含んだトイレシートと便は、排泄物特有のニオイをほとんど感じないレベルまで落ち着きました。対して腐敗した刺身は、袋に顔を近づけるとかなり強く臭います。サバの干物にいたってはニオイが袋の外まで広がり、庫内全体で感じられるほど。猫の排泄物を確かめようとしても、サバのニオイが先に来てしまう状態でした。
なお、ふたを開けた直後には庫内のニオイを感じるものの、それが室内へ広がっていく感覚はありません。そして、庫内の空気を一度すべて入れ替えてみると、ニオイは大きく減りました。感じていたニオイの多くは、投入してから凍るまでの間に出て、庫内にこもっていたものだったようです。ただし、それでニオイが完全になくなるわけではなく、入れっぱなしにしていればまた気になってくる、という程度には残ります。
ニオイが気になるものを入れたときに使うのが急冷モード。実際に使ってみると、投入から3時間後にはすべてカチコチに凍っていました。ふたをひんぱんに開閉しない限りはそこまで気にしなくてよさそうですが、凍るまでの間に出るニオイをできるだけ抑えたいときは、使ってみてもよさそうです。
本体側面にある操作パネル。ここにあるつまみで急冷モードに切り替えられます
ふたは左右どちらからでも開けられるスライド式で、日常的な開け閉めは比較的ラク。大小2枚が上下2段に重なる構造で、実測した開口部は大きい上ぶた側が約19×18cm、小さい下ぶた側が約19×16cmでした。ただし小さいほうは、端の凹みに掛けた指が上ぶたに当たるため、実際にはやや狭くなります。
大きい上ぶた側の開口部は約19×18cm。柔らかいごみなら、多少大きくても投入できました
用途としては、小さい開口部はまな板から野菜くずを落とすような細かいごみ向き。また、大きい開口部は、トイレシートのようなやわらかいものなら多少かさばってもたたんで投入できます。ちなみに、大きなごみを入れる場合や庫内でごみの置き場所を調整したいときは、ふたごと取り外したほうが作業しやすいでしょう。
注意したいのが、運転中にふたの裏側へ付く水滴です。スライドさせると上のふた裏の水滴が下のふたの天面へ付着することがあり、ごみのニオイが移っていると臭います。ふたの表裏と取っ手まわりは、定期的に拭いておくのがよさそうです。
下のふたの取っ手周りには水滴がつきやすいので気付いたら拭いておくのがよいでしょう
ごみ袋は、庫内上部のワイヤー式の袋留めを持ち上げ、そこへ袋の端を巻き付けて固定します。方法は単純で、迷うことはありませんでした。巻き付けが甘い部分は外れることもありましたが、下に引っ張られて落ちてしまうような心配はありません。
袋を凍結後に取り出してみると、内壁に凍り付くこともなく、スムーズに引き出せました。ただし、本体には84.5cmの高さがあるため、満杯近くまでため込むと引き上げにくくなりそう。取り出す際に大きめのごみが袋留めに引っ掛かることもあったので、袋が重くなる前に取り出す使い方が向いています。
ワイヤー式の袋留めに、市販のごみ袋を巻き付けて固定できます。ある程度なら引っ張っても問題なし
霜は電源を入れてから約2日で付きはじめました。内壁の霜はさほど目立ちませんが、庫内上部の四隅にある袋留め固定パーツ周辺は、見ればすぐわかる程度に付きます。付属のスクレーパーで簡単に落とせるものの、庫内が深いため、落とした霜を底から手で拾うのは手間。本格的に取るなら、電源を切って溶かし、霜取り用の排水口から水を排出するほうが現実的です。
約2日で霜が付きはじめました。特 とくに袋留めの固定パーツ周辺は目に付きます
本体側面の排水口から霜が解けた水を排出できます
また、運転音は耳をすますと「ブーン」という低い音が聞こえますが、寝室のように静けさを求める場所でなければ、置き場所で悩むことはないでしょう。
最後に電気代です。メーカー公称は1日あたり約11円(年間消費電力量138kWh(50Hz)を単価31円/kWhで換算)。実際に確認してみると、庫内が空で標準運転なら24時間あたり0.54〜0.55kWh、同じ単価で約17円/日。ごみを入れて凍結させた後標準運転のまま置いた状態では1時間あたり0.028〜0.029kWhほどで推移し、1日に直すと約21〜22円という計算になります。急冷モードでは時間とともに増え、最大で1時間あたり約0.05kWhに達しました。
公称値との差は、室温をはじめとする測定条件の違いが大きいはずで、気温の高い時期に中身を入れて測ればある程度上振れするのは自然です。それよりも注目したいのは、中身の有無と運転モードで消費電力量がはっきり変わった点。急冷モードは必要なときだけ使い、普段は標準運転で回すのが基本的な使い方になりそうです。
消費電力量の推移。中身の有無や運転モードによって、はっきりと差が出ました
「冷凍ごみ箱 45L」はニオイを消す機器ではなく、ごみを凍らせて腐敗を止めることで、ニオイの発生自体を抑える製品です。冷凍庫としての実力は十分で、すでに臭っているごみを入れた場合でも、猫の排泄物はほとんど気にならないレベルまで落ち着きました。魚のニオイは残ったものの、それが室内へ広がっていくことはありません。ニオイが出る前に入れるという本来の使い方であれば、収集日までの保管はかなり快適になるはずです。
操作は温度調節ダイヤルを回すだけで迷う要素がなく、運転音の小ささや掃除に役立つキャスターも好印象。一方、注意しておきたい点もあります。本体が大きく置き場所を選ぶこと、高さがあるため袋が重くなると取り出しにくいこと、定期的な霜取りが必要なこと、そしてふた裏の水滴からニオイが漏れる可能性があることです。
とはいえ、ペットのいる家庭や紙おむつが毎日出る家庭、ごみ収集の間隔が空く地域に住む人にとって、ごみ箱からのニオイは切実な悩み。設置スペースさえ確保できるなら、それを解決に導く頼もしい選択肢だと感じました。