レビュー
米・食味鑑定士が吟味する炊飯器の実力

羽釜と真空で炊きあげる東芝「かまど本羽釜 RC-10ZWH」のウマさに迫る!

“おいしいごはん”を探求する米・食味鑑定士が、気になる炊飯器を自宅でじっくり使って味わいと使い勝手をチェック。今回ピックアップしたのは、約60年前に電気炊飯器を最初に生み出した東芝がようやくたどり着いた羽釜形状の内釜を採用した「かまど本羽釜 RC-10ZWH」(以下、RC-10ZWH)だ。かまど炊きと独自の真空技術を備えるRC-10ZWHの実力をチェックする。

炊飯方法は? 特徴をチェック!

東芝の炊飯器(最上位モデル)の最大の特徴は、真空と圧力による炊飯。とくに独自技術である真空は、浸し工程では内釜内の空気を吸引して0.6気圧にすることで米に含まれる空気を追い出し、米の芯まで水を浸透しやすくする。そして保温時には、真空効果でごはんの酸化による黄ばみやニオイを低減。このような炊飯方法に加え、RC-10ZWHは羽釜形状の内釜を採用した。

羽釜を採用する炊飯器はいくつかあるが、RC-10ZWHの内釜は羽の上に設けれられたスペースが非常に高く、釜底が丸いのが特徴だ。上部に空間を持てたことで沸騰が維持できるようになり、旨み成分である“おねば”がたっぷり発生。さらに、丸みを帯びた釜底で起こる激しい対流が、米一粒一粒に熱を行き渡らせる。昔ながらの羽釜の形と加熱構造を再現したことにより、従来よりもごはんの甘みが約10%アップしたという。

底部に60°の丸みを持たせることで、炊飯時にしっかりと米が攪拌されるようにしている。内釜には発熱効率の高い鉄を採用しているほか、外面に備長炭入り遠赤外線コートを使用

内釜内の底にある模様も、熱を伝えやすくする工夫

内釜内の底にある模様も、熱を伝えやすくする工夫

かまど(内釜が収まる部分)に内釜をセットすると、羽より上がはみ出た状態となる。羽の上の空間は従来の約25%増となる広さを確保し、さらに上部がすぼまるような形とすることで、より吹きこぼれにくくしているという。筆者が測定したところ、内釜の高さは約13cmで、羽の上の空間は5cm弱あった

内釜を包み込むようにヒーターを搭載。羽の触れる部分にもヒーターが配置されている

内釜を包み込むようにヒーターを搭載。羽の触れる部分にもヒーターが配置されている

羽の上部がはみ出た状態となるので、フタは凹んだ形状になっている。かまどからはみ出した部分の内釜の側面も加熱できるように、フタの凹んだ所にもヒーターを装備

フタの厚みは、一般的な炊飯器の倍ぐらいはありそう

フタの厚みは、一般的な炊飯器の倍ぐらいはありそう

厚みのあるフタは開けるのが大変そうに見えるが、心配は無用! ボタンを押すと自動で開くようになっている(下の動画参照)。

羽釜形状の内釜にあわせた機構と真空用のポンプが内蔵されているため、サイズは274(幅)×248(高さ)×364(奥行)mmと大きめ。最大炊飯容量は5.5合

どんな味? 炊いて食べて確認

白米用の炊飯コースは4つ用意されているが、フラグシップクラスの炊飯器を選ぶならば、最高に美味しく炊ける「かまど名人」コースで味わってほしい。「かまど名人」コースは、吸水時に減圧を繰り返し行うことで米のうまみ成分を引き出すRC-10ZWH最上の炊飯コースだ。まずは、「かまど名人」コースの味わいからチェックしてみよう。食感は4段階から選べるが、今回は「ややもちもち」(炊飯時間:55〜65分)と「しゃっきり」(炊飯時間:45〜55分)を試す。使用する米は、北関東産コシヒカリだ。

「かまど名人」「そくうま」「おこげ」「ecoモード」が白米対応の炊飯コース。そのほかにも、炊き込みごはんやすしめし、おかゆなども作れる。もちろん、玄米や雑穀米も炊飯可能

炊飯時間が約60分かかったが、粘りとやわらかさが共存した食感に炊きあがった。非常にみずみずしく、粒が大きく炊けているのがわかる。噛んでいくと甘みもしっかりと感じられ、ごはんだけでも美味しく、さらに濃厚なおかずとも相性よく食べられる印象だ

「ややもちもち」と比べると粒感がより強く、食べ応えのある食感になった。ただし、甘みや旨みはしっかりと引き出されている

「かまど名人」コースはおいしさを優先するため、最短でも約45分の炊飯時間がかかる。そこで、時間がない時に利用したいのが「そくうま」コースだ。炊飯時間は約30分となっており他社炊飯器の急速モード(炊飯時間:約15〜20分)に比べると長いが、そのぶん味わいは上々。時短メニューでも真空にして米に吸水させる「真空ひたし」が、RC-10ZWHでは効いているからかもしれない。

「そくうま」コースで炊いたごはんは、粒感と歯ごたえが強くなる。甘みは「かまど名人」コースと比べると落ちるが、短時間で炊けると考えると実用性は高い

ちなみに、白米対応の炊飯コースの残り1つ「ecoモード」については、正直あまりおすすめはできない。「ecoモード」コースは消費電力を抑えて炊き、さらに真空機能も利用しないため食感は硬めで甘みも少なくなる。炊飯時間は、「かまど名人」コースの「しゃっきり」と同じ約50分。このクラスの炊飯器で「ecoモード」コースを選ぶのはもったいない。

購入時には「ecoモード」コースが設定されているので、炊飯コースを選んで使用するようにしよう

購入時には「ecoモード」コースが設定されているので、炊飯コースを選んで使用するようにしよう

炊飯器はおいしく炊けることがもっとも重要だが、保温する派には保温したごはんの味の気になるところ。RC-10ZWHは保温時にも真空機能が働き、酸化を抑えてくれる。白米であれば、最大40時間保温できるという。さっそく、30時間保温したごはんを食してみる。

保温時に内釜内の空気を抜くことで酸化を防ぐ。実際に保温していると一定時間経過後に、内釜から空気を抜く減圧音が聞こえてくる

一般的には保温時間が30時間を経過するとごはんのニオイが非常に強くなり、黄色みが出でくることが多いが、RC-10ZWHでは白度が高いまま! 食感は炊きたてと比べるとやや硬くなっており、水分が失われているものの30時間保温したと考えれば許容範囲だ

後片付けの手間はどの程度?

炊飯のたびに行わねばならない手入れは、内釜のほかには内ぶたと蒸気が出る部分にあるケースのみ。一般的な炊飯器同様に、水洗いする。そのほか、1週間に1回程度で「煮沸クリーニング」が推奨されている。「煮沸クリーニング」とは、内釜に水を入れ「そくうま」コースを実行するというもの。洗ったり、拭くことができない圧力弁内部などを蒸気でキレイにしようというわけだ。ニオイが気になった時にも「煮沸クリーニング」は有効だという。

内ぶたはワンアクションで取り外せるので、手間には感じず

内ぶたはワンアクションで取り外せるので、手間には感じず

蒸気が溜まるケースも、使用のたびに取り外して洗おう

蒸気が溜まるケースも、使用のたびに取り外して洗おう

内ぶたに付いてるフィルターを取り外し、蒸気口のケースは分解して洗浄。洗うパーツは、これだけだ

内ぶたに付いてるフィルターを取り外し、蒸気口のケースは分解して洗浄。洗うパーツは、これだけだ

内ぶた上部にある圧力ボールは取り外しできないが、汚れが溜まりやすい部分でもある。定期的に竹串などで汚れを取り除くといい

「煮沸クリーニング」を行う時には、内釜に水を入れて「そくうま」コースをスタート。約40分の炊飯後に保温になったらOFFにして、すべてを乾燥されば完了だ

まとめ

同社で初めて羽釜形状の内釜を採用したRC-10ZWHは、圧力IH炊飯による大火力を羽釜がしっかりと受け止めて、米のおいしさを十分に引き出していると感じられた。近年のトレンドである銘柄ごとの炊き分け機能は搭載されていないが、試食したコシヒカリ以外の米もおいしく炊ける。今回レビューしている間に新モデル「RC-10ZWK」が発売されたが、大きな進化点は「かまど名人」コースでの食感の炊き分けが4段階から9段階になったことと「麦ご飯」コースの追加だ。基本的な炊飯の部分はRC-10ZWHと同じなので、味わいなどは参考にしてほしい。

RC-10ZWHの味や食感については、圧力方式であるため、もちもち感が強く甘みを引き出したしっかりとしたものとなる。「かまど名人」コースの「しゃっきり」にすると粒感がより強くなるが、それでもごはんの弾力は十分。比較的やわらかめでもちもとした食感のごはんが好きという人に向いているだろう。また、真空による保温も優秀なので、ごはんを食べる時間がバラバラで長時間保温することが多い家庭には最有力候補となるはずだ。

コヤマタカヒロ

コヤマタカヒロ

デジタル機器から白物家電まで幅広い範囲で執筆活動を展開。特に炊飯器には注力しており、米・食味鑑定士の資格も所有。

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