まるでパン屋さんのような香ばしい焼きたてパンが、おうちで簡単に作れるすてき家電「ホームベーカリー」。これから自宅キッチンに導入して、ふわふわパン生活をスタートしたいと思っている方も多いですよね。筆者も同じで、今からホームベーカリーを始めたいと思っている初心者です。しかし、今やスタンダードな生活家電の1つになってきているホームベーカリーは、さまざまなメーカーから多機能な製品がたくさん登場していて、何を基準に選んだらよいか迷ってしまうような状況です。
そんななか、筆者が自分と同じ「おうちパン初心者」の皆さんにお知らせしたいのが、このホームベーカリー。象印の「パンくらぶ BB-ST10」です。
この製品に興味を持った一番の理由は、薄力粉から手軽にパンが作れる新機能「薄力粉コース」が付いているから。普段の料理でよく使う薄力粉でパンが作れるというのは、初心者でも手が出しやすいポイントじゃないでしょうか。……というわけで今回は、このBB-ST10で、ホームベーカリー初心者の筆者が「初めてのおうちパン」にチャレンジしてみたいと思います!
ちなみに筆者は1人暮らしの30代女性。普段から料理はしますが、たいしたこだわりもなく必要最低限3食作って終わります(面倒くさがりというやつですね)。そんなエコな姿勢で料理をしている筆者が、BB-ST10でいかに面倒くさがらずにパンを焼けるかにも注目しながらお楽しみください。
ホームベーカリーといえば、小麦粉やバターなどの材料を入れてスイッチを押せば、あとは機械が勝手に生地をこねて発酵させて、パンを焼き上げてくれるすごいやつ……くらいの感じで思っていましたが、最近の機種はそんなものでは終わらないそうですね。このBB-ST10もそう。象印「パンくらぶ」シリーズ現行製品で一番価格が高い上位モデルなのですが、機能がたくさんあって、いろいろなことができるみたいです。まずは基本性能を見ていきましょう。
製品には、これらのパンを作る調理器具が同梱されています
象印「パンくらぶ」シリーズ全製品に共通する大きな特徴がココ。高火力で焼き上げる「底面加熱ダブルヒーター」が付いていて、象印さんの言葉を借りると「これでパン屋さんの窯を再現する構造になっている」のだそうです。……サラッと言いましたが、高さ30センチちょいの箱で「パン屋さんの窯を再現する」って結構すごい話だと思うんですよ。かなり期待をあおられます。
こちらはふたを開けたところ。パンケースがセットされています
パンケースを取りはずすと、周囲と下にヒーターが張られているのが見えます
これが「底面加熱ダブルヒーター」のイメージ図です。パン屋さんの窯を再現すると言われてはムダに期待が高まる!
そして今回、「おうちパン」初心者の筆者が目を付けたのがこの新機能「薄力粉コース」。その名の通り、強力粉ではなく薄力粉で、手軽にいい感じのパンが作れるという機能です。グルテン量が少ない薄力粉でも、コネと発酵時間を自動で調整することで、ふっくらとふくらませることができるのだそうです。
トリセツには「薄力粉」の文字。薄力粉からでも手軽においしいパンが焼ける「薄力粉コース」が付いたことは大きな特徴なのです
ちなみにネットで詳しい方のクチコミなどを見ていると、従来のホームベーカリーでも、薄力粉でパンを作ろうと思えばできなくはないみたいですね。……が、なにせ筆者は初心者。どういう感じでパンが焼き上がるものなのか、コツも何もわからないので、こういう「薄力粉コース」があると、より安心感があってありがたいのです。
そしてBB-ST10、とにかく調理機能が満載です。上述の「薄力粉コース」のほかにも、ミミをパリッとかために焼き上げる「ハードコース」や、逆にミミまでやわらかくしっとり焼き上げる「プレミアムリッチコース」(しかも神戸の食パン専門店「地蔵家」が監修)など、全部で26種類の調理コースが付いているのです。食べきりサイズのパンを焼ける「ハーフコース」などもあり、筆者のような1人暮らしのユーザーにももってこいですね。
本体ふたの天面に書いてある調理コース一覧。パンだけで17種類、パン生地で2種類、そのほかにめん生地やスイーツ、お餅も作れちゃいます!
また、あまったごはんからパンを作れる「ごはんコース」なるものが付いていることにもびっくり。ホームベーカリーとしては普通の機能なのですね。米粉からパンを作れる「米粉コース」も付いています。さらに、パンだけでなく、もち米からお餅をつける「もちコース」もあるし、おそばやうどん、パスタなど麺類の生地も作れると知って、筆者のおどろきは倍増。改めて、すごいぞホームベーカリー。
パン作りにあたり、初心者にとって難しく感じるのがイーストの扱いです。しかしこちらに関してもご安心を。BB-ST10には、あらかじめ専用容器にイーストを入れてセットしておけば、よいタイミングで勝手に入れてくれる「イースト自動投入」機能が付いているのです。これだけでも、初心者はかなり気楽にパン作りに挑戦できますよね。
ふたの内側には、具材とイーストを入れておく専用容器が付いています
これがイーストを入れておくところです
なお、「パンくらぶ」シリーズには、本製品より少しお安い下のモデル「BB-SS10」もあり、こちらも米粉パンやケーキ、そば&うどんを作るコースもひと通り付いていてお得そうです。ただ、今回筆者が注目した「薄力粉コース」は付いていません。そのあたりの便利機能は、今回試す上位モデル BB-ST10ならではの特徴と言えそうです。
さて、いよいよ初めての「おうちパン」にチャレンジしていきたいと思います。箱から取り出した本体の大きさは22.5(幅)×34.5(高さ)×31.5(奥行)mmで、電気ポットくらい。ホームベーカリーの一般的なサイズですよね。1人暮らしワンルームの狭いキッチンなどでは、置き場を工夫しなくてはならないかもしれませんが、一般的な家庭のキッチンであれば設置にはそこまで苦労しなさそうです。つるつるしたホワイトの本体は、他の調理家電と並べてもなじみやすそうで好印象です。
改めまして、これがBB-ST10
横から見たところ。電源コードは本体に収納しておけます
後ろから見たところ
こちらは天面の様子。手前にモニターと操作ボタンがあって、ふた側には26種類の調理コースが書いてあります
ちなみに、箱を開けたときに豪華なレシピ本が入っていることにも驚きました。本屋さんで売っていてもおかしくないのでは? というくらいの立派なレシピ集で、これを眺めるだけでもワクワクしますね。
ちょっとお金がかかってそうな豪華なレシピ本が入っています
神戸の食パン専門店「地蔵家」が監修したコース「プレミアムリッチパン」の各種レシピや、
「ポテマヨパン」「ごまおさつパン」など、具入りパンのコースも。見ているだけでおいしそう!
さて、いよいよ実践です。例のあの機能「薄力粉コース」を使って、薄力粉によるパン作りにチャレンジしてみたいと思います。はじめに、パン生地の材料=イースト、水、薄力粉、砂糖、スキムミルク、塩、バターを揃えます。初心者だと「メーカーが推奨する専用の材料を通販とかで買わないといけないのかな?」と思ってしまうこともあるのですが、そんなことはありません。材料はスーパーで売っている市販品を買ってくればOKです。……で、実はもうこれだけで必要作業の半分近くは終わっています。
というわけで、さっそく薄力粉を使ったパン作りにチャレンジです! ……ってもう、材料をスーパーで買ってきた時点で手順はそこそこ終わってるのですが
あとはざっくり3ステップだけ。まずBB-ST10のふたから具入れ容器を取り外し、イースト部にドライイーストを入れてふたに設置します。おうちパン初心者の皆さん、ハードルが高そうなイーストと触れ合うのはここだけです。
まずはこの具入れ容器をふたから外します。
こんな感じでイーストを入れます。具材を入れる場合はとなりのケースに入れておきます
イーストを入れた専用容器を、本体のふたに取り付けます
次に、本体からパンケースを取り出し、ハネを取り付けます。このハネが回ってパンをこねてくれるわけですね。続いて、用意した材料を測ってひとつずつ順番に入れていきます。すべての材料を入れ終えたら、パンケースを本体に入れてふたを閉めます。
パンケースの内側に、ハネを取り付けます。これを忘れると、パンがこねられず、液体のままになっていまうので注意
パン生地素材をパンケースの中へ。水、薄力粉、砂糖、スキムミルク、塩、バターの順にガンガン入れてしまえばOK。材料の分量や手順は、付属している豪華なレシピ集を見ながらわかりやすく確認できます。か、簡単……
ここからはもうラストスパートです。本体の電源プラグをコンセントに差し込むと、自動で電源がONになります。本体上面のモニターに調理コースが表示されるので、矢印のついた「コース」ボタンを押して使うコースを選びます。今回は番号「10」の「食パン・ドライイースト『薄力粉』」コースを選択。そして最後に「スタートボタン」を押します。
コンセントを差せば本体の電源は自動でONになります。あとはコース「10」を選択して「スタートボタン」を押すだけ! 材料を測り始めてからここまで10分程度です。やっぱり簡単だ……
これだけで終わりです。あとは勝手にBB-ST10が先ほど入れた素材をこねまわして焼いてくれます。慣れれば、材料を測ってスタートボタンを押すまで、たった10分程度でできちゃいます。
稼動している最中のBB-ST10をそっと観察していたら、時折小さい音でウォンウォン鳴ってます。きっとパンの生地をいい具合にしてくれているのでしょう。途中でガガ…バン! という音が鳴って「ああ、いまイーストを投入したんだな」というのがわかって楽しいです。これらの稼動音はそこまで大きいわけではないので、スタートボタンを押したあとはほったらかして、ほかのことをしていてもたいして気になりません。そんな風にして、待つこと約4時間。
稼動中のBB-ST10。しばらくウォンウォンと低い音で鳴ったあと、完全に静止しました。発酵→生地を寝かす段階に入ったようです。その後、できあがりの30分くらい前から、いい匂いが漂い始めました
……できあがりました! 初めてのおうちパンが完成です。ふたを開ける前から、すでにあたりにはパンの香ばしい匂いがほんのり漂っています。ドキドキしながらふたを開けると……仕上がってます!
じゃーん。仕上がってます
とりあえず見た目はよさそう。上からのぞき込み、焼きたてパンの香りを自分の顔面全体でふんわり浴びてみました。…至福です。筆者の中で食欲以外の感覚がすべて吹っ飛びました。
まずはパンケースごと取り出します。できたては熱いので、取り出すときには必ずミトンなどを使うようにして気をつけましょう(筆者はさっそく油断して右の人さし指を少々ヤケドしてしまいました)
薄力粉パンを取り出してみました。かなりいい感じです!
ミミはきめ細かくてカリッとしています。きっと例のパン屋さんの窯を再現するという「底面加熱ダブルヒーター」の効果だと思われます
パンを切ってみます。中身はふわふわです。しかも食べてみたら超おいしい。うっかり1人で「ほんとに?」と口走ったくらいおいしいです。これは成功と言っていいんじゃないでしょうか!
中身はふわふわ……これは成功でしょう!(自分で言う)
BB-ST10の隣において記念撮影してみました
ホームベーカリー初心者の筆者でも、一発でおいしいパンを作ることができました。ちなみに薄力粉パンの味は、普段食べているパンと比べるとふわふわで軽〜いです。少しアッサリめな印象。薄力粉の影響なのか、ほんのりお菓子っぽい風味もありました。簡単に言うと、とてもおいしいです。
切ってお皿に乗せてみました
ミミまでおいしそう
裂いてみるとふんわり……
まさか、こんなに簡単においしいパンが作れるとは。パン生地の素材を用意してからあとの流れは簡単すぎて、面倒くさがりの筆者でも面倒くさがるタイミングがありませんでした(材料を測る段階が一番面倒だったくらいです)。
これはもう1回やりたい! …ということで調子に乗って、スタンダードに強力粉を使ってのパン作りも試してみることにしました。薄力粉ですでに成功しているので、ただやりたいだけなのですが。
そんなわけで強力粉を使ったスタンダードなパンも作ってみることにしました
さて、今度もうまくできるでしょうか? 先ほどと同じように、スーパーで買ってきた材料をパンケースに入れて本体にセットしたら、今度はコース番号「1」「食パン・ドライイースト『ふんわり』」コースを選択。そして「スタートボタン」を押せばOKです。やはり簡単!
基本の手順は前回と一緒。パン生地材料をすべてパンケースの中に入れて……
今回はもっともスタンダードな「ふんわりパン」を作るので、コース「1」を選択して「スタートボタン」を押します
約4時間後、今回も無事にできあがりました。切ってみると……こちらもふわふわです。食べてみましょう。
できあがりました! 見た目からして、前回の薄力粉パンとは質感が違っています。表面がいい具合にザラザラしていておいしそうです
パンケースから取り出したところ。強力粉パンのほうが、ミミの質感がざっくりしている印象です
切ってみました。中身はふんわりしてます
……食べてみると、こちらもおいしい! 最初に作った薄力粉パンと比べると、やはり強力粉パンのほうがミミが一層カリッとこんがりしていて、中身のふんわり感とのコントラストが大きくて「パンっぽい」です。これが例の高火力で焼き上げる「底面加熱ダブルヒーター」の力か。おそるべし「底面加熱ダブルヒーター」。
特に、上部のミミの食感がよりカリッとしていました
取りあえずひと言で総括すると「これぞパン!」
というわけで今回、おうちパン初心者の筆者でも、迷わずに2種類のコースを使いこなしておいしいパンを焼くことができました。大成功です。
もう完全に調子こいてますが、ここまで来たのでごはんを入れたパンも作ってみることにしました。通常のパンを作る材料に、冷ごはんを混ぜて作ります(※スキムミルクだけは使いません)。ごはん入りパンは焼きあがりまでの時間が短くて、3時間ちょっとで焼けます。
おうちの冷蔵庫にあまっていた冷ごはんを使ってみます
小麦粉の層に、ごはんをほぐしながら入れます
そのほかは前回作った2種類のパンとほとんど同じ手順です。つまり……簡単ということ!
今回はごはん入りパンが作れるコース「9」を選択しました
ごはん入りパンの完成! 前の2種類のパンとは、ビジュアルが少々異なっています。少し白っぽくて、表面がなめらかな感じです
パンケースから取り出してみました。どんな味がするのかワクワク
ミミの部分にごはんのつぶつぶが少し残っているのが見えます。おや……
さっそく食べてみると、これは一層もちもちでおいしい! ふっくらしているのですが、これまでに作った2種類のパンよりさらにもっちり度が増していて、甘みもあります。ちなみに、ミミの部分にはお米のつぶつぶが少し残っていました。何となくつぶつぶが残ってはいけなかったような感じもしますが、これはこれで食感のアクセントになっているということで、逆によしとしましょう!(※ごはんを投入するときに、もっとバラバラにほぐしたほうがよかったようです)
切ってみたところ。中身はなめらかでふんわりしています
食べてみると、前回の2種類のパンと比べてとにかくもちもち度がアップしていて、すごくおいしかったです。周囲にも大好評!
ごはんからパンを作ると聞くと、パナソニックの「GOPAN」が思い浮かぶ人も多いと思うのですが、あちらが売りにしていた完全な生米からパンを作るのとはまたちょっと違いますね。
今回BB-ST10で試した冷ごはんを使うパターンは、もちもち感が増したパンを作れる特別レシピという感じ。ごはんを炊いたあとに、あまってしまった分を冷蔵庫で保存することって多いですよね? BB-ST10があれば、そういうあまったごはんを使ってひと味ちがうパンをおいしく作れるというわけです。
最後に、おいしいパンを焼いたあとのBB-ST10のお手入れについて。ここは正直、面倒くさがり屋には慣れるまでわずらわしいところですが、本体を長く使うために大切なポイントですね。本体とふたは水洗いできないので、濡らしてから固くしぼった布でふき取ります。パンケースは、中のハネにこびりついた生地を水かぬるま湯でふやかして取ります。ハネと具入れ容器も含めて、一般的な台所用中性洗剤で洗えます。
BB-ST10本体は、水洗いできないので布かなにかで拭き掃除します
パンケースは表面がフッ素コーティングされていて、パンを焼いたあとでもほとんど汚れが付いていません。なのでお手入れも楽チン
ハネの取り付け部分にだけ少し生地がこびりついて固まっているので、水でふやかします。2〜3分ふやかせばすぐに取れるので、そこまで手間はかかりません
あとは一般的な台所用中性洗剤で洗えばOKです
イーストと具材専用容器のほうも忘れずに……
このBB-ST10があれば、パンだけでなくパスタやうどんなど手軽にレシピの幅を広げられますし、これまで必要最低限しかしなかった料理がもっと楽しくなりそうです。それに筆者のような面倒くさがり屋でも、操作が苦にならなかったことはポイント。安売りしていた大きいサイズの薄力粉を買ってしまって、それが冷蔵庫であまっているようなときもありますよね。特に筆者のような1人暮らしの人に多いと思います。そんなあまっている薄力粉を、おいしいパンを作ることで消費するのもアリかも。
全国のおうちパン初心者の皆さん、まずは普段から料理に使っている薄力粉で、手軽にホームベーカリーを始めてみてはいかがでしょうか。
というわけで初めてのホームベーカリー、大成功でした
最後に。作ったパンは冷凍保存もできます。切って冷凍庫に入れておいた1枚をトースターで焼いたらこれもまたおいしかったですよ
オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。