屋外でのキャンプはもちろん楽しいけれど、室内で行う「家キャン」も意外と楽しいもの。ダッチオーブンやスキレットで料理を作ったり、アウトドアファニチャーを使ってくつろいだりするだけで、けっこうキャンプ気分が味わえます。そんな気分を盛り上げるのに欠かせないのが「ランタン」。ただし、家の中で使う場合、絶対に使用してはいけない種類もあるので、そういったランタンの基本を紹介しつつ、家キャンにうってつけなモデルを厳選してみました。
ランタンは「燃焼式」と「電池式」の2種類に大別され、燃焼式にはホワイトガソリンを燃料とした「ガソリンランタン」、アウトドアガスカートリッジを使用する「アウトドアガスランタン」、カセットガスカートリッジを装着する「カセットガスランタン」があり、電池式には「LEDランタン」があります。この内、家の中で使えるのは電池式のみ。火事や一酸化炭素中毒の危険がある燃焼式は室内での使用は当然NGですが、屋外でのキャンプであってもテント内では使わないのが常識です。
後方左からガソリンランタン、アウトドアガスランタン、カセットガスランタン、LEDランタンで、手前左がLEDランタン、右がカセットガスランタン。燃焼式は発光部が熱くなり、ヤケドする恐れがあるため、小さな子どものいる家庭では屋外であっても気をつけて使用しましょう
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家キャンで使えるのはLEDランタンに限られるということは、白色の味気のない明かりになるのか……とがっかりされる方がいるかもしれませんが、安心してください! 電球のような暖かい色の光を放つLEDランタンもたくさんあります。白色の光のほうが照度は高めではあるものの、家キャンでは雰囲気を重視し、暖色系のLEDランタンを選んだほうがより楽しめるはず。複数のランタンを飾って華やかな雰囲気にしたり、テーブルランタンと部屋を照らす間接照明の2灯でしっとり演出するのもいいでしょう。
LEDランタンは乾電池または充電式バッテリーを使用。なかには、乾電池とバッテリーのどちらでも駆動するモデルもあります
ひとつ、実用的な選び方のアドバイスを付け加えるなら、光量と連続点灯時間は確認しておいてほしいところ。点灯するだけでなく、スマートフォンなどに充電できる機能を備えたモデルもあり、こうしたものは防災グッズとしても役立ちます。
近年、LEDランタンにはインテリア性の高いモデルが続々とラインアップされています。今回は2019年秋から2020年春までに登場した最新モデルの中から、飾っておくだけでもさまになる5製品をピックアップしてみました。過ごし方や部屋に合ったモデルを選んでください。
これから紹介する厳選した5製品。点灯させずに飾っておくだけでも、かなりいい雰囲気です
竹素材を用いた暖かみのあるデザインに暖色LEDを採用しており、やわらかいオレンジの明かりの中、穏やかにくつろぐことができます。内蔵のリチウムイオン蓄電池で駆動し、最大点灯時間は90時間。丸みのあるLEDの発光部には衝撃を防ぐガードが施されているので、アウトドアでも安心して使えます。
サイズは約12.5(直径)×25.5(高さ)cmで、重量は約900g
LEDの発光部。丸くてかわいい!
LEDライトはバルブガード構造で守られているので、屋外で使う時も安心です
長押しで点灯するロータリースイッチを採用しており、無段階で調光できます。明るさは最大約247lm(ロゴス基準値)
点灯すると、バブルガードの影が出るものの明るさに影響なし。しっかりとボディの真下まで光がまわります。連続点灯時間は8〜90時間
付属のUSBケーブルでパソコンなどから蓄電して使用。容量は5,000mAhで、バッテリー残量ゼロの状態から蓄電完了まで約7時間かかります。また、スマートフォンなどに充電することも可能
部屋の隅に置いて間接照明として使うのもおしゃれな本製品は、クラシカルなデザインが特徴的。戦前に北米の鉄道会社が使用していたランタンをモチーフにしており、ガラスホヤもあえて気泡が入ったものを採用しています。明るさは無段階で調整でき、最大100時間点灯可能。
サイズは約14.5(直径)×24cm(高さ)cmで、重量は約960g
気泡の入ったアンティーク調のガラスホヤが、よりクラシカルな雰囲気を高めています
光源は、フィラメントを模したエジソン球タイプの暖色LED
電源スイッチもシンプルで、アンティークな雰囲気で統一されています。このスイッチを回して、35〜200lmの範囲で無段階調光が可能
ホヤが球形なので、本体の真下まで光がまわります。ホヤガードの影は出てしまいますが、気になるほどではありません。連続点灯時間は3.5〜100時間
着脱できる充電式バッテリーで駆動。バッテリー容量は約4,400mAh
バッテリーには付属のUSBケーブルで充電。インジケーターも装備されているので、残量を確認できます
一見普通の形のランタンに見えますが、本体とカサが分離する構造となっており、本体は普通のランタンのようにテーブルなどに置き、カサ部は吊り下げ式ランタンとして同時に使用できます。また、付属のステンドグラス風シートをホヤにセットすると、違った表情のランタンや明かりになるのもおもしろいところ。同シリーズには「レッド」と「ブラック」がラインアップされていますが、今回紹介する「アンティーク」は既存モデルよりも落ち着いた配色で、大人っぽい雰囲気を醸しだしてくれます。
ステンドグラス風シートをセットした状態。ボディはABS樹脂製ですが、ブロンズ調に仕上げられています。サイズは約16.5(直径)×33(高さ)cmで、重量は約770g
標準の状態で点灯した明かりは、シャープな印象。エジソン球タイプのLEDを電球のようなデザインにした光源を採用しています
ステンドグラス風シートを使うと光がやわらかくなりました。テーブルトップで使ってもまぶしすぎて困ることはないでしょう
ステンドグラス風シートを付けて点灯しましたが、シートの柄はほとんど影響せず。本体真下から広い範囲を照らす光が放たれます
スイッチを回すと電源がオンになり、無段階で調光可能。明るさは最大110lm
このように本体とカサを分離して、2つのランタンとして使うこともできます
本体とカサ部を同時に点灯させるには、それぞれに乾電池が必要。本体には単1形乾電池3本、カサ部には単3形乾電池3本をセットします
カサを外し、本体のみで点灯する際には、底部に収納されているフタを取り付けて使用します。連続点灯時間は最大8時間
カサ部は吊り下げて使用。調光はHigh(73lm)/Middle(30lm)/Low(15lm)の3段階で、連続点灯時間はHighが72時間、Middleが150時間、Lowが300時間となっています
竹素材の土台に麻素材のハンドルを採用した本製品は、部屋にもなじむ温かみのある仕上がり。フロスト加工が施されたホヤから放たれる暖色LEDの光はやわらかく、リラックスできる雰囲気を演出してくれます。調光は無段階で行え、最大点灯時間は約75時間。
サイズは約12.5(直径)×26(高さ)cmで、重量は約600g
麻素材の吊り下げハンドルは、ワイルドながら全体の印象をソフトにしてくれます
乳白色のホヤを外して、光源をチェック。ケースに覆われた暖色LEDが並んでいます
ロータリースイッチを長押しすると点灯し、回すと20〜370lmの範囲で無段階に調光できます
ホヤがベース部分よりも小さいため真下に少々影ができますが、全体的にムラなく光る印象。フロストホヤで光はやわらかく、落ち着きます。連続点灯時間は3.8〜75時間
電源はバッテリー式。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約7時間かかります。スマートフォンなどに給電も可能
ランタンとスピーカーを融合させた構造となっており、Bluetooth接続したスマートフォンなどから音楽を再生し、光と音楽で空間を演出できます。360°どの位置で聞いても同じ音が楽しめるよう筐体を円錐形にするとともに、立体的な音を再現するため、上部にツィーター(高音部)、下部にウーファー(低音部)のスピーカーを搭載。最大23台の「UMA Mini」と同期して、ひとつの音源から同じサウンドを流せるパーティーモードが用意されているのもユニークなポイントです。そして、肝心の明かりに関しては、ろうそくのような温かみのある色味。ボディの大半が発光し、その光をさえぎるガードもないため、家キャン以外でも使いやすいランタンでしょう。
サイズは約10(直径)×21.4(高さ)cm、重量は約700g。レザー製のストラップも装備されています
天面にあるボタンを長押しすると点灯し、ボタンを押すごとに2段階(Low/ High)で明るさが切り替わります。明るさは最大100lm
乳白色のシェードからは影やムラのない光が広がります。内蔵バッテリーで駆動し、連続使用時間は最大20時間(ライトLow設定時)
付属の収納袋は保管や持ち運びに使うだけでなく、UMA Miniを収納袋に入れてまま点灯させると、また違った表情の明かりが楽しめます
音楽の再生や選曲はBluetooth接続したスマートフォンなどから行いますが、音量調節は本体天面に装備されたタッチパネルで操作可能
iPhone内にある音楽を再生し、UMA Miniで流してみました(下の動画参照)。なかなかクリアな音ではないでしょうか。
Bluetooth接続できない端末でも再生できるようにAUX端子も装備されています
今回紹介したLEDランタンは個性派ぞろい。光の印象も異なりますし、それぞれの特徴が優劣をつけがたいほど魅力的でした。ただ、家キャン向けということを考慮すると、乳白色のフロストホヤを装備したモデルは、直視してもまぶしさをあまり感じないのでテーブルトップで使いやすく、ホヤがクリアで強めの光を放つモデルは、部屋の隅に置いて間接照明的に使用するのに向いている印象。とはいえ、光量を調節すればいいだけなので、好みのデザインと機能で選んでも問題ありません!
キャンプ用だからとランタンを物置に収納しておくのはもったいない。いつでも手に取れる場所に置いておき、思い立ったらすぐ家キャンができるようにしてみてはいかがでしょうか。そんな楽しみ方ができるのも、LEDランタンならでは。燃焼式ランタンではできない遊びです。
普段はインテリアとして飾っておいて、キャンプが恋しくなった夜に点灯して家キャンを楽しんでみては?
アウトドア雑誌の副編集長職を経てフリーランスとして独立。以降、アウトドアをはじめ、グッズ、クルマ、旅行などレジャー関連を中心に執筆している。