懐かしのあの曲が、デジタルオーディオプレイヤーで聴ける!

うれし恥ずかし「思い出のカセットテープ」をMP3データにしてみた

このエントリーをはてなブックマークに追加

「何でもかんでもデジタル」という世の中に反発するかのように、再度脚光を浴びているのがアナログオーディオだ。市場に再び定着した感のあるアナログレコードはもちろんだが、カセットテープもまた、復権の兆しを見せている。近年、海外ではジャスティン・ビーバー、日本でもユニコーンなどのアーティストがカセット版の新譜をリリース済みだ。カセットテープ全盛期の1980年代に青春を謳歌していた世代の人の中には、思い出のカセットテープを棚の奥に眠らせているという人もいるだろう。筆者もそのひとりだが、そうした貴重な音源をデジタルオーディオプレーヤーなどで気軽に聴くことができたら、と思うことは少なくない。そこで今回は、カセットテープ音源を簡単にデータ化できるというION AudioのポータブルUSBカセットテープ・プレーヤー「Tape Express」を試してみた。

カセットテープの音源を簡単にデジタルデータ化できる「Tape Express」

今回使用するのは、往年のマスコミ関係者がインタビューに使用していた通称“テレコ” を思わせる風貌の「Tape Express」。カセットテープの音源をデジタルデータにすることで、デジタルオーディオプレーヤーでも手軽に聴けるようにできるUSBカセットテープ・プレーヤーだ。筆者は4,000円弱で手に入れた(2017年3月22日現在の価格.comの最安価格を参考)。

本体サイズは約111(幅)×85(高さ)×30(奥行)mmで、重量は約170g。見た目はなかなかチープだ

本体サイズは約111(幅)×85(高さ)×30(奥行)mmで、重量は約170g。見た目はなかなかチープだ

製品には、専用ソフトを収録したCDとUSBケーブルが付属する。日本語のマニュアルは1枚だけで、ほかは英語のマニュアル

本体端子は、近年スマートフォンから「アイコス」にまで広く使われているmicroUSBではなく、最近ではあまりお目にかかることのなくなったmini-USBだ。ヘッドホン端子も付いているので、携帯カセットプレーヤーとしても使用可能

側面の中央あたりにある黒い部分をスライドして本体をオープンする。その右上がボリュームで、これで出力レベルを調整する

普通の携帯プレーヤーならタテに開きそうなものだが、これは横開きなのが不思議。携帯プレーヤーとして使用する場合は、単3形電池2本を使用する

上部に早送り(FF)、巻き戻し(REW)、停止(STOP)ボタンがあるのだが、中央にある本体開閉ボタンのようなボタンが再生(PLAY)ボタンというのも不思議だ。ちなみに、オートリバース機能があるので、テープをひっくり返すことなく連続再生・データ化ができるのが地味に便利

まずは、データ化するカセットテープがなくては始まらない。クローゼットの中を探索してみると、結構たくさんあった。近年は定額制音楽配信サービス全盛のため、「Apple Music」や「Google Play」などで探せば大抵の音源は発見できるから、カセットからわざわざデータ化する必要もないと思うかもしれないが、意外とそうした配信サービスから漏れている曲は多いと思う。

また、そうでなくても若気の至りで昔やっていたバンドの音源などはカセットテープでしか残っていないということもあるだろう。若干黒歴史を掘り起こしてしまう気もするが、改めて怖いもの聴きたさで聴いてみたい気もする。

非常に懐かしい。そして、手書きのラベルがえらく恥ずかしい。「AXIA」などのブランドも久々に見た気がする。ラベルに「'87」と書いてあるということは、なんと30年モノ! 磁気媒体なうえ、湿気に弱いテープが果たして今でも再生できるのだろうか

今回データ化するのは、TDKのADブランド(ノーマルポジション)の50分テープ。つまり片面それぞれ25分ずつ録音可能な長さだ

大学時代のサークルで、筆者がボーカルを務めていたバンドのテープを発見したので、今回はそれをデータ化することにする。「Tape Express」本体にスピーカーはないので、ヘッドホンで中身をチェック。顔が赤らむ以外は異常なし。

ただ、ヘッドホンジャックがきっちり奥まで入らないのはちょっと……。またカセットの状態を見るための小窓がほとんど役に立たない位置に付いている……

準備は専用ソフトウェアをインストールするだけ。迷わず操作できる

ここからは、カセットテープ音源のデータ化作業を進めていく。作業にあたっての下準備は、専用のソフトウェア「EZ Vinyl/Tape Converter(Windows 用)」もしくは「EZ Audio Converter(Mac 用)」を、付属のCDや公式サイトからインストールするだけだ。ちなみに、「Tape Express」は「iOS対応」をうたっているが、接続には別途アップルのUSBカメラアダプターが必要なので、それを持っていない人にとってはあまり現実的ではないかもしれない。

筆者はMacを使用しているので、「EZ Audio Converter」をインストールした

筆者はMacを使用しているので、「EZ Audio Converter」をインストールした

データ化といっても、USB経由で流れてくるサウンドをソフトを使用して録音していくだけの作業だ。ただ、あくまでリアルタイム録音となる。ファイルのコピーとは違うので、3分の曲なら3分かかる。50分テープなら50分かかるのを忘れずに。それでも、普段聞きようがないカセットテープがデータ化されていくのは楽しい。また、ソフトには自動的に曲間を察知してファイル分けしてくれる機能(若干ミスはあるが)も備わっている。

「EZ Audio Converter」を起動すると「Tape Express」をつなぐよううながされる

「EZ Audio Converter」を起動すると「Tape Express」をつなぐよううながされる

開いた「Tape Express」にカセットテープを装着

開いた「Tape Express」にカセットテープを装着

録音を始めたいところまでテープを巻いたら、USBケーブルでパソコンと接続し、USBデバイスとして認識させる

録音を始めたいところまでテープを巻いたら、USBケーブルでパソコンと接続し、USBデバイスとして認識させる

筆者の環境は12インチのMacBookで、USB Type-Cポートしか搭載されていないため変換アダプターを使用しているが、通常は直接USBポートに挿せばいい

「Tape Express」の「PLAY」ボタンを押すと、Macから音楽が流れ出し、右側のグリーンのインジケーターがチラチラ増減。これが録音レベルなので、適度なレベルに調整する。そして画面右下の「record」ボタンを押せば録音スタート。実に簡単だ

録音を終えると、タグ入力画面が表示される。面倒ならあとからiTunes上で付けたほうが効率的かもしれない

録音を終えると、タグ入力画面が表示される。面倒ならあとからiTunes上で付けたほうが効率的かもしれない

Macの場合、データ化したファイルはそのままiTunesに登録される。Windowsの場合は、保存先を選択することができるようだ

今回はあとでノイズ処理をするため、WAV形式で取り込んだ

今回はあとでノイズ処理をするため、WAV形式で取り込んだ

カセットテープには「ヒスノイズ」が付きもの。ノイズ除去にも挑戦してみた

そう、カセットテープの歴史はヒスノイズとの戦いの歴史と言っても過言ではないだろう。テープの特性で、どうしても「シーー」というノイズが常に入ってしまうのである。そのため、全盛期には各社「ハイポジション」や「メタルポジション」などの工夫を凝らしたノイズレス技術を発達させたものだ。

実際にiTunesに取り込んだファイルを聴いてみると、確かに「シー音」がする。懐かしさ満点でこれはこれでいい気もするが、やはり気になるので、ノイズ除去に挑戦することにする。使用するのは、ニコニコ動画界隈やYouTubeなどで「歌ってみた」音源を録音する際などにも広く使用されているフリーのサウンド編集ソフト「Audacity」だ。

もともと英語のAudacity公式サイトだが、右下の翻訳ボタンで日本語化することも可能。ただ、珍妙な文章になるが

基本は英語のソフトだが、操作は単純なのでわかりやすい。編集するファイルを問われたら、先ほど作ったWAVファイルを選択するだけだ

すると「このまま編集するか」「元ファイルを生かしてコピーして作業するか」の2択の質問が出るので、今回は後者を選ぶ

サウンド系のソフトをいじったことがある人ならおなじみの波形画面。いろいろなことができるが、今回はノイズ除去のみに使用する

「ノイズ除去」などというとややこしい感じがするが、操作はいたって単純だ。「ノイズはこれだ」とAudacityに認識させ、それを削除するように指示を出すだけでいい。

音源を再生しながら、ノイズ部分をドラッグして選択する

音源を再生しながら、ノイズ部分をドラッグして選択する

メニューの「エフェクト」から「ノイズの除去」を選択。この画面になったらダイアログ上部の「ノイズプロファイルの取得」をクリック。スッとダイアログが消えるので不安になるが、これでノイズ指定は終わっている

再び同じように、「エフェクト」から「ノイズの除去」を選択。するとあら不思議! ノイズが消える。ここでパラメーターをいじることもできるが、やりすぎると音楽部分まで不自然になるので、多少ヒスノイズは残るが、デフォルトが無難だろう

音質比較用の参考までになるが、「Tape Express」でデータ化した音源を使用した下の動画で確認すると、【加工前】の動画に目立つ「シー」というノイズが、【加工後】の動画からは消えているのがわかるだろう。ただし、ノイズ除去した分、「加工後」の動画の音は多少音にひずみが出ている感も否めない。さらにやりすぎた状態が【加工しすぎ】だが、ノイズ除去を深追いしてしまうと本末転倒なことになるので、このあたりは上手く加減していただきたい。ちなみに曲は、ハービー・ハンコックの有名ジャズ曲「Watermelon Man」に適当に自分で歌詞をつけたものである。

ノイズ除去が満足できるレベルに達したら、保存する。Audacityの拡張子はaupのプロジェクトファイルだが、あとでもう一度編集するのでなければ、そのまま「オーディオの書き出し」でMP3ファイルを書き出してもいい。

MP3化の際、「ライブラリが足りないからLAMEをインストールせよ」という指示が出ることもあるので、その場合は言われたままにすればいい

完成したMP3ファイルは、スマホに移しての再生ももちろん可能だ

完成したMP3ファイルは、スマホに移しての再生ももちろん可能だ

最後にiTunesで好きなようにタグをつければ、なんとなく立派になる

最後にiTunesで好きなようにタグをつければ、なんとなく立派になる

音質にこだわり過ぎなければ、簡単操作で気軽に使える!(ただし時間はかかる)

「Tape Express」は、そこそこにITリテラシーのある人なら、マニュアルを見なくても使えそうなくらい操作が簡単で、専用のソフトウェアの操作も迷うことはないだろう。カセットテープの中の眠れる黄金を抱えている人なら、きっとそれなりの満足ができるはず。

それほど長く使ったわけではないので耐久性は未知数だが、「Tape Express」は単純な機構ゆえに壊れるとしたらモーター部分だろうか。また古いカセットテープを再生するということはヘッドに汚れがつきやすいということでもあるので、数本再生したらヘッド掃除もしたほうがいいのかもしれないが、そんなキット、今はもう売っていないかも……。

とはいえ、何より二度と聞けないはずの音楽をデータ化でき、スマホなどで気軽に再び聞けることになったのは、やはり感動的。時間はかかるが、とっておきの音源ならぜひとも挑戦して、思い出を脳裏でなく実際の耳で聞けるようにしてみよう!

清水りょういち

清水りょういち

元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
レビュー最新記事
レビュー記事一覧
2017.10.11 更新
ページトップへ戻る