iriver「Astell&Kern (アステルアンドケルン)」ブランドのハイレゾDAP新フラッグシップモデル「A&ultima(エー・アンド・ウルティマ) SP1000」(以下、SP1000)。ボディ外装素材にステンレススチールを採用したStainless Steelモデルと、純銅を採用したCopperモデルの2モデルがラインアップ予定となっているが、そのうちStainless Steelモデルの日本での発売日と価格がついに決定した。発売日は7月7日で、直販価格は499,980円(税込)。発売日に先駆けて実機を試す機会を得たので、ここでは実機の写真やAVライターの野村ケンジ氏による音質インプレッションを交えながら、SP1000の進化点に迫ってみた。
A&ultima SP1000 Stainless Steel。7月7日発売で、直販価格は499,980円(税込)だ
SP1000は、「AK380」に続くハイレゾDAPの新フラッグシップモデルだ。AKシリーズとしては第4世代モデルにあたり、“世界最高峰のハイエンドポータブルプレーヤー”をコンセプトとした新プロドクトライン「A&ultima」を冠した製品として登場する。
SP1000は、AKシリーズの第4世代モデルとして展開される
これまではAK○○○という形で製品を区別していたが、今後登場する製品については、それぞれA&○○というプロドクトラインを設定して登場させていく予定だという。また、先日発売された「KANN」については、これらとは別のラインとして展開していくとのことだ。
第4世代AKシリーズでは、それぞれプロダクトラインを冠して登場予定だという
発表時のレポート記事でもくわしくご紹介しているが、これまでフラッグシップとして君臨していたAK380と比べると、DACやアンプ出力といった音に関わる部分だけでなく、内蔵CPUや液晶ディスプレイといった操作性に関わるところまで、ハードウェア部分がかなり強化されている。
SP1000とAK380のスペック比較表。SP1000のDACには、旭化成エレクトロニクス社の最新チップ「AK4497EQ」をデュアル構成で搭載し、DSD 256(USB DAC時はDSD128まで)や384kHz/32bit(Float/Integer)のネイティブ再生に対応した
このように、ハードウェア面で大きなスペックアップを遂げているSP1000だが、本体デザインもこれまでのAKシリーズから大きく変更され、スクエア形状のシンプルな本体形状へと生まれ変わっている。本体サイズは約75.8(幅)×16.2(奥行)×132(高さ)mmとなっており、AK380と比べると高さが増しているものの、ディスプレイを大型化しつつ、ここまでのサイズ感に収めた点はなかなか評価できる。
SP1000 SS。スクエア形状のすっきりとしたデザインだ
SP1000 SSの背面部分。右上には、外部アクセサリー取り付けに使用するネジ穴も用意されている
SP1000 SSの本体側面には、巻き戻しキー、 再生/一時停止キー、 早送りキーといった物理操作キーが並ぶ
AK380(左)とSP1000 SS(右)の大きさを比較したところ。画面サイズが大型化した割に、本体サイズは非常にコンパクトにまとまっている
本体重量は、Stainless Steelモデルが約386.6g、Copperモデルが386.6gとアナウンスされている。Stainless Steelモデルの重量は、無印のAK380に専用アンプを装着したときの重さとほぼ同じだ。実際に手に持ってみると、中身がしっかりと詰まっているためか、思ったより重量感を感じた。とはいえ、AK380のStainless Steelモデルに専用アンプを装着したときよりはだいぶ軽く感じる。
microSDカード挿入済みのSP1000 SSの重さは約388g
専用アンプを装着したAK380の重さはSP1000 SSとほぼ同じ重さだ
専用アンプを装着したAK380 SSの重さは約620g。本体価格だけでなく、本体重量もかなりのものだ
AK380では本体上部に配置された電源ボタンが、SP1000ではダイヤルボリュームキーに統合された関係で、SP1000では、内蔵ストレージ拡張用のmicroSDカードスロットが本体上部へと移動しているのも見逃せないポイントだ。スロット形状も、デザインや耐久性に配慮し、従来のむき出しタイプではなくトレイ式に変更となっている。AK380ではいちいち専用ケースを外さないとmicroSDカードスロットにアクセスできなかったので、個人的には地味にうれしい改良点だったりする。
SP1000のデザインコンセプトは“宝石”。ダイヤルボリュームキーも、宝石をモチーフにしたデザインが施されている
microSDカードスロットは本体上面に移動。スロット形状も、デザインや耐久性に配慮し、トレイ式に変更となった。ちなみに、付属のイジェクトピンは、Astell&Kernの「A」ロゴがモチーフになっている
接続インターフェイスは、本体上部に3.5mmアンバランス出力(光デジタル出力兼用)と2.5mm4極バランス出力を、本体下部には、データ転送&充電用のUSB Type-C端子と拡張ユニット用バランス出力を用意。ちなみに、本体下部の拡張ユニット用バランス出力は、AK380に搭載された4ピンタイプから5ピンタイプへと変更されており、AK380専用アンプなどの従来の関連アクセサリーは接続できないとのことだ。
なお、拡張ユニット用バランス出力を使用するアクセサリー類については、他社との協業も含めて現在検討しているという。今後、サードパーティ製のアンプ等が発売される可能性もあるかもしれないとのことなので、今後の展開に期待しておこう。
本体上面には、3.5mmアンバランス出力(光デジタル出力兼用)と2.5mm4極バランス出力、microSDカードスロットが並ぶ
本体下部には、USB Type-C端子と拡張ユニット用バランス出力を搭載。USB Type-C端子はUSB3.0規格やバッテリーの高速充電をサポートしている
このほか、Copperモデルでは表面コーティングも改良されているという。AK380のCopperモデルと比べると、指紋などが付きにくく、銅素材特有の変色が起こりにくくなっているとのことだ。AK380のCopperモデルはメンテナンスがやや大変だったので、この改良は素直にうれしい。
SP1000のCopperモデル
SP1000 Copperモデルでは、外装のコーティングを改良し、メンテナンス性を高めたという