選び方・特集

《2022年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

31. JVC「Victor HA-FX100T」
「ビクタースタジオ」のエンジニアが音質を監修した完全ワイヤレスイヤホン

ビクタースタジオのレコーディングエンジニアがサウンド監修を行った証である「Tuned by VICTOR STUDIO」ロゴが与えられた、初の完全ワイヤレスイヤホン。とはいえ、この「HA-FX100T」は“完全ワイヤレスイヤホンであっても高音質で楽しみたいというユーザーの要望に応えるため「ビクタースタジオ」に音質の監修を依頼した”という経緯を持つ製品であり、実際にビクタースタジオで利用されているスタジオモニターヘッドホン「HA‐MX100V」とは製品の成り立ちやビクタースタジオ監修の意味合いが異なっていたりする。プロが認めた音をいつでもどこでも手軽に楽しめるというのが「HA-FX100T」最大の魅力といっていいだろう。

実際、完全ワイヤレスイヤホンとしての機能性は最新モデルならではの充実度を持ち合わせている。(型番は非公表だが)最新のクアルコム製SoCを採用することでロングライフと接続安定性を両立。イヤホン本体で最大8時間、専用ケースからの充電を加えると最大28時間の連続再生時間を実現している。また、接続安定性に関しても、TWS Plusに対応しているほかLDSアンテナなども採用されており、あらゆる接続での安定性が追求されている。コーデックはSBC、AACに加えてaptXにも対応。IPX4相当の防滴性能も確保されている。

マイク性能に関しても、ちょっとしたこだわりが盛り込まれている。cVcテクノロジーと高性能MEMSマイクの組み合わせによってクリアな通話が追求されていることに加えて、自動で音質を切り替えて会話を聞き取りやすくなる「はっきり音声」機能も搭載。ハンズフリー機能や片側だけで使用可能な点など、さまざまな便利機能を持ち合わせている点も注目だ。装着感については、円筒から斜めにノズルか突き出したシンプルなデザインと、片側約4.5gの小型ボディによってなかなかに良好だ。また、JVCのイヤーピース「スパイラルドット」が標準添付されているので、音質での優位性もうれしいポイントとなっている。

さて、肝心のサウンドはというと、中域重視、メリハリのはっきりした表現が特徴。帯域バランス的には低域が強めとなっているが、あくまでも中域が主役のチューニングとなっていて、ボーカルなどのフロントラインが強い存在感を主張する。加えて、リアル志向の音色傾向も持ち合わせているため、ボーカルはもちろん、アコースティック楽器の演奏も心地よいサウンドが楽しめる。特にピアノは、ハンマーのノックからホールへと音の広がりまで、すべてが感じ取られるくらいに情報量が多く、それでいて聴き心地のよい素直な音色ともなっている。スタジオモニターヘッドホン「HA‐MX100V」もボーカル、特に女性ボーカルが熱気あふれる歌声を聴かせてくれる魅力的なサウンドだった。そういった点で、両者のサウンドは共通するキャラクターを持ち合わせており、確かに「Tuned by VICTOR STUDIO」の看板に偽りなし、すぐれたサウンドを持つ製品といえる。

ちなみに、「HA-FX100T」は傘の部分が短い交換用イヤーピース「スパイラルドットSF(ストレスフリー) EP‐FX11」もオプションで用意されている。こちらを試してみたところ、音質的にも装着感としてもなかなかに良好だった。定位感のしっかりしたサウンドへと変化するため、音場表現が豊かに感じられる。また、低域もフォーカス感が高まってくれるので、ハードロックなども聴きやすくなり、男性ボーカルは落ち着いた響きに変化する。この組み合わせはなかなかだ。しばらく標準添付の「スパイラルドット」イヤーピースで楽しんだのち、ぜひ「スパイラルドットSF EP‐FX11」も試してみてほしい。

イヤホン重量(片耳):4.5g
再生時間:最大8時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約2.5回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック

32. ソニー「WF-XB700」
スポーツユースを重視した貴重な重低音モデル

ソニー「WF-XB700」は、スポーツユースを重視した重低音モデルという、なかなかに貴重な1台だ。迫力の重低音を生み出すEXTRA BASSサウンドを最大の特長としつつも、スポーツユースにも十分な配慮がなされ、耳の3点で支えることで高いフィット感を保持する「エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー」やIPX4相当の防滴性能、イヤホン本体が左右それぞれにプレーヤーからの音楽信号を受け取る「左右同時伝送方式」などが採用されている。

加えて、イヤホン本体で約9時間、専用ケースからの充電を含めると最大18時間の再生が可能なバッテリー性能を持ち合わせているほか、10分の充電で約1時間の音楽再生が可能なクイック充電にも対応する。BluetoothコーデックはSBCとAACに対応。カラーバリエーションはブラックとブルーの2色だ。

重低音サウンドだけどスポーツモデルの完全ワイヤレスイヤホン。このアピールポイントそのものが、「WF-XB700」の特徴を端的に表しているといっていい。当然、その音色傾向はかなりの低音強調タイプで、分厚い低域によって迫力のサウンドを楽しむことができる。よって、EDMやJポップをメインに聴く人、重低音が好みの人にはピッタリとはまってくれる。いっぽうでハードロックやジャズとの相性はかなり悪くなってしまうが、それは重低音モデル全般にいえることだから致し方のないところ。好みがハッキリと分かれる製品だが、気に入る人にとっては替えの効かない魅力的な製品となってくれるだろう。

イヤホン重量(片耳):8g
再生時間:最大9時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約1回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/ブルー

33. Bang&OlufsenBeoplay EQ」
Bang&Olufsenブランド初のANC搭載完全ワイヤレスイヤホン

Bang&Olufsenブランドとして初となるANC(アクティブノイズキャンセリング)機能搭載完全ワイヤレスイヤホン。3万円後半の実売価格となっているだけあってか、充実した機能性を持ち合わせているのが特徴だ。

まず、最大の注目といえるANC機能は、フィードバックとフィードフォワードを組み合わせたデジタル・ハイブリッド方式を採用。さらに、イヤホン本体のデザインによる遮音性も加わることで、外部ノイズを効果的に遮断しているという。また、ビームフォーミング技術を採用した左右合計4基のマイクによってクリアな通話品質を確保するなど、テレワークの利用にも配慮されている。なお、スマートフォン用アプリ「Bang & Olfsen」も用意され、こちらを活用することでプリセットの音質調整が選べるほか、視覚的に音質カスタマイズを行うこともできる。ANCレベルを11段階で調整することも可能だ。

バッテリー持続時間については、ANCオフ時で最大7.5時間、ANCオンで最大6.5時間と十分なスペックを持つ。さらに、ワイヤレス充電に対応する専用ケースからの充電を含めると約20時間使用できるほか、20分の充電で約2時間の再生が可能なクイックチャージ機能も備わっているため、バッテリー切れで困ることはまずないだろう。このほかにも、IP54の防塵防滴性能を持ち合わせているほか、BluetoothコーデックはSBC、AAC、aptX Adaptiveに対応。機能性については最新、上級モデルにふさわしい内容となっている。

もうひとつ、「Beoplay EQ」にとって重要なセールスポイントとなっているのが、そのデザインセンスだろう。アップルでインダストリアル・デザイナーを務めていた経験を持つMiklu Silvanto氏が担当したデザインは、既存の製品とは一線を画すオリジナリティにあふれた造形となっている。まず、イヤホン本体は円を基本としたデザインを採用しつつ、イヤーモニター然とした良好な装着感も持ち合わせている。やや大柄なのと、装着センサーを活用した片耳モードを持つことから、かなりしっかりした装着を行わなければならず、最初はとまどったものの、慣れてしまえばとても便利に使いこなすことができた。いっぽう、ケースはシンプルながら美しく使いやすい造形となっていて、こちらも好感が持てた。

さて、肝心のサウンドはというと、メリハリのよいクリア志向のキャラクターが特徴。Xiaomi「Mi 11 Lite 5G」とはaptX Adaptiveで接続してくれるためか、解像感が高くメリハリのよいサウンドが楽しめる。特にボーカルは、キレのよいのびのびとした歌声を持ち合わせている。おかげで、Earth, Wind & Fireは普段よりノリのよい歌声と演奏を聴かせてくれた。Jポップも、YOASOBIや米津玄師などは疾走感のある心地よい歌声&サウンドを楽しめる。いっぽうで、fhana(特に「愛のシュープリーム!」)やTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDなど音場こだわり派の楽曲を聴くと、いつもとは異なる音の広がり感で定位感にちょっとしたクセがあるようにも感じた。

とはいえ、音質的には完全ワイヤレスイヤホンとして有数のクオリティを持ち合わせているし、メリハリのよいサウンドキャラクターはノリよい演奏が楽しめる。デザイン、機能性も含め、とても充実した製品といえる。

イヤホン重量(片耳):8g(右側、左側は約6g)
再生時間:最大7.5時間(ANCオフ時)/最大6.5時間(ANCオン時)/最大5.5時間(ANCオン時/aptX接続)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX/aptX Adaptive
カラーバリエーション:ブラック/サンド

34. ゼンハイザー「CX True Wireless」
ゼンハイザーサウンドを手軽に楽しめるノイキャンなしの入門機

ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンとしては4番目のモデルとなる「CX True Wireless」は、事実上「CX 400BT True Wireless」の後継モデルといえる存在だが、実売価格を5,000円以上も引き下げて15,000円前後に設定するなど、よりコストパフォーマンスの高い製品へとシフトしている。それでいて、上位モデル「MOMENTUM True Wireless 2」と同じ7mm口径ドライバー「トゥルーレスポンストランスデューサー」を搭載するなど、音質面での妥協がないのはうれしいポイントだ。

「CX True Wireless」は、「CX 400BT True Wireless」のデザインがそのまま踏襲されており、(イヤホン本体やケースなど)ほとんど変わっていないように見えるが、耳側ノズルまわりのデザインも変更され装着感がさらに向上したり、IPX4の防滴性能も与えられているなど、いくつかの改良が行われている。「CX 400BT True Wireless」のイヤホン本体は「MOMENTUM True Wireless 2」と共通する部分も垣間見られたが、「CX True Wireless」ではゼンハイザー製完全ワイヤレスイヤホンとしてのアイデンティティーを保ちつつも、完全に別のものになった印象だ。

BluetoothコーデックはSBCやAACに加えてaptXに対応。バッテリーはイヤホン本体で最大9時間、専用ケースからの充電を含めると最大27時間の使用できるようになっている。カラーバリエーションは、ブラックとホワイトの全2色だ。

さて、肝心のサウンドを確認すべく、Xiaomi「Mi 11 Lite 5G」を使って音楽再生してみる。コーデックは、aptXで接続した。最初、スマートフォン用アプリ「Smart Control App」なしで接続してみたところ、低域がかなり強調されたうえ、全体的にライトな印象のサウンドとなっていた。あまりにも既存モデルとは異なる音色傾向だったため、「Smart Control App」を利用して改めて接続。デフォルトのEQ設定「ニュートラル」で聴いてみたところ、「CX 400BT True Wireless」とほぼ同じ方向性のキャラクターとなった。ややメリハリを抑え気味にして整いのよい表現へとシフトしているのが微妙な違いか。とはいえボーカルが実体感のあるウォーミーな歌声を聴かせてくれる点に変わりはない。やや女性ボーカルの歌声がやさしげになっているが、これはこれで心地よい。

また、新たに加わったバスブーストも試してみた。こちらは、アプリからワンボタンでオンになるが、思ったよりも自然な低音増強で、音色的にはほとんど変化がないというか切り替えした時の違和感がない。低域自体が比較的やわらかい響きなので、ポップスなどの現代音楽を聴いているとかなり心地よい。ハードロックはやや苦手、クラシックは好み次第、といったところだろうか。

このほかにも、操作系でもタッチパネルの感度が絶妙で敏感、かつ誤操作のない操作性を実現しているなど、完成度の高い製品に仕上がっている。価格設定も含めて、なかなか魅力的な製品だ。

イヤホン重量(片耳):6g
再生時間:最大9時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト

35. ソニー「h.ear in 3 WF-H800」
機能満載の「h.ear」シリーズ初の完全ワイヤレスイヤホン

ソニー「h.ear」シリーズの完全ワイヤレスイヤホンとして誕生したのがこの「h.ear in 3 WF-H800」だ。

製品の特徴をひとことで表すならば、アクティブノイズキャンセリング機能“以外”全部入り、といった内容となっている。具体的には、圧縮音源の高音域を補完する「DSEE HX」、音声アシスタント機能(GoogleアシスタントやAmazon Alexaなどに対応)、装着検出機能による音楽再生のオンオフ、左または右だけの片側使用、左右同時伝送方式による高い接続安定性、アプリによるイコライザー調整など、最新モデルとしての多機能さを持ち合わせている。

また、バッテリーライフに関しては、イヤホン本体で最長8時間、専用ケースからは1回分の充電が行えるので、合計16時間程の使用が可能となっている。本体は十分以上だが、専用ケースはもう少しバッテリー容量が大きいとありがたかった。とはいえ、通勤などで頻繁に活用しても困ることのない、使い勝手のよさは十分に確保されている。

いっぽうで、デザインやカラーバリエーションなども「WF-H800」の魅力のひとつといえる。丸みを帯びたデザインは男女問わず幅広い層に好まれそうだし、片側約7.6g、かつ耳の3点で支える「エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー」デザインは、快適な装着感をもたらしてくれる。コントロールボタンも本体の上側に配置され、操作しやすい。人によっては“可愛らしすぎる”という意見が出てきそうだが、ことスタイルに関しては、まとまりのよさ、機能性ともに弱点のない巧みな造りといえるだろう。

専用アプリ「Headphones Connect」もなかなかに便利だ。5バンド式のイコライザー機能は、8種類のプリセットが用意されるほか、好みの設定にカスタマイズすることも可能。また、「DSEE HX」のオンオフ、接続タイプ(音質優先or接続優先)の切り替え、さらにはイヤホン本体ボタンのカスタマイズなど、幅広い機能性を持ち合わせている。メニュー表示も分かりやすく、なかなかに良好な使い勝手といえる。

なお、5色用意されているカラーバリエーションは、ウォークマンA100シリーズとの色調を合わせたものとなっている。とはいえ、全体的にポップなイマドキの色調が採用されているので、単体でも魅力的なカラーコーディネイトだと思う。

さて、肝心の音質はというと、中域の表現を重視した、バランスのよいサウンドにまとめ上げられているのが特徴だ。音色は刺激的過ぎず、曲によってはややライトな印象になるものの、その分音色表現の多彩な、最新のトレンドに近いサウンドが楽しめる。また、表現がていねいで、ボーカルの定位も近いため、表情豊かな歌声が楽しめるのもいい。聴いていてとても楽しい、良質なサウンドだ。

イヤホン重量(片耳):7.6g
再生時間:最大8時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで1回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:レッド/ブラック/アッシュグリーン/オレンジ/ブルー

36. BOSE「Bose Sport Earbuds」
コンパクトなスポーツタイプでBOSEサウンドを楽しめる1台

2製品が一気に登場したBOSEの完全ワイヤレスイヤホンの中でも、こちらはスポーツモデルに位置付けされる製品。そういった意味で、ファーストモデルの直接的な後継モデルといえる製品だが、外観はまったくといっていいほど異なっていて、重量も約6.8gと格段に軽い。同時発売の「Bose QuietComfort Earbuds」とデザイン面では近いが、さらにイヤホン本体が小さく軽快な装着感をキープした製品、といっていいだろう。装着性については「Bose QuietComfort Earbuds」と同じく「StayHear Maxチップ」を採用しているが、軽量コンパクトなためか、装着感は多少こちらの方が良好となっている。

正直な話をすると、筆者は「StayHear Maxチップ」と相性が悪く、イヤホン本体が耳からこぼれ落ちてしまうのだが、「Sport Earbuds」だけは重心バランスがよいのか、しばらくの間ホールド状態が保たれ試聴し続けることができた。BOSEのイヤーチップが苦手、という人もぜひ一度は試してみてほしいところだ。

いっぽうで、不満な点もある。それは、バッテリーの持続時間が約5時間、専用ケースからの充電を含めても最大15時間と、最新モデルとしてはかなり心許ないスペックとなっていることだ。その代わりに、15分の充電で約2時間が使用可能なクイック充電に対応しているというから、使い勝手の面で大きな不自由はなさそう。また、スポーツモデルらしく、IPX4の防滴仕様も備わっている。そのほか、コーデックは、SBCとAACに対応。着脱に対応して自動的に音楽再生/停止される装着センサーも備わっている。

さて、肝心のサウンドはというと、カラッとしたドライな中高音と、ゆったりとしたボリューミーな低音が組み合わされたメリハリのよいキャラクターに仕立てられている。とはいえ、低域のバランスにそれほど違和感を感じさせないなど、ドンシャリ然としたイメージはなく、どちらかといえば低域がマスクされがちな屋外に強いポップなサウンド、いったイメージだろうか。女性ボーカルは、スッとしたスマートな声を聴かせてくれるし、男性ボーカルも低域の良好の多さに埋もれることなく、芯のある朗々とした歌声を聴かせてくれる。

バッテリー持続時間など、多少のマイナスポイントはあるものの、音質、装着感など、製品としての完成度は高い。まずまず良質な製品と言えるだろう。

イヤホン重量(片耳):6.75g
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:トリプルブラック/バルティックブルー/グレイシャーホワイト

37. JBL「CLUB PRO+ TWS」
初のハイブリッド式ANC搭載完全ワイヤレスとは思えない完成度の高さに注目

JBL製イヤホン&ヘッドホンの最上位ラインである「CLUB(クラブ)」シリーズの完全ワイヤレスイヤホン。JBLブランドとしては初めてハイブリッド式ANC(フィードフォワード+フィードバックのアクティブノイズキャンセリング)を搭載し、ステレオ使用に加えてどちらか片方でも使用可能な「Dual Connect」機能を装備。片方のイヤホンだけで通話はもちろんのこと、音楽再生を行うこともできる。

イヤホン本体は若干重い部類に入るが、装着センサーを装備しており、外すと自動的に音楽再生が止まってくれるのは便利だ。また、スマートフォン用アプリ「My JBL Headphone」の「最適なフィット感をチェックする」というメニューを活用することで、自分の耳の大きさに最適なイヤーチップサイズを確認することもできるなど、随所にユーザビリティに対する配慮がうかがえる。

再生時間に関しては、イヤホン本体で約8時間(ANCオンで約6時間)、専用ケースからの充電を含めると約32時間(ANCオンで約24時間)の連続再生が可能となっている。また、イヤホン本体は急速充電にも対応しており、約10分の充電で1時間の再生が可能となっている。Bluetoothはバージョン5.0を採用し、コーデックはSBCとAACに対応。イヤホン本体はIPX4の防滴性能も備えている。いっぽう、専用ケースはワイヤレス充電にも対応しているので、iPhoneなどワイヤレス充電対応スマートフォンを所有している人は、より手軽な充電がおこなえるようにもなっている。

ちなみに、JBLからの説明だと“CLUB”という言葉にはプロフェッショナルユースとしての意味合い、「音楽制作のシーンなど、厳しい品質を求められるプロフェッショナルの現場でもお使いいただけるような音質を持ち合わせた製品」という意味が込められているのだという。“CLUB”という略称表現がもつ世間一般のイメージ(言葉そのものの意味ではなく音楽やオーディオシーンでクラブといえばどういう意味が連想されるかということ)とはずいぶんとかけ離れている気がするので、何だかモヤモヤした気分になるが、“何のクラブ”だかは名付け手次第なので、JBLはそう考えているのだととりあえずは納得しようと思う。

実際、「CLUB PRO+ TWS」のサウンドはとても良質かつクリアだ。低域の量感がかなり多めで世間一般のCLUBイメージを裏切らない帯域バランスではあるが、変に荒々しくなったりせず、素直な表現で楽曲本来の魅力をわかりやすく伝えてくれる。当然、重低音系の製品とは音色も異なっており、耳障りのよい音色にも感じられた。たとえば凛として時雨などを聴くと、グルーヴ感がしっかりと保たれたノリノリの演奏であることに変わりないものの、音色の荒々しさが少しだけ控えめになり、ずいぶんと聴きやすいサウンドへとシフトしている。音量を大きめにして音楽に集中するだけでなく、やや控えめの音量でBGM的に音楽を聴くこともできる、絶妙なチューニングといえるだろう。ANC機能に関しても、強すぎず弱すぎず。当然のごとく外音取り込みモードも用意されており、実用性の高い内容。初のANC搭載完全ワイヤレスイヤホンとしては、トータルバランスにすぐれた完成度の高い製品と言えそうだ。

イヤホン重量(片耳):13.7g
再生時間::最大6時間(アクティブノイズキャンセリングをオフにした場合は最大8時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック

38. ソニー「WF-SP800N」
ノイキャンも重低音もあきらめない。防水対応スポーツモデル

いまや完全ワイヤレスイヤホンの定番モデルといえるアップル「AirPods」に先駆けて、いち早くノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホンをリリースしたソニー。スポーツモデルの完全ワイヤレスイヤホンにも、いち早くノイズキャンセリング機能を搭載してきた。それがこの「WF-SP800N」だ。

“ノイキャンも重低音もあきらめない。防水対応スポーツモデル”というコンセプトを持つ「WF-SP800N」だが、確かに、ノイズキャンセリング機能の重低音スポーツモデル、という、イマドキのニーズをすべて押さえた全部アリの欲張り製品と言えるかもしれない。とはいえ、造りが中途半端になってしまったり、一部の特徴がおざなりになったりすることはなく、トータルバランスのよい製品にまとめられている点は、ソニーならではの巧みさといえる。

まず、スポーツユースに関しては、IP55の防滴防塵性能を確保。イヤーフィンを付属することで、スポーツ中にポロリとこぼれ落ちることを防いでいる。実際に装着してみたが、装着時に下側が支点となってくれるイヤホン本体の形状とも相まって、良好な装着感を確認できた。

いっぽう、最大の注目であるノイズキャンセリング機能については、外音取り込み機能を含めたいくつかのモードを用意。ノイズキャンセリングの効き具合や、外音と音楽のバランスを調整することができる。また、ペアリングしているスマートフォンの加速度センサーを利用し、1.止まっているとき、2.歩いているとき、3.走っているとき、4.乗り物に乗っているときという4パターンの行動を検出し、あらかじめ設定しておいたモードに自動切り替えしてすることも可能となっている。電車を降りて徒歩で歩いているときなど、ついつい切り替えを忘れてしまう場合も多いので、なかなかなうれしい機能といえる。

バッテリー持続時間は、ノイズキャンセリング機能オン時で最長9時間、専用ケースからの1回分の充電を含めると、最長18時間使い続けることが可能となっている。ちなみに、ノイズキャンセリング機能オフ時は最長13時間(ケースからの充電含め最長26時間)と、どちらも十分なロングライフを確保している。そのほか、本体の左右それぞれがプレーヤー(やスマートフォン)と接続することで、高い接続安定性を確保。耳から外すと音楽が一時停止する装着検出機能や、音声アシスタント機能など、高い利便性を持ち合わせている。

さて、肝心の音質はというと、EXTRA BASSらしいボリューミーな低域を持つ、迫力のサウンドが楽しめる。それでいて、決してメリハリはラフになりすぎず、細やかな表現もしっかり聴こえてくる、なかなかにバランス感覚に秀でた絶妙なチューニングだ。EDMなどの音楽はもちろん、最新Jポップなども楽しい。いっぽう、女性ボーカルはかなりハスキーな印象となるので、多少好みが分かれるかもしれない。

イコライザー機能もあるので、好みや楽曲に合わせて帯域バランスを調整することもできるので、このあたりは積極的に調整したいところ。ソニーらしいというべきか、ユーザビリティにこだわった、とても高機能な製品といえる。

イヤホン重量(片耳):9.8g
再生時間:最大9時間(NC ON時、OFF時は最大13時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで1回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト/ブルー/オレンジ

39. オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」
全6色!カラフルで小さくてかわいい個性派デザインに注目!

オーディオテクニカ製完全ワイヤレスイヤホンのなかでも、ユーザビリティの高さを重視した製品となっているのがこの「ATH-SQ1TW」だ。6色のカラーバリエーションを用意し、個性的なスクエア基調のデザインを持つコンパクトなイヤホン本体は、女性でもストレスなく装着が可能。専用ケースも、バックやポケットなどに収まりやすい小柄なサイズとなっている。

機能面では、最大6.5時間(専用ケースも含めると最大19.5時間)の再生時間やSBCコーデックのみの対応ながら、低遅延モードの搭載、Android OS搭載スマートフォンに簡単ペアリングできる「Fast Pair」対応、音楽を聴きながら周りの音を確認できるヒアスルー機能、両耳でも片耳でも使用可能など、スタンダードモデルとは思えない充実した内容を誇る。

さらに、実際の製品を手にしてみると、とても使い勝手のよい、ていねいに作り込まれた製品だということが実感できる。スマートフォンとペアリングを行おうとイヤホン本体をケースから取り出すと、“L”“R”文字の部分が光ってくれ、左右を間違えないで装着することができた。また、ケースから取り出すときちんとペアリングモードに移行してくれたり、動作もかなり安定している。ケースから取り出しただけではペアリングモードに移行してくれず何度も入れ直したり、説明書を引っ張り出して操作方法を読まなければならない製品がまだまだ多いなか、こういった声明書通りの安定した反応を示してくれるのはうれしいかぎり。このあたりは、さすがオーディオテクニカといえる部分だ。

さて、実際のサウンドはというと、とても素直な音色にまとめ上げられている。同社製の有線イヤホンに例えるならば、人気定番モデルの「ATH-CK350M」に近いイメージで、フラットな帯域バランスを基調として、ほんの低域に力強さを加えたような、聴き心地のよさと臨場感の高さが絶妙にバランスしている。おかげで、どんなジャンルの音楽でもそつなくこなすことができる。

とはいえ、いちばん得意としているのはボーカル系。女性ボーカルは伸びやかな高域を持つ清々しい歌声を聴かせてくれるし、男性は低域の付帯音がいつもよりほんの少し多めで、普段より幾分落ち着きのある、おおらかな歌声に聴こえる。セクシー、とまではいかないが、なかなか聴き心地のよい歌声といえるだろう。装着感のよさ、使い勝手のよさも含めて、なかなか魅力的なモデルといえる。

イヤホン重量(片耳):5.2g
再生時間:最大6.5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC
カラーバリエーション:ネイビーレッド/ピンクブラウン/ブラック/ブルー/マスタード/ホワイト

40. オーディオテクニカ「Sound Reality ATH-CKR70TW」
音楽再生を最優先にしたノイキャン機能を搭載。SoundRealityシリーズ初の完全ワイヤレス

オーディオテクニカのアクティブノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンの第2弾モデルとなるのが、「ATH-CKR70TW」だ。音質へのこだわりを持つSoundRealityシリーズに位置付けられる製品となっているが、音質に加え、個性的なデザインを採用している点も注目ポイントで、イヤホン本体は円形部分の上下にバーが付属されたかのような、アップル「AirPods Pro」とはまた異なるデザインが採用されている。よく見るとバーの上下端に集音&通話用マイクが配置されていて、これはノイズキャンセリング&通話用マイクの精度を向上させるため、できるだけ離れた位置に2つ(左右合わせて4つ)のマイクをレイアウトするためのデザインだという。加えて、装着時にバーの部分が目立ちすぎる印象にもならないため、「AirPods Pro」のような“うどんを耳から垂らしているような感じがイヤ”という人にも気に入ってもらえるはず。また、専用ケースから簡単に取り出せるなと、使い勝手の面でもデザインが生かされている。

アクティブノイズキャンセリング機能に関しては、音質重視のSoundRealityシリーズならではの追求が垣間見られる。音楽用とだけでなくビジネスシーンにも配慮された4マイク式「ATH-ANC300TW」に対し、「ATH-CKR70TW」では2マイク・フィードフォワード方式のノイズキャンセリングを採用している。これは、製品企画担当者によると“より音楽を楽しんでいただくためのノイズキャンセリング機能”に注力したためという。結果として、周囲の騒音に負けないよりピュアなサウンドを実現しているという。

外音取り込み機能に関してもなかなかにこだわっている様子がうかがえる。まず、外観取り込みは2つのモード、音量を2割くらいに絞る「クイックヒアスルー」とBGM的に音楽が楽しめる「ヒアスルー」が用意され、さまざまなシチュエーションに対応できるようになっている。また、通話用としてMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイクを搭載(通話専用と通話+ノイズキャンセリング兼用で片側2つのマイクが搭載)し、ビームフォーミング技術も組み合わせ、聴き取りやすい音声通話を実現しているのもポイントだ。実際にスマートフォンを使って通話を試してみたところ、確かに通話時の声は聴き取りやすい。先の「ATH-ANC300TW」もなかなか良好な音声だったのでZoom会議などにもってこいの製品だったが、こちらもそういった使い方で重宝してくれそうだ。

このほか、SBC、AACに加えてaptXコーデックに対応するほか、最大約7時間の連続再生時間(専用ケースを含めて最大約20時間)、IPX4の防滴性能など、基本スペックも充実している。

そして、肝心のサウンドはというと、ニュートラルなバランスを基調としつつ、高域の煌びやかさや低域の迫力もある、きめ細やかさと煌びやかさが絶妙にバランスしたサウンドに仕立てられている。言い換えれば、質感の良いサウンドと表現できるかもしれない。男性ボーカルは低域成分の豊かな落ち着きのある雰囲気。女性ボーカルは、すらっとした大人びた歌声を聴かせてくれる。いっぽうで、ピアノもヴァイオリンも表現は穏やか。ハードロックはキレのよさや迫力よりも、歌声やギターの心地よさが印象的だ。また、アクティブノイズキャンセリング機能をオンにしても、それほど音質面での低下を感じない点もうれしい。逆に、外音ノイズが減ったおかげか、低域の量感が増して迫力もグルーヴ感もほんの少し高まってくれている。

音楽再生優先をうたうアクティブノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンはすでにいくつか存在しているが、そういったライバルのなかにあって、サウンドも機能もデザインも、しっかりとした個性を主張している完成度の高い製品だと思う。

イヤホン重量(片耳):5g
再生時間:最大7時間(ANC ON時)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約2.85回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック/ベージュゴールド

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどのオーディオビジュアル系をメインに活躍するライター。TBSテレビ開運音楽堂にアドバイザーとして、レインボータウンFM「みケらじ!」にメインパーソナリティとしてレギュラー出演。音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る