数多くの完全ワイヤレスイヤホンがラインアップされているAnker「Soundcore」シリーズの中でも、「Soundcore Liberty 4」はなかなかユニークな成り立ちの製品だ。総じていえば既存製品のいいとこ取り。デザインや機能性は「Soundcore Liberty Air 2 Pro」の流れだが、特殊なドライバーユニットなどの新技術をいくつも投入し、「Soundcore Liberty 3 Pro」の後継、新フラッグシップと呼んでもおかしくないキャラクターに仕立てられている。
なかでも最大の特徴となっているのが、ドライバーユニットだろう。「A.C.A.A3.0」と呼ばれているこちら、BA型とダイナミック型のハイブリッド構成だった「A.C.A.A2.0」とは異なり、ダイナミック型を同軸上に2基配置した新デザインのドライバーユニットとなっている。これにより、細やか、かつクリアなサウンドを実現しているという。音質面では、さらにLDACコーデックに対応することで、ハイレゾ級のサウンドを楽しむことができる、ともアピールしている。
また、「HearID」機能も注目だ。こちら、アプリ上で音の聴き取りやすさを測定し、個人個人に最適な音質を自動調整するもの。測定は手動でひと手間あるが、効果はまずまず良好なので、ありがたい機能でもある。
もうひとつ、3Dオーディオに対応しているという点も興味がひかれる。こちら、いわゆる3Dエフェクト効果のようだが、独自のアルゴリズムで音源を処理することで、映画館やライブ会場にいるかのようなサラウンド体験を提供してくれるのだという。また、ジャイロセンサーを搭載することで、ヘッドトラッキング機能も持ち合わせているという。実際に試して見たが、3D効果のほうは現在のところステレオ音源のバーチャルサラウンド化しか試せなかったので“まあ、広がり感はあるかな”程度だが、ヘッドトラッキングについてはしっかりとした追従がなされているなど、悪くない効果だった。映画やゲームなど、探せばうまく活用できるコンテンツが見つけられるかもしれない。
さらに、ヘルスケア機能が搭載されているのもユニークだ。アプリを通じて、心拍モニタリングやストレスチェック、姿勢リマインダー、ワークアウト機能などが利用可能となっている。人によっては、重宝するかもしれない。
もちろん、ノイズキャンセリング機能も搭載されている。Ankerの独自技術となる「ウルトラノイズキャンセリング 2.0」が採用されており、効果はまずまず。Boseやソニー、アップルなどの高級モデルには敵わないかもしれないが、外音取り込みも合わせて、屋外での使用時には十分役立ってくれるだろう。
さて、肝心のサウンドは、メリハリのはっきりした表現が特徴。低域の量感がしっかりしているため、音に迫力がある。またダイナミック型2基搭載の恩恵か、低域から女性ボーカルくらいの中域高めまで、統一感のある音色となっていて好ましい。高域がややざわついている印象があるが、好みの範疇といえるレベルだ。音色は好みがわかれそうだが、この価格帯でここまで多機能な製品はほとんどなく、こと機能性に関しては大いに魅力ある製品と思える。
イヤホン重量(片耳):5.8g
イヤホン操作:タッチセンサー
再生時間(イヤホン単体):最大7時間(ノイズキャンセリング機能オフの場合は最大9時間)
再生時間(充電ケース併用):最大24時間(ノイズキャンセリング機能オフの場合は最大28時間)
充電方法:充電ケース
急速充電対応:○
防水対応:○(イヤホンのみ、IPX4相当)
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
アプリ対応:○
カラーバリエーション:ミッドナイトブラック、クラウドホワイト
モバイルバッテリーやUSB電源アダプターだけでなく、プロジェクターやロボット掃除機など幅広いカテゴリーのアイテムを展開しているAnker。その中でもオーディオ製品の「Soundcore」シリーズは、完全ワイヤレスイヤホンをメインに充実したラインアップを取り揃えるようになってきた。そんなAnker「Soundcore」シリーズで約6,000円というお手ごろ価格で購入できるモデルが「Soundcore Liberty Neo 2」だ。
Ankerの完全ワイヤレスイヤホンとしてはエントリークラスに位置する製品で、価格と音質のバランスのよさで評判だった第2世代「Soundcore Liberty Neo」の後継に位置するオーソドックスな作りの完全ワイヤレスイヤホンだ。ちなみに、Anker製品はよくマイナーアップグレードの後に“2”と名付けられた製品が登場することがあるためわかりにくいが、この「Soundcore Liberty Neo 2」は第3世代にあたる製品で、旧モデルに対しては音質の改善や、バッテリー性能のアップなどのユーザビリティ向上が押し進められている。
外観は横長デザインの比較的コンパクトな充電ケースは第2世代「Soundcore Liberty Neo」からあまり変わっていないが、イヤホン本体はデザインが刷新され、イヤーモニターライクな、フィット感のよいデザインとなった。付属のイヤーフィンとも相まって、良好な装着性を持ち合わせている。また、バッテリー性能は、イヤホン単体で最大10時間、充電ケース併用だと最大40時間の再生が可能となっている。これは、第2世代「Soundcore Liberty Neo」に対して約2倍のロングライフとなっているそうで、使い勝手の面では大きな向上といえるだろう。また、片耳モードも備わっていて、片側のイヤホンを充電ケースに戻すと片側だけで使えるのも便利だ。
いっぽう、充電ケースは充電端子がUSB Type-Cとなり、加えてワイヤレス充電にも対応している。さらに、好評だったIPX7の防水性能なども継承されており、アプリでイコライザーやイヤホン本体のタッチ操作のカスタムが可能など、ことユーザビリティに関しては大幅なグレードアップが行われている。とてもエントリークラス、約6,000円の製品とは思えない魅力的な内容を持ち合わせている。
第2世代「Soundcore Liberty Neo」からサイズアップした、3層構造の8mm口径ダイナミック型ドライバーの生み出すサウンドは、距離感の近い音場とメリハリのはっきりしたダイナミックな表現が特徴。ボーカルの立ち位置が近く、滑舌のよい歌声を聴かせてくれる。コーデックがSBCとAACのみの対応ということもあって、解像度はそれほど高くはないものの、歪み感が抑えられた恩恵なのだろう、楽器のセパレーションがよかったり、音色が比較的自然だったりと、良好なサウンドを楽しませてくれるようになった。メリハリが強い分、ちょっとした粗さのようなものは感じるが、正直、第2世代「Soundcore Liberty Neo」とは格の違う音質になっている。機能性や装着感のよさも合わせて、エントリークラスとは思えない、出来のよい製品だ。
イヤホン重量(片耳):6g
イヤホン操作:タッチセンサー
再生時間(イヤホン単体):最大10時間
再生時間(充電ケース併用):最大40時間
充電方法:充電ケース
急速充電対応:○
防水対応:○(イヤホンのみ、IPX7相当)
対応コーデック:SBC、AAC
アプリ対応:○
カラーバリエーション:ブラック、オフホワイト、ネイビー
Ankerの完全ワイヤレスイヤホンの中でも好評を博している「Liberty Air」シリーズの最新モデルにして、ノイズキャンセリング機能を搭載したモデル。とはいえ、デザインは(同じバーアンテナを持つタイプではあるものの)既存モデルとディテールが異なっているし、ケースに関してはまったくの別物となっている。“Pro”の名前が与えられていることからも、ひとつ上級に位置するモデルと考えるのが妥当そうだ。
注目のノイズキャンセリング機能に関しては、イヤホンの外側と内側に配置した2つのマイクにより周囲の音を検知して雑音を除去する「ウルトラノイズキャンセリング」を搭載。「交通機関モード(乗り物のエンジン音や走行音など低周波ノイズを最小限に抑制)」「屋内モード(周囲の会話など中周波ノイズを低減)」「屋外モード(街中の環境音などを低減)」という、3つのノイズキャンセリングモードが切り替えられるほか、外音取り込み機能も用意されている。このあたりの機能性は、下位モデルの「Soundcore LIFE A2 NC」とほぼ変わらない。
もうひとつ、「Liberty Air 2 Pro」にはスマートフォン用アプリの機能として「イヤーチップ装着テスト」が用意され、ガイダンスにしたがってテストすると、最適な装着が行われているか確認することができる。ちなみに、イヤーピースは9種類ものサイズが同梱されているので、大半の人がベストな装着状態を実現できるはずだ。このほか、アプリからはイコライザー設定なども行えるようになっている。
バッテリー性能は、イヤホン単体で最大7時間(ノイズキャンセリング機能オンの場合は最大6時間)、充電ケース併用で最大26時間(ノイズキャンセリング機能オンの場合は最大21時間)と、十分なバッテリー性能を持ち合わせている。特に、充電ケースはかなり小さく携帯性重視のものとなっているが、それなりのバッテリー容量を搭載してくれているのはありがたい。また、15分間の充電で3時間の音楽再生が可能な急速充電にも対応しているので、バッテリーまわりで不満に思うことはまずないだろう。なお、IPX4の防滴性能にも対応している。
ノイズキャンセリング機能の効き具合もなかなかの効果を持ち合わせている。それほど“耳栓”感覚が強くない形状であるのにもかかわらず、効果のほどは結構ある。価格を考えると、十分以上の機能性と言えるだろう。
肝心のサウンドはというと、ジャズやクラシックなどアコースティック楽器との相性がよさそうな、ていねいな表現の中高域と量感たっぷりの低域との組み合わせが特徴。高域もそれなりの伸びやかさは持つものの、痛々しい鋭さがないので聴きやすい。ゆったりとした演奏のジャズや、ミドルテンポの名盤ポップスなどは、相当心地よいグルーヴ感を堪能させてくれる。音色も変な特徴がなく、自然な音色の歌声、アコースティックギター、ピアノが楽しめる。音場的な広がり感というか、情報量に欠ける嫌いはあるが、あまり気にならず、音色の気持ちよさが心に残る。このサウンドキャラクターが好きな人であれば、Jポップ、Jロックもイケる。装着感、ノイズキャンセリング機能の効果、音質と、なかなかバランスのよい製品だ。
イヤホン重量(片耳):5g
イヤホン操作:タッチセンサー
再生時間(イヤホン単体):最大6時間(ノイズキャンセリング機能オフの場合は最大7時間)
再生時間(充電ケース併用):最大21時間(ノイズキャンセリング機能オフの場合は最大26時間)
充電方法:充電ケース
急速充電対応:○
防水対応:○(イヤホンのみ、IPX5相当)
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
アプリ対応:○
カラーバリエーション:ホワイト、ネイビー、ピンク、ブラック
デザインやコンセプトの確かさ、そして何よりも表現力の高いサウンドで人気を博している国産オーディオメーカーのfinal。そんな同社の完全ワイヤレスイヤホンフラッグシップモデルとなるのが「ZE8000」だ。
まったく新しいコンセプトによって生み出された製品、というのが「ZE8000」を表すのに最適な言葉だろう。まず、モノづくりとして“高級完全ワイヤレスイヤホン”を作り上げたのではなく、有線を含めて同社イヤホンのフラッグシップを目指して作り上げた、というのが斬新だ。finalでは約20万円のフラッグシップ有線イヤホンがラインアップされており、ワイヤレスで同等のクオリティを目指したことに、同社の本気度がうかがえる。
実際、ドライバーユニットから筐体デザイン、サウンドチューニング、オプション設定まで、(他社製含め)既存の完全ワイヤレスイヤホンとは方法論の異なるアプローチが随所に垣間見られる。たとえばドライバーユニットは、「ZE3000」の6mm径ユニットを基礎としつつ10mm径のダイナミック型「f-CORE for 8K SOUND」を新開発。アルミ素材の振動板をシリコン素材で挟み込むように成形して接着剤を排除。さらに、ボイスコイルへの配線を空中配線にするなど、音質へ悪影響を及ぼしがちな要素を徹底排除したこだわりのつくりとなっている。
さらに、イヤホン本体はドライバー部とバッテリー部、基板&アンテナ部が独立した構造を採用。個性的なデザインを採用することで音質と装着製を巧みに両立しているわけだ。基本的に小型軽量が正義だが多機能にすると大型化してしまうジレンマを持つ完全ワイヤレスイヤホンとしては、画期的な発想でありユニークなアプローチだと思う。
さらに、完全ワイヤレスイヤホンとしてはかなり特殊だが、今後登場予定のオプションとして「カスタムイヤーピース」(耳型を採取して作る個人専用イヤーピース)と「個人パーソナライズ」(ユーザーの特徴を計測して個人個人に最適なサウンドを設定するサービス/専用測定器を使用するため川崎本社で実施予定)の2つが予定されている。完全ワイヤレスイヤホン製品でメーカーみずからカスタムイヤーピースを用意するのはこれまでほとんど例がないが、カスタムイヤーピースを装着した状態でもイヤホン本体を充電ケースに格納できるように対策済みと準備は万端。「ZE8000」はドライバーが収まる部分までカバーされた専用イヤーピースが採用されているが、元々イヤホン本体がかなり個性的なデザインのためか、ごくまれに装着が最適でない人がいる。そういった人たちにはとてもうれしいオプションだ。また、個人パーソナライズについて、詳細は未発表ながらかなり細やか、かつ効果的な測定と演算を行うシステムのようで、そちらも大いに期待が持てる。
いっぽう、機能面ではfinalの完全ワイヤレスイヤホンとしては初となるノイズキャンセリング機能が搭載されている。こちらは、音質を鑑みてフィードフォワード方式を採用、オン/オフもできないシンプルな仕様となっている。実際試してみたところ、社内で行った独自チューニングが絶妙なのか、ノイズキャンセリングが有効化された状態の音であることがほとんどわからない。とはいえ、低域から中域にかけ、暗騒音と呼ばれる耳障りな音、音楽を阻害しがちな音を中心にマスキングされるので、屋外でも快適に活用できそうだ。
専用アプリも特筆だ。final初となる「final CONNECT」には、多種多様な工夫が盛り込まれている。たとえば音量調整「ボリュームステップ最適化」は、普段よく使うボリュームを基準値としてスマホ標準のものより格段に細かいステップで微調整できるようになっている。また、音楽製作の現場の手法を取り込んだという「PRO イコライザー」は、15ポイントの周波数帯域×25段階の音質調整が可能。ノイズキャンセリング/外音取り込みの設定も「ノイズキャンセリング」「ウインドカット」「ながら聴き」「ボイススルー」の4つのモードから選択できたりと、使い勝手のよい内容となっている。このあたりにも、「ZE8000」にかけるfinalの意気込みがうかがえる。
このほかにも、クアルコムチップ内のAB級アンプを採用(一般的に完全ワイヤレスイヤホンはバッテリー持続時間を長くするためD級アンプを使用する)していたり、クアルコムの新オーディオプラットフォーム「Snapdragon Sound」にも対応、aptX Adaptiveコーデックをサポートしていたりと、こと音質に関しては全方位で“より良質なもの”が選択されているのがわかる。それでいて、最大5時間、充電ケース併用で最大15時間というバッテリー性能が確保されているのはありがたいかぎり。なお、「ZE8000」には、デジタル信号処理のタップ数を増やしてさらなる高音質を追求した「8K SOUND+」というモードが用意されているが、こちらを有効化するとバッテリー消費が大きくなるため、イヤホン単体では最大4時間となる点は注意してほしい。
気になるサウンドだが、S/Nのよさ、解像感の高さが際立っている。音色や聴かせ方で誤魔化すことなく、音質に対して真正面からチャレンジしたサウンドだということが一聴でわかる。おかげで、定位の確かさ、音場の広さについては格別の優秀さを持ち合わせ、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDなど音場表現にこだわって作られた音源がBluetoothワイヤレスイヤホンとは思えない空間描写を感じさせてくれる。特に奥行き感の表現が特徴的で、目の前のボーカルはとても近く明瞭だが、遠くへ行くとフォーカス感が徐々に甘くなっていく、被写界深度の低いカメラレンズのような描写だ。実はこれ、アップル「AirPods Pro(第2世代)」で空間オーディオの設定が抜群にうまくいったときに得られる感覚に近い。パーソナライズなしにこのサウンドが得られるのは驚きだ。
いっぽうで、低域は量感が必要十分にある上、フォーカス感が格別によいので、ハードロックはとても楽しく、クラシックもリアルさを感じる仕上がりなのだが、サウンドキャラクターとしては無味無臭で面白みがないと思う人がいるかもしれない。しかしそれは、これまでの完全ワイヤレスイヤホンが“聴かせ方”で工夫することが主流だったせいなのだと思う。完全ワイヤレスイヤホンだから、という言い訳が一切ない、音質に関してとてもクオリティが高い製品だ。
イヤホン重量(片耳):6.8g
イヤホン操作:タッチコントロール
再生時間(イヤホン単体):最大5時間
再生時間(充電ケース併用):最大15時間
充電方法:充電ケース
急速充電対応:○
防水対応:○(イヤホンのみIPX4相当)
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive
アプリ対応:○
カラーバリエーション:ブラック、ホワイト
これまで“監修”という形でagブランドの完全ワイヤレスイヤホンを手がけてきたfinalが、自社ブランド初の完全ワイヤレスイヤホンとしてリリースしたのが「ZE3000」だ。
実際にはエヴァンゲリオンとのコラボモデルという例外はあるものの、これまで有線イヤホン・ヘッドホンにこだわり続けたfinalが、本格的にワイヤレスモデルを手がけた記念すべきファーストモデルとなった「ZE3000」。「ZE3000」という製品名はエントリークラス有線イヤホンのベストセラーモデル「E3000」からあやかったということだそうだが、フィット感の高いイヤーモニター型の独自デザインを採用するイヤホン本体は、「E3000」というよりも「A3000」に近い印象で、Aシリーズと同じ3点支持による高い装着感を実現しているという。実は、もっと小型にすることも可能だったのだが、装着感や取り外しのよさを考えてこのデザインに決定したのだという。さすがfinalというべきか、イヤホン本体のデザインひとつをとっても、徹底したこだわりが垣間見られる。
さらに、音質に対する徹底したこだわりが盛り込まれているのも、finalらしい部分だろう。音質的には「A4000」同等のものを追求した様子で、それを実現するために「f-Core for Wireless」ドライバーを新開発。口径こそ6mmであるものの、新たにシリコンエッジを採用し射出成形によって振動板を形成。振動板の固定に接着剤を利用しないことで、振動板の有効面積が大きく(メーカー担当者によると9mm口径と同等の音質的なアドバンテージを保つという)、かつ個体差が格段に少ない音質的な優位性を確保しているという。加えて、IPX4という防滴性能を確保しつつ良サウンドを実現するため、イヤホン本体内部に「f-LINK dumping機構」を採用。ドライバー前後の空間取りやパイプ等を使用した繊細なエアコントロールによって、「f-Core for Wireless」ならではの実力を十分に発揮させることができたという。
バッテリー性能は、イヤホン単体で最大7時間、充電ケース併用で最大35時間の使用が可能となっている。BluetoothコーデックはSBCやAAC、に加えて、aptX、aptX Adaptiveもサポート。カラーはブラックとホワイトの2色が用意されている。
さて、肝心のサウンドはというと、確かにfinal製の有線イヤホンに迫る実力を持ち合わせている。特に音色的な質感のよさ、帯域バランスのよさはagブランドの完全ワイヤレスイヤホンに対しても格別で、とてもニュートラル、かつ表現力の高いサウンドを楽しませてくれる。言い方を変えると、余計なブーストは一切ないのにメリハリがよく、ボーカルもバックの演奏もバランスを崩さずしっかり届いてくる、といったイメージだ。Jポップを聴くと、ハスキーでもファニーでもないニュートラルでありながら抑揚表現にすぐれたボーカルを聴かせてくれるし、ハードロックはグルーヴ感のよいノリノリな演奏を楽しませてくれる。クラシックも壮大なスケール感がしっかりと表現されている。質のよさとともに、楽しさを味わえる魅力的なサウンドだ。
イヤホン重量(片耳):4.9g
イヤホン操作:タッチセンサー
再生時間(イヤホン単体):最大7時間
再生時間(充電ケース併用):最大35時間
充電方法:充電ケース
急速充電対応:-
防水対応:○(イヤホンのみ、IPX4相当)
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive
アプリ対応:-
カラーバリエーション:ブラック、ホワイト
「ZE3000」の兄弟モデルとして登場した「ZE2000」。専用設計の6mm口径ダイナミック型ドライバー「f-Core for Wireless」採用に変更はないものの、サウンドチューニングが異なっており、外観も塗装のフィニッシュが違っていたり(「ZE3000」は一眼レフカメラのようなシボ塗装だが「ZE2000」はマット塗装仕上げ)と、サウンドも外観もわずかに違うモデルに仕立てられている。
なお、6mm口径でありながら9mm口径に相当する振動板面積を確保したという「f-Core for Wireless」や、筐体外部へのベントなしで有線イヤホンと同等の音響設計を可能にする「f-LINKダンピング」機構といった部分に変更はなく、「ZE3000」でユーザーから好評を得た装着感のよいイヤホン本体のデザインも共通。イヤホン単体で最大7時間、充電ケース併用で最大35時間の使用が可能なバッテリー性能や、SBC/AAC/aptX/aptX Adaptiveの4種類のBluetoothコーデックサポートも同じだ。ノイズキャンセリング機能こそないが、環境的にノイズキャンセリング機能が絶対必要という人でなければ十分満足できる機能性だと言える。
さて、肝心のサウンドはというと、基礎体力の高い音質が魅力。ハイレゾ級の音質を確保しているaptX Adaptive接続が可能とはいえ、解像感の高さ、ディテール表現の細やかさ、音場的な広がり感など、完全ワイヤレスイヤホンとしては別次元のクオリティを持ち合わせている。また、音の距離が近いことも魅力となっていて、女性ボーカルは伸びやかな、男性ボーカルも朗々とした実体感のあるディテール豊かな歌声を楽しませてくれる。アーティストによっては少し鼻にかかったような歌声にも感じられるが、総じて聴き心地のよい歌声を聴かせてくれる。鮮明でフラットなサウンドキャラクターの「ZE3000」とはやや趣が異なっている。
実はこういった“音色違い”イヤホンはfinalが得意とする手法であり、過去にも有線イヤホンでさまざまな兄弟モデルが作られている。今回の「ZE2000」「ZE3000」は、そのなかでも「E2000」「E3000」の関係に近いかもしれない。純粋に音の好み次第でどちらを選ぶか、決めるのがよさそうだ。
イヤホン重量(片耳):4.9g
イヤホン操作:タッチセンサー
再生時間(イヤホン単体):最大7時間
再生時間(充電ケース併用):最大35時間
充電方法:充電ケース
急速充電対応:-
防水対応:○(イヤホンのみ、IPX4相当)
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive
アプリ対応:-
カラーバリエーション:メタルブラック、アッシュグレー
“日本人のために日本人が作ったイヤホン”をメーカーポリシーとして謳うジャパンブランドAVIOTの完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデルが「TE-Z1PNK」だ。
実はAVIOT、2022年9月に発売された開放型完全ワイヤレスイヤホン「Openpiece」シリーズを皮切りに、新コンセプトの「TE-J1」や同社初のヘッドホン「WA-Z1PNK」、同社初の骨伝導イヤホン「Openpiece Playful」などを続々とリリース。完全ワイヤレスイヤホンをメインとする展開こそ変わらないものの、コンセプトを絞り込んだユニークな製品やイヤホン以外もラインアップに加えるなど、オーディオメーカーとしての多様性を見せつつある。そんなAVIOTだからなのか、新たにフラッグシップモデルとして発売した「TE-Z1PNK」もなかなかユニークな存在となっている。というのも、こちらは「凛として時雨」ドラムス、ピエール中野氏が監修を務める製品となっているからだ。
これまでAVIOTはピエール中野氏とのコラボモデルを7製品も手がけており、そういった意味で“高価な”コラボモデルが登場すること自体はおかしな話ではない。しかしながら、これまでのモデルは“ノーマル”と“ピエール中野”モデルの両方が存在し、併売されていた。しかしながら「TE-Z1PNK」はピエール中野モデルのみで、メーカーみずから“フラッグシップモデル”を謳っている。コラボモデルがフラッグシップに位置づけされるのは前代未聞とまではいわないもののとても稀少な出来事。これもAVIOTがとても先進的なブランドであることと、両者に強い信頼関係があることの表れだと思う。実際、ピエール中野氏は製品のベースとなる構想段階から参画しており、音質はもとより、デザイン、ボイスガイダンス監修まで幅広いコーディネイトを行っているという。
さて、そんなユニークな完全ワイヤレスイヤホン「TE-Z1PNK」の詳細を見ていこう。耳側の部分が積層造形技術によって作り上げられたというイヤホン本体は、イヤーモニター然としたスタイル。イヤーモニター的なデザインのイヤホンはいまや有線無線合わせて数多ある時代となったが、「TE-Z1PNK」はそのどれともデザインが異なっている。やや小ぶりで、ノズル部の根元は金属素材を採用。先端に向かって円錐状にすぼまっており、どんな人でも高い遮音性を確保できそうだ。また、上部は少し尖っていて、これが耳たぶの凹みにしっかりと引っかかってくれる。よく考えられたデザインだと思う。
その内部に配置されるドライバーユニットは、ダイナミック型と専用設計のプラナー(平面駆動型)によるハイブリッド構成を採用。さらに、同軸上に配置することで、低音から高音までスムースにつながる、低歪で位相乱れの少ないサウンドを確保しているという。
また、ノイズキャンセリング機能は計4基のマイクを使ったフィードフォワード+フィードバックのハイブリッド方式を採用。専用アプリを活用することで、自然な騒音抑制の“音質優先モード”と高性能騒音抑制の“ノイズ抑制優先モード”の2種類から効果の具合を切り替えることができる。
また、Bluetoothコーデックは、SBC、AACに加えてハイレゾ相当の音質を確保するLDACにも対応。バッテリー性能は、イヤホン単体で最大7時間、充電ケース併用で最大18時間と、一般的には良好な数値。AVIOT製品としてはやや短めだが、約10分の充電で最大60分再生可能な急速充電にも対応しているため、困ることはほとんどないはず。また、2デバイスの接続待機ができるマルチポイントにも対応している。
コラボモデルの楽しみのひとつ、ボイスガイダンスは、今回もアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」とのコラボを実現。常守朱(CV.花澤香菜)ボイス、ドミネーター(CV.日のり子)ボイス、狡噛慎也(CV.関智一)ボイスを本モデルのために新規録り下ろしているという。なお、音声はアプリで切り替え可能だ。
さて、肝心のサウンドはというと、とてもきめ細やか、とてもていねいな表現のサウンド。粒立ちがきめ細やかで、音がサラサラしているようにも感じる。同ブランドの既存モデルには申し訳ないが、格別のクオリティだ。基本的には中域を重視した帯域バランスで、それにきらびやかな高域としっかりとした量感の低域が添えられることで全体のバランスを保っている。そして、抑揚表現はダイナミック、パワフルな低域と十分な量感の中低域とも相まってノリのよいサウンドが楽しめる。
おかげで、アース、ウインド&ファイアを聴くとボーカルにしっかりとした厚みが感じられて好印象、サラ・オレインはややハスキーな、伸びやかな表現の美しい歌声が堪能できる。いっぽう、高域はほんのわずかにきらびやかさが演出されているためか、クラシックは普段よりもフレッシュなサウンドに感じられ印象的なサウンドとなる。Jポップも同様で、米津玄師「KICK BACK」は歌声も演奏の迫力もマシマシ、聴いていてとても楽しい。定位感、左右方向への広がりもよいので、安月名莉子「かたち」もすべての音が不足なく十全に表現されている。ちなみに、手元の楽曲でいちばん相性のよかったのは渕上舞「人芝居」だった。彼女の声の魅力がしっかりと伝わる絶妙なバランスに思えた。宇多田ヒカルもちょっとハスキーでけだるい感じが心地よかった。このように「TE-Z1PNK」は、装着感と音質だけでも十分に魅力ある製品だと言える。
イヤホン重量(片耳):-
イヤホン操作:タッチコントロール
再生時間(イヤホン単体):最大7時間(LDAC再生時、ノイズキャンセリング機能使用時は短くなる)
再生時間(充電ケース併用):最大18時間
充電方法:充電ケース
急速充電対応:○
防水対応:○(イヤホン本体のみ、IPX4相当)
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
アプリ対応:〇
カラーバリエーション:ブラック
2022年以降、ながら聴きをターゲットにしたオープン型の完全ワイヤレスイヤホン「Openpiece」シリーズや骨伝導イヤホン「WB-P1」、平面磁気駆動型ドライバー搭載ワイヤレスヘッドホン「WA-Z1PNK」など、多種多様な製品を投入してきたAVIOT。まさに“AVIOTフェーズ2”といえる積極的な製品展開だが、そんなAVIOTが完全ワイヤレスイヤホンの本命モデルとして投入したのが「TE-J1」だ。ラインアップ的にはスペシャルモデルとしてさらに高価格帯の「TE-Z1PNK」もあるが、「TE-J1」はAVIOTとしてもかなり注力したモデルとなっており、デザインも含めてこれまでのAVIOTの完全ワイヤレスイヤホンとはかなり印象の異なる製品となっている。
まず、イヤホン本体は「イン・イヤー・モニターにインスパイアされた最先端技術と唯一無二のデザイン」とメーカーがアピールしているとおり、ほかに類を見ない独得のデザインを採用している。部分的に内部が見えるクリアパーツを配置するなど、演出もユニークだ。実際に装着してみようとした際、最初はどう装着するのかわからなかったが、LRの文字の上限を頼りに微調整していると、ピッタリとはまってくれるポイントがあった。やや大柄で、フェースプレート下側が耳からちょっと出ているが、フィット感、落ち着きは悪くない。ノズル部分に音質のための金属製ノズルが使われていることが、装着感でも功を奏しているのかもしれない。
また、充電ケースのデザインもユニークだ。外側はエコレザーまたはファブリックを採用しており、完全ワイヤレスイヤホンを収める充電ケースとは思えない高級感がある。イヤホンの取り出しがとても楽で、ケース、イヤホンそれぞれの充電状況がふたを開けなくてもわかるところも便利だ。
ドライバーユニットは、金属ノズル部分にレイアウトされるバランスド・アーマチュア型ドライバーと、その奥に置かれた10mm径ダイナミック型ドライバーのハイブリッド構成を採用している。さらに、BluetoothのオーディオコーデックはSBCやAACに加え、LDACもサポート。ハイレゾ級のサウンドを実現している。随所に音質に対してのこだわりが見られる製品だけに、そのサウンドには大いに期待が持てそうだ。
ほかにも、4基のマイクを使用したノイズキャンセリング機能の搭載や、イヤホン単体で最大9時間、充電ケース併用で最大28時間のバッテリー性能、10分の充電で最大60分の使用が可能な急速充電、マルチポイント接続の対応、IPX4相当の防滴性能など、充実した機能性も持ち合わせている。
そのサウンドは、ひと言で表現するならば明るく華やか、ポップなサウンドの楽曲と抜群の相性を見せる。ハイブリッド構成のおかげか、音数が多く広がり感も良好だが、同時にセンターのボーカルが滑舌よくしっかりと届いてくれる。帯域バランスは中域重視で、低域の十分以上の量感が確保され迫力満点ではあるものの、やわらかな音色のため聴き心地がよい表現だ。おかげで、男性ボーカルが魅力的。米津玄師を聴くと、ほんの少しハスキーな、落ち着きのある魅力的な歌声を聴かせてくれる。宇多田ヒカルなど(キーが低めの)女性ボーカルもなかなか。ボーカル、特にポップスを楽しむにはピッタリなサウンドといえる。
イヤホン重量(片耳):6g
イヤホン操作:タッチコントロール
再生時間(イヤホン単体):最大9時間
再生時間(充電ケース併用):最大28時間
充電方法:充電ケース
急速充電対応:○
防水対応:○(イヤホンのみIPX4相当)
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
アプリ対応:○
カラーバリエーション:ホワイト、ブラック、ネイビー、カーキ
“Wizard”ジョン・モールトンによるサウンドチューニングが定評の米国カスタムIEMメーカーのNoble Audioは、2019年発売の「FALCON」以降、完全ワイヤレスイヤホンにも力を入れているが、その最新のフラッグシップモデルが「FoKus Mystique」だ。
これまでNoble Audioは、“カスタムIEMを無線化する逆転の発想から生み出された音質ファースト設計”というコンセプトを持つ「FoKus PRO」と、Knowlesが開発した完全ワイヤレスイヤホン用プラットフォームを“Wizard”が音質チューニングした「FoKus H-ANC」という2つの「FoKus」シリーズを展開していたが、この「FoKus Mystique」は「FoKus PRO」の正統進化版といえる製品。Knowles製バランスド・アーマチュア型ドライバー2基と8.2mm口径ダイナミック型ドライバー1基によるハイブリッド構成はそのままに、ユーザーからのフィードバックを加味しつつさらなるチューニングの改善を実施。ディテールの細やかさを向上させることで、さらに豊かな表現力を実現しているという。
いっぽうで装着性にも改善が押し進められている。この中にすべてが入っているのが想像できない、イヤーモニター然としたイヤホン本体は、さらにフィット感を向上させるべくデザインを変更。ノーマル(S/M/L)とダブルフランジ(XS/S/M)、2つの形状のイヤーピースの付属によって、多くの人が高い遮音性を確保することができるように配慮されている。また、先代モデルの「FoKus PRO」で課題とされていた通話品質も改善。マイク位置をフェイスプレート部に設置するなどの改良を行うことでクリアな音質を確保したという。ヒアスルー機能も新たに搭載し、幅広い環境で利用できるようになったのもポイントだ。
さらに、「FoKus Mystique」には「FoKus PRO」から受け継がれているメリットも多々ある。機能面では、SBC/AAC/aptX/aptX Adaptiveという幅広いBluetoothコーデックに対応。また、TrueWireless Mirroringにも対応しており、対応スマートフォンと組み合わせることで低遅延や接続性のよさ、バッテリー持続性などで有利な環境を構築できる。加えて、専用のスマートフォン用アプリも用意されており、そのなかのパーソナルモードを活用することで、一人ひとりに最適なリスニング環境を構築することも可能だ。実際、このパーソナルモードを試して見たが、確かに標準よりも聴きやすい音に変化したように思う。ただし、パーソナライズが手動のためか、ベストと思える状態までは持っていけず、さらにEQによる微調整が必要だった。人によって結果が変わる内容となっているので、うまくマッチする人もいるだろうから、「FoKus Mystique」購入後、真っ先に試してみてほしい。
さて、肝心のサウンドはというと、ひと言でいうならば“上質アメリカンサウンド”という表現がぴったり。メリハリがよく、キレもよく、パワフルで勢いのある、グルーヴ感あふれるサウンドは聴いていてとても楽しい。アース、ウインド&ファイアからニルヴァーナ、ビリー・アイリッシュまで、幅広い年代、幅広い方向性の音楽が活気に満ちた歌声やサウンドを楽しませてくれる。低域の量感はたっぷり、高域も鋭く伸びているが“重低音”“ドンシャリ”とは思想も表現力も異なる、音楽の芸術性と楽しさが見事にバランスした絶妙なサウンドだ。特徴的な表現なので好みはわかれるかもしれないが、マッチするアーティストや楽曲が見つかれば代えのきかない、貴重な製品となってくれるはずだ。
イヤホン重量(片耳):7g
イヤホン操作:タッチコントロール
再生時間(イヤホン単体):最大7.5時間
再生時間(充電ケース併用):22.5〜30時間(イヤホンを3〜4回フル充電可能)
充電方法:充電ケース
急速充電対応:-
防水対応:-
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive
アプリ対応:〇
カラーバリエーション:ブラック
カスタムIEMで定評のあるアメリカのイヤホン専業メーカー、Noble Audioの完全ワイヤレスイヤホン第2弾。ファーストモデル「FALCON」は、先にクラウドファンディングによる販売が行われ、目標金額を大幅に上回る1,400万円超の支援を達成し話題となった製品(その後一般販売された)だが、そのブラッシュアップ版となるのが「FALCON 2」だ。
一般的な完全ワイヤレスイヤホンとは明らかに異なる、ノズル部分の長いイヤーモニター風なイヤホン本体デザインはほぼ変わらず踏襲された。そのため、高い遮音性が確保されているいっぽうで、人によっては装着感が厳しい可能性もある。普段からSサイズのイヤーピースを使っている人など、耳穴の小さい人は購入前に装着感をチェックすることをおすすめする。そのいっぽうで、充電ケースは大きくリニューアルされ、ワイヤレス充電規格のQiに対応したほか、デザインもかなり上質な印象となった。
Bluetoothまわりでは、これまでのクアルコム製「QCC3020」に代わり、最新世代の「QCC3040」が搭載されている。これにより、コーデックはSBC、AAC、aptXに加えて、接続のよさと高音質を自動的に最適化してくれるaptX Adaptiveまで対応となった。また、左右イヤホンがそれぞれ直接スマートフォンからのデータ伝送を行う「TrueWireless Mirroring」も採用。イヤホン内部のアンテナ位置や角度を最適化するとともに内部アンテナ基板の配置も変更するなど、接続安定性に関してもワンステップの進化が押し進められている。
音質に関しては、「FALCON」のために開発された「Dual-Layered Carbon Driver(D.L.C. Driver)」ユニットを継承。組み合わせるアコースティックダンパーの選定やDSPによる調整など、Noble Audio製IEM(有線モデル)の周波数特性を基準としたチューニングによって、さらなる音質の向上を果たしているという。
ほかにも、IPX7の防水性能を確保しているほか、イヤホン単体で最大10時間の連続再生が可能。専用アプリによるボタンのカスタマイズ、イコライザー調整機能など、ユーザビリティに関しても「FALCON」ならではのよさがしっかり継承されている。
さて、肝心のサウンドはというと、見通しのよいていねいな抑揚表現など、初代に対して確実な進化が感じられる。おかげで、OLDCODEXのようなパワフルな演奏も、破綻することなくまとまりのよいバランスで聴かせてくれる。いっぽうで、Jポップとの相性のよさは相変わらず。MYTH & ROIDを聴くと、歌声が一段とリアルになり、分厚いギターと重なり合ってもお互いに潰し合うことなく、それぞれが印象的なバランスのよいサウンドを聴かせてくれる。坂本真綾「逆光」は、バイオリンの音が一段とクリアになったほか、生バンド演奏もリアルさが増している。坂本真綾の歌声は、ややハスキーな方向にシフトした。「FALCON」で感じた“音楽が楽しい”サウンドが、「FALCON 2」ではさらにクオリティを上げ、音色傾向としても聴きやすい音になった、といった印象だ。元々完成度の高い製品だったが、この進化は大いに歓迎したい。