初のスマートスピーカーをアメリカで9月に発売

Alexa対応スピーカーの担当者に直撃! オンキヨーのAI/IoTに対する“本気度”

このエントリーをはてなブックマークに追加

オンキヨーが、AmazonのAIアシスタント機能「Alexa」を搭載したスマートスピーカー「VC-FLX1」をアメリカで9月に発売する。価格は279.99ドル(約3万円)で、発売時期は9月下旬予定だ。

オンキヨー初のスマートスピーカー「VC-FLX1」

オンキヨー初のスマートスピーカー「VC-FLX1」

アメリカでは、Amazonが「Alexa」を搭載したスマートスピーカー「Amazon Echo」を2015年にいち早く投入。昨年のホリデーシーズンは品切れが続出するほどの爆発的なヒットを記録し、いまや「Alexa」の音声コントロールに対応する家電やガジェットも数多く登場してきている。

いっぽうで、これまで市場をリードしてきたAmazon以外のメーカーも動きが活発になってきている。IT業界の巨人Googleは、独自のAIアシスタント「Google Assistant」を搭載した「Google Home」を投入。Appleも「Siri」を搭載した「HomePod」を年内に発売予定であることを明らかにするなど、スマートスピーカー市場は急速に拡大を続け、IT業界で今、もっとも熱い分野のひとつとなっている。

日本でも、7月にLINEが独自のAIアシスタント機能「Clova」を国内に投入すると発表。音楽機能に絞った機能制限版となるが、「Clova」に対応したスマートスピーカー「WAVE」の先行版もすでに出荷が開始され、今後、日本でも爆発的に普及することが予想される。

そんな大注目のスマートスピーカー市場、しかも競合ひしめくアメリカに新製品を投入する日本の老舗オーディオメーカーの意図とは? 今回は、オンキヨーでAI/IoT事業を担当するスマートスピーカーのキーマン、AI/IoT事業推進室 室長の宮崎武雄氏に話を聞いた。

今回お話しを伺った宮崎氏。パイオニア入社直後は国内営業を担当し、その後はマーケティング・企画職などを歴任。パイオニアのDVD/HDDレコーダーの設計を1号機から最終機まで担当したほか、シャープとの光学ドライブに関する提携などにも携わる。その後、海外で商品企画や営業責任者、ホームAV事業の責任者を担当し、今年3月に設立されたAI/IoT事業推進室の室長に着任した

開発のきっかけはプラットフォームの開放。AIとオーディオは意外と相性がいい

価格.com:オンキヨー初のスマートスピーカー「VC-FLX1」がついにアメリカで9月に発売されることが発表されました。まずは製品について教えてください。

宮崎:「VC-FLX1」は、Amazonが提供している「Alexa Voice Service」が入っているスピーカーです。現時点では、アメリカでの発売が決定したというステータスで、細かなスペック等はこれから順次公開していく予定です。

価格.com:「Alexa」に対応するスマートスピーカーといえばAmazon自らが販売する「Amazon Echo」が有名ですが、「VC-FLX1」ではどのようなことができるのでしょうか?

宮崎:無線LANを内蔵しており、「Alexa Voice Service」の先にあるさまざまな音楽サービスとの連携ができます。Bluetoothも内蔵しているので、PCやスマートフォンと接続して音楽を再生するといった使い方も可能ですが、やはり音声コントロールを使って音楽サービスを楽しむといった使い方のほうがメインです。

また、「VC-FLX1」には、Webカメラやモーションセンサー、照度センサー、温度/湿度センサーが内蔵されており、IoTのコントロールができるようになっています。サードパーティーのクラウドサービスと組み合わせれば、家の中の照明をコントロールしたり、外出先からスマートフォンで家の様子を確認したり、暗闇の中の動きを検知して自動で録画するといったデジタルハブ的な使い方もできます。Webカメラと温度センサーを組み合わせて、ペットの見守り機能と言った使い方もできますね。

円筒形のボディを採用した「VC-FLX1」。フロント部分にはWebカメラが搭載されている

円筒形のボディを採用した「VC-FLX1」。フロント部分にはWebカメラが搭載されている

本体天面にはマイクや照度センサー、ボリューム調整ボタンやミュートボタンなどが並ぶ

本体天面にはマイクや照度センサー、ボリューム調整ボタンやミュートボタンなどが並ぶ

価格.com:なかなか機能盛りだくさんで、これまでオンキヨーが手がけてきたオーディオ機器と比べると、かなりITガジェット寄りの製品といった感じですね。

宮崎:「VC-FLX1」は「Alexa Voice Service」に対応した第1弾製品なのでこういった形ですが、すでに発表しているように、当社ではAmazon「Alexa」と「DTS Play-Fi」の両方を搭載したスマートスピーカーをアメリカ、イギリス、ドイツの3か国で10月に発売する予定です。オーディオ的な動かし方としてはいろいろできるものになっており、オーディオファイル寄りの製品ということであれば、こちらが対応してくると思います。

価格.com:第1弾製品となる「VC-FLX1」は、今年1月にラスベガスで開催されたCES2017で参考出品され、オーディオメーカーがスマートスピーカーに参入するということで大きな話題となりました。AI/IoT事業推進室は今年3月に立ちあがったということですが、開発自体はいつ頃からスタートさせたのでしょうか?

宮崎:AIやIoTについては社内で以前から検討していましたが、開発のきっかけとなったのは「Alexa」のプラットフォーム開放です。2015年にAmazonが「Amazon Echo」を市場に投入したときに、今後、「Alexa」のプラットフォームをオープンにするよという話がありました。AIとオーディオって意外と相性がいいと思っていて、いっしょにやってみるかという感じでスタートした感じです。「VC-FLX1」のAIコントロールに「Alexa」を採用した理由もここにあります。

AI/IoT事業推進室が立ちあがったのは、これからずいぶん後になるのですが、「VC-FLX1」のAIコントロールに「Alexa」が使われているように、AIやIoTはコラボレーションが非常に大事です。こういった関連する企業とのコミュニケーションを円滑にするとともに、出来上がった製品の細かな仕様や販売方法などを検討するために、AI/IoT事業推進室が立ち上がったということです。

VC-FLX1に向かって話しかける宮崎氏

VC-FLX1に向かって話しかける宮崎氏

価格.com:筆者の勝手なイメージなのですが、AIのような先進的な技術を積極的に取り組むのはオンキヨーよりもパイオニアという感じがあります。今回、オンキヨーブランドで製品を投入した理由とかあるのでしょうか?

宮崎:AIに関連した製品というと、パイオニアブランドで展開している「Rays」は、先日のアップデートでAppleの「Siri」に対応しました。今回はホームスピーカーの分野でAIにつながるということでAmazonさんと組んでやらしていただいたが、屋外でもAIにつながるというところでは、「Rays」が担い、カーエレクトロニクスの分野も検討しています。

iPhoneとLightning接続できるパイオニア「Rays」

iPhoneとLightning接続できるパイオニア「Rays」

たとえば、車の中で使うことを想定すると、バッテリー内蔵モデル、シガーソケットからの給電に対応したモデルといったものも考えられるし、スマートフォンの「GRANBEAT」で培ったLTEの技術もあります。こういったものを組み合わせ、ライフスタイルのどこにいてもAIとつながり、我々のホームグラウンドである音に繋がる、音をコントロールするというところを目指すため、いろいろな可能性があると考えており、今回はそういった中でオンキヨーブランドのホームスピーカーを出したということです。

オーディオメーカーならではの音へのこだわり

価格.com:スマートスピーカー第1弾製品ということですが、製品開発で特にここはこだわったというポイントを教えてください。

宮崎:やはりオンキヨー初の製品ということで、音に関する部分はかなり注力して開発させていただきました。先日、スマートスピーカー向けのスピーカーユニットの開発について発表されていただいたのですが、「VC-FLX1」にはこの技術が搭載されております。

スマートスピーカーに搭載可能なスピーカーユニットの開発にも積極的。他社へのOEM供給も行う予定とのこと

スマートスピーカーに搭載可能なスピーカーユニットの開発にも積極的。他社へのOEM供給も行う予定とのこと

「ODMD(Onkyo Double Molding Diaphragm)」という新開発の振動板を採用したドライバーユニットを、「VC-FLX1」に合わせてフルスクラッチで搭載し、小型のユニットながら、理想的な周波数特性と低歪み化を実現できています。

やはり、オーディオメーカーからみると、今あるスマートスピーカーは、オーディオファイルのレベルには正直到達していない状況です。スピーカーユニットの開発も含め、本当にオーディオとして使えるレベルの製品を出していく使命が我々にはあると思っています。

価格.com:「VC-FLX1」は、マイクに向かって話しかけるだけでネットワークと繋がってさまざまなサービスを利用でき、各種センサーを活用して外部からIoTのコントロールなどもできるとのことですが、そうなると気になるのはプライバシーやセキュリティです。このあたりについて、「VC-FLX1」ではなにか対策などはしているのでしょうか?

宮崎:「VC-FLX1」で使用している「Alexa」は、音声を常に録音しているわけではなく、“Alexa”という単語をマイクで検出することで、初めて「Alexa」のサービスが立ち上がり、音声コントロールができるようになっているので、勝手に会話を録音されるといったことは起こり得ないと考えています。

Webカメラについても、その場にいる本人の許可なしに外部から覗かれるといったことが考えられるので、レンズカバーを装備しました。これなら、万が一のときも物理的にカバーできるので安心です。

「VC-FLX1」のフロント部分に搭載されたWebカメラ。本体上部を掴んで回転させると、物理的なカバーでWebカメラを隠せるようになっている

プライバシーやセキュリティについては、利便性とリスクをどう取るかの世界だと思っており、人それぞれ考え方が異なるので、これといった正解はないのが正直ですが、できる限りのことは考慮して製品に反映しています。

価格.com:Webカメラや各種センサーも搭載され、これまでのスマートスピーカーと違った使い方ができそうですが、おすすめの使い方はありますか?

宮崎:やはり、音声コントロールだけでさまざまな音楽サービスにアクセスできるのが便利ですね。あと、個人的にはアラーム機能やタイマー機能といった機能を使うことが多いです。カップラーメンを作るときなどになかなか便利ですよ(笑)。

価格.com:さまざまな IoTとの連携も「VC-FLX1」のウリですが、スマートスピーカーと連携する機器の開発を自ら手がけるなど、今後の製品展開についてはいかがでしょうか?

宮崎:現時点では、「Alexa」の音声コントロールと連携する機器を自ら手がけるというイメージは持っていません。総合家電メーカーのような規模の大きいメーカーであればトータルソリューションとして手がけるといったこともできるのでしょうが、我々のような規模のメーカーでは難しいというのもありますし、そもそもこういった新しくて面白い技術に対応したものを1社でやっても面白くないからです。

いろいろなメーカーが手を組んで、コラボレーションで仕事を進めるというのはやはり面白いです。これまで思いつかなかったようなアイデアも出てきますし、我々はそういった方向で進めていければと思っています。おかげさまで、スマートスピーカーを発表してから、たくさんの問い合わせをいただき、いろいろとディスカッションさせてもらっています。今後も、さまざまな製品の展開を予定していますので、ぜひ注目してください。

改めて感じたオンキヨーのAI/IoTに対する“本気度”。今週末開催のIFA 2017では新製品も登場!?

今年に入ってからというもの、オンキヨーからのAI/IoTにまつわる情報発信が増えており、AI/IoT分野への取り組みに注力していることはある程度知っていたが、今回宮崎武雄氏からうかがった内容や、CES2017での開発中の製品の参考出品から実際の製品が出てくるところまでのスピード感から、オンキヨーのAI/IoTに対する“本気度”の高さを改めて感じることができた。

現在、同社のホームページ上には、AI関連の情報をまとめた特設サイトがオープンされている。こちらには、オンキヨーの「VC-FLX1」、パイオニア「Rays」とならんで、AI製品とおぼしき2つのシルエットと“IFA 2017でデビュー”という文言が掲載されている。今週末にドイツ・ベルリンで開幕されるIFA 2017で何らかのアナウンスがあるのは間違いなさそうだ。

AI関連の情報をまとめた特設サイト

AI関連の情報をまとめた特設サイト

いまやAIアシスタントを搭載したスマートスピーカーへの期待は、世界中で高まってきている。AI/IoT分野に対するオンキヨーの新たな挑戦に今後も目が離せない。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
特別企画最新記事
特別企画記事一覧
2017.9.20 更新
ページトップへ戻る