高音質化にUSB DAC搭載、aptX対応まで

シリーズ最高傑作! ソニー渾身の新ウォークマン「ZX300」「A40」シリーズを聴く

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この秋発売されるソニー・ウォークマンは、過去に類を見ないくらい魅力に溢れた製品に仕上がっている。とてもウォークマンらしく、同時に、いい意味でウォークマンの常識を覆してくれた、さまざまな機能性や良質なサウンドを持ち合わせているのだ。そんな、“シン・過去最高”と呼びたくなるくらい完成度の高い新ウォークマン2製品について、くわしく紹介していきたいと思う。

新ウォークマン

WM1シリーズの開発で培ったノウハウを投入したZXシリーズ最新モデル

さて、10月7日に発売される新型ウォークマンだが、実は2機種ある。ミドルクラスの「ZX」シリーズから発売される「NW-ZX300」(以下、ZX300)と、(ハイレゾ対応モデルとしての)エントリークラス「A」シリーズのNewモデル「A40」シリーズだ。

このうちZX300は、プライスゾーンやボディサイズ、そして名称から、2015年に発売された「NW-ZX100」(以下、ZX100)の後継モデルに位置付けされているのは確かだろう。確かに、縦長で扱いやすい筐体デザインなどは共通性が見られるものの、全てのパーツが一新されており、機能面から見てもまったくの別物となっている。新モデルとして、イチから開発された製品だということがひと目でわかる。

ZX300は、ブラックとシルバーの2色のカラーバリエーションを用意。市場想定価格は65,000円前後(税別)だ

ZX300は、ブラックとシルバーの2色のカラーバリエーションを用意。市場想定価格は65,000円前後(税別)だ

では、詳細を見ていこう。まず、アルミ削り出しの本体は、左右両サイドが半円となったオーバルデザインはZX100と同じだが、リアパネルもアルミ製となったことや、アルマイト処理によるフィニッシュのよさ、さらには本体の厚みが増したことなどが相まって、より上質なイメージとなった。とはいえ、ウォークマンフラッグシップモデルの「WM1」シリーズとは異なり、女性の手にも違和感なく収まるサイズにまとめ上げているあたりは、“ミドルクラス”製品ならではの気遣いといえるだろう。

ZX300を手に持ったところ。手のひらにすっぽり収まるとまではいかないものの、かなりコンパクトなサイズまとまっている

ZX300とZX100の大きさを比べてみたところ

ZX300とZX100の大きさを比べてみたところ

本体の厚みはZX300のほうが若干厚いが、ほぼ誤差の範囲。重量はZX300のほうが約13gほど重い

本体の厚みはZX300のほうが若干厚いが、ほぼ誤差の範囲。重量はZX300のほうが約13gほど重い

加えて、ZX300ではタッチパネル画面を採用。さらに、全面ガラスにウォークマンとしては初となるマットガラスを採用している。マットガラスは、映像コンテンツなどを見ることのないウォークマンだからこその選択だが、指紋などの汚れがつきにくいのはありがたい限りだ。

タッチパネルとなったことで、ユーザーインターフェイスはWM1シリーズと同じものに切り替わった

タッチパネルとなったことで、ユーザーインターフェイスはWM1シリーズと同じものに切り替わった

また、ボディサイドに配置されているハードウェアキーも、操作面がほんの少し斜め後ろ側にまわりこんでいるように形作られているなど、操作性とデザイン性が巧みに融合されている。こういった細部までの気遣いは、さすがソニーといったところだ。とはいえ、今から思えばZX100がタッチパネルでないことの方が驚き。こちらのほうが今風だし、ウォークマンとして正常進化に立ち戻ったともいえるが、ただタッチパネルを搭載するだけでなく、使い勝手をさらに一歩推し進めてくれたのはありがたいかぎりだ。1点だけ、タッチパネルがレイアウトされていないボディ下側のブラックアウトされた空白部分が気になったのは確かだが、これは些細な話だ。

ボタンを含めてフルメタルボディとなったZX300。ボタンはサイズが大きくとられており、指の大きな男性でも非常に操作しやすい

続いて、機能面でも注目すべきポイントが多々ある。まず第1に、対応するハイレゾ形式の拡充だ。最大11.2MHzまでのDSD音源、最大384kHz/32bit(しかもfloatとintegerの両対応)までのWAV音源リニアPCMネイティブ再生に対応。さらに、最新のハイレゾ級ファイル形式「MQA」まで対応している。これは「ZX」シリーズとしては初となるし、MQAに至ってはWM1シリーズよりも先を行く真っ先の対応。同じソニー系列としてハイレゾ文化を牽引し続け、時にウォークマンとリンクした展開をも見せている音楽配信サイト「mora」がMQA対応をどうするか判断していない段階で、いち早くデコーダを搭載することとなったのだ。実際のところ、幅広いユーザーを持つウォークマンだからこそ、なかにはMQA音源を活用したいと思っている人もいるだろう。そういったニーズにも配慮し、いち早く対応しようと決断してくれたのは、いちユーザーとしてありがたいかぎりだ。

また、USB DAC機能をサポートしたのも見逃せない。昨今のミドルクラスのポータブルオーディオプレーヤーでは当たり前になりつつあるが、これもウォークマンとしては初の搭載となった。

ZX300は、ウォークマンとしてはじめてUSB DAC機能をサポート

さらに、Bluetoothに関しても、ハイレゾ級の高音質がうたわれているLDACはもちろんのこと、ZX300からはaptX HDにもすることとなった。ソニーが提案するLDACとは、ある意味ライバル関係にあるといっていいaptX HDだが、それを堂々と搭載してきたのだ。次世代Androidスマートフォンではそういった対応も可能ながら、ハードウェアメーカーの意向に左右されるし、実際に両対応する製品はほとんど登場しないだろうと予測される。
そんな状況のなか、オリジナルOSを採用するウォークマンがいち早く実現してきたのだ。そういった部分に、ポータブルプレーヤー市場を牽引するブランドならではの、一歩先を進んでいこうとする姿勢がうかがえる。

そして、ZX300最大のアピールポイントといえるのが、その音質についてだ。上位機種WM1シリーズの開発で培ったノウハウとパーツを生かし、コンパクトなボディサイズと上質なサウンドの両立を追求。なかでも、WM1シリーズ用に新開発された新型ICチップによる「S-Master HX」の搭載により、ZXシリーズとしては格段といえる音質向上を果たしている。

さらに、無酸素銅(純度99.96%以上)に金メッキを施したプレートを組み込み、リアパネルもアルミ製に変更することで、筐体の抵抗値を低減して音のクリアさと力強さの両立。また、アンプ電源の強化やクロックの最適化、「S-Master HX」の基板とICの間の接続ボール部分に高音質はんだを使用するなど、細部まで徹底した音質追及が行われている。加えて、WM1シリーズで初採用し、好評を得ている4.4mm5極によるバランス接続端子を搭載。ハイレゾ音源のよさをしっかりと引き出す、ハイクオリティサウンドで楽しめるようになった。

アルミ削りだしのシャーシだけでなく、金メッキプレートやリアパネルなど、ZX300のボディは細部までこだわって作られている

3.5mmのアンバランス出力だけでなく、4.4mm5極によるバランス接続出力も搭載

3.5mmのアンバランス出力だけでなく、4.4mm5極によるバランス接続出力も搭載

さて、実際のサウンドはいかがなものだろう。「NW-WM1A」やZX100と比較しつつ、試聴してみた。正直な話をすると、ZX100とは比べものにならない音質のよさ。しかも、アコースティック楽器がリアルに感じられる、とても自然な表現だ。

たとえば、チェロの音はボーイングの音がボディに伝わり、その後ホールへと広がっていく様子がしっかりと感じ取られる、深い響きを持つ。バイオリンは、煌びやかな響きが乗りつつも細かいニュアンスまでしっかり送り届けてくれるため、ハリのあるリアルな音色を聴かせてくれる。ピアノもしっかりとした基音と素性のよい高域の伸びが合わさって、自然な音色を楽しませてくれる。このように、アコースティック楽器が得意ではあるが、音の躍動感やメリハリのよさもしっかりと持ち合わせている、絶妙なバランスに整えられたサウンドとなっている。

ちなみにZX100は、どちらかというとメリハリを強調した印象だったので、このZX300まったく別物といっていいだろう。また、クオリティ面では、当時10万円オーバーで登場した「NW-ZX2」をも確実に凌駕している。細部を丁寧に表現しようというキャラクターはこちらの方が近いので、実質上としてはZX2の後継といっていいかもしれない。それがこの価格で手にできるのは、とてつもない魅力だ。

いっぽうで、WM1Aと確実なクオリティ差があるのも確か。特にSN感というかノイズレベルの低さというか、静粛性にハッキリとした違いが表れている。とはいえ、ほぼ倍の価格差があることを考えると、かなりのコストパフォーマンスといえるだろう。また、これには多少なり解決方法がある。実は、バランス接続で聴くとSN感が向上してくれるのだ。

ZX300では、バランス接続をメインに活用することをオススメしたい。コンパクトなサイズも踏まえると、こちらはこちらで大いに魅力的だ。特に、ハイレゾ音源のよさを存分に楽しみたいという人には、コントパフォーマンス的にもWM1シリーズに先んじてまずはこちらをオススメしたい。

見た目は同じだが、中身が大きく進化したA40シリーズ

続いて、A40シリーズを紹介しよう。こちら、先代「A30」シリーズのマイナーチェンジモデルで、小型薄型ボディ+ボディサイズいっぱいのタッチパネルによる外観は全くといっていいほど変わっていない。16GB、32GB、64GBという内蔵メモリーのラインアップも同じ(とはいえmicroSDカードスロットが用意されているのであまり問題にはならないかも)。

Aシリーズの最新モデルとなるA40シリーズ。外観はA30シリーズとまったく同じデザインだ

Aシリーズの最新モデルとなるA40シリーズ。外観はA30シリーズとまったく同じデザインだ

変化としては、ヘッドホンと合わせたカラーバリエーション、イヤホンとの組み合わせの再検討など、ラインアップが多少なり最適化されただけのようにも感じられる。そうそう、64GBモデルがイヤホンレスになったため、手の出しやすい価格になってくれたことは嬉しい。また、対応する音源は、DSDが11.2MHzまでリニアPCM変換で再生可能なことは同じ。リニアPCM系はWAVが192kHz/32bitまで、FLACが384kHz/24bitまで再生できる点は、多少なりグレードアップが行われたようだ。

なお、バッテリー持続時間はノイズキャンセリングON時が約39時間、OFF時が約45時間(MP3)とA30シリーズと変わらないが、こちらについては元々が充分以上の素晴らしいスペックといえるだろう。

カラーを刷新したA40シリーズ。同時発表されたヘッドホン・イヤホンシリーズ「h.ear」と同じく、ホライズングリーン、グレイシュブラック、トワイライトレッド、ムーンリットブルー、ペールゴールドの全5色をラインアップする

とはいえ、実際にはかなりのグレードアップが施されている。まず、イヤホンとの組み合わせについては、「外音取り込み機能」を新たに搭載している。イヤホン同梱モデルのイヤホンや、別売イヤホン「IER-NW500N」を組み合わせて使用すると、音楽を聴きながら周囲の音も聞くことができる。

また、ZX300と同様にMQA形式のファイルにも対応。加えて、Bluetooth接続もLDACに加えてaptX HDに対応することとなった(近日のファームウェアアップデートにて対応予定)。もうひとつ、中〜上級DAPによく見られるDACモードも搭載。パソコンなどと接続して良質なサウンドを楽しむこともできるようになった。(ハイレゾ対応の、と注釈がつくとはいえ)エントリーモデルでここまでの機能性や利便性を推し進めてくれたことは、ありがたい限りだ。

専用イヤホンを使った外音取り込み機能を新たに追加

専用イヤホンを使った外音取り込み機能を新たに追加

使い勝手という意味では、ボリューム調整バーをタップすると、ボリューム調整バーが拡大表示されるようになったのも見逃せない。タッチパネルの小さいAシリーズならではの地味にうれしい改良点といえるだろう

さらに驚きなのが、外観はほとんど変わっていないのにもかかわらず、内部、特に音質に関わる部分でさまざまな改良が行われていることだ。まず、基板が新規設計され、電源回路の見直しなど基板レイアウトを変更。加えて、ZX300同様に「S-Master HX」のICに高音質はんだを採用。44.1kHz系と48kHz系のデュアルクロック搭載、「POSCAP」コンデンサーの採用など、大胆な基板変更から細部の見直しまで、さまざまな変更が行われている。

基板レイアウトの見直しや搭載パーツの変更など、中身は大きな進化を遂げている

基板レイアウトの見直しや搭載パーツの変更など、中身は大きな進化を遂げている

その結果として生まれサウンドは、クラスが違う製品のごとく、音質が向上。雑味が押さえられ、生き生きとした歌声を楽しむことができるようになった。ハードロックを聴いても、ギターの音がノイズに埋もれることもなく確かな厚みを保っている。また、サウンドキャラクターもA30のメリハリのハッキリした印象から、ニュートラル志向の自然なイメージに変更され、アコースティック楽器やボーカルの歌声が、リアルに感じられるようになった。

はっきりいって、2万円ちょっとの価格でこの音質を手に入れられるのは驚き。コンパクトサイズの手軽さも含め、CDだけでなくこれからはハイレゾ音源も楽しみたい、という人にとっては、最有力候補といえる。

このように、この秋登場するウォークマンZX300とA40シリーズは、エントリー、ミドルクラスというそれぞれのポジションで絶対的なインパクトを持つ、素晴らしい製品に仕上がっている。もともとソニーが得意とする、長年にわたってノウハウを蓄積してきたカテゴリーとはいえ、ここまでの完成度を持つ製品は滅多に登場しない。そういた点でまさにいまが“買い時”、音楽ライフを存分に楽しませてくれる、素晴らしい製品だ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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2017.11.17 更新
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