話題のスマートスピーカー「Google Home」が我が家にやってきた。日本で発売されるGoogle Homeは、スタンダードモデルのGoogle Homeと、10月23日発売予定の小型モデル「Google Home Mini」の2機種。1週間ほどGoogle Homeと暮らしてみたので、その感想をレポートしたい。
2017年10月6日に発売されたGoogle Home。注目度は高いようで、価格.comの「Bluetoothスピーカー」カテゴリーの売れ筋と注目の2つのランキングで1位となっている。価格.com最安価格は12,395円(ランキング順位と価格は2017年10月13日時点)
まずは外観からチェックしていこう。米国で1年前に発売されているため、写真ではよく見ていたが、実物は想像していたよりも小さかった。上面が斜めにカットされた円柱型の本体は、陶磁器の花瓶のような雰囲気。取り外せる下部はファブリック素材で、別売で何色かバリエーションが用意されている。
斜めになっている上面には、タッチセンサーが入っており、音楽の停止/一時停止、音量の調整、長押しで音声コマンドの入力が可能だ。音声コマンドが入力されると、上面は赤、黄、青、緑の光りがくるくると回る。背面にはマイクのオン/オフボタンと電源の状態を示すライトがある。
下部のファブリック部分を取り外すとスピーカーが見える
背面にマイクのオン/オフボタンがある。反応しないでほしい来客中などは、マイクをオフにしておくとよい
本体以外には、電源ケーブルとアダプター、取扱説明書、保証書が入っている。「ご利用方法」という紙に書いてある通り、電源ケーブルを本体に差し込んで、電源アダプターをコンセントに差し込む。これでGoogle Homeの準備は完了だ。
続いて、スマートフォンにGoogle Homeのアプリをダウンロードして、いくつかの設定を行う。使う場所(オフィスやリビング、キッチンなど)と接続するWi-Fiを選び、「OK Google」「ねぇ Google」と何度か話しかける。筆者の場合、同じアプリを利用する「Chromecast」を自宅で使っていることもあり、スマートフォンにGoogle Homeアプリがインストールされていたため、設定は5分ほどで終わった。
付属品。取扱説明書はシンプルで、最小限のことしか書かれていない
設定はスマートフォンで行う。設定方法の説明はないが、いくつか選択するだけなので、それほど難しくはない
Google Homeでできることは一言では説明しにくいが、スマートフォンで「Googleアシスタント」を使っているユーザーであれば、音声操作でほぼ同じことができると思ってもらっていい。
天気や為替、食べ物のカロリーや掛け算の答えなどのいわゆる「調べ物」、タイマーやスケジュールの設定・確認などの「ユーザーのお手伝い」、「Google Play Music」などの「音楽再生」、それに今後対応機器の増加が見込まれる「スマートデバイスの操作」といったところが主な使い方(できること)だろう。
実際に使ってみると、音声認識と音声合成の質の高さに驚かされた(どのようなやり取りができるのかは上の動画をご覧いただきたい)。まず、Google Homeに話しかけるときは、「OK Google」か「ねぇ、Google」というキーワードを発しなければならないが、小さな声でも反応してくれる。離れた場所からだと、大きな声を張り上げたくなるが、少しだけ大きくはっきりしゃべれば認識してくれる。いいのか悪いのかの判断はしにくいが、子供が「オーケー、グルグル」とふざけて話しかけても反応してくれたのには思わず笑ってしまった。
Google Play Musicで音楽を再生していても、「OK Google、ボリュームを下げて」と言うと、音楽がミュートされ、音声コマンドが入力される。テレビや家族の話し声など、雑音となるものが多くても、認識率は非常に高かった。また、6人までの声を聞き分けられるので、お母さんが話しかければお母さんのスケジュール、お父さんであればお父さんのスケジュールという具合に答えが変わる、インテリジェンスも魅力だ。Google Homeの耳(マイク)はよくできている。
音声コマンドに対して、Google Homeは女性の声で返答してくれるのだが、非常にクリアで聞き取りやすいのも好印象。たまに、ぎこちない所やイントネーションが不自然なところは見られたが、言っている意味は理解できる。
Google Homeで一番使われるのは音楽再生だろう。Google Homeでは、定額制音楽サービスのGoogle Play Musicと「Spotify」が使えるが、今回はGoogle Play Musicを選択してみた。サービス開始直後にスマホで使っていたが、邦楽のラインアップが少なく、すぐに使わなくなってしまった。そのころの印象しか持っていなかった筆者として、邦楽が非常に充実していることに驚いた。
ただし、どんなに邦楽のラインアップが充実していても、Google Homeに「アーティスト名+曲名」の組み合わせで音楽再生をお願いすることはほとんどしなかった。「リラックスできそうな歌」「日曜の午後っぽい曲」「ジャズを再生して」と、ざっくりとしたキーワードで音楽再生するのがGoogle Homeのやり方だ。Google Play Musicや「Apple Music」を使い慣れている方なら違和感なく使えるかもしれないが、昔ながらのアーティストごとに音楽を楽しんでいるような方だと、慣れるまで時間がかかりそうだ。
Bluetoothスピーカーとして、スマホの中には入っている音楽を再生することもできるが、その場合は、音声操作はできない。気になる音質は悪くはないが、手持ちのボーズの「SoundLink Revolve Bluetooth speaker」に比べると、音の広がりやクリアさで劣る。米国では音質にこだわった「Google Home Max」を米国で発表済みなので、日本での発売にも期待したいところだ。
Google Play Music(ブラウザー版)。久しぶりに使ってみたが、サービス開始時よりも邦楽のラインアップが着実に増えている印象
価格が違うので比較しにくいが、ボーズのBluetoothスピーカー、SoundLink Revolve Bluetooth speakerと比べると、音の広がりやクリアさで劣る
Google Homeにはディスプレイがないため、映像を見ることはできないが、Chromecastがあれば、テレビとの連携が可能だ。具体的には、「テレビをつけて」と言えばテレビ(機種によるようだ)がついて、「YouTubeで○○の動画を再生」と言えば、YouTubeの動画がテレビで再生される。
Google HomeとChromecastのように、音声でほかの機器をコントロールできるようになると、Google Homeがますます便利になるだろう。フィリップスのスマート照明「Hue」がGoogle Homeに対応しており、音声で照明を点けたり、明るさを調整したりできるが、エアコンやロボット掃除機、調理家電など、Google Homeと連携できたら便利そうな機器が家中にはたくさんある。
スマートスピーカーは、「AIスピーカー」と呼ばれることがあるが、AIスピーカーという言葉には、対話ができたり、いろいろなことをしてくたりしそうな雰囲気がある。将来的には、もっと賢くなって、ほかの機器との連携が深まり、AIスピーカーという名前にふさわしいデバイスになるかもしれないが、現時点でGoogle Homeはまだそこまで賢くはない。
それでも我が家ではすでにGoogle Homeが大活躍している。最初は声で操作するのが恥ずかしいと言っていた妻が、朝は私より早く、「OK Google、おはよう」と話しかけて、その日の気温や天気、ニュースをチェックしている。食事や子供の保育園の準備に忙しい妻にとって、ハンズフリーで声だけで知りたい情報をチェックできるGoogle Homeはありがたい存在になっているようだ。いっぽう、家族が寝静まっている夜にリビングにいることが多い筆者としては、なかなか使う機会が少ないのが悩ましいところだ。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!