ブーム再燃!? 今だからわかるカセットの魅力って?

今も絶賛製造中! 最新のカセットテープ再生機4選

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高音質音源を指す「ハイレゾ」という言葉が、ここ数年の間で一気に一般に浸透した。しかし、それと同時にブームが再燃していると言われているのが、ハイレゾとはまったく真逆の「カセットテープ」の世界だ。ちなみに、今でも大手AV機器メーカー各社から、カセットテープを再生できる新製品が登場し続けているのをご存知だろうか。今回はAV評論家の小原由夫氏が、今になって感じるカセットテープの魅力を振り返りつつ、最新のカセット再生機を紹介していく。

価格.comで買える最新のカセット再生機4モデルをチェック!

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<目次>
1.今だからわかるカセットテープの魅力
2.カセットテープとは
3.最新のカセット再生機4モデルをチェック!

→価格.comでラジカセ製品をチェック!

1.今だからわかるカセットテープの魅力

90年代にほぼ消滅したと思われていたメディア「カセットテープ」が、今静かなブームという。音楽を記録するとき、非接触型の12cmディスクメディア、あるいはUSBメモリーやSDメモリーカード等の固体メモリーにデジタルファイルで圧縮収録するのが普通になって久しい今、「磁気記録」という古典的方式、しかも記録時間に制約があり、表裏にひっくり返す手間など、使用時に煩雑さがともなう記録メディアがなぜ再び注目を集めているのか?

かつて、アーティストの音楽アルバムがカセットテープで発売されていた時代もあった

かつて、アーティストの音楽アルバムがカセットテープで発売されていた時代もあった

理由はいくつか考えられる。形そのものがレトロでかっこいいというファッション的要素もあるだろう。いっぽうで、カセットの音質そのものの温かみや厚みが支持されている一面もある。“ハイレゾ時代”だからこそ、逆にその温かみを感じやすくなったというのもあるのかもしれない。また、CDや音楽ストリーミングサービスのように再生中は曲が簡単にスキップできず(飛ばせず)、コンセプトアルバム的な音楽創作には都合がいいという、カセットテープならではの特質が重用されている部分もあるようだ。

生カセットテープの再生産も始まり、日立マクセルが往年のパッケージもそのままに、ブランクテープを発売して堅調な売上げを見せているという。それに、実はカセットが再生できるデッキは、今でも新製品が登場しているのだ。そこで今回は、価格.comで購入できるカセットデッキやカセットレコーダーを集め、その操作性や再生音のクオリティをチェックしてみたい。

2.カセットテープとは

私が青春時代を過ごした70年代は、カセットテープを使ってFM放送を録音する「エアチェック」の全盛期。小学生の頃は、ラジオとカセットデッキが一体になった、いわゆる「ラジカセ」のブームがあり、親にねだって大きなラジカセを買ってもらって音楽を楽しむのがステータスだった。

筆者が80年代にエアチェックしたカセットテープの実物。ラベルに手書きする文字にこだわったりした人も多いのでは?

カセットテープの正式名称は、「コンパクトカセット」。1962年にオランダのフィリップスが開発し、その特許を無償で世界公開したことから、70年代に音楽記録用として爆発的に広がった。幅3.81mmのテープ上に、ステレオ音声の場合は半分の幅を利用して右・左のチャンネルの音声信号(トラック)を記録し、両面あわせて4本のトラックが存在する(モノラル音声の場合は2トラック)。A面/B面を通してトータル46分、60分、90分の録音ができるタイプが主流だ。これは、当時のFM放送の番組の長さ、またはLP1枚分の演奏時間から割り出されたと言われている。

CDやUSBメモリー等と違い、カセットテープの記録・再生は「接触式」だ。テープの表面には磁性体が塗られており、そこに磁気ヘッドが当たることで磁力の変調から信号が記録される。再生時はヘッドに逆の作用をして信号を読み取る。接触式なので、使い続ければ磨耗していくため、ミクロレベルではほんのわずかずつ音が劣化していく。そんな刹那的はかなさも、カセットテープの大いなる魅力と言えるかもしれない。

磁性体が塗られたテープの表面。この幅を半分ずつ使ってステレオ音声が録音される

磁性体が塗られたテープの表面。この幅を半分ずつ使ってステレオ音声が録音される

3.最新のカセット再生機4モデルをチェック!

ここからは、直近1年間で発売されたカセットテープ再生機の中から、価格.comで買える4機種をご紹介していこう。今回は「録音」と「再生」の2点で製品の実力をチェックした。

録音品質については、新品のブランクテープを用い、ティアック「AD-850」はCDの録音のみ、その他の機種はCD録音のほか、FM放送のエアチェックも行って録音品質を確認した。再生品位については、筆者が30年前にFMエアチェックしたYMOのニューヨークライブ放送と、ドナルド・フェイゲンの市販ミュージックテープを使って試している。ちなみに「ドナルド・フェイゲン」テープの再生は、やや平板な音で低域の力が不足気味だ。いっぽうで「エアチェック」テープは、MCの声に厚みを感じるし、演奏にも十分ノレるものだった。

今回チェックした4製品はこちら

今回チェックした4製品はこちら。ちなみに、いずれもオートリバース機能は非搭載であったため、再生時には手動でA面とB面をひっくり返して入れ替えるという基本スタイルだった

こちらはチェックに使用した筆者所有のカセットテープ。いまだに現役である

こちらはチェックに使用した筆者所有のカセットテープ。いまだに現役である

3-1.パナソニック「RX-FS27」

ラジオとカセット再生機能を搭載した、いわゆるスタンダードな「ラジカセ」(CD再生機能は非搭載)。内部にはデジタル方式チューナーを搭載し、自動周波数制御方式によって、チューニング操作がさほど厳密でなくても簡単にラジオを受信できるのがありがたい。ボタン類は蛍光色ポインターで、蓄光作用により停電時でも操作しやすい点も見逃せない。しかもボタンは日本語表示だ。電源はACコードのほか、単二型乾電池6本でも駆動する。

その姿カタチは、ノスタルジーを喚起する懐かしいもの。ガチャっという手応えの機械式ボタン、オレンジ色の同調インジケーターなど、安心感があるうえに、往年のラジカセを彷彿とさせるデザインはむしろ新鮮に感じるほどである。しかし見た目こそ往年のコンパクトなラジカセだが、上述の自動周波数制御方式など現代の技術で使いやすくなっているのがポイント。

まさにこれこそ「ザ・ラジカセ」なたたずまい。もちろんカセット部もスタンダードにフロントに装備する。とにかくコンパクトで持ち運びしやすい

試しに放送中のFMを再生してみると、その音の雰囲気さえ懐かしい。低域、高域を思い切ってバッサリ捨てた(諦めた)ようなナローレンジで、町工場のBGM、あるいは昭和のラーメン屋で流れているラジオ、という感じの音。MCのアナウンスがとても聞き取りやすいのだ。FMの録音品質も基本的に同じ傾向で、素直な音である。トーンバランスが好ましい。「ドナルド・フェイゲン」テープはやや腰高な印象だが、ボーカルが聞き取りやすく、アレンジの細部がしっかり伝わってくる。「エアチェック」テープも同じ傾向で、ナローレンジだがニュートラルで耳当たりがいい。

3-2.東芝「TY-CDX9」

CD、ラジオ、カセットテープ再生がひとつになった、いわゆる「CDラジカセ」タイプのモデル。カセットテープの音源を、SDメモリーカードやUSBメモリーに録音してデジタル化できるという、時代にあわせた便利機能を備えていることがポイントだ。レジューム機能を装備しているので、前回停止した位置から再生でき、再生位置を探す手間がないのもうれしい。CDプレーヤー部は音楽CDのほかにMP3記録のCD-R/RW再生に対応している。ボーカルダウン機能やエコーなど、カラオケ機能も充実。内蔵アンプの最大出力は3W+3W。8cm口径のフルレンジ型スピーカーを搭載したステレオ仕様だ。電源はACコードのほか、単二型乾電池6本にも対応。主な操作が可能なカードリモコンが付属する。

ハンドルがついたいわゆるラジカセタイプの姿は、今見るとちょっと小ジャレたデザインにも感じる。本体の各ボタンは日本語表示だ。カードリモコンは本体に収納できる。カセット窓が見えるが、開口部は小さく、カセットテープが回っている様子は見づらい面も。いっぽうでディスプレイは大きく、文字も見やすい。

本機は、価格.comのラジカセ製品カテゴリーでロングセラーを続けている。ちなみに操作ボタンの大半が電子式だが、カセットのイジェクトはホルダー部を押して開ける昔ながらの機械式でノスタルジー

放送中のFM音声をかけると、ワイドレンジな印象で、細かなニュアンスも聞き取りやすい。その録音特性も素直な印象だ。いっぽうで、CDの録音品質はやや音が歪みっぽくなり、カセットテープの再生は市販テープ、エアチェックテープとも、ピッチがやや早めに感じられる傾向。音質面では、低域の力感がもっと欲しいところ。しかし、本機を使用して昔のカセットテープをデジタル化できるのは大きなメリットである。そういった“イマドキ機能”を使いこなして楽しむのがよいだろう。

3-3.ソニー「CFD-S401」

バックライト付きの大型液晶ディスプレイがデザインのアクセントになっている「CDラジカセ」タイプのモデル。ボディカラーは4色あり(WEB限定色を含む)、好みに応じて選べる。CDプレーヤー部は音楽CDとMP3記録のCD-R/RWの再生に対応。カセットテープへのCDシンクロ録音も可能だ。ラジオのタイマー録音にも対応している。マイク入力端子を装備し、CD再生を行いながらカラオケを楽しむこともできる。スピーカー部は8cm口径のフルレンジで、1.5W+1.5Wの最大出力を確保。電源はACコードのほか、単二型乾電池6本にも対応する。

ハンドルが付いた本体は、かわいらしいデザインという印象。大きめのディスプレイは視認性が高くて非常に見やすいが、いっぽうCDプレーヤー部と同じく、カセットホルダーも上面にあるため、カセット再生中の様子が見えづらいという点がある。

キレイなカラバリも含めてデザイン性の高い“イマドキ”な雰囲気を備えるモデル。カセット部は天面に備えるタイプ

FM放送は感度良好。中域の張った聴きやすいバランスで、アナウンスが明瞭だ。FM録音の音もクリアでなめらか。声はみずみずしく、音楽の骨格がしっかりと感じられるし、低域の量感にも不足はない。高域も素直だ。CD音源からカセットテープへのシンクロ録音はことのほか便利で簡単。レンジが広く、ビートもしっかりしている。ボディサイズに余裕があるからか、低音部も充実して聴こえた。「ドナルド・フェイゲン」テープも基本的にCDシンクロ録音と同様にどっしりして整っている音。細かな音も鮮明だ。「エアチェック」テープも同じ印象で、MCに声のなめらかさがある。YMOのシンセのメロディーはきらびやかで、ビートも克明だった。

3-4.ティアック「AD-850」

CDプレーヤーとカセットデッキのダブルメカ機。今回取り上げた4機種の中で唯一、本体にスピーカーを搭載しないデッキ型である。カセット部は録音再生対応のワンウェイ/2ヘッド方式で、ノーマル/クローム/メタル(再生のみ)のカセットテープに対応する。CDプレーヤー部は、音楽CDのほかにMP3ファイル記録のCD-R/RW再生も可能。さらにUSBメモリーの接続も可能で、MP3での再生と録音に対応する。カセットテープやCDの音声をUSBメモリーに録音すること、その逆のCDやUSBメモリーの音声をカセットテープに録音することが可能だ。

タイマー機能による再生(CD・USBメモリー・カセット)や録音(カセット)機能も搭載しているので、チューナーさえ用意すればFMエアチェックの留守録もできそうだ。カラオケに対応したエコー機能付きマイク入力端子も装備している。また、デジタル表示のレベルメータやカウンターに時代を感じる。

本体左側にCDメカ、右側にカセット部、下側の狭い範囲にUSBメモリーの操作系ボタンがまとめられている。なお、ドルビーノイズリダクションは非装備(ドルビー研究所の技術サポートが終了しているらしい)

自宅試聴室にて、CDから録音したテープの再生品質をチェックした。CDに比べて若干狭い周波数レンジ感だが、想像以上にハイファイな音である。ひとことで言えば、やわらかくて聴きやすい音だ。低域の力感や高域の伸びは元音源のCDと比べるまでもなく、細かな音の明瞭度はどうしてもやや鈍る。ちなみに、曲間で発生する“テープヒス”にはもはや「懐かさ」を感じてしまった。多彩なメディアに対応し、さまざまな性能を搭載するので、使いこなしがいがある1台である。

まとめ

今回久しぶりにカセットテープでの試聴取材をし、懐かしさと新鮮さがあった。ラジカセタイプが中心となったが、せっかくのカセットテープブーム再燃とも言われているので、据置き型の単品コンポのカセットデッキ(ダブルメカではなく)の新規開発・復刻にも期待したい。今回チェックした機材の中で、ハイファイ用がダブルメカのティアック機1台のみという現状は、やはり少々さびしいものだ。

小原由夫

小原由夫

1964年東京生まれ。測定器エンジニア、雑誌編集者を経て、92年よりAV評論家として独立。自宅には30帖の視聴室に200インチのスクリーンを設置。6千枚以上のレコードを所持し、超弩級プレーヤーでアナログ再生にもこだわる。

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2017.11.17 更新
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