2017年冬登場のBT対応モデル2機種を聴く

ヤマハらしさ全開! Bluetoothイヤホン/ヘッドホン「EPH-W53」「HPH-W300」の魅力

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ヤマハといえば、日本が誇る世界最大級の楽器メーカーだ。最近はネット上で「ヤマハの歴史コピペ」が有名になったこともあり、「楽器からルーター、バイクまで、自社でなんでも作っちゃう企業」という面で語られることも多い。実際、同社の製品には、大なり小なりある種のこだわり= “ヤマハらしさ”のようなものがあると思う。2017年冬発売の「EPH-W53」と「HPH-W300」も、一見普通のBluetoothイヤホン/ヘッドホンだが、サウンドに触れたらやっぱりヤマハらしさ全開だった。そんな2機種の魅力をまとめてお伝えしていこう。

Bluetoothイヤホン「EPH-W53」とBluetoothヘッドホン「HPH-W300」がヤマハらしくておもしろい

Bluetoothイヤホン「EPH-W53」とBluetoothヘッドホン「HPH-W300」がヤマハらしくておもしろい

まずはイヤホンから!「EPH-W53」の特徴をチェック

Bluetoothイヤホンの人気が盛り上がっている今、特に注目が集まっているのは左右のハウジングが独立した完全ワイヤレス(トゥルーワイヤレス)型イヤホンだろう。しかし、本体を落としてしまうかもしれないという不安や、使わないときは首かけしたいというニーズから、あえてネックバンド型を選びたいという人も少なくないと思う。そんなネックバンド型の注目機種のひとつとして、EPH-W53を紹介したい。

内部に搭載するドライバーは、6.4mm口径という小型のダイナミック型。これを鼓膜に近い位置に配置することで、不要な振動を抑制する構造になっているという。また、左右ハウジングのそれぞれにバッテリーを搭載し、左右同一構造とすることで音のつながりや統一性を高めていることもポイントだ。Bluetooth規格はVer.4.1で、コーデックはSBCのほかAAC/aptXもしっかりサポートする。

本体重量は14g。約2時間の充電で、最大約7時間の連続駆動に対応する

本体重量は14g。約2時間の充電で、最大約7時間の連続駆動に対応する。なお筆者が使った限りでは、人ごみの中などではプレーヤー機器とのBluetooth接続が多少途切れることもあったものの、基本はスムーズな再生が行えた

ハウジングの表面には、ヤマハの音叉ロゴを配置(写真左)。コンパクトな6.4mm口径ドライバーを内部に配置する。イヤーピースを外すと、ノズル部は少々太め(写真右)

左右ハウジングをつなぐケーブルの長さは0.52m。やわらかいので、サクッと軽く装着できる

左右ハウジングをつなぐケーブルの長さは0.52m。やわらかいので、サクッと軽く装着できる

ケーブル部には、Siriなどの音声操作も行えるマイク付きリモコンを装備

ケーブル部には、Siriなどの音声操作も行えるマイク付きリモコンを装備

そして、小さな特徴ながらわりとイイなと思うのが、本体に設けられたスタビライザー部。本機を装着すると、このスタビライザーが耳のくぼみにフィットして安定するようになっている。スタビライザーは3サイズを同梱しており、付け替えることでフィット感を調整できるのもうれしい。また、付属イヤーピースも5サイズを同梱する。スタビライザーとイヤーピース、それぞれの最適なサイズを選ぶことで、装着性と遮音性をしっかり追い込めるのだ。

ハウジングに付いている独自のスタビライザーが、耳のくぼみにぴったりフィット。外れにくいようになっている

スタビライザーは全部で3サイズを同梱しており、自分の耳にあわせて付け替えることが可能

スタビライザーは全部で3サイズを同梱しており、自分の耳にあわせて付け替えることが可能

イヤーピースは5サイズが付属。硬度が異なる2種類のシリコン素材を採用することで、耳への追従性と装着性を向上させている

Bluetooth再生で聴きやすい明るいサウンド

EPH-W53をAstell&Kern「AK70」とBluetoothでaptX接続して音を聴いてみる。ヤマハのイヤホン/ヘッドホンというと、フラットでモニターライクな硬派系の音をイメージする人も多いと思うが、本機はどちらかというと、パッと聴いたときに好感を持つ明るいサウンドに作り上げられている。

宇多田ヒカル「Forevermore」(元ファイルは96kHz/24bit FLAC)を聴いてみると、音楽性の表現に大きく影響する中域が充実していて、ボーカルが明瞭だ。低域も適度な量感と弾力感があって、ノリよく楽曲を楽しめるのが特徴。それでいて弦楽器やバスドラムなど、バッキングの楽器はナチュラルで、ヤマハの歴代オーディオ機器と同じ「質のいい響き」をちゃんと継承しているのが感じられる。

モニターライクな表現力がベースにありつつ、Bluetooth再生で聴きやすい明るいサウンドチューニングになっているとでも言えばいいだろうか。普段使いのBluetoothイヤホンとしていい選択肢になる1台だと思う。

続いてヘッドホン「HPH-W300」の特徴をチェック!

続いては、ヘッドホンHPH-W300のほうを見ていこう。本機は密閉型のオーバーイヤーヘッドホンで、内部には40mm口径のドライバーを搭載する。このドライバーを格納した音響スペースを、ハウジング内部で独立させる「デュアルチャンバー構造」を採用しているのが特徴。これにより、音響スペースの構造を左右で同一にすることができ、自然な再生が行えるようになっている。

本体重量は297g。約3時間の充電で最大約24時間という長時間の連続駆動に対応する。

本体重量は297g。約3時間の充電で最大約24時間という長時間の連続駆動に対応する。

耳をすっぽりと包み込むオーバーイヤー型。ハウジング部のスイーベル機構は、人間の耳の角度にあわせて稼働軸を15°傾斜させることで、フィット性を高めている。実は、筆者(女)の頭部には側圧が少々弱めでぴったりフィットとまではいかなかったのだが、周囲の人に装着してもらったところ「装着性が高い」という意見が多数だった。使用する際には、アジャスト機構を調整しながらちょうどいいポジションを探るとよいと思う。上の画像は、HPH-W300がぴったりフィットした男性スタッフ

イヤーパッドには低反発クッションを採用し、ヘッドバンド部には通気性にすぐれたファブリック素材を使用するなどして装着感を向上

イヤーパッドを外したところ。内部には40mm口径のドライバーを搭載する

イヤーパッドを外したところ。内部には40mm口径のドライバーを搭載する

開発時には、イヤーパッドを含めた搭載パーツの組み合わせによって音質を追い込んだとのことで、電気的なイコライジングでなく、あくまでもアコースティックな方法でチューニングが施されているのもポイントだ。

Bluetooth規格はVer.4.2で、コーデックはSBC/AAC/aptXをサポートする。さらに、付属のケーブルで有線接続も可能。その場合、再生周波数帯域20Hz〜40kHzをカバーするハイレゾ対応仕様となり、ホームユースで高音質再生が楽しめるように工夫されている。そして本機の大きな注目点は、ワイヤレス接続時と有線接続時の「音質の差」を、可能な限りなくすことをコンセプトとしている点だ。はたしてどういったサウンドになっているのか?

全体的な質感の高さも魅力。右のイヤーカップ側面に、電源ボタンやBluetoothのペアリングボタンを備える

全体的な質感の高さも魅力。右のイヤーカップ側面に、電源ボタンやBluetoothのペアリングボタンを備える

再生操作用のセンサーも右のイヤーカップに装備。表面をタッチすることで、楽曲の再生/一時停止、曲送り/曲戻し、音量調整などのコントロールが行える

製品には、有線接続用の3.5mmステレオミニ−3.5mmステレオミニのケーブルがデフォルトで付属している。インピーダンスは32Ω(1kHz)、音圧レベルは107dB/mW(1kHz)で、周波数帯域は20Hz〜40kHzをカバーする

「Bluetoothヘッドホンでモニターライク」という、ある種挑戦的なサウンド

今回は「AK70」と組み合わせて、Bluetooth接続と有線接続の両方で音を聴いてみた。そのサウンドはヤマハらしく、ある意味で挑戦的。簡単に言うと、「モニターライクなBluetoothヘッドホン」なのだ。クセのないフラットな帯域バランスで、Bluetoothヘッドホンのサウンド傾向として一般的な「音の装飾性」「派手さ」といった要素が排除されている。上述の通り、本機はワイヤレス接続時と有線接続時の「音質の差」をなくすことをコンセプトとしているわけだが、そういうフラットな基本傾向は、確かにワイヤレス接続時でも有線接続時でも共通していると思う。

宇多田ヒカル「Forevermore」を聴いてみると、音場は広めで、宇多田ヒカルの声がセンターにシャープに定位し、バッキングの音との位置関係もリアルに描かれる。特定の帯域をわざとらしく強調するといったことがない、ベーシックなサウンドだ。サン=サーンス「Symphony No. 3 In C Minor, Op. 78, "Organ"」(96kHz/24bit FLAC)はオルガンの広帯域な音色が特徴的な楽曲だが、重厚に響く低域から、キラキラ輝くような微細な高域までしっかり表現される。それに、ジャズやポップスも含めて全体的に楽器のアコースティックな響きの再現性が高い。

実際にはワイヤレス接続時と有線接続時で、音質に差は出る。しかしその差というのは、「ワイヤレス接続だと、Bluetooth再生時の特徴がわかりやすくなる」ということ。あくまでも有線接続時と比較するとだが、Bluetooth接続時では低域〜高域にかけて上下のレンジが少々狭めに感じられる。要するに、原音をありのまま忠実に再現するモニターライクな音質のため、ワイヤレス接続と有線接続の違いが正直に出るということだろう。

よくよく考えてみると、「モニターライク」と「Bluetooth」という要素は、本来あまり両立しにくいはずのもの。そこを、あえて「モニターライク」のほうに振った音作りをしているというのがHPH-W300のおもしろさではないか。「モニターヘッドホンにBluetooth機能が付いた」という表現のほうがいいかもしれない。個人的に、こういう本質的な音楽性を追求したサウンドにヤマハの楽器メーカーらしさを感じる。

まとめ

そんなわけで、2017年にヤマハから登場したBluetooth対応のイヤホンとヘッドホンは、根底にヤマハらしさがありつつも、それぞれタイプの違うサウンドに作り上げられている製品だった。おそらく、広い楽曲ジャンルにハマるカバー力があるのはイヤホンEPH-W53のほう。明るくて元気な感じがいいし、さまざまな音楽を楽しく聴ける。

そして、EPH-W53が「オールマイティなBluetoothイヤホン」だとしたら、HPH-W300はある意味「玄人向けなBluetoothヘッドホン」だ。自宅でモニター系のハイレゾ対応ヘッドホンとして使用しつつ、外に持ち出してBluetooth接続できる手軽さも同時に得られる。改めて、サウンドのベースに楽器メーカーとしてのこだわりがありつつ、おもしろい挑戦心も持った“ヤマハらしさ”を感じる2機種だった。

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。あ、90年代アニメも好き。

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2017.12.9 更新
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