ボーズは、Bluetooth接続のウェアラブルスピーカー「SoundWear Companion speaker」を3月29日より発売した。
「SoundWear Companion speaker」の価格.comの最安価格は、33,809円(2018年4月5日時点)
「SoundWear Companion speaker」は、U字に湾曲したネックバンド型ワイヤレススピーカー。タオルを首にかけるように本体を肩にのせるだけで、スマートフォンなどのBluetooth対応機器で音楽や通話が楽しめる。マイクを搭載しており、SiriやGoogleアシスタントへのアクセスも可能だ。
シリコン素材の本体には「形状固定ワイヤー」が内蔵されており、首回りに合わせて湾曲具合を微調整することも可能だ
以下、「SoundWear Companion speaker」の性能や使い勝手をチェックしていこう。
まずは、「SoundWear Companion speaker」の機能をチェック。
本機は、スピーカーの音が内部に作られた共鳴管を通ることで、豊かなサウンドが生み出せる独自の音響技術「ウェーブガイド」を採用。11インチの「ウェーブガイド」を2つ組み合わせることで、小型のボディながらも深みを持ったサウンドを実現しているという。
「ウェーブガイド」は、パイプオルガンや管楽器の「管共鳴」の原理に着目して開発された技術。同社のオーディオシステム「WAVE SOUNDTOUCH MUSIC SYSTEM」などにも採用されている。本体からカバーを外した状態だと、「ウェーブガイド」がうっすらと見える
また、本機両端に上向きのドライバーユニットを搭載。サウンドが耳に向かって届くため、音漏れを最小限に抑えられる。
カバーを外した状態。本体両端に2つのドライバーユニットが上向きに搭載されている
肩に装着すると、ドライバーユニットがちょうど耳元にくるように配置されているのがわかる
本機の両端の側面には、物理ボタンが搭載されている。右耳側には3つのボタンを備え、再生/一時停止/曲スキップ、音量の調整、通話およびSiriなどの音声アシスタントへのアクセスが行える。
右耳側の側面に搭載された3つの物理ボタン。ボタンが大きめなので、目視せずとも手探りでボタンを操作できるのがうれしい
左耳側には、電源ボタン(左)とBluetooth接続ボタン(右)の2つを搭載する。また、先端内側にマイクも搭載されており、通話の際の風切音やノイズを除去し、クリアな音声通話を実現しているという
「SoundWear Companion speaker」の重量は260gと軽量。確かに肩に乗せていると最初は重みを感じるが、すぐに慣れて気にならなくなった。
首周り全体に“のってる”感じ。この重さだと個人差はあるとは思うが、肩がこることは少なそうだ
防水性能は、IPX4に準拠した防汗・防滴の生活防水に対応。キッチンで料理をしながらでも使える。連続駆動時間は、最大12時間。本体サイズは24(幅)×5(高さ)×19(奥行)cmだ。
本体のカバーを少し開けると、microUSBの端子が現れる(左)。付属のUSBケーブルを繋げば充電可能だ。フル充電にかかる時間は公称で最大3時間。実際も2〜3時間でフル充電が行えた。なお、カバーのジッパーには小さなカバーが付いており、装着したときに身体にジッパーが当たることはなく安心して使える(右)
ボディカラーはブラックで、専用の黒いカバーが付属。そのほかのカバーは別売で、ネイビー、プラム、グレーのカラーバリエーションがラインアップされる。
別売カバーのカラーバリエーション
以下、音質と使い勝手についてチェックしていこう。
本機で音楽を鑑賞してまず印象的だったのは、再生した瞬間から感じる低音の強さだ。ジャズやロックを聴くと、ベース&ドラムの存在感が強く、肩に振動が伝わってくるほど。しかし、中高域が低音に埋もれているというわけではない。音量を上げるとわかりやすかったのだが、中高域は頭部の真ん中に定位しつつ、低音は広がっているイメージで、全体的なバランスもよかった。L/Rの空間性については、自分の肩幅までのコンパクトな領域で上手に再現されていると感じた。
また、中域がクリアに聴こえてくるのもよかった。これはつまり、人の声が聞き取りやすいということ。小音量にしても人が何を話しているのかちゃんと把握でき、ラジオDJの声も聴きやすかった。
「低音が強い」「人の声が聞き取りやすい」という特徴から、映画鑑賞にもぴったりだ。大音量が出せない集合住宅に住む人でも、迫力のあるサウンドで映画鑑賞が楽しめるはずだ。
着け心地も良好だった。ヘッドホンやイヤホンと異なり、耳周りがオープンなので聴いていても疲れにくいし蒸れもない。周囲の音も耳に入ってくるので、音楽を聴きながら家族と会話できるし、外れにくく、ワイヤレス通信距離も9mまで対応するので、家事をするために家の中を歩き回りながらラジオを聴いたりするのにももってこいだ。なお、オープンスタイルのため、音漏れはもちろんある。公共施設や交通機関といった他人がいる場所での使用には向いていない。
もうひとつ便利だったのは、スマホへの通話応答。たとえば音楽鑑賞中に(接続中の)スマホへ着信があったとしても、本機のボタンでスムーズに応答できたし、通話音声も聞き取りやすかった。通話終了も本機のボタンで行え、そのあとはまた自動的に音楽再生に切り替わる。わざわざスマホに触る必要がないのが、想像以上に快適だった。ちなみに、着信時は、着信音や音声アラートに加え、バイブレーションによる通知設定もできる。
1点気になった点をあげるとすると、音量調整ボタンが硬めなうえに、感度も少し低かったことくらいだ。
上記の音質レビューで映画鑑賞にぴったりと申し上げた通り、本機をテレビで使ってみた。
ちなみにテレビ用のワイヤレスヘッドホンはいくつも発売されているのだが、これらはほとんどが赤外線仕様。なぜなら、Bluetooth接続ではその技術特性上、音声の遅延が生じやすいからだ。でも、やっぱり大画面のテレビで映画鑑賞したい! そこで今回利用してみたのが、バッファローのBluetooth4.2オーディオ送受信機「BSHSBTR500BK」だ。
「BSHSBTR500BK」のサイズは、約29(幅)×56(高さ)×7(幅)mmで、重量は約14g
「BSHSBTR500BK」は、低遅延&高音質技術「aptX LL」に対応。Bluetooth接続で問題になりやすい動画と音声のラグが少なく、ワイヤレスヘッドホンやスピーカーで快適に動画が視聴できる。使い方は簡単で、「BSHSBTR500BK」のステレオミニプラグをテレビのイヤホン用ミニジャックに挿入し、ワイヤレスイヤホンなどの端末とBluetooth接続するだけだ。
今回は、自宅にある旧型のフルHD液晶テレビに接続を試みた。
「BSHSBTR500BK」のケーブルが短く、垂れ下がってしまったが問題なく使えた。なお、ケーブル延長用の中継コネクターも付属する
実際にテレビでバラエティ番組を見てみたが、音声の遅延はなかった。映画の予告編などもいくつか視聴したがどれも臨場感にあふれ、作品世界に没入して楽しめそうだった。特に、爆発シーンなどでは、本機がブルブル震えるほどの重低音によって身体が包み込まれた。
ちなみに、「Apple TV 4K」や「Apple TV(第 4 世代)」、「Amazon Fire TV」などがあれば、「SoundWear Companion speaker」と直接Bluetooth接続できるので、上で紹介したような送受信機を別途購入する必要はない。
「Apple TV」(写真)や「Amazon Fire TV」があれば、好きな映画を臨場感あふれる音声で存分に楽しめる。ちなみに筆者所有の「Apple TV」は第3世代でBluetooth非対応。無念……
ボーズは、独自技術によるヘッドホンや据え置きのオーディオ機器、ホームシアターシステムなどで実績があるメーカー。「SoundWear Companion speaker」は、これまでに同社がこれらのオーディオ機器やホームシアター機器で培った技術力を感じさせた。
最近、ソニーの肩にのせるスピーカー「SRS-WS1」が話題だが、これは光デジタルケーブルによってテレビにつないだ送信機からサウンドを無線伝送する仕組みを採用しており、スマホなどのBluetooth対応端末とは連携できない。さまざまな端末で音楽や映画を楽しみたい人は「SoundWear Companion speaker」、テレビで映画やゲームを楽しみたい人は「SRS-WS1」を選ぶべきと考えてもいいと思う。なお、「SoundWear Companion speaker」のゲームでの使用は、メーカー側が推奨していない。
もうひとつの違いは低音の振動。「SRS-WS1」は低音を増強する振動板「パッシブラジエーター」を搭載しており、低音部分が強めの振動(3段階に強度を変更可能)としても再生されるが、「SoundWear Companion speaker」には「パッシブラジエーター」は搭載されていない。先述した通り、「SoundWear Companion speaker」は、低音による自然な振動が発生するのみとなる。
なお、重量は、「SRS-WS1」が335gなのに対し、「SoundWear Companion speaker」は260gとより軽い。