レビュー
聴きたい音、聴きたい声だけを聴く新感覚のヒアラブルデバイス

超本格波聴覚補正イヤホンNuheara「iQbuds」速攻レビュー

「完全ワイヤレス」に続いて「ヒアラブル」がキーワードとなりつつある2018年のイヤホン市場−−そんなトレンドを深化させるイヤホンが豪州Nuhearaの「iQbuds」だ。”GREEN FUNDING by T-SITE”でクラウドファンディングが行われたこともありニュースとしてご存知の人も多いかもしれない。

「iQbuds」のコンセプトは、“聴きたい音、聴きたい声だけを聴く”となっている。説明を聞いても”フーン”と流す人も多いだろうが(僕もそうだった)、重要なのは聴覚補助機能。Nuheara「iQbuds」は音楽を流さず、聴覚補助機能だけを使ってもよいイヤホンなのだ。

「補聴器を付けている訳でもないし、必要ないのでは?」と思うかもしれないが(僕自身も特に必要性を感じたこともなかった)、Nuhearaが語るには、聴力の衰える40代以降の人は、衰えを補うために脳に負担をかけているとのこと。「iQbuds」はそれを補う、まさに「ヒアラブル」なデバイスだ。

Nuheara「iQbuds」が日本上陸。”GREEN FUNDING by T-SITE”の価格は43,070円(税込)だ

Nuheara「iQbuds」が日本上陸。”GREEN FUNDING by T-SITE”の価格は43,070円(税込)だ

前置きが長くなったので、早速のNuheara「iQbuds」レビューを始めよう。

Nuheara「iQbuds」は一般的に語るなら、完全ワイヤレスイヤホンだ。イヤホンとしてはBAドライバーを採用。本体のバッテリー駆動時間は4時間で、バッテリー内蔵の専用ケースで3回の充電に対応する。BluetoothのバージョンはVer.4.2で、SBCコーデックのみの対応だ。イヤホン本体は完全ワイヤレスタイプとしては中程度の大きさ。重量もイヤーチップを取り付けた状態で僕が測った所、片方あたり7.6gとごくごく一般的な重さに収まっている。

イヤホンは左右ともタッチセンサー仕様で、左側が音楽再生や通話、右側はこの後で紹介する外音調整のプリセット選択やSiri/GoogleNowの呼び出しに対応している。ちなみに、ペアリングは、左右どちらでも可能となっている。

完全ワイヤレスイヤホンのようなスタイルを採用する「iQbuds」

完全ワイヤレスイヤホンのようなスタイルを採用する「iQbuds」

イヤホン本体は、完全ワイヤレスとしては中程度のサイズ

イヤホン本体は、完全ワイヤレスとしては中程度のサイズ

付属のイヤーピースはサイズ・形状別に用意

付属のイヤーピースはサイズ・形状別に用意

バッテリー内蔵の専用ケースはやや大柄。重量は73.3gだ

バッテリー内蔵の専用ケースはやや大柄。重量は73.3gだ

さっそく、イヤホン本体を専用ケースから取り出し、iPhoneとのペアリングを済ませ、「iQbuds」の専用アプリを導入して「ヒアラブル」の要素のカスタマイズを始めるが、ここからが驚きの連続だった。

先述したとおり、「iQbuds」には外音調整機能が備わっている。これがかなり高機能なものとなっており、ロケーションごとに非常に細かな部分まで調整できるようになっているのだ。

プリセットの選択画面。ハートマークでお気に入りに登録できる

プリセットの選択画面。ハートマークでお気に入りに登録できる

具体的には、専用アプリを立ち上げ、チュートリアルを終えてアプリを起動すると、「Home」などの選択中のプロファイル内容の画面に到達する。一番ベーシックな外音調整機能としては、”外音弱め””外音強め”を-10〜+10のゲージ調整で、「外音の音量」をタップ操作でON/OFF切り替えることができる。試しに音楽を流さず上下してみると、文字通り”外音弱め”では環境音全体が絞られ、”外音強め”ではマイクで拾ったような音で強化された。

プロファイルの右の設定ボタンをタップすると、外界のノイズと音声のバランスをコントロールする”SINC”の画面に遷移し、さらに詳細な調整が行えるようになっている。上下してみると”スピーチ”は声だけが特にクリアに聞き取れ(環境音を抑える)、”外界”に振ると環境音への感度が高まるようだ。

「外界EQ」をタップすると”外音イコライザー”が表示される。これは名前の通り、外音から取り込んだ音に対してのみ働く音の調整機能だ。上下に動かしてみると音のバランスがハッキリと変わるのが分かる(若干のデジタルEQらしい違和感が出る)。効果のほどは人の好みだが”低域弱め”にすると高域が補われ感度が高まり、”高域弱め”にすると人の声がスポイルされるイメージだ。

まずは外音のバランスを決める”外界”から設定を開始

まずは外音のバランスを決める”外界”から設定を開始

”SINC”では外界ノイズと音声バランスを設定できる

”SINC”では外界ノイズと音声バランスを設定できる

”外界EQ”では、さらに外界の音に対して帯域補正をかけることができる

”外界EQ”では、さらに外界の音に対して帯域補正をかけることができる

Nuheara「iQbuds」を使う上では、環境音の設定だけでこれだけの調整軸がある。「ヒアラブル」をうたうイヤホンでも、他に例のない異例の多機能ぶりだ。もちろん、これらの効果は音楽を流したままにも働く。

外音取り込みの設定は「WorkOut」「Street」「Home」「Office」「Restaurant」「Driving」「Plane」の7種類のプリセットに登録でき、お気に入りも登録可能。お気に入りに登録しておけば、アプリを開かなくてもイヤホン右のタップで切り替え可能だ。

一週間試用して「iQbuds」の設定をカスタマイズ

では、どう使いこなすのか−−「iQbuds」を1週間ほど試用できたので、僕なりに設定をシチェーション別に設定をカスタマイズしてみた。

まず、よくある用途は路上を歩く「Street」。音楽を聴きながらアプリを操作して設定をカスタマイズしていくと、路上を歩くが安全性を確保したいので”外音強め”方向の+8まで上げて、”SINC”は人の声より自動車走行音が必要なのでゲージの1/4にあたる”外音”方向に向ける。外音EQはやや”高音弱め”と設定。これでiPhoneのボリュームで6(「ヒアラブル」と考えると大きめのボリューム)で音楽を流しても外音を気づけるようにできた。

人や車が行き交う都心で「Street」設定をテスト

人や車が行き交う都心で「Street」設定をテスト

イヤホンを使うことの多い電車はそれなりに需要がありそうだが、アプリ側に専用プリセットがなかったので「Driving」を代用してセッティングしてみた。音楽を聴きながら実際に車内で設定を詰めていくと、外音は騒音できるだけ押さえ人の声は必要なので+6にしておき、”SINC”は人の声を重視して上から2番目、外音EQは”低音弱め”は”低音弱め”と「Restaurant」に近い設定に落ち着いた。ただ、「iQbuds」は一般的なノイズキャンセルの機能はないので、騒音はある程度聞こえることは覚悟しておこう。

電車のなかでは騒音カットしつつも、アナスンスはやや聞こえる調整に

電車のなかでは騒音カットしつつも、アナスンスはやや聞こえる調整に

僕が「iQbuds」を使って特に感心したのが「Restaurant」の設定だ。レストランでは音楽を聴きながら食事はしないが、スタッフや同伴人やとの会話は必要なものの、他の雑音はあまり必要ない。そんな目的志向で”外音弱め”方向の-4まで下げ、”SINC”は人の声のみ重要なので一番上かその一つ下まで振り切る。外音EQは”低音弱め”に振ると、人の声だけが特にクリアに聞き取れる。余談だが、人の声の調整はテレビの音声を流しながら調整すると一人でもできる。

全プリセットを挙げるとキリがないが、すべての設定内容に有意な差があるし、切り替えも手軽だ。製品を実際に手に入れた際は、ぜひいろいろと試してみて欲しい。

音楽を聴くイヤホンとしての「iQbuds」の実力は、BAドライバー採用の完全ワイヤレスイヤホンそのものだ。クリアで素直なサウンドで音質もなかなか良好だ。接続性については、ケーブルレスの完全ワイヤレスタイプということもあり、極端に通信が途切れやすい場所(例えば渋谷のスクランブル交差点)では音切れが発生した。これは、「iQbuds」だけでなく、完全ワイヤレスタイプイヤホン全体の課題といえそうだ。

音楽リスニング周りでは、「個人プロファイル」も面白かった。同機能では、左右独立で音量コントロールできるほか、低音/高音の5パターンのイコライジングも設定することができる。「そんなの必要なの?」と思うかもしれないが、聴力検査をすれば左右の耳の聴力が異なることはわかるし、フィット具合によって(人の耳の穴の構造も左右完全対称ではない)音の聞こえる帯域バランスも異なる。気づかずにいただけで、補正したほうが好ましいこともあるはずだ。

「個人プロファイル」では左右の音量、帯域バランスまで調整可能

「個人プロファイル」では左右の音量、帯域バランスまで調整可能

長々とNuheara「iQbuds」を解説してしまったが、(年齢的に)今すぐに使う必要性もない僕がこの製品に触れて面白いと思ったのは、聴覚補助に対するあまりのガチさ。ちょっと高いし(43,070円)、沢山は売れないのだろうなー……と余計な心配をしつつも、「ヒアラブル」の進むべき方向性として「iQbuds」はなかなか面白い存在になりそうだ。

【関連リンク】
《2018年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
関連記事
ページトップへ戻る