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コンテンツに合わせてビットレートを最適化

Bluetoothイヤホンの音質・レイテンシーを飛躍的に改善する新コーデック「aptX Adaptive」とは?

2018年10月3日、クアルコムはBluetoothオーディオ向けの新コーデック「aptX Adaptive」の技術説明会を都内で開催。aptX Adaptive を担当するジョニー・マクリントック氏が来日し、aptX Adaptiveのテクノロジーについて説明を行った。

クアルコムのBluetoothオーディオ向け最新コーデック「aptX Adaptive」

クアルコムのBluetoothオーディオ向け最新コーデック「aptX Adaptive」

無線環境やコンテンツから自動で最適化!aptXシリーズで初となる可変ビットレートとなったaptX Adaptive

8月末から9月上旬にかけてドイツのベルリンで開催されたIFA 2018で初公開されたaptX Adaptive。その最大の特徴は、再生するコンテンツファイルのヘッダー情報と接続デバイス間のシグナル状況に合わせて自動的に調整できるという点。たとえば動画コンテンツを再生する場合は、音と映像のズレ(リップシンク)が最小限になるように、ハイレゾの音楽コンテンツを再生する場合は音質を優先する形で調整するといった具合だ。

無線環境やコンテンツによって自動で最適化することで、高い接続性、高音質、低遅延を実現するaptX Adaptive

同社はこれまでにBluetoothのオーディオコーデックとして、CDクオリティを担保できる16bit/48kHzまでに対応した「aptX(Classic)」、aptXをベースに最大24bit/48KHzまでの伝送に対応させ、さらに高音質化を図った「aptX HD」、動画やゲームといったマルチメディアコンテンツに向けてパケット化により低遅延化を目指した「aptX Low Latency」といった技術を展開してきたが、これらはいずれも固定ビットレートでの通信となっていた。

これまでのaptXシリーズは固定ビットレートを採用

これまでのaptXシリーズは固定ビットレートを採用

いっぽう、今回登場するaptX Adaptiveは、音質と遅延を調整するため、aptXシリーズで初となる可変ビットレートを採用。279~420 kbpsの間でビットレートをダイナミックに可変させることで、従来のBluetoothオーディオコーデックよりもさらに高品質かつ堅牢な接続性を実現できるという。

可変ビットレートを採用したaptX Adaptive。279~420 kbpsの間でビットレートをダイナミックに可変する

可変ビットレートを採用したaptX Adaptive。279~420 kbpsの間でビットレートをダイナミックに可変する

ジョニー・マクリントック氏によると、世界的なハイレゾオーディオコンテンツへの需要の高まりから、aptXを拡張する技術として投入したaptX HDは非常に多くのデバイスに採用され、約2年で急速に普及・拡大。そこから、固定ビットレートをよりうまくマネージメントしなければならないこと、ユーザーが意識せずに使えるということを学んだという。こういった教訓から、今回のaptX Adaptiveは、スマートフォンからイヤホンジャックがなくなりつつあるなか、Bluetooth接続のイヤホンでもワイヤードイヤホンのようにシンプルにつなぐだけで、ユーザーがコンテンツを意識することなく高品質かつ低遅延に動くことを目指して開発したという。

aptX Adaptive を担当するジョニー・マクリントック氏

aptX Adaptive を担当するジョニー・マクリントック氏

aptX HDは多くのデバイスに採用されて急速に拡大

aptX HDは多くのデバイスに採用されて急速に拡大

aptX Adaptiveは、固定ビットレートやコンフィギュレーションといったこれまでのapyXシリーズで見えてきた課題を踏まえて開発したという​

なお、レイテンシーという部分では、コーデックのみで約2msまで抑制。リリース時点では、同社の「Snapdragon」シリーズを組み合わせたソリューションで70ms、AOSP(Android Open Source Project)の場合で80〜100msをターゲットにしているということだ。カジュアルゲームは50〜80ms、動画コンテンツは2フレーム以下に相当する60ms以下の遅延が望ましいといわれており、遅延のほぼないワイヤード環境に比べるとまだまだな部分はあるが、かなり近いレベルにはなってきているといえそうだ。

aptXシリーズの共通のウリである低レイテンシーという部分はかなりこだわったという

aptXシリーズの共通のウリである低レイテンシーという部分はかなりこだわったという

対応チップはすでに出荷開始済み。対応製品の登場は来年中頃が

ここまでaptX Adaptiveのさまざまな特徴を紹介してきたが、ユーザーが気になるのはやはり対応製品の登場時期だろう。

aptX Adaptiveを実際に使用するには、送信デバイス、受信デバイスともに対応している必要があるのだが、すでにaptX Adaptiveに対応したSoC「CSRA68100」と「QCC5100」シリーズは出荷を開始しており、対応するAndroid Open Accessory Development Kit(ADK)の対応も完了している。ジョニー・マクリントック氏によれば、早ければ来年中頃には対応製品が登場する見込みとのことだ。

なお、aptX Adaptiveと既存のaptXシリーズとの関係性については、aptX Adaptive がaptX Low Latencyを置き換える形となる見込み。aptXとaptHDについては、後方互換という扱いになるようだ。

【関連リンク】
《2018年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

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