2019年冬の4Kテレビ商戦だが、ややイレギュラーな動きがあった。10月に行われた消費増税だ。
今年は消費増税の駆け込み需要に間に合うように、パナソニックのVIERAやシャープのAQUOSが7月から9月にかけて秋冬モデルを前倒しする形で新モデルを発売。本来の2019年冬商戦に登場する新製品はほとんどないという状況となっている。
バイヤーズガイドとして本音を言ってしまうと、薄型テレビは元々ネット通販や家電量販店の価格競争が激しく、増税しても駆け込み需要後の値下がりの方が安く買えるケースが多い。発売直後の割高感も少ないので、買うなら今が絶好のチャンスだ。
消費増税のお陰で、例年にない機種発表も多かった2019年の薄型テレビ
この冬購入対象に入ってくるモデルは、今年夏モデルと夏以降に発売されたモデルが混在するが、大手メーカーは今年夏までに4Kチューナー内蔵に切り替えが完了しているので、最新機種から選べば問題なく4Kチューナー搭載機を選べる。
価格の下落も全体的に進み、ハイセンスやLGエレクトロニクスといった低価格で攻める大手ブランドだと、4Kチューナー搭載で最安値8万円割れの製品なんかも登場している。液晶テレビなら10〜15万円で画質や機能にこだわった機種が選択肢に入るし、画質が大きく向上する有機ELテレビも20万円程度から選べる。
いっぽうで、2019年も新規参入テレビメーカーの話題もあった。注目を集めたブランドは、アイリスオーヤマと中国TCLの2社。ただし注意してほしいのは、いずれも4Kチューナー内蔵のラインアップがないこと。格安と持てはやされつつも、実際の価格は、低価格で攻めるハイセンスやLGエレクトロニクスより高価なケースもあるので注意が必要だ。目安としては、4Kチューナー内蔵機の最安値より2万円以上安ければ、検討の対象として考えてもよいだろう。
以上のトレンドを踏まえて、2019年冬の注目テレビをピックアップして紹介しよう。
ハイセンス「50E6800」
夏に引き続き選出した4Kチューナー搭載激安4K液晶テレビの今年最注目モデル。ハイセンスは中国メーカーだが、昨年4月に東芝映像ソリューション(以下、東芝)を子会社化しており、50E6800の高画質エンジンは東芝と共同開発した「NEOエンジン」を搭載。50E6800は日本以外では販売してない日本専用モデルで、実質REGZAの兄弟ブランドとなっている。画質はやや鮮やか志向のチューニングだが、映像エンジンはREGZAがベースなので地デジもキレイ。実売7万円程度で、4Kチューナー内蔵、大手メーカーの技術とコスパ最強モデルだ。
LGエレクトロニクス「49UM7100PJA」
同じく夏に引き続き選出した“視野角も考えた低価格のベストバイ”。LGエレクトロニクスは入門モデルでもIPSパネルなので、真正面からだけでなく、斜めからも視聴する広いリビングなどに設置する可能性があるなら強力な選択肢になる。4Kチューナー搭載はもちろん、映像エンジンも処理制度が向上した「α7 Gen2 Intelligent Processor」となり、画質面もアップ。内蔵スピーカーも立体音響のDolby Atmosまで対応し、ネット対応もAmazonプライム・ビデオにもしっかりと対応している。Googleアシスタント、Amazon Alexaといったボイスアシスタントも連携ではなく内蔵で、ソフト面は上位モデルとほぼ同じ。まさに豪華過ぎる低価格モデルだ。
シャープ「AQUOS 4T-C50BN1」
7月に発売された消費増税前登場の2019年モデル。4Kチューナー内蔵AQUOSとして第2世代にあたるモデルで、4KチューナーはWチューナー仕様となっており、4K放送視聴+4K録画+2K録画の組み合わせにも対応する。高画質・高機能エンジン「AQUOS 4K Smart Engine PRO II」搭載で画質も十分。「低反射N-Black」搭載で映り込みの少なさも日本の家庭向きだ。Android TVのプラットフォーム「Android 9 Pie」採用で、動画配信サービスへの対応も万全。ファミリー志向というだけでなく、実はネット派にも相性がよいモデルだ。
東芝映像ソリューション「REGZA 55Z730X」
4K液晶テレビのなかでも、高付加価値の代表モデルが「REGZA Z730X」。コントラストを確保する全面直下LEDエリア駆動に視野角も広いIPSパネル(65型のみVAパネル)、高画質エンジン「レグザエンジン Professional」と画質面での手抜かりは一切ナシ。USB HDD増設で「タイムシフトマシン」による全録にも対応とオリジナル機能も強力だ。懸念だった「Amazonプライム・ビデオ」も発売後のアップデートで対応している。「タイムシフトマシン」のオンリーワンの機能性とともに、画質・機能のそろった4K液晶テレビを探している人にピッタリな1台だ。
パナソニック「VIERA TH-49GX855」
10月に発売した液晶テレビの高付加価値モデル。真空に近い状態を作りだす独自の吸盤で接地面に強力に吸着する「転倒防止スタンド」で、地震に強く倒れにくい特徴がユニーク。テレビとしての機能も4Kチューナー内蔵の第2世代として、4K放送を明るく表示する「明るさ連動HDR」を搭載。液晶テレビでもコントラストを高める「Wエリア制御」、そして視野角の広いIPSパネル搭載と4K液晶を高画質化する機能も満載だ。Dolby Atmosの立体音響対応のスピーカーも強力。日本メーカーらしい配慮の行き届いた4Kテレビといえるだろう。
ハイセンス「65U7E」
ハイセンスの65U7Eは、大型の65型モデルが大ヒットというユニークなモデル。ハイセンスの液晶テレビとしては低価格よりワンランク上にあたる機種で、倍速液晶にエッジ型LEDを組み合わせ、エリア駆動にも対応。東芝と共同開発した高画質エンジンの上位版「レグザエンジンNEO plus」を搭載と、画質面も妥協はない。しかし価格はハイセンスらしく激安で、2019年11月22日時点の価格.comの最安価格では13万円を下回っている。コスパ重視で大画面のテレビを探している人にぜひ注目してほしいモデルだ。