レビュー
価格はミドルで中身はハイエンド

ゼンハイザー「CX Plus True Wireless」レビュー aptX Adaptive対応のTWSの実力は?

ゼンハイザー「CX Plus True Wireless」

ゼンハイザー「CX Plus True Wireless」

先日、夏に登場した「CX True Wireless」に続き、ゼンハイザーから新しい完全ワイヤレスイヤホン「CX Plus True Wireless」が発売された。今回のニューモデル登場で、ゼンハイザー製完全ワイヤレスイヤホンのラインアップは上級機の「MOMENTUM True Wireless2」とスタンダードクラスの「CX True Wireless」、その中間に位置するミドルクラス「CX Plus True Wireless」という3機種構成となった。

とはいっても、最新モデルだけあって「CX Plus True Wireless」は単純なミドルクラス製品にとどまらない特徴がいくつかある。ここでは、機能性やサウンドを含めて、「CX Plus True Wireless」の特徴を詳しくレビューしていこう。

見た目の変化は少ないが、ANCの出来栄えはなかなかのもの

正直なところ、「CX Plus True Wireless」の外観についてはパッと見ただけでは「CX True Wireless」とほとんど変わりない。専用ケースもほぼ同じカタチだ。しかしながら、ほんのわずかだがイヤホン本体が小型化されており、既存モデル同様のイヤーモニター然とした(耳側の)形状とも相まって、さらに良好な装着感を持ち合わせるようになっている。

そう、「CX Plus True Wireless」は、「CX True Wireless」のデザインに「Momentum True Wireless 2」で培ったANC(アクティブノイズキャンセリング)機能を搭載。さらに、小型化や機能性向上など最新技術へのアップグレードを果たしつつ、それでいて税抜き2万円を切るという価格設定がなされているという、かなりの魅力を持ったハイコストパフォーマンス製品に仕立てられているのだ。

左から「Momentum True Wireless 2」、「CX Plus True Wireless」、「CX True Wireless」という順でイヤホン本体を並べてみたところ。「CX Plus True Wireless」が一番小さいことがおわかりいただけるだろう

左から「Momentum True Wireless 2」、「CX Plus True Wireless」、「CX True Wireless」という順でイヤホン本体を並べてみたところ。「CX Plus True Wireless」が一番小さいことがおわかりいただけるだろう

このように、“熟成”“グレードアップ”という言葉がよく似合う「CX Plus True Wireless」だが、機能面も既存モデルから着実な進化を遂げている。

なかでも機能性で一番の注目といえば、やはりANC機能だろう。こちら、「Momentum True Wireless 2」に採用されているタイプと同じ、フィードフォワード(外側)マイクによるノイズキャンセリング機能となっている。現在主流となりつつあるハイブリッド形式(フィードフォワード++フィードバックの4マイク仕様)を採用していないのは、音質面での変化や劣化を回避する“ミュージックファースト”の思想に基づくもの。その代わり、イヤホン本体やイヤーピースの形状を工夫することで遮音性を高め、フィードバックマイクなしでも高い遮音性を実現している、とメーカーはアピールしている。

実際のところ、これがなかなかに出来のよい組み合わせだったりする。試聴してみると、フィット感の高さのおかげだろう、遮音性はなかなかに良好だが、さすがに強力なANCをウリにした他社製品と比べるとそれほど強くは感じない。それよりも、音楽のピュアさが際立つ“加減のよいANC”であることに好印象を持った。

暗騒音などと呼ばれることのある、低域を中心にキャンセルしてくれているのか、どんな場所にいても迫力あるパワフルサウンドを楽しむことができるのだ。屋外では、(密閉性の高いカナル型イヤホンであっても)低音がマスクされ線の細い音になりがちなので、そういった傾向にしっかり対処してくれているのはうれしいかぎりだ。

このほか、イヤホンを外すと音楽再生が停止されるスマートポーズや、通話時などに便利な片耳だけでの使用(「CX True Wireless」から実装されている)、外音取り込み機能、IPX4の防滴性能など、ユーザビリティにおいてもゼンハイザー製完全ワイヤレスイヤホンの中でも最強なのでは、と思わせる充実した内容となっている。

アクティブノイズキャンセリング機能のほか、スマートポーズや片耳モード、外音取り込み機能など、機能性はなかなかの充実ぶりだ

アクティブノイズキャンセリング機能のほか、スマートポーズや片耳モード、外音取り込み機能など、機能性はなかなかの充実ぶりだ

ちなみに、バッテリー持続時間はイヤホン単体で最大8時間(ANCオフ)、専用ケースからの充電を含めると最大24時間使用できるようになっている。最新モデルの中にあっても、決してそん色のない十分な数値となっている。

専用ケースはクラムシェルタイプのオーソドックスな形状。バッテリー性能は、イヤホン単体で最大8時間、ケース併用で最大24時間となっている

専用ケースはクラムシェルタイプのオーソドックスな形状。バッテリー性能は、イヤホン単体で最大8時間、ケース併用で最大24時間となっている

広がり感のある空間表現はaptX Adaptiveならではのアドバンテージ

さて、肝心のサウンドはいかがなものだろう。ドライバーは「Momentum True Wireless 2」と同じドイツ ハノーファー本社で開発した7mm径「TrueResponse(トゥルーレスポンス)トランスデューサー」が搭載されており、加えてBluetoothコーデックは新たにaptX Adaptiveにも対応している。なかなか期待の持てるスペックだ。ということで、さっそくXiaomi「Mi 11 Lite 5G」とAptX adaptiveで接続し、そのサウンドをチェックしてみた。ちなみに、今回「MOMENTUM True Wireless2」「CX True Wireless」の2機種も一緒に借用できたため、直接音質を比較しつつ試聴を行った。

今回は「CX Plus True Wireless」だけでなく、最上位モデル「MOMENTUM True Wireless2」とエントリーモデルの「CX True Wireless」ともサウンドを比較してみた

今回は「CX Plus True Wireless」だけでなく、最上位モデル「MOMENTUM True Wireless2」とエントリーモデルの「CX True Wireless」ともサウンドを比較してみた

ダイレクト感の高さと、ニュートラルな音色とが絶妙にバランスしたサウンド。ボーカルの定位はかなり近く、とても力強い。Aimerなどと相性がよく、ほんのちょっとハスキーな、それでいて本来の大人っぽい雰囲気がしっかりと伝わってくる魅力的な歌声を聴かせてくれる。

高域はていねいな表現が特徴。強調するわけでもなく、それでいてしっかりとした伸びやかさを持ち合わせているため、クリアなのに聴き心地がよい。fhanaを聴いても、towanaの歌声が変にキンキンすることもなく、彼女の肉声の魅力かしっかりと味わえる。いっぽう、低域はかなりしっかりとした主張をするバランスとなっている。バスドラムもベースも、しっかりと耳に届いてくれるので、ノリのよい演奏が楽しめるし、クラシックも壮大なイメージのサウンドが楽しめる。

音の広がり感のよさも特徴だ。aptX Adaptiveならではの解像感が生かされているのだろう、左右に大きく、奥行き方向にも距離感を持つサウンドステージが広がってくれる。この空間表現の巧みさは、aptX接続の「MOMENTUM True Wireless2」では敵わないところがある。音色のていねいさ、クリアでていねいな高域表現など、「MOMENTUM True Wireless2」にはトップモデルならではの基礎体力的な音質のよさ、表現力の高さを持ち合わせているが、こと空間表現についてはコーデックの違いが大きく関わってくる。

ちなみに、「CX True Wireless」と比較してもこの解像度感の違いが顕著に表れる。「CX True Wireless」では、さらに音の広がり感が小さく、距離がぎゅっと詰まったダイレクト感の高いサウンドとなる。とはいえ、3製品の(ステージングの)違いはあくまでも好みの範ちゅうに収まるレベルであって、人によっては「CX True Wireless」が好き、という意見もあるだろう。

総じていえば、音質面では価格&ポジショニングどおり既存2製品の中間に位置し、解像感や空間的な広がり感で(aptX Adaptiveならではの)アドバンテージを持ち合わせている、といったイメージだろうか。3製品ともにしっかりゼンハイザーサウンドに仕立てられているが、微妙にキャラクターが異なるので、ぜひとも試聴してどれが一番の好みがチェックしてほしい。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどのオーディオビジュアル系をメインに活躍するライター。TBSテレビ開運音楽堂にアドバイザーとして、レインボータウンFM「みケらじ!」にメインパーソナリティとしてレギュラー出演。音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める。

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