レビュー
野村ケンジ 6畳間「ミニマムシアター」の4K HDR & Dolby Atmos化計画

LGの4Kレーザープロジェクター「HU810PB」導入でHDR化がついに完成!

LGの4Kレーザープロジェクター「HU810PB」導入でHDR化がついに完成!

6畳間であっても存分に満足できるサラウンド空間を作りたい。そんな気持ちではじめた“ミニマルシアター”だが、当面の目標である4K HDR & Dolby Atmos化計画が仕事の忙しさと予算を理由(いいわけ!?)に、2020年の4K HDDレコーダー(パナソニック「DMR-4W400」)導入以来は停滞気味となっていしまっている。

とはいえ、計画そのものを諦めたわけではなく、スピーカーの銘柄を再検討してみたり、どの部分にどれだけ予算配分を振り分ければよいのか、最新の製品データをインプットしつつ、計画そのものを“脳内で”グレードアップし続けてきた。

そこで、次に手にかけようと考えたのが4K HDR化の完成だ。実は、プレーヤーやレコーダー、AVアンプなど、映像にまつわる環境は4K HDR化が完成する一歩手前の状態にあり、あとはプロジェクターのグレードアップを残すのみ。ちなみに、現在使用しているJVCのプロジェクター「DLA-X700R」は、eシフトという独自のシステムによって4Kの映像を楽しむことができるが、残念ながらHDRには非対応なため、4K HDR化には機器の買い換えが必須項目となってしまっている。

そこで、ここ数年は4K HDR対応プロジェクター製品をしっかりとチェックし続けてきた。しかしながら、「DLA-X700R」が思っていた以上によくできた製品というか、JVCプロジェクターらしいエネルギー感のある光表現とリアルさを感じるていねいな階調表現がとても好みで(これだと思い購入したくらいなので好みであるのは当然のことだが)、“これだったら交換したい”と思う製品にはなかなか出会えなかった。

もちろん、「DLA-X700R」よりも映像的にグレードアップを果たしている製品はいくつもあった。特に「DLA-X700R」の直接的な後継モデルである「DLA-V7」の映像美には大いに心を揺り動かされた。しかしながら、110万円!という高額モデルだけに気軽に購入することは難しい。

どうしよう、と悩んでいるうちに新モデルまで発表されてしまった。しかも、新モデルでは「8K/e-shift X」なる新技術を搭載する「DLA-V90R」「DLA-V80R」が登場。テレビ同様にプロジェクターは5年以上、場合によっては10年近く買い換えない製品なので、そのとき最新の機器を導入するのがベストなのだが、下位モデルの「DLA-V80R」でも定価165万円とコスト面での敷居が高くなってしまった。

今回のリニューアルでは、「DLA-X700R」と同じ“7”番台の製品「DLA-V70R」もラインアップされているが、eシフトがひと世代前の「8K/e-shift」であること、それでも定価125万円のプライスタグが付けられていることから、どうせだったら「DLA-V80R」を選ぶべきという思考になってくる。

8K60p入力に対応するJVCの最新プロジェクター「DLA-V80R」の価格はなんと165万円

8K60p入力に対応するJVCの最新プロジェクター「DLA-V80R」の価格はなんと165万円

また、新モデルでは長寿命で明るいでレーザー光源を採用しているため、価格の上昇も十分納得できるのだが、「DLA-X700R」の84万円(発売当時の価格)に対して「DLA-V70R」でも約40万円、「DLA-V80R」だと約80万円という倍近い価格設定になっており、おいそれとは手が出ない。

このままでは、いつまで経っても4K HDR化が進められなくなってしまう。そこで、考え方を変えることにした。まず、ついつい求めがちな8Kという将来性をいったん保留にし、4K HDR対応であればOKと製品の範囲を広げることにした。加えて、映像の質感で「DLA-X700R」同等の“味わい”ばかりを気にせず、解像感の高さやコントラストの高さなど、4K HDRならではのアドバンテージを感じられる製品を探すことにした。

また、最新プロジェクターの中にはAndroid OS搭載モデルなど、VODアプリやインターネットブラウザーなどが利用できる製品もある。そういった多機能性にも注目して、4K HDR & Dolby Atmos化計画にピッタリの製品を再検討することにした。

そんなタイミングで登場したのが、LGエレクトロニクスの4K対応プロジェクター「HU810PB」だ。こちらの製品、解像度は4K(3840×2160)ながらDCI(Digital Cinema Initiatives)が提唱したデジタルシネマ規格であるDCI-P3のカバー率が97%だったり、デュアルレーザーによって2700ルーメンの明るさ、コントラスト比も200万:1が確保されていたりと、基礎体力の高さが際立っている。

LGエレクトロニクスの4K対応プロジェクター「HU810PB」

LGエレクトロニクスの4K対応プロジェクター「HU810PB」

また、HDRは現在基本となっているHDR10に加えて、BS衛星放送の4K/8K放送に採用されているHLGにも対応。加えて、ゲームコンテンツの標準化を目的とした業界団体「HGiG」が策定したガイドラインに則っているので、HDRゲームも美しい映像で楽しめるという。

さらに、「HU810PB」にはLGエレクトロニクス製テレビ同様に「webOS」が採用されており、NetflixやAmazonプライムビデオなどのVODに加え、YouTube、インターネットブラウザーなど、さまざまなコンテンツを楽しむことができる。しかも、有線LANだけでなく無線LANにも対応しているので設置も簡単。さらに、HDMI端子はeARCにも対応しているので、「HU810PB」に内蔵されているアプリで再生しているDolby Atmosコンテンツを、ベストなサラウンド音声で楽しむことができる。

残念ながら現在の「ミニマムシアター」は、AVプリアンプのヤマハ「CX-A5100」がARC対応までとなっているためDolby Atmos再生はできないが、将来性を考えるとあるに越したことはない機能といえる。

本体背面には3系統のHDMIを用意。うち1系統はARC/eARCにも対応する。もちろん、4K放送視聴に必要なHDCP2.2もしっかりとサポート

本体背面には3系統のHDMIを用意。うち1系統はARC/eARCにも対応する。もちろん、4K放送視聴に必要なHDCP2.2もしっかりとサポート

そして、決定打となったのが実際の映像だ。とある機会に視聴させてもらったのだが、「HU810PB」が採用しているデュアルレーザー光源はダテではなく、HDRならではのまばゆい表現をしっかり感じさせてくれる、エネルギー感のある輝きを持ち合わせているのだ。

4K/HDR対応はもちろん、コントラスト比もデュアルレーザー光源やアイリス制御により200万:1を実現。1.6倍のズーム機能で設置環境に合わせやすいのもうれしいところだ

4K/HDR対応はもちろん、コントラスト比もデュアルレーザー光源やアイリス制御により200万:1を実現。1.6倍のズーム機能で設置環境に合わせやすいのもうれしいところだ

さらにいえば、価格的な魅力も大きい。実売30万円前後というプライスタグは決して手軽とは言えないが、機能性や映像クオリティを考えると、悪くないコストパフォーマンスに感じられる。ということで、今回「HU810PB」を導入することで、4K HDR & Dolby Atmos化計画のうち、4K HDRのほうを完成させることにした。いやはや、ここに来るまで長かった。

とはいえ、実際に製品を設置してみないと話ははじまらない。ということで、いままで使っていた「DLA-X700R」とさまざまな面で比較しつつ「HU810PB」を設置してみることにした。

サイズがコンパクトだが、ピント合わせで苦戦

まず、好印象だったのがサイズ感だ。両者では製品の成り立ちが異なるので比べようのない部分はあるが、「HU810PB」は「DLA-X700R」に対して格段に小さいボディサイズとなっている。「ミニマムシアター」では元々和室であることを生かして天袋にプロジェクターを設置しているため、それほどサイズを気にする必要はないが、それでも小柄なのはうれしいかぎり。おかげで、1人で無理なく持ち上げられ、スムーズに交換することができた。吊り下げている人やテーブル下に設置している人は、このコンパクトさは非常にありがたいはずだ。

「DLA-X700R」よりもひと回り以上コンパクトな「HU810PB」

「DLA-X700R」よりもひと回り以上コンパクトな「HU810PB」

本体がコンパクトなので、天袋への設置もひとりで簡単に行うことができた

本体がコンパクトなので、天袋への設置もひとりで簡単に行うことができた

続いて、投写位置の調整を行う。ここで、価格の差を大いに実感することとなった。「DLA-X700R」は高級モデルだけに、位置のシフトやズーム、ピント合わせなどほとんどすべての調整を電動で行うことになっている。対して「HU810PB」は、すべての調整が手動となっているため、精密な調整が難しく、かなりの手間を要した。特にピント合わせは、1人ではまず無理。調整して、画面のそばにいって確認して、また調整して、を繰り返すこととなり、かなりの時間を要した。それでも満足できる結果には至らず、そのうち誰かに手伝ってもらい再調整しようと考えている。他の調整項目はまだしも、ピント合わせだけは電動にして欲しかった。なかには使用するたびに設置し直す“普段はどこかに収納している”タイプの人もいるだろうから、最低でもピント合わせ、可能であればズームも電動だとありがたい。

ズームやフォーカスの調整は、レンズ下のレバーを使って手動で行う必要がある

ズームやフォーカスの調整は、レンズ下のレバーを使って手動で行う必要がある

また、手動のレンズシフトに少々クセがあることも気になった。上下、左右のシフトは本体脇にあるダイヤルで行うようになっているのだが、そのダイヤル、特に左右シフトに小さくない遊びがあり、それでいて動きだすと移動が早いため、微調整がかなりやりにくいのだ。このあたりも、電動化とまではいわないが、微調整のしやすい操作ダイヤルになってくれればと思う。

レンズシフトも本体側面のダイヤルを手動で操作して調整する形。微妙な調整がやりにくい

レンズシフトも本体側面のダイヤルを手動で操作して調整する形。微妙な調整がやりにくい

画質の調整項目が豊富で自分好みに追い込みができる

ということで、思ったよりも画面位置&ピント調整に時間のかかった「HU810PB」だが、その先はスムーズ。UHD BDプレーヤーOPPO「UDP-205」、パナソニックのブルーレイレコーダー「DMR-4W400」のどちらもスムーズに4K HDR映像が投影された。特に「DMR-4W400」は、ヤマハのAVプリアンプ「CX-A5100」経由だったのにもかかわらず、特に何を設定し直すこともなく4K HDR映像を見ることができた。実は、「DLA-X700R」ではなかなか4K映像を映し出すことができず、いろいろと設定を見直す必要があったため、このスムーズさはありがたいかぎりだった。

UHD BDプレーヤーOPPO「UDP-205」を接続したところ。UHD BD再生もスムーズに認識してくれた

UHD BDプレーヤーOPPO「UDP-205」を接続したところ。UHD BD再生もスムーズに認識してくれた

環境が整ったところで、実際の映像を視聴によく使うUHD BD「ボヘミアン・ラプソディー」確認してみる。映像モードはとりあえずシネマを選んだ。

DLPならでは特徴もあってか、黒の沈み込みはかなりよく、締まりのよい映像を見せてくれる。レーザー光源のメリットとも相まって、メリハリのよい映像表現だ。しかしながら、やや墨っぽい映像であること、階調、特に黒側の階調のつぶれが気になること、「ミニマムシアター」の環境だと青っぽさが目立つことから、いくつかの映像モードを試し、「Filmmaker Mode」をベースにカスタムを行い、とりあえず満足のできる色合いに調整してみた。自分好みの映像に至るまでにはかなりの調整が必要そうだが、調整項目が幅広いため、かなりの追い込みができそう。そういった点では、この先に期待が持てる。

画質調整機能はかなり豊富で、自分好みの映像に追い込むことができる

画質調整機能はかなり豊富で、自分好みの映像に追い込むことができる

また、それ以上に画面のクリアさや明暗の幅広さなど、映像を魅力的に見させてくれる基礎体力の高さを持ち合わせている。階調表現のきめ細やかさや色合いのリアルさでは「DLA-X700R」に敵わないところはあるが、腐っても倍以上の価格差がある製品なのでいたしかたのないところ。価格や機能性をふまえると「HU810PB」ならではの魅力は大きいし、最新の同価格帯の最新モデルに対してはかなりの魅力を持ち合わせていると思う。絵作りに関しては、先々、調整を突き詰めることで不満のない映像まで持っていきたい。VODなどwebOSの使い勝手も含めて、何かの機会に改めて報告させていただこうと思う。

余談だが、「HU810PB」を導入するに際にひとつだけ「ミニマムシアター」にとって不要だと思っていた機能がある。それは、内蔵スピーカースピーカーだ。「HU810PB」単体で利用したい人には必須であるものの、AVアンプのあるシアターシステムでは不要となる内蔵スピーカーだが、設置やテストの時に、意外と役立ってくれた。また、Bluetooth接続にも対応しているので、BGM用の天井(または床置き)スピーカーとして活用するのもよさそう。

単なるプロジェクターではない、さまざまな活用ができる「HU810PB」だけに、プロジェクターとしての本来の役割だけでなく、「ミニマムシアター」の中でどのように活用していくかいろいろと試していきたいとも思っている。

【過去の連載記事はコチラ】
・4K UHD BDやネット動画もこれ1台!パナソニック「おうちクラウドディーガ DMR-UBZ2030」に大満足!
・念願の4K放送録画実現に向けて、パナソニック「おうちクラウドディーガ DMR-4W400」を導入してみた
・マルチchスピーカー構想の理想と現実。パナソニック4Kレコーダー「DMR-4W400」導入のその後

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどのオーディオビジュアル系をメインに活躍するライター。TBSテレビ開運音楽堂にアドバイザーとして、レインボータウンFM「みケらじ!」にメインパーソナリティとしてレギュラー出演。音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める。

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