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注目7ブランドをピックアップ

音楽好きなら見逃せない!“楽器ブランドのイヤホン&ヘッドホン”は個性派の名機ぞろい

ファッションブランドにスポーツブランドなど、今やさまざまな異業種ブランドがイヤホン&ヘッドホン界に参入してきていますが……音楽好きとしてはやっぱり「楽器ブランドのイヤホン&ヘッドホン」が気になる!

音楽ファンならみんな知ってそうなブランドから、その楽器のプレイヤーじゃなきゃ知らないようなブランドまで、今回は楽器ブランドのイヤホン&ヘッドホンを紹介しまくります! さらにその中の代表として、Marshallの最新完全ワイヤレスイヤホン2モデルの実機レビューもお届けします。

音楽好きとして高まる! 楽器ブランドのイヤホン&ヘッドホン!

プロオーディオメーカーが、音楽を作る側・届ける側のユーザーであるミュージシャンやエンジニアに向けて提供しているイヤホン「イヤーモニター」やヘッドホン「モニターヘッドホン」は、もちろん本来はプロユースのアイテム。ですが実は、音楽を聴く側のイヤホン&ヘッドホンファンの一部からも好まれています。明瞭なサウンドや実用重視の使い勝手は音楽リスニングにおいても普通にうれしいですし、それにぶっちゃけ純粋に気分的な話として、「プロオーディオメーカーによるプロユースのイヤホン&ヘッドホン」って音楽好きとしては何か高まりますよね!

イヤーモニターの大定番、Shure「SE215」

イヤーモニターの大定番、Shure「SE215」

日本のモニターヘッドホンの大定番、ソニー「MDR-CD900ST」

日本のモニターヘッドホンの大定番、ソニー「MDR-CD900ST」

さてしかし、「音楽好きとしてぶっちゃけ気分的に何か高まるイヤホン&ヘッドホン」となれば、注目すべきはプロオーディオメーカーの製品だけではありません。参戦メーカーが増えてかなり充実してきているこちらも要注目。「あの定番楽器ブランドのイヤホン&ヘッドホン」です!

本業である各社楽器ユーザーのステージをサポートするためのイヤーモニターはもちろん、完全に音楽リスナー向けの完全ワイヤレスイヤホンまで、今や広く展開されています。ワイヤードのイヤモニやモニターヘッドホンでガチのプロ感を味わうもよし、完全ワイヤレスで身軽にファッショナブルにリスニングするもよしです。

ということで今回は、以下の楽器ブランドが展開しているイヤホン&ヘッドホンから注目製品をピックアップしてみました。

【1】UKロックサウンドの源流! VOX!
【2】シンバル叩いて400年! Zildjian!
【3】もはや何を作っても納得! YAMAHA!
【4】電子楽器界の雄! Roland!
【5】ベースアンプの革命者! PHIL JONES BASS!
【6】ガジェットシンセで世界を変える! Teenage Engineering!
【7】伝統のギターアンプ! 最新の完全ワイヤレス! Marshall!

Marshallについては特に、完全ワイヤレスイヤホン参入を飾る新製品がこの夏秋に登場したのでそちらを実機チェック! 現在の主流はやっぱり完全ワイヤレスですからね!

【1】UKロックサウンドの源流! VOX!

The Beatlesのメンバー、そしてQueenのブライアン・メイさんのギターアンプといえばVOX。ジャキッとしたビートも鋭いギターソロも映えさせるきらびやかな高域が持ち味です。「AC30」を筆頭としたACシリーズが代表モデルとなります。

問答無用の名機、「AC30」

問答無用の名機、「AC30」

そのVOX、実は現在はKORG(コルグ)のグローバルブランドファミリーの一部。VOXとして継承してきた伝統と、KORGの先進的な技術をともに生かした製品も展開する、なかなか攻めたブランドというイメージも定着しつつあります。

KORG得意の新型真空管「NuTube」を搭載しAC30サウンドを再現するエフェクトペダル「MYSTIC EDGE」

KORG得意の新型真空管「NuTube」を搭載しAC30サウンドを再現するエフェクトペダル「MYSTIC EDGE」

そんな新生VOXですから当然のごとくオーディオアイテムもラインアップしています。ワイヤレスヘッドホン「VH-Q1」です。

ブラックだけではなく……

ブラックだけではなく……

ホワイトも用意。VOXって、ギターアンプでもホワイトバージョン用意しがちなイメージあるような

ホワイトも用意。VOXって、ギターアンプでもホワイトバージョン用意しがちなイメージあるような

ワイヤレスでノイズキャンセリング搭載と、普通に今どきの最新ヘッドホンとしての機能性を備えつつ、楽器メーカーらしい面白い発想も盛り込まれています。それが「サウンド・エンハンスを使ったスマート・モニタリング」機能です。周囲の音を適度に取り込む、いわゆる「外音取り込み」機能の一種ですが、取り込む音のチョイスが楽器ブランドならでは。「アコースティック・ギターの音を自然に取り込むモード」なんてのが用意されています。「ヘッドホンで曲を聴きながらその曲をアコギで耳コピ」みたいな使い方を想定したモードですね。取り込み音量は専用ダイヤルでさっと調整可能。演奏や耳コピをしやすいベストバランスで使えます。

というのが最大の特徴ですが、基本性能も高いので、楽器をやらない人が普通に優秀なワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンとして選んで全然問題ないですよ!

【2】シンバル叩いて400年! Zildjian!

Zildjian……Zildjian? ……うん、正直これドラマーの人とかじゃないと読み方わからないですよね。「ジルジャン」です。以降カタカナ表記にしますね。

読み方もわからないようなブランドですが、このジルジャンも実は音楽の歴史に欠かせない存在。現在に連なるシンバルという楽器の発祥の地、トルコ。そのトルコがオスマン帝国立った頃の首都コンスタンチノープルで、同社の始祖アベディス1世が独自の製法によるシンバルを開発。そこを始点として現在に至るまでずっと、ジルジャンはシンバルのトップブランドなのです。ライバルブランドのいくつかもジルジャンの流れから生まれたものだったりします。

シンバルを見かけたらジルジャンと思え! ……は大袈裟ですが、かなりの確率でジルジャンなのは事実

シンバルを見かけたらジルジャンと思え! ……は大袈裟ですが、かなりの確率でジルジャンなのは事実

……いやオスマン帝国ってそれいつだっけ? 17世紀です。ジルジャンの創業は1623年。400年前! ジルジャンは400年前からシンバルを叩き続けているのです。あ、シンバルって製造時にも「ハンマーで叩く」という工程があって、その絶妙な叩き具合で音色を調整してるらしいですよ。作るも叩く! 奏でるも叩く! それがシンバル!

なんてシンバル豆知識はさておき、そのジルジャンがドラマー向けとしてラインアップしているイヤーモニターが、「PROFESSIONAL IN-EAR MONITORS ZIEM1」です。

フォルム等はイヤーモニターとしてよくある形なので普通に使いやすいです。そしてうれしい「Z」ロゴ!

フォルム等はイヤーモニターとしてよくある形なので普通に使いやすいです。そしてうれしい「Z」ロゴ!

仕様面ではダイナミックドライバー2基搭載というところが特徴的

仕様面ではダイナミックドライバー2基搭載というところが特徴的

何がドラマー向けかというとチューニング、つまり音作り。「ライブ・パフォーマンスや練習中でも楽曲の進行をとらえるのに最適なクリアな高域と中域、パワフルな低域で、ロックからアコースティックまで幅広いジャンルに対応いたします」とのことです。

ですが実際に聴いてみたこともある筆者の印象としては、このイヤモニはリスニングにもフィットしてくれます。中高域側の良質な鋭さ、低域側のもらない速さが持ち味。アタックへのレスポンスが明瞭でわかりやすく速くて正確なので、その曲その演奏のリズム、グルーヴがくっきりと伝わってきます。音楽のそういう要素を特に楽しみたい人におすすめです。

【3】もはや何を作っても納得! YAMAHA!

YAMAHAはご存じの通り、何でも作ってるブランドです。楽器ならピアノを筆頭にクラシック楽器全般から、ギターやドラム、シンセサイザー等の電子楽器など、おおよその楽器は作ってます。アンプやスピーカーなどのオーディオ機器も作ってますし、ネットワーク機器のルーターとかも高く評価されています。関連会社のヤマハ発動機もバイクを筆頭に「エンジンで動かすものならうちで作れんだろ」精神でいろいろ作りまくってますよね。あとZildjianやMarshallの輸入代理店も務めていたりします。

オーディオ分野では会場音響用スピーカーなどもひと通り網羅していますし、デスクトップオーディオの世界では小型モニタースピーカー「MSP3」が定番。

MSP3は今年アップデートされ、最新版の「MSP3A」となっています

MSP3は今年アップデートされ、最新版の「MSP3A」となっています

マイクスタンド等を使った設置を可能とするアダプターなんかも用意されていて地味に便利

マイクスタンド等を使った設置を可能とするアダプターなんかも用意されていて地味に便利

で、我々リスナー向けのコンシューマー・オーディオのイヤホンやヘッドホンも当然作ってきたわけですが、現在のラインアップはコンパクトにまとめられています。完全ワイヤレスイヤホンだとこちら「TW-E3B」一択です。

完全ワイヤレスイヤホンとしては機能性もフォルムもシンプルにまとめてあるタイプ

完全ワイヤレスイヤホンとしては機能性もフォルムもシンプルにまとめてあるタイプ

やわらかな色合いを取り揃えた豊富なカラバリ!

やわらかな色合いを取り揃えた豊富なカラバリ!

ですが、その一択モデルであるこのイヤホンには、実にYAMAHAらしい特色が。音量に応じて再生音の帯域バランスを最適化してくれる「リスニングケア」技術です。この機能、音量を小さくしたときでも自然で聴きやすい音に自動調整してくれるというものなのですが、そのねらいは「音量を過度に上げないでも音楽を聴き取れる音質に自動調整することで、過度な音量による耳へのダメージを低減する」とのこと。音楽を愛するYAMAHAらしい発想であり、それを実現する技術もまたYAMAHAだからこそ備えていたものです。

【4】電子楽器界の雄! Roland!

YAMAHAほど意味不明に手広くはありませんが、Rolandも、電子楽器と音楽制作機器の分野であれば「大体何でも作ってる」系の総合メーカーと言えます。歴史的なリズムマシン「TR-808」の名声は特に知られているところですし、シンセサイザー分野でも創成期のアナログ時代から活躍。MIDI規格の制定と普及への尽力も音楽業界への大きな貢献です。「BOSS」ブランドで展開するギター向けペダルエフェクター等も見落とせません。

「TR-808」に兄弟機「TR-606」があったように、現在の「TR-8S」にも弟分の「TS-6S」が用意されています

「TR-808」に兄弟機「TR-606」があったように、現在の「TR-8S」にも弟分の「TS-6S」が用意されています

久々に登場したBOSSオリジナルのアナログファズ「FZ-1W」

久々に登場したBOSSオリジナルのアナログファズ「FZ-1W」

当然モニターヘッドホンはラインアップしています。電子ピアノとの組み合わせを想定した製品なんかもあるのがRolandっぽいところ。ですが、リスニングオーディオ的に特に注目すべきアイテムは、現在は同社の子会社となっている「V-MODA」ブランドのイヤホン&ヘッドホンでしょう。

ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン「M-200 ANC」。ならではのルックスに最新スペックを搭載

ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン「M-200 ANC」。ならではのルックスに最新スペックを搭載

完全ワイヤレスイヤホン「Hexamove Pro」。交換可能なカスタムシールドでルックスをカスタマイズ! 最新コーデック「aptX Adaptive」にも対応

完全ワイヤレスイヤホン「Hexamove Pro」。交換可能なカスタムシールドでルックスをカスタマイズ! 最新コーデック「aptX Adaptive」にも対応

DJシーンに向けて設立されたV-MODAならではのタフさやデザイン性に、Rolandの技術やチューニングも合流。その化学反応で新たな魅力を生み出してきています。ルックスの個性が強いのでその面でユーザーを選ぶところはありますが、だからこそハマる人にはがっちりハマるイヤホン&ヘッドホンと言えるでしょう。

【5】ベースアンプの革命者! PHIL JONES BASS

PHIL JONES BASS(PJB)は2002年創業。「小型軽量にして良質なトーンと十分な音量を提供する、小型ドライバーユニット採用ベースアンプ」によって近年一気に存在感を高めたブランドです。

プロがステージで使える小型アンプとして大ヒットしたモデルのアップデート版「Bass Cub2」

プロがステージで使える小型アンプとして大ヒットしたモデルのアップデート版「Bass Cub2」

「NANOBASS X4」は、本体サイズ160(幅)×200(高さ)×197(奥行)mmのコンパクトさだし、Bluetooth入力対応だし、もう普通にBluetoothスピーカーとしても使えるのでは……

「NANOBASS X4」は、本体サイズ160(幅)×200(高さ)×197(奥行)mmのコンパクトさだし、Bluetooth入力対応だし、もう普通にBluetoothスピーカーとしても使えるのでは……

PJBの創業は2002年ですが、フィル・ジョーンズ氏は1980年代からコンシューマー・オーディオ分野で活躍し名機と呼ばれるようなスピーカーを生み出してきたエンジニア。さらにさかのぼれば、少年時代にはすでにベースアンプやギターアンプを製作していたなんて話もあります。ブランドとしては新鋭ですが、「あのフィル・ジョーンズ氏の新ブランド」となれば別格感もありますよね。

そのPJB。同社ベースアンプは標準的にヘッドホン出力も備えることからか、モニターヘッドホンもラインアップ。それが「H850」です。

「The モニターヘッドホン!」的にスタンダードなルックス

「The モニターヘッドホン!」的にスタンダードなルックス

フラットに収納できます

フラットに収納できます

ぶっちゃけ外観にも機能性にも、特段の個性はありません。なのでポイントは、

「ベースプレイヤーのためのヘッドホンで、開発コンセプトは、
・ベースサウンドが聴きやすい。
・ 通常の音楽を聴くヘッドホンとして品位のあるサウンドクオリティ。
ベースプレイヤーにオススメするヘッドホンですが、基本的には一般リスニング用として幅広く使用されることを想定。モニター的な性格を持ちながらも、長時間リラックスして聴いていられるバランスのよいサウンドです」

というそのサウンド・チューニング一点勝負!

実際に聴いたときの印象としては、特にエレクトリックベースのスマートでタイトな音像、ストレスなくスッと届いてくる感触に感心させられました。この低域レスポンスの良好さはジルジャンのイヤモニにも通じるところですね。ベーシスト&ドラマーのリズムセクション視点からするとそこはやはり大切なのでしょう。

シンプルに大迫力な重低音サウンドを求める方には合わないかと思いますが、それこそベースの演奏ニュアンスや絶妙なグルーヴコントロールなどを味わいたい、ベース好きリスナーの心には強く響いてくれそうです。

【6】ガジェットシンセで世界を変える! Teenage Engineering!

一見すると楽器に見えにくいというか、「電卓の中身だけ」みたいなルックスでポケットサイズなシンセサイザーやリズムマシンで界隈を驚かせた電子楽器ブランドがTeenage Engineeringです。

ビンテージのOA機器をサンプリングしたサウンドとシンセサイズによるサウンドを収録したドラムマシン「PO-24」。OA機器!?

ビンテージのOA機器をサンプリングしたサウンドとシンセサイズによるサウンドを収録したドラムマシン「PO-24」。OA機器!?

内蔵マイクやラジオのサンプリング、テープレコーダー風録音機能などを備えたミニシンセ「OP-1」

内蔵マイクやラジオのサンプリング、テープレコーダー風録音機能などを備えたミニシンセ「OP-1」

ガジェットあるいはトイ楽器的な雰囲気で音楽への扉を身近なものとしつつ、そのクオリティや機能は刺激的。何となく触れてみたら、そのまま音楽沼に引きずり込まれそうなアイテムです。ブランド設立は2005年ですから、そうして沼に引きずり込まれた「Teenage Engineering育ち」ミュージシャンもそろそろ続々と活躍し始めているのではないでしょうか。

そんなTeenage Engineeringがラインアップしているヘッドホンがこちら「M-1」です。

基本形態からの……

基本形態からの……

マイク装備!

マイク装備!

見ての通り、取り外し可能なマイクを備えているのが特徴。このマイクは同社のポータブル・シンセサイザー/シーケンサー「OP-Z」と組み合わせて音声サンプリングを行えて便利! みたいな使い方を想定しての装備なのですが、テレワークな現状、一般ユーザーにも普通にありがたいですよね。

ミニマムなラインで構成されたルックスも派手ではなくてシャレていますし、リモート会議でこれを着こなしてみるのもありなのでは?

【7】伝統のギターアンプ! 最新の完全ワイヤレス! Marshall!

最後に、この夏秋でついに完全ワイヤレスイヤホンへの参入も果たしたMarshallです。ロックギターの「歪み」の歴史において、当初から現在に至るまでその中心にい続けるギターアンプブランドのひとつ。特にハードロック全盛期においては、爆音ロックギタリストの背後にそびえる「Marshallの壁」は時代を象徴する光景でした。

ハードロック全盛期の名機「JCM800」も現役!

ハードロック全盛期の名機「JCM800」も現役!

Marshallらしさ全開のままダウンサイジングされた「STUDIO」シリーズ

Marshallらしさ全開のままダウンサイジングされた「STUDIO」シリーズ

そのMarshallは、YAMAHAやRolandのような総合楽器メーカーは別として、専業的な楽器ブランドとしては比較的に早い時期からイヤホン&ヘッドホン分野にも進出しています。

いやでも総合メーカーと違って、ギターアンプ専業のMarshallは、イヤホンとかヘッドホンの技術は持ってなかったでしょ? クオリティ的に大丈夫なの? ……なんて不安を覚えた方もいるかもですがご安心を。Marshallブランドのイヤホン&ヘッドホンは、Marshall社とのコラボレーションの元で、スウェーデンのオーディオ企業、Zound Industriesによって展開されています。ちゃんとイヤホンやヘッドホン、Bluetoothのプロによって開発されているのです。

いやいやMarshallで作ってないって、そうなると今度はMarshallらしさの面で不安じゃん!……なんて不安を覚えた方もいるかもですが、ご安心を。実物を手にすればその印象は「むしろすげえMarshallらしい!」のです。もちろんサウンド面も含めて!

人間も、自分の長所や個性を把握するのは難しくて、でも周りから見ればその長所や個性は明らか!なんてことがあったりするじゃないですか? 同じように、Marshall自身ではなくZound Industriesという外の視点から見ての「Marshallらしさ」が反映されているからこそ、同じく外の視点となる我々Marshallファンの琴線に響く仕上がりが実現されているのかもしれません。

【実機レビュー】完全ワイヤレス参入第1弾&第2弾!「Mode II」「Minor III」

というわけで、ここからは実機レビュー。Marshallの完全ワイヤレスイヤホン参入第1弾&第2弾として発売された「Mode II」「Minor III」を見てみましょう。

左のカナル型が「Mode II」、右のスティック型が「Minor III」

左のカナル型が「Mode II」、右のスティック型が「Minor III」

ケースはどちらもコンパクト。AirPodsのケースに革を1枚まとわせたくらいの感じです

ケースはどちらもコンパクト。AirPodsのケースに革を1枚まとわせたくらいの感じです

全体のフォルムとしては、Mode IIは完全ワイヤレスとしても一般的なカナル型スタイル、Minor IIIはスティック付きでイヤーピースのない、いわゆるProではない無印の「AirPods」スタイルを採用しています。多くの方が選ぶ前者と、そちらがフィットしない人にうれしい後者。幅広いユーザーを想定したラインアップ展開です。

スペックや機能性については、細かい説明は省きますが、「バッテリーライフや防水性などなど、あらゆる要素で最新完全ワイヤレスイヤホンとしての基準をクリア」と言ってよいでしょう。ノイズキャンセリング必須な方でなければ、大きな不満は覚えないはず。

そして機能やスペックを確保したうえでMarshallらしさ満載です。まずはルックスの面でのMarshall!なポイントを写真で紹介していきます。

Mode II。この写真の中にも「M」ロゴを筆頭に、Marshallらしさを生み出す細やかなデザインがいくつも写り込んでいます

Mode II。この写真の中にも「M」ロゴを筆頭に、Marshallらしさを生み出す細やかなデザインがいくつも写り込んでいます

Bluetoothペアリングボタンのゴールド&スピン仕上げ!

Bluetoothペアリングボタンのゴールド&スピン仕上げ!

いかにもMarshall! なエレファント・トーレックス風仕上げ+滑り止めのローレット加工でのハード感!

いかにもMarshall! なエレファント・トーレックス風仕上げ+滑り止めのローレット加工でのハード感!

裏面にはぐっと渋く控えめに入れられたロゴ。ノズル先端カバーもMarshallゴールドです

裏面にはぐっと渋く控えめに入れられたロゴ。ノズル先端カバーもMarshallゴールドです

Minor III。縦型ケースなのでオイルライター的な雰囲気も感じさせます

Minor III。縦型ケースなのでオイルライター的な雰囲気も感じさせます

ローレット加工やスピン仕上げゴールドパーツなど、Mode IIと同じモチーフで、Marshallイヤホンとしての統一感を演出

ローレット加工やスピン仕上げゴールドパーツなど、Mode IIと同じモチーフで、Marshallイヤホンとしての統一感を演出

こちらのペアリングボタンは、ケース外側に配置されているからか目立たないブラック

こちらのペアリングボタンは、ケース外側に配置されているからか目立たないブラック

Mode IIの裏面ロゴやノズル先端カバーなんて、ユーザー本人しか目にしない部分ですよね。周囲にアピールするだけではなく、ユーザー自身の気分を高めるためのMarshall感。Marshallのイヤホン&ヘッドホンはそれを備えています。

らしさ全開Mode II! らしさ+聴きやすさなMinor IIIサウンド

もちろんサウンドも見事です。特にMode IIのサウンドは、Marshallがこれまで磨き上げてきたイヤホン&ヘッドホンのチューニング、その成果の集大成と言えるほどの完成度。

高域はこれぞMarshallという輝きを放ちます。シンバルのハードヒットはバシャーン!とガラスが砕けるように炸裂しますし、攻撃的なシンセサウンドやディストーションギターのエッジはギャリッと鋭い! ボーカルも息の成分がシュッと心に刺さってきます。しかもそれでいてその炸裂感、エッジ、刺さりが、耳に痛い感触ではないのです。攻撃的な鋭さでありつつ不快ではない。むしろ気持ちいいのです。

なるほど、真の女王様は鞭で打ち言葉でなぶりながら相手に痛みではなく快楽を与えるというが、こういうことか。Marshall好きな我々もある意味ではMということか。……などと意味不明の納得を覚えてしまいそうです。

低域側も当然のごとく充実。クラブサウンドの超低域、サブベース帯域の伸びや響きにもしっかりと追従して再現。バンドサウンドでも5弦ベースのローポジション音域でのフレーズを、音像の大きさや厚みをふらつかせず安定した再生をしてくれます。ファットに太らせすぎることもタイトにまとめすぎることもない、良質で迫力のある低音再生です。

というMode IIのサウンドを「これぞMarshallサウンド!」として踏まえてもらったうえで……

Minor IIIのサウンドは、そのMarshallサウンドとAirPods的な聴きやすさ・聴き疲れにくさをブレンドしたハイブリッドという印象。ルックスもMarshall的な外装+AirPods的なスタイルですから、そこから期待される通りのサウンドと言えます。

高域のブライトさはMode IIほどではなくなりますが、AirPodsと比べればやはりMarshallのニュアンス、明確さを感じさせるものです。イヤーピースを持たない非カナル型ですから、超低域は薄めにはなります。しかし超低域が不自然にスパッとカットされてしまうことはなく、低域から超低域にかけての減衰は素直。なので、クラブ系など超低域が重要なサウンドの曲を聴いても違和感はありません。

という音調に非カナル型ならではの開放感もあり、Minor IIIは聴き疲れしにくいサウンドにまとめられています。それでいてMarshallらしさを失ってしまっているわけではなく、そのハードタッチさをうかがわせる瞬間もあるわけです。

真の女王様もプライベートでは人当たりも少しやわらかくなってたりするだろうけれど、しかしそのオーラのすべてを隠し切れるものではない。……などと意味不明の納得を覚えてしまいそうです。

楽器ブランドの看板に恥じない製品揃い

今回は、完全ワイヤレスイヤホンの新製品ということでMarshallを特にピックアップしましたが、実際このMode IIとMinor IIIは「楽器ブランドのイヤホン&ヘッドホン」の代表として紹介するにふさわしい製品です。ブランドらしさの演出は外装の細部にまで行き渡っており、サウンド面でも本業のそれに通じるものを感じさせてくれます。

そして、そのようにブランド力を見事に生かしたうえで、そこを無視して普通の完全ワイヤレスイヤホンとして見た場合でも何の不足もない、最新基準を満たす機能やスペックも備えています。ブランド力があるからこそ、そのブランド力に頼り切って看板に泥を塗るような内容の製品は許されません。そんなのはブランドのファンからしてもがっかりですよね。

その点、楽器ブランドのイヤホン&ヘッドホンは、制作側と再生側という違いはあるにせよ、同じく「音楽」のアイテムですから、各ブランドのらしさやこだわりがしっかりと反映され、クオリティ的にも納得な製品が多い印象。音楽好きの方はチェックして損はないことでしょう。これを機に「推し楽器ブランド」を作ってみるのも楽しいかもしれませんよ。

高橋敦

高橋敦

オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。

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