テレビ回りの音響機器として今、サウンドバーはとても盛り上がりをみせている。背景は“おうちエンタメ”の需要。NetflixやAmazonプライム・ビデオをテレビで視聴する人が増え、サラウンド意識が高まっているようだ。
2021年に登場したトップモデルといえば、ソニーの「HT-A7000」と「HT-A9」がツートップだろう。ソニー「HT-A7000」は1本バータイプで立体音響を再現可能な最高峰のモデルで、価格.comの最安価格は13万円台なかば。「HT-A9」はバー型ではなく4本のスピーカーを使った独自の立体音響技術「360 Spatial Sound Mapping」により、正確なサウンドフィールドの再現を志向している。価格.com最安価格でも20万円をなんとか下回る程度と高価格帯ながら、ソニーの最新技術を投入したモデルとして異例ヒットモデルとなっている。
イネーブルドスピーカーを搭載し、1本バータイプでDolby Atmosの立体音響に対応したソニー「HT-A7000」。レビュー記事はコチラ
ソニー「HT-A9」。独自の立体音響技術「360 Spatial Sound Mapping」で4本のスピーカーを緻密に制御し、広大なサラウンド環境を手軽に構築できるのが最大の特徴。レビュー記事はコチラ
比較的手ごろなモデルでは、壁反射による立体音響に対応したJBL「BAR 5.0 MultiBeam」、サウンドバーでありながら高音質を志向したPolk Audio「REACT」がヒット。中価格帯では小型・プレミアムを志向したデノン「Denon Home Sound Bar 550」も発売直後から長く品切れが続いた。
JBL「BAR 5.0 MultiBeam」は、バーチャルサラウンドと壁反射によるリアルサラウンドを融合し、Dolby Atmosの立体音響にも対応したコンパクトなサウンドバー
Polk Audio「REACT」は、バーチャルサラウンド機能などを搭載せず、ステレオ再生に特化したシンプルなサウンドバー。Bluetoothも搭載しており、音楽リスニング用のスピーカーとしても活用できる。レポート記事はコチラ
デノン「Denon Home Sound Bar 550」は、Dolby AtmosやDTS:Xにも対応する同社サウンドバーのハイエンドモデル。リアスピーカーを追加して、サラウンドシステムの拡張が行えるのもポイントだ。レポート記事はコチラ
イヤホン・ヘッドホンで知られるゼンハイザー初のサウンドバー「AMBEO Soundbar SB01-JP」も、357,500円という超高価格で登場。同社が独自に研究を続けてきた立体音響技術の初の製品化で、本格なサラウンドに興味を持つ人から注目を集めているようだ。
1本バータイプで5.1.4chを再現できるというゼンハイザーの超弩級サウンドバー「AMBEO Soundbar SB01-JP」。本体サイズもかなり大きめなので、設置する際は注意したい
2021年のAV家電を語る上で、プロジェクターがメジャー化の道を突き進んでいる点も欠かせないテーマだ。「popIn Aladdin 2」の大ヒットや、Anker「Nebula」シリーズがジャンル開拓を進めたWi-Fi内蔵プロジェクターがけん引役で、Wi-Fi内蔵でAndroid TV搭載のプロジェクターが数も増えてきて人気となっている。
2021年のトレンドをみると、Ankerに次ぐ有力メーカーとしてXGIMI、BenQなどが頭角を現し、ラインアップを上に拡張するモデルが増えてきた。Ankerは、フルHDでDolby Digital Plus対応のスピーカーを搭載した「Nebula Cosmos」と、同機の4K版にあたる「Nebula Cosmos Max」と高価格帯を拡充。ライバルメーカーであるXGIMIもフルHDの大型モデル「HORIZON」、4K対応の「HORIZON Pro」と、10万円オーバーの新製品を続々と投入している。
Ankerの4Kプロジェクター「Nebula Cosmos Max」。Dolby Digital Plus対応のスピーカーを搭載しており、プロジェクター単体で高音質なサラウンド再生を楽しめる
XGIMIの4K対応プロジェクター「HORIZON Pro」。比較的小型のボディながら、2200ANSIルーメンの明るさを実現。Android TVプラットフォーム採用で、ネット動画との相性も抜群だ
7万円前後の小型機では、AnkerがフルHDの「Nebula Solar」、バッテリー内蔵版にあたる「Nebula Vega Portable」でラインアップをしっかり構築しているが、そんな中で改めて中価格帯に勝負を仕かけるブランドがBenQ。HDモデルのBenQ「GV30」は、本体がホイール型で回転して天井投写可能という機構、フルHDモデルのBenQ「GS50」はアウトドア対応というユニークな切り口で勝負を仕かけているのが面白い。
AnkerのフルHDプロジェクター「Nebula Vega Portable」。バッテリー内蔵で、屋内屋外問わずに使えるのが便利。レビュー記事はコチラ
BenQ「GV30」。本体がホイール型で回転して投写位置を簡単に調整できるユニークなモデルだ。レビュー記事はコチラ
プロジェクター市場全体の流行としては、超短焦点プロジェクターも外せないトピックだ。壁のすぐ下、数cm〜30cm程度までの距離に設置するだけで100インチクラスの超大画面を実現できるという利便性がうけているようだ。
2021年に発売したモデルをあげると、VAVA「VA-LT002」やViewSonic「X1000-4K+」と海外メーカーが積極的だ。そして12月下旬発売というギリギリのタイミングでXGMI「AURA」も登場し、“テレビではなくプロジェクターを自宅の大画面のメインにしたい”という機運が世界的に高まっているようだ。
最大150インチの4K映像を投影可能なVAVAの超短焦点4Kプロジェクター「VA-LT002」
ちなみに日本メーカーでは、エプソンが「dreamio EH-LS500B/W」や「dreamio EH-LS300B/W」を発売中。画質の完成度含めてよくできたモデルで、今なおヒットモデルとなっている。
エプソン「dreamio EH-LS500B/W」(写真はブラック)。スティック型のAndroid TV端末を格納でき、Wi-Fiさえあればネット動画もすぐに楽しめるのもうれしいところ
スタンダードなプロジェクターでも、いくつかヒット商品があった。まず高画質4Kプロジェクターの高コスパモデルとして注目したいのが、ViewSonicが10月に発売した「PX748-4K」。DLPによる4K UHD、4000ルーメンで価格.com最安価格では13万円を割り込むコスパが魅力の1台だ。また3月に発売したBenQ「TK700STi」は、4K UHD仕様のゲーミングプロジェクターとして異例のヒット。レーザー光源を採用したLGエレクトロニクスの4Kレーザープロジェクター「HU810PB」も高価格ながら明るい表示ができるモデルとして人気を博している。
ViewSonic「PX748-4K」。価格.com最安価格で13万円を割り込むコスパが魅力の1台。レビュー記事はコチラ
BenQ「TK700STi」はゲーミングプロジェクターとしても人気の1台
LGエレクトロニクス「HU810PB」。デュアルレーザーの2700ルーメンの明るさ、コントラスト比200万:1など、画質面での基本性能が高く、ホームシアタープロジェクターとしても最適な1台だ。レビュー記事はコチラ
正統派の超高級ハイエンドプロジェクターもいくつか新製品が登場した。4月にソニーが発売した「VPL-VW275」は、ネイティブ4Kに対応したソニー独自の0.74型 4K SXRD搭載で約60万円。「VPL-VW875」は、ARC-F(オールレンジ クリスプフォーカス)レンズを搭載し、約300万円と超ハイエンド仕様だ。
ソニー「VPL-VW875」は、レーザー光源のZ-Phosphor、ARC-Fレンズ、アドバンストアイリス3など、画質をとことんこだわった超ハイエンドプロジェクター
いっぽう、ライバルのJVCも3年ぶりにホームシアタープロジェクターを刷新し、8K対応、8K信号入力というスペックが話題を呼んだ。最も廉価な「DLA-V70R」で1,125,000円、補完技術をe-shiftXへ高度化して輝度もアップした「DLA-V80R」が1,485,000円、最上位モデルの「DLA-V90R」が2,475,000円。すべて実機を視聴した僕としては、やはり「DLA-V90R」の8K画質に惹かれたが、ここまでくるとマニアックな趣味の世界。今後、こういった技術が下位モデルに落ちてくれば、さらにプロジェクター市場が活性化していきそうだ。
8K対応、8K信号入力というスペックで話題を呼んだJVCの最新プロジェクター。フラッグシップモデルの「DLA-V90R」は、100mm高解像度オールガラスレンズを搭載するなど、光学系もかなり贅沢な仕様となっている