レビュー

空間オーディオがすごい「Sonos Era 300」。Sonos製品でシアター化にも挑戦!

空間オーディオがすごい「Sonos Era 300」。Sonos製品でシアター化にも挑戦!

Sonosからワイヤレススピーカーの新モデル「Sonos Era 300」と「Sonos Era 100」が発売された。製品の詳細はすでに価格.comマガジンで記事化されているので以下の記事を参照してほしい。

上位モデルにあたる「Sonos Era 300」は、音楽リスニング用のスピーカーでありながら1台でも空間オーディオを楽しめるサラウンド志向のモデル。そして「Sonos Era 300」「Sonos Era 100」は、Sonos製のサウンドバー、「Sonos Arc」「Sonos Beam(Gen 2)」との組み合わせで、Wi-Fiワイヤレス連動によるホームシアターシステムとして発展可能なモデルでもある。

今回は「Sonos Era 300」(約7万円)を2台用意して、「Sonos Arc」(約13.5万円)、そして「Sonos Sub Mini」(約6.5万円)と組み合わせた総額約34万円のホームシアター構築に挑戦してみた。

3月29日発売のSonosの最新ワイヤレススピーカー「Sonos Era 300」をレビュー。2台用意して空間オーディオとホームシアターに挑戦

3月29日発売のSonosの最新ワイヤレススピーカー「Sonos Era 300」をレビュー。2台用意して空間オーディオとホームシアターに挑戦

「Sonos Era 300」でAmazon Music&Apple Musicを体験。空間オーディオは音楽リスニングにもアリ

さっそく自宅に届いたSonosの製品群をセットアップ。僕はSonos製品とは長い付き合いで、初めて触れるモデルは「Sonos Era 300」のみ。「Sonos Arc」と「Sonos Sub Mini」は以下の記事で触れているので参考にしていただきたい。

そんな事情もあって、僕はSonosの新製品「Sonos Era 300」に対して興味津々。Sonosは「Sonos Era 300」の発表時点でAmazon Music UnlimitedのDolby Atmos対応、3月27日にはDolby Atmosの技術をベースとしたApple Musicの空間オーディオの再生もサポートを開始した。ちなみに、「Sonos Era 300」のほかには「Arc」「Beam (Gen 2)」も対応デバイスとして名を連ねている。

ということで、まずは「Sonos Era 300」を1台のみ使用した音楽リスニングから試してみた。「Sonos Era 300」の本体サイズは260(幅)×185(奥行)×160(高さ)mmと、バッテリーも搭載されていないワイヤレススピーカーとしては若干大きめのサイズとなっている。とはいえ、「Sonos Era 300」はHi-Fi志向の音質を重視したスピーカーであり、単純なワイヤレススピーカーとしてではなく、本体の正面、天面、側面に計6基のスピーカーを搭載したワンボディ型スピーカーと考えると十分納得できるサイズだと思う。

「Sonos Era 300」。260(幅)×185(奥行)×160(高さ)mmと若干大きめのサイズだ。シェイプした独特のデザインが目を惹く

「Sonos Era 300」。260(幅)×185(奥行)×160(高さ)mmと若干大きめのサイズだ。シェイプした独特のデザインが目を惹く

天面には再生/停止、グループ化のボタンを搭載。スライドバーで音量も直感的に操作可能だ

天面には再生/停止、グループ化のボタンを搭載。スライドバーで音量も直感的に操作可能だ

電源ケーブルをつなげ、Sonosアプリに「Sonos Era 300」を追加し、Wi-Fiに接続。自動音場補正機能の「Trueplay」は新機能の本体内蔵マイクを使った「クイック測定モード」で済ませてセットアップは完了だ。さっそくAmazon Musicで配信されている空間オーディオ楽曲を聴き始めると……いきなり「Sonos Era 300」のサウンドに驚いた。

Amazon MusicやApple MusicでDolby Atmos配信されている楽曲を中心にチェック

Amazon MusicやApple MusicでDolby Atmos配信されている楽曲を中心にチェック

Dolby Atmosで配信している数曲をいくつか体験してみたが、たとえば、あいみょん『愛の花』では歌声を肉厚にスピーカーより上に定位させつつ、アコギやシンセはその背後に広がる。目の前にある1台の「Sonos Era 300」から再生しているとは思えないほどの空間再現だ。Sonos本来のサウンドはモニタースピーカー風でスピーカー位置がストレートに出るタイプだが、「Sonos Era 300」は、1台でもしっかり空間を再現する新たなサウンドバランスを作り上げた。

せっかくだからと「Sonos Era 300」を2台使ってステレオペア化、「Trueplay」もアドバンスドモードで再測定して改めて聴き始めると、空間オーディオもさらに本格的に。Apple MusicのOfficial髭男dism『Universe』を聴くと、素直にステレオ的なスピーカー構成を生かしつつ、空間で音楽を鳴らすその余韻も再現するようになる。そして「Sonos Era 300」を2台使ったステレオペアで特に印象的だったのが極上の低音再現。パワー任せでなく完璧にコントロールされた低音が空間を満たすのだ。

「Sonos Era 300」を2台使ったステレオペアはさらに広がりのあるサウンドに

「Sonos Era 300」を2台使ったステレオペアはさらに広がりのあるサウンドに

ちなみに、空間オーディオはSonosアプリの「空間音楽」の設定でオフにできる。念のため同じ曲で聴き比べてみたが、オフの状態ではよりスピーカーの存在を意識させるような直接的な鳴りになる。空間オーディオは元のステレオ空間も残しつつ、アーティストが演奏している空間も再現するかのような音。そう考えると、音楽リスニングとしても有効活用できそうだ。

せっかく「Sonos Era 300」が手元に届いたので空間オーディオでもっと遊びたいところだが、本題はここから。設置場所を変えて「Sonos Era 300」を使ったホームシアターを構築していこう。

「Sonos Era 300」の入ったホームシアターは空間再現がすごい

「Sonos Era 300」を使ったホームシアターシステムを構築する際には、HDMI入力端子を備えた「Sonos Arc」か「Sonos Beam(Gen 2)」が必須。今回はメインのサウンドバーに「Sonos Arc」を採用し、さらにワイヤレスサブウーハーの「Sonos Sub Mini」を追加。これに「Sonos Era 300」を2台加えた、まさにフル装備と呼べる構成だ。今回はこれを“Sonos Era 300入りホームシアター”と呼ぶことにする。

テレビ台の上に「Sonos Arc」、すぐ脇に「Sonos Sub Mini」をセット

テレビ台の上に「Sonos Arc」、すぐ脇に「Sonos Sub Mini」をセット

テレビの真正面のテーブルに「Sonos Era 300」を2台設置。場所が許せばスピーカースタンド設置もアリだろう

テレビの真正面のテーブルに「Sonos Era 300」を2台設置。場所が許せばスピーカースタンド設置もアリだろう

「Sonos Arc」導入の基本的な流れは下記のレビュー記事で紹介した内容から変更はない。Sonosアプリからスピーカーを追加、そして自動音場補正機能「Trueplay」はスマートフォンを片手に部屋を練り歩き、高精度に測定する従来版の「アドバンスドモード」でセットアップした。

Sonosアプリから「Sonos Era 300」をサラウンドスピーカーとして登録

Sonosアプリから「Sonos Era 300」をサラウンドスピーカーとして登録

フル装備の“Sonos Era 300入りホームシアター”が完成

フル装備の“Sonos Era 300入りホームシアター”が完成

まずは“Sonos Era 300入りのホームシアター”でテレビ番組を視聴してみると……この時点でサウンドの出来は相当いい。ニュース番組のアナウンサーの声も質感もしっかり出ているし、音の位置もスピーカーの位置そのものではなく、組み合わせた65V型有機ELテレビの画面中央から少し下あたりに定位する。これは「Sonos Arc」と「Sonos Sub Mini」の仕事が大部分だが、どうやらBGMなどもわずかに「Sonos Era 300」に振って部屋全体で鳴らすことで臨場感を高めているようだ。

セットアップした“Sonos Era 300入りホームシアター”の全体像

セットアップした“Sonos Era 300入りホームシアター”の全体像

続いて、Netflixでアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』を視聴。オープニングの『青春コンプレックス』を聴くと本当の実力がわかる。ひと言で表すなら、極限まで整えられた空間志向のサウンド。スピーカーの個性を出さずに空間上にボーカルも楽器を定位させて、そして歌声も立ち上がりよりも質感重視。最終話の文化祭ライブは、体育館のステージで演奏、ステージ上のアンプとスピーカーで音を鳴らしている風の作り込みもしっかりと再現できていて思わず感心してしまった。

続いてNetflixで『トップガン・マーヴェリック』(Dolby Atmos)を視聴し始めると……あまりにサラウンドが極上すぎてそのまま見入ってしまった。

Netflixの『トップガン・マーヴェリック』。Dolby Atmosもしっかりと認識された

Netflixの『トップガン・マーヴェリック』。Dolby Atmosもしっかりと認識された

たとえばストーリー序盤のマッハ10を目指すテスト飛行のシーン。ジェットエンジンの轟音は“あ、低音が響いているな”ではなく、フロントの「Sonos Arc」と「Sonos Sub Mini」が完全につながって中域の厚みをカバーし、空気感のある轟音になっていた。離陸直後、ケイン少将の頭を抜けるシーンは、頭の上を抜けていく移動感を完璧に再現。サラウンドスピーカーの存在を消して、その上で完璧な空間を作り上げている。サラウンドの「Sonos Era 300」が空間再現性志向で、特に高さ方向の再現が得意になったことが、全体としての完成度を高めているのだろう。

以前、「Sonos Arc」で試したPS5版の『Call of Duty: Black Ops Cold War』も、“Sonos Era 300入りホームシアター”で再度プレイ。すると、“Sonos Era 300入りホームシアター”では空間スケールの大きな定位再現だけでなく、以前気になった音の遅延がほぼないことに気づいた。Sonosのワイヤレス環境としても着実にアップデートしているようだ。

PS5で『Call of Duty: Black Ops Cold War』をプレイ。遅延もほぼ解消しているようだ

PS5で『Call of Duty: Black Ops Cold War』をプレイ。遅延もほぼ解消しているようだ

【まとめ】「Sonos Era 300」からSonosの世界に入ってみるのもアリ

あまりに極上すぎた“Sonos Era 300入りホームシアター”だが、そもそも新製品の「Sonos Era 300」(約7万円)を2台用意する時点で約14万円というなかなかか贅沢なシステムだ。Apple MusicやAmazon Musicの空間オーディオ体験目当てなら「Sonos Era 300」だけで十分だったりする。今回は「Sonos Arc」(約13.5万円)、「Sonos Sub Mini」(約6.5万円)まで組み合わせたのは、正直やり過ぎだったかもしれない。

いっぽう、ホームシアター視点で考えると、“Sonos Era 300入りホームシアター”は意外とアリだと思った。Dolby Atmosに対応するAVアンプとスピーカーを一式揃えようとすれば総額で30万円くらいはするし、リアルスピーカーでDolby Atmosに対応する環境を構築するとなると、スピーカーの置き場がないという問題が常にある(特にハイトスピーカーの家庭への導入は困難を極める)。それらを含めて“Sonos Era 300入りホームシアター”の総額約34万円のホームシアターは納得感もある。

Sonosのシステムとしては、以前から販売している「Sonos One」などとの互換性も完全に確保されており、Wi-Fiによる音楽リスニングは1台から使えて、「Sonos Arc」と組み合わせてホームシアターにも進める。そんな発展性も含めて「Sonos Era 300」からSonosの世界へと入ってみても面白そうだ。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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