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アップルAirPods Pro(第2世代)USB Type-C版レビュー。Lightning版とどこが違う?

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アップルAirPods Pro(第2世代)USB Type-C版レビュー。Lightning版とどこが違う?

アップル「iPhone 15」シリーズと同時に「AirPods Pro(第2世代)」のUSB Type-C版が登場した。充電端子の変更のみならず、ゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」との接続時には48kHz/20bitのロスレスオーディオにも対応するという新機能を告知済み。

また、9月19日に公開されたiPhone向けの最新OS「iOS 17」では、「AirPods Pro(第2世代)」(USB Type-C版と従来型のLightning版の両方)で、ノイズコントロールの新機能として新たに「適応型オーディオ」が利用可能になった。そんな「AirPods Pro(第2世代)」のUSB Type-C版と従来型のLightning版の違いや新機能をレビューしていこう。

充電端子変更にロスレス対応!? 実はハードが新しいUSB Type-C版

まず、チェックするのは最新のUSB Type-C版から。アップルストアの表記では「MagSafe充電ケース(USB-C)付きAirPods Pro(第2世代)」となっていて、アップルストアでの価格は39,800円(税込)。これは、Lightning版が登場したときの価格とまったく同じだ。

「AirPods Pro(第2世代)」USB Type-C版のアップルストアでの価格は39,800円(税込)

「AirPods Pro(第2世代)」USB Type-C版のアップルストアでの価格は39,800円(税込)

ちなみに、USB Type-C版の登場により、Lightning版はアップルストアからすでに姿を消していて、アップルストア経由で新品を購入することはもうできない。店頭在庫はまだ残っているところもあるが、実質販売期間約1年で終売というなかなかレアモノなのは間違いない。

さて、USB Type-C版の実機に触れて気づくのは、イヤホン本体、充電ケースともにデザインやサイズがほぼ同じということ。そのため、充電端子以外はLightning版とまったく同じなのでは?と思うかもしれない。ただ、スペック上は充電ケースがIP54等級の防塵・防水性能になり、タフネス性能がアップしている。

「AirPods Pro(第2世代)」USB Type-C版

「AirPods Pro(第2世代)」USB Type-C版

充電端子がUSB Type-Cに変更

充電端子がUSB Type-Cに変更

USB Type-C版とLightning版を比較。イヤホン本体も充電ケースもまったく同じサイズ

USB Type-C版とLightning版を比較。イヤホン本体も充電ケースもまったく同じサイズ

バッテリースペックもアクティブノイズキャンセリングをオンにした状態でイヤホン単体6時間再生、充電ケース併用で30時間再生と、Lightning版から変更はない。

オーディオまわりの機能でUSB Type-C版の注目ポイントは、48kHz/20bitのロスレスオーディオ対応になることだが……冒頭に書いたとおり、こちらは2024年発売予定のゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」接続時のみ有効となる。

USB Type-C版をiPhoneに接続した際の画面は以下のとおり。接続時のデフォルト名称はただの「AirPods Pro」だが、Lightning版と混在しないように、今回は名称を変更している。

USB Type-C版を「iPhone15 Pro Max」にペアリングしたところ

USB Type-C版を「iPhone15 Pro Max」にペアリングしたところ

設定画面にノイズコントロールなどの設定項目が増えていると思った人がいるかもしれないが、これは「iOS 17」で追加された新機能で、USB Type-C版とLightning版で共通だ。

まずは気になる音質チェックから。USB Type-C版を「iPhone15 Pro Max」に接続した際は、これまでどおりBluetoothによるAACコーデック接続であり、48kHz/20bitのロスレスオーディオ対応にはならない。

Apple Musicの楽曲でUSB Type-C版とLightning版の音質を比較

Apple Musicの楽曲でUSB Type-C版とLightning版の音質を比較

さっそくUSB Type-C版でYOASOBI『三原色』を聴いてみたが、歌声は若干シャープに立てるし、重低音がズンと響く感じではないものの、低域・中域の厚みで押し出す感じで、全体のバランスは悪くない。Lightning版と聴き比べてみてもサウンドチューニングの方向性はまったく一緒だ。

続いて、USB Type-C版とLightning版を持ち出し、同一環境でノイズキャンセリング機能も比較してみた。USB Type-C版もノイズキャンセリング効果は非常に強力で、重低音はほぼ抑えるほか、中域も周囲の音をかき消すように強烈にノイズを除去してくれる。ただ、このノイズキャンセリング機能の効き具合はLightning版と同じ傾向。さまざまな種類のノイズが飛び交う電車内で使っていると、ノイズキャンセリング機能特有の違和感が強烈に出るところもLightning版から変わっていない。

電車内でUSB Type-C版とLightning版のノイズキャンセリング機能を比較

電車内でUSB Type-C版とLightning版のノイズキャンセリング機能を比較

もうおわかりいただけたかと思うが、USB Type-C版とLightning版は、現在のiPhoneの接続で使う上では、音質もノイズキャンセリング機能も違いはない。内部のハードウェアは刷新されているという情報もあるが、ひとまず現時点では「AirPods Pro(第2世代)」USB Type-C版に急いで買い替える理由はなさそうだ。

Lightning端子搭載のiPhoneユーザーが「iPhone 15」シリーズに買い替えたら充電端子をUSB Type-C端子に揃えられるというメリットがあるが、個人的には「AirPods Pro(第2世代)」のLightning版もワイヤレス充電していたので、端子変更は急務ではなかったりする。

となると、「AirPods Pro(第2世代)」USB Type-C版への買い替えを検討するかは予告されているゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」接続時の48kHz/20bitのロスレスオーディオ対応に価値を見出すか次第。これはとても魅力的なのだが、「Apple Vision Pro」がどれだけ普及するかが未知数というところも引っかかるし、「Apple Vision Pro」発売まで待ってみてもよい気がする。

もっとも、「AirPods Pro(第2世代)」のLightning版はアップルストアではもう購入できないので、アップルストアで購入するならUSB Type-C端子一択だ。

「iOS17」で洗練された使い勝手

「AirPods Pro(第2世代)」のUSB Type-C版専用というわけではないが、9月19日に公開されたiPhone向けの最新OS「iOS 17」では、「AirPods Pro(第2世代)」との連携機能もいくつかアップデートされている。さっそく「iPhone15 Pro Max」と組み合わせてテストしてみた。

「iPhone 14 Pro」「iPhone 14 Pro Max」以降のPro/ ProMaxで利用できる「Dynamic Island」。「AirPods Pro(第2世代)」接続時の演出は接続ステータスがわかりやすくてお気に入り

「iPhone 14 Pro」「iPhone 14 Pro Max」以降のPro/ ProMaxで利用できる「Dynamic Island」。「AirPods Pro(第2世代)」接続時の演出は接続ステータスがわかりやすくてお気に入り

追加された新機能のひとつが「適応型オーディオ」だ。iOSの画面から操作できるノイズコントロールモードである「オフ」「外部音取り込み」「ノイズキャンセリング」に加わる形で実装されており、イヤホン本体からダイレクト選択も可能になっている。

iPhone側から「適応型オーディオ」を選択したところ

iPhone側から「適応型オーディオ」を選択したところ

「適応型オーディオ」に関するアップルの公式説明には“外部音取り込み機能とアクティブノイズキャンセリング機能を、状況に応じて組み合わせる”とあるので、この文章だけを読めば自動で切り替えてくれる機能なのかなと思うだろう。だが、実際の使用感は大きく異なる。

電車内や街中で「適応型オーディオ」を実際に使ってみたが、「外部音取り込み」と「アクティブノイズキャンセリング」の中間という感じ。言い換えると“周囲の音が聴こえる弱めのノイズキャンセリング”だ。適応型と言いつつも、どんな環境でも完全に「外部音取り込み」と同じになることはないし、「アクティブノイズキャンセリング」と同じになることもない。

「AirPods Pro(第2世代)」を装着し、さまざまな場所を移動しながら「適応型オーディオ」を試してみたが、これは弱めのノイズキャンセルでは……?

「AirPods Pro(第2世代)」を装着し、さまざまな場所を移動しながら「適応型オーディオ」を試してみたが、これは弱めのノイズキャンセルでは……?

予想とは違っていたが「適応型オーディオ」の実用性はそれなりにある。イヤホンを装着したままの状態で電車に乗っていても周囲の様子はちゃんとわかるし、「アクティブノイズキャンセリング」と比べるとノイズキャンセリングの効果は弱いが、同時にノイズキャンセリング機能特有の違和感も小さい。また、「外部音取り込み」よりもガヤガヤとした雑踏のようなノイズは低減されるし、個人的には高域側のキツい取り込み音が消えるところにメリットを感じた。難しいことを考えず、“弱めのノイズキャンセリング機能”として使ってよさそうだ。

音量バーを長押しすると各種機能のオン/オフを切り替え可能

音量バーを長押しすると各種機能のオン/オフを切り替え可能

「iOS 17」では、ほかにも「会話感知」と「パーソナライズされた音量」という機能も追加された。

「会話感知」は単純明快で、「AirPods Pro(第2世代)」を装着した状態で会話を始めると自動的に音量を小さくし、周囲の余計なノイズを抑えながら相手の声だけを取り込んでくれる。相手との会話が継続していることを検知すると、そのままの状態を継続してくれるところがインテリジェントだ。ちなみに、最初の会話検出が独り言だったりして会話が継続していないと判断されると、約7秒で元のノイズコントロールモードの設定に戻る。

家族と外出しながら「会話検知」をテスト。「適応型オーディオ」の状態から会話を検知すると音量も下がり、周囲のノイズも低減するようだ

家族と外出しながら「会話検知」をテスト。「適応型オーディオ」の状態から会話を検知すると音量も下がり、周囲のノイズも低減するようだ

もうひとつの「パーソナライズされた音量」の機能は“機械学習に基づいて音量を最適化する”ということらしいのだが……どうも周辺環境の音から判断して音量をダイナミックに動かしてくれているようだ。ただ学習が足りていないのか、挙動にピンと来なかったりする。ひんぱんに動くものではないが、手動で音量を小さく調整していたのに、音量を上げられてしまってイラっとしたことも……。うまく学習してくれるともうちょっと正しい挙動になるかもしれないが、機能自体をオフにすることもできるし、しばらく様子を見てみるとよいかもしれない。

USB Type-C版の登場と「iOS 17」で進化を続ける「AirPodsPro(第2世代)」。現時点ではハードウェア・ソフトウェアとも小さな変化ではあるが、ゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」との接続時には、48kHz/20bitのロスレスオーディオ対応になるという新機能は注目度大。今後の対応機器の登場と合わせて見守っていきたい。

折原一也
Writer
折原一也
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家。「オリチャンネル」主催。IT系出版の編集者出身で、2004年に独立後はモノ雑誌やオーディオ・ビジュアル専門誌で活動。2009年より音元出版主催のVGP審査員。画質・音質にこだわるAV評論家ではあるが、ライフスタイルになじむ製品、コスパにすぐれた製品を評価する庶民派。2022年に立ち上げたYouTubeチャンネル「オリチャンネル」では、取材メディアの人間として一次情報の発信、検証と測定データに基づくレビューなど独自の発信も行っている。最近のマイブームはAI全般。
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遠山俊介(編集部)
Editor
遠山俊介(編集部)
2008年カカクコムに入社、AV家電とガジェット系の記事を主に担当。ポータブルオーディオ沼にはまり、家にあるイヤホン・ヘッドホンコレクションは100オーバーに。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットにも手を出している。家電製品総合アドバイザー資格所有。
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