レビュー

どれを買うべき? Bose最新QuietComfortノイキャンTWS・ヘッドホンを徹底比較

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
どれを買うべき? Bose最新のQuietComfortノイキャンTWS・ヘッドホンを徹底比較

2023年10月19日にBoseのノイズキャンセリング機能搭載イヤホン・ヘッドホン「QuietComfort」シリーズから、「QuietComfort Ultra Earbuds」「QuietComfort Ultra Headphones」「QuietComfort Headphones」の3モデルが発売される。世界最高クラスのノイズキャンセリング性能とトレンドのイマーシブオーディオ対応を果たした注目モデルだ。

すでに10月5日の発表時に新製品の特徴をレポート(記事はコチラ)をしているが、今回は音質やノイズキャンセリング性能などをさらに詳しくレビューし、どれがいちばん買いなのかをチェックしてみた。なお、今回は新製品3モデルに加え、比較用に2022年発売の完全ワイヤレスイヤホン「QuietComfort Earbuds II」も用意した。

関連記事
Bose QuietComfort Ultra EarbudsとUltra Headphonesを速攻レポート!
Bose QuietComfort Ultra EarbudsとUltra Headphonesを速攻レポート!
海外で先行発表され大きな話題を呼んだBoseのQuietComfort Ultraシリーズがついに日本でも発売決定! Ultra EarbudsとUltra Headphonesの2モデルを速攻レポートします。
2023/10/05 00:00

「QuietComfort」シリーズの特徴であるノイズキャンセリング性能は、新製品3モデルと2022年モデルの「QuietComfort Earbuds U」を含めて共通条件で評価した。なお、価格.comマガジンで過去に実施したほかのテストとの間で★の数に互換性はないので注意してほしい。

完全ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスヘッドホンともに屋外に持ち出してノイズキャンセリング性能をテストした

完全ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスヘッドホンともに屋外に持ち出してノイズキャンセリング性能をテストした

関連記事
ソニー「WF-1000XM5」参戦! ノイキャンTWS全6機種をガチ比較
ソニー「WF-1000XM5」参戦! ノイキャンTWS全6機種をガチ比較
世界最高ノイキャンを謳うソニー「WF-1000XM5」の実力は? 人気の3〜4万円クラスのノイキャンTWS全6機種を揃え、ノイズキャンセリング性能の実力をガチ比較しました。
2023/08/31 11:00
ソニー・アップル・Boseのノイキャンイヤホン・ヘッドホン6機種をガチ比較
ソニー・アップル・Boseのノイキャンイヤホン・ヘッドホン6機種をガチ比較
ノイキャン性能が最も優秀な製品はどのモデル? ソニー・Bose・アップルのノイズキャンセリングイヤホン・ヘッドホンの定番3メーカーの最新製品をガチンコ比較!
2022/11/02 12:45

完全ワイヤレスフラッグシップ「QuietComfort Ultra Earbuds」を2022年モデル「QuietComfort Earbuds II」と比較

まずは注目の完全ワイヤレスイヤホンの最新フラッグシップモデル「QuietComfort Ultra Earbuds」だ。“Ultra”を冠した最新モデル共通の特徴となる独自の空間オーディオ技術「Bose Immersive Audio」への対応に加え、クアルコムSnapdragon SoundテクノロジーによるaptX Adaptiveへの対応、マルチポイント接続(アップデート対応)が新機能だ。

完全ワイヤレスイヤホンの最新フラッグシップ「QuietComfort Ultra Earbuds」

完全ワイヤレスイヤホンの最新フラッグシップ「QuietComfort Ultra Earbuds」

「QuietComfort Ultra Earbuds」は2022年モデル「QuietComfort Earbuds II」からイヤホン本体の形状変更はなく、ハウジングが光沢あるデザインになった程度。完全ワイヤレスイヤホンとしてはやや大柄な部類に入る。

充電ケースも形状はほぼ同じで、外見上のデザインはプリントしてあるロゴの色が異なるくらい。バッテリー性能は、イヤホン本体単体の音楽再生で最大6時間(Immersive Audioモードをオンにした場合は最大4時間)、充電ケース込みでは最大24時間(Immersive Audioモードをオンにした場合は最大16時間)だ。

「QuietComfort Ultra Earbuds」と「QuietComfort Earbuds II」のイヤホン本体、充電ケースはまったく同じ形状

「QuietComfort Ultra Earbuds」と「QuietComfort Earbuds II」のイヤホン本体、充電ケースはまったく同じ形状

イヤホン本体は、イヤーチップとスタビリティバンドを組み合わせて耳にガッチリ固定するような形だが、装着感は意外と悪くはなく、イヤーピースの装着が浅く耳穴にかかるストレスは小さい。耳への密閉感を低めにしたうえで、起動時に耳の中の密閉状態など測定する「CustomTuneテクノロジー」によって、ノイズキャンセリング機能を最適化して提供するというのがBoseの考え方だ。

イヤーチップとスタビリティバンドで耳にしっかりと固定するスタイル。イヤーチップとスタビリティバンドはそれぞれ3サイズ用意されている

イヤーチップとスタビリティバンドで耳にしっかりと固定するスタイル。イヤーチップとスタビリティバンドはそれぞれ3サイズ用意されている

気になるのはノイズキャンセリング性能だ。Boseの公式アナウンスとしては、「QuietComfort Earbuds II」から「QuietComfort Ultra Earbuds」でノイズキャンセリングの性能向上について言及はない。

だが、実際に自宅でPCに向かいながら「QuietComfort Ultra Earbuds」を装着して試してみると、PCのファン音など周囲の騒音は完全に絞り込まれ、それどころか隣の部屋から流れていたテレビ音声までも無音レベルにまで落ちて驚いた。同じ場所で2022年モデルの「QuietComfort Earbuds II」を試してみると、テレビの音声はわずかに聴こえる。この時点で「QuietComfort Ultra Earbuds」は「QuietComfort Earbuds II」からノイズキャンセリング性能が向上していることを確信。

もちろん、電車内と路上の実環境に「QuietComfort Ultra Earbuds」と「QuietComfort Earbuds II」を持ち出してノイズキャンセリング性能もじっくり比較してみた。結果は下記のとおりだ。

Bose「QuietComfort EarbudsU」

Bose「QuietComfort EarbudsU」

低域     ★★★★
中域     ★★★★
高域     ★★★★
外音取り込み ★★★

「QuietComfort Earbuds II」は、過去に価格.comマガジンで実施した際にノイズキャンセリング性能で最強評価を出したモデル。電車の走行音も車内アナウンスもエアコンの音もすべての帯域の騒音がバランスよく落ち、相当静かに感じられる。外音取り込みは十分実用的だが、中高域側に若干の強調感があった。

Bose「QuietComfort Ultra Earbuds」

Bose「QuietComfort Ultra Earbuds」

低域     ★★★★★
中域     ★★★★★
高域     ★★★★★
外音取り込み ★★★★

正直、「QuietComfort Ultra Earbuds」は衝撃的なほどのノイズキャンセリング性能の高さだった。電車の走行時にともなう重低音側の騒音はほぼ落ちて、かすかに残る低音が音なのか体に伝わる振動なの区別に悩むほど。低域が消え過ぎるため、中高域は軽やかに存在感が出るが、残る音も尖りが弱く気にならない。エアコンなどの高域音もほぼ消えて、感じるのは軽めの走行音のみだ。なお、外音取り込みはクセなく、「QuietComfort Earbuds II」よりも自然になっている。

ノイズキャンセリング性能評価のために2モデルを聴き比べると、「QuietComfort Ultra Earbuds」の性能アップが一瞬でわかるほど。なお、ノイズキャンセリング機能特有の違和感はおおむね、「QuietComfort Earbuds II」と同じくらいで、僕は特に気にならなかった。

ちなみに、「QuietComfort Ultra Earbuds」「QuietComfort Earbuds II」ともに専用アプリ「Bose Music」からノイズキャンセリング/外音取り込みを11段階で調整、登録することもできる。便利な機能なのでぜひ活用したい。

専用アプリ「Bose Music」を使えば、ノイズキャンセリングと外音取り込みの強度をカスタマイズして登録することも可能。こちらは「QuietComfort Ultra Earbuds」「QuietComfort Earbuds II」ともに利用可能だ

専用アプリ「Bose Music」を使えば、ノイズキャンセリングと外音取り込みの強度をカスタマイズして登録することも可能。こちらは「QuietComfort Ultra Earbuds」「QuietComfort Earbuds II」ともに利用可能だ

次に、「QuietComfort Ultra Earbuds」の音質をチェックしてみる。音質関連では、ハイレゾ相当の音源をワイヤレス伝送可能なSnapdragon Sound対応によるaptX Adaptiveコーデック対応が強力だが、対応するスマートフォンはAndroidの一部に限られる。

最初はあえてiPhoneとの組み合わせからチェック。Boseらしい量感たっぷりの重低音に音空間が広がる臨場感重視のサウンドだ。ボーカルは空間に浮かぶようだが、やや解像度不足で中高域もぼやけ気味。同じiPhoneで「QuietComfort Earbuds II」と聴き比べてみるとサウンド傾向は同じだった。

続いて音楽再生するスマホをSnapdragon Soundに対応したXperia 1 IVに切り替え、aptX Adaptiveコーデックによる96kHz/24bit伝送可能な状態でチェック。aptX Adaptiveコーデックによる接続では、音質向上がよくわかる。重低音は強めのままにタイトに引き締まった感じで、リズムを心地よく刻んでくれる。中高域も音のぼやけや滲みが抑えられて、歌声も自然にセンターにフォーカス。過去のBoseサウンドは、低音ズンズンの洋楽向けとはっき好みがわかれたが、中高域がよりフラットに近づいたのでJ-POPなど歌モノの楽曲との相性がよくなった。

iPhoneとaptX Adaptive対応のXperia 1 IVのそれぞれで音質をチェック

iPhoneとaptX Adaptive対応のXperia 1 IVのそれぞれで音質をチェック

Xperia 1 IVはaptX Adaptiveコーデックで接続して音質チェックを行った

Xperia 1 IVはaptX Adaptiveコーデックで接続して音質チェックを行った

続いて、「QuietComfort Ultra Earbuds」の新機能のひとつ、空間オーディオ技術「Bose Immersive Audio」も試してみた。「Bose Immersive Audio」をオンにすると、はっきりと音空間が広がり、空間の前方上あたりに歌声が浮かぶような体験を得られる。あくまでイヤホン側の後処理ではあるが、わざとらしくエコーをかけたような効果ではなく、空間上に音が浮かぶサウンドを狙っているところがうまい。ヘッドトラッキングもオン/オフできるし、ノイズキャンセリング機能と組み合わせて「イマーション」モードとしても動かせるし、イヤホンからタップでモード切り替えも可能など、使いやすさも十分だ。Netflixの映画コンテンツなどは非常に相性がよく、YouTubeのトークも空間が広がって快適に視聴できる。

「Bose Immersive Audio」ではヘッドトラッキング時にセンターの位置を固定した状態で空間を作る「静止」と、顔の向きに合わせてセンターの位置を再設定する「移動」を選べる

「Bose Immersive Audio」ではヘッドトラッキング時にセンターの位置を固定した状態で空間を作る「静止」と、顔の向きに合わせてセンターの位置を再設定する「移動」を選べる

Boseが送り出したノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンの最新モデル「QuietComfort Ultra Earbuds」は、ノイズキャンセリング性能アップ、音質アップ、機能性アップと大幅な進化を遂げている。ただ、発売前の製品でテストしたこともあり、Bluetooth接続時にイヤホン片側の接続が遅かったり、テスト中に時々ジーというノイズが聴こえたりと若干不安定な部分もあった。発売後に遅れて提供されるマルチポイント接続対応のアップデートとともに、接続や動作の安定度の向上にも期待したいところだ。

専用アプリ「Bose Music」からファームウェアアップデートにも対応する。発売後のさらなるアップデートに期待

専用アプリ「Bose Music」からファームウェアアップデートにも対応する。発売後のさらなるアップデートに期待

ノイキャン搭載ワイヤレスヘッドホンは「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」の2ラインアップに刷新

「QuietComfort Ultra Earbuds」と同タイミングなる10月19日には、ワイヤレスヘッドホンの新製品「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」も発売される。「QuietComfort Ultra Headphones」は同社のノイズキャンセリング機能搭載ワイヤレスヘッドホンの最新フラッグシップモデル、「QuietComfort Headphones」は「QuietComfort 45」の後継にあたるモデルだ。

ワイヤレスヘッドホンの新製品「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」

ワイヤレスヘッドホンの新製品「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」

関連記事
Bose 「QuietComfort 45」は音もノイキャンも外音取り込みも優秀な1台でした
Bose 「QuietComfort 45」は音もノイキャンも外音取り込みも優秀な1台でした
Boseの最新ノイキャンヘッドホン「QuietComfort 45」を詳しくレビュー! さすがBoseと唸りたくなるほど音もノイキャンも外音取り込みも優秀な安定の1台でした。
2022/01/30 09:00

まずは「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」のざっくりとした特徴から。「QuietComfort Headphones」は外見を含めて「QuietComfort 45」からの変更点は少ないが、新たにマルチポイント接続が追加された。

もういっぽうの「QuietComfort Ultra Headphones」に関しては、ノイズキャンセリング機能搭載ワイヤレスヘッドホンの最新フラッグシップモデルらしく、完全ワイヤレスイヤホン「QuietComfort Ultra Earbuds」と共通する最新仕様が全部盛り。独自の空間オーディオ技術「Bose Immersive Audio」への対応、クアルコムSnapdragon SoundテクノロジーによるaptX Adaptiveへの対応、マルチポイント接続も発売日時点から対応となる。

また、完全ワイヤレスイヤホンの「QuietComfort Ultra Headphones」や「QuietComfort Earbuds II」に搭載されている、耳の形状を測定して音質やノイズキャンセリング機能を最適化する「CustomTuneテクノロジー」を同社ワイヤレスヘッドホンとして初搭載したのもポイントだ。

「QuietComfort Ultra Earbuds」には、完全ワイヤレスイヤホン「QuietComfort Ultra Earbuds」と同じ2023年の最新機能が搭載されている

「QuietComfort Ultra Earbuds」には、完全ワイヤレスイヤホン「QuietComfort Ultra Earbuds」と同じ2023年の最新機能が搭載されている

「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」を並べてみると、本体デザインが異なることがわかる。「QuietComfort Ultra Headphones」はボタンの数を抑えた新デザインに対して、「QuietComfort Headphones」は「QuietComfort 45」の流れを汲む従来どおりのデザインだ。2モデルとも折りたたみ可能で、耳をしっかりとカバーしつつも大きすぎず小さすぎない絶妙なサイズ感のハウジングは共通。「QuietComfort Ultra Headphones」のほうが細部にメタリックカラーを配するなど高級感のあるデザインだ。

高級感のあるデザインを採用した「QuietComfort Ultra Headphones」

高級感のあるデザインを採用した「QuietComfort Ultra Headphones」

「QuietComfort Headphones」はこれまでどおりのBoseらしい無骨なデザインを採用

「QuietComfort Headphones」はこれまでどおりのBoseらしい無骨なデザインを採用

2モデルとも折りたたみ可能。持ち運びに便利なキャリーケースも付属する

2モデルとも折りたたみ可能。持ち運びに便利なキャリーケースも付属する

なお、「QuietComfort Ultra Headphones」は新デザインとなり、操作性にも変更があった。これまで一部モデルでハウジング部にタッチ操作が用意されていたが、「QuietComfort Ultra Headphones」では完全に廃止された。かわりに、右ハウジングの後ろに「ボリュームストリップ」という操作部が追加され、ここを指先でなぞると音量操作ができるようになった。なお、「ボリュームストリップ」には長押しショートカットも登録可能となっている。

耳の後ろにあたる溝をなぞると音量操作が可能

耳の後ろにあたる溝をなぞると音量操作が可能

バッテリー性能は、「QuietComfort Ultra Headphones」が最大24時間(Immersive Audioモードをオンにした場合は最大18時間)、「QuietComfort Headphones」も最大24時間なので、条件を揃えれば2モデルとも共通だ。

まずは、ノイズキャンセリング性能からチェックしていこう。こちらも完全ワイヤレスイヤホンの「QuietComfort Ultra Earbuds」同様、Bose公式から性能向上の言及はない。

実際に自宅でPCに向かいながら「QuietComfort Headphones」を装着してみると…PCのファン音など周囲の騒音はほぼ落ちて、隣の部屋のテレビ音声もかなり絞られる。「QuietComfort Ultra Headphones」についてもテレビ音声は同程度で、ファン音などの騒音レベルがわずかに少ないくらいだった。

こちらも完全ワイヤレスイヤホンの「QuietComfort Ultra Earbuds」同様、電車内、路上の実環境に持ち出してノイズキャンセリング性能をじっくり比較してみた。結果は以下のとおりだ

Bose「QuietComfort Ultra Headphones」

Bose「QuietComfort Ultra Headphones」

低域     ★★★★
中域     ★★★★
高域     ★★★
外音取り込み ★★★★★

ノイズキャンセリング性能はなかなかに強力。特に騒音の種類を問わず一律に静かになるところは強み。電車の走行時の重低音もわずかに残る程度だし、中域もガタガタとした騒音は残るが音の尖りをうまく落とす。高域も比較的よく効くが、エアコンなどの音は少し残る。ワイヤレスヘッドホンのノイズキャンセリング機能としてはトップクラスの性能だが、騒音低減は★マークの数を見てわかるとおり、完全ワイヤレスイヤホンの「QuietComfort Ultra Earbuds」と比べると一段劣る。いっぽう、外音取り込みは非常に優秀で、音の自然さだけでなく、位置感、距離感までとてもリアルだった。

Bose「QuietComfort Headphones」

Bose「QuietComfort Headphones」

低域     ★★★
中域     ★★★
高域     ★★★
外音取り込み ★★★★

「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」でのノイズキャンセリング性能の差は予想以上に小さく、注意深く比較しないとわからない程度だ。「QuietComfort Headphones」も全帯域に騒音低減が働くところは優秀で、電車の低音側の騒音も大幅に抑えるし、人の話し声やエアコンもほどよくボリュームダウンしてくれる。ただ、先に「QuietComfort Ultra Headphones」を体験してしまうと、どうしても騒音残りがあることがわかる。なお、「QuietComfort Headphones」は外音取り込みの特性として、低域側にノイズキャンセリングがかかるようだ。

「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」の音質もチェックしてみた。まずは、「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」にiPhoneを組み合わせてチェックしてみたが、空気を振動させるような重低音がズンズンと響き、音に包まれるような臨場感のあるサウンドだ。ただ歌声の聴こえる位置が遠く、歌声の表現力が求められるJ-POPは若干苦手そう。Boseが洋楽向けと呼ばれしまうのはこのあたりなのだろう。ちなみに、2モデルまとめてコメントしているのは、iPhoneを組み合わせた音楽再生では2モデルとも同じサウンド傾向だったためだ。

iPhoneによる音楽再生は「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」でほぼ同じ音質だった

iPhoneによる音楽再生は「QuietComfort Ultra Headphones」と「QuietComfort Headphones」でほぼ同じ音質だった

続いて、「QuietComfort Ultra Headphones」をSnapdragon Soundに対応したXperia 1 IVに接続、aptX Adaptiveコーデックによる96kHz/24bit伝送可能な状態でチェックしてみる。こちらは中高域に厚みが出てきて、歌声の聴こえ方も近くなり、素直に全体のサウンドクオリティがアップした。Boseらしい低音の量感も残っていて、J-POPの歌声もナチュラルに楽しめるオールラウンダーになる。

「QuietComfort Ultra Headphones」はaptX Adaptiveコーデック接続で音質がアップ

「QuietComfort Ultra Headphones」はaptX Adaptiveコーデック接続で音質がアップ

最後に「QuietComfort Ultra Headphones」で空間オーディオ技術「Bose Immersive Audio」をチェックしてみたが、頭の周囲に空間を作り、前方に音が浮かぶ。ヘッドトラッキングも「静止」「移動」を切り替えでき、新しい音楽体験としての楽しみは十分だ。ヘッドホンらしい空間再現の広さも相まって、Netflixの映画コンテンツなどを楽しむのにも向いている。ちなみに、ヘッドトラッキング「静止」の状態で顔を上下に動かすと、音質劣化がやや気になるので、音楽コンテンツなどを楽しむなら「移動」の設定を推奨したい。

「QuietComfort Ultra Headphones」は空間オーディオ技術「Bose Immersive Audio」も利用可能

「QuietComfort Ultra Headphones」は空間オーディオ技術「Bose Immersive Audio」も利用可能

【まとめ】買うなら「QuietComfort Ultra Earbuds」を選びたい

ここまでBoseの新製品3モデルをじっくりチェックしてきた。直販価格は、記事前半で紹介した完全ワイヤレスイヤホンの「QuietComfort Ultra Earbuds」が39,600円、記事後半に紹介したワイヤレスヘッドホンの「QuietComfort Ultra Headphones」が59,400円、「QuietComfort Headphones」が46,200円だ。「QuietComfort Ultra Headphones」はフラッグシップモデルらしい値付けではあるが……機能性などを考えると、正直言って完全ワイヤレスイヤホンの「QuietComfort Ultra Earbuds」のほうがお得感がある。

記事タイトルの「どれを買うべき?」に答えるなら、僕の答えは完全ワイヤレスイヤホンの「QuietComfort Ultra Earbuds」だ。

折原一也
Writer
折原一也
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家。「オリチャンネル」主催。IT系出版の編集者出身で、2004年に独立後はモノ雑誌やオーディオ・ビジュアル専門誌で活動。2009年より音元出版主催のVGP審査員。画質・音質にこだわるAV評論家ではあるが、ライフスタイルになじむ製品、コスパにすぐれた製品を評価する庶民派。2022年に立ち上げたYouTubeチャンネル「オリチャンネル」では、取材メディアの人間として一次情報の発信、検証と測定データに基づくレビューなど独自の発信も行っている。最近のマイブームはAI全般。
記事一覧へ
遠山俊介(編集部)
Editor
遠山俊介(編集部)
2008年カカクコムに入社、AV家電とガジェット系の記事を主に担当。ポータブルオーディオ沼にはまり、家にあるイヤホン・ヘッドホンコレクションは100オーバーに。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットにも手を出している。家電製品総合アドバイザー資格所有。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×