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HDMI搭載でテレビの音質を強化できるCDプレーヤー「CD 50n」

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マランツからCDプレーヤー/ネットワークオーディオプレーヤーの「CD 50n」、アナログ入力のみのシンプルなプリメインアンプ「MODEL 50」が発表された。メーカー希望小売価格は両機ともに231,000円(税込)で、2023年11月上旬発売予定。

一見すると従来型製品を踏襲しつつキャビネットデザインと音質を改めたモデルのようだが、それだけではなく「CD 50n」にARC対応のHDMI端子が搭載されたことが大きなトピックだ。

最新のマランツ製品に採用されているキャビネットデザインのCDプレーヤー/ネットワークオーディオプレーヤー「CD50 n」(上)とプリメインアンプ「MODEL 50」(下)

最新のマランツ製品に採用されているキャビネットデザインのCDプレーヤー/ネットワークオーディオプレーヤー「CD50 n」(上)とプリメインアンプ「MODEL 50」(下)

「CD 50n」のリアパネル。ARC対応のHDMI端子を搭載することがポイント。アナログ音声出力は固定(音量調整をしない設定)と可変(「CD 50n」で音量調整した信号を出力する設定)出力をそれぞれに持っているため、使い分けがしやすい

「CD 50n」のリアパネル。ARC対応のHDMI端子を搭載することがポイント。アナログ音声出力は固定(音量調整をしない設定)と可変(「CD 50n」で音量調整した信号を出力する設定)出力をそれぞれに持っているため、使い分けがしやすい

「MODEL 50」はアナログ音声入力のみのプリメインアンプ。アナログ音声入力5系統のほか、MM対応のフォノ入力1系統、2.1chプリアウトなどを備える。「CD 50n」からの可変出力を受ける場合は「POWER AMP IN」(プリアンプ部分を通らずパワーアンプに直接信号を入力する端子)を使う想定だ

「MODEL 50」はアナログ音声入力のみのプリメインアンプ。アナログ音声入力5系統のほか、MM対応のフォノ入力1系統、2.1chプリアウトなどを備える。「CD 50n」からの可変出力を受ける場合は「POWER AMP IN」(プリアンプ部分を通らずパワーアンプに直接信号を入力する端子)を使う想定だ

「CD 50n」と「MODEL 50」の発表に際して実施された内覧会でまず説明されたのは、2019年以来、マランツブランド製品の売り上げが右肩上がりであること。

近年のマランツ「ハイファイ」オーディオ製品は、姉妹ブランドにも共通して搭載される独自のネットワークオーディオ機能「HEOS(ヒオス)」やHDMIの積極採用など、「コンポーネントステレオ」(スピーカー、アンプ、プレーヤーなど、複数の「コンポーネント」からなるオーディオシステム)的な発想を発展させた製品が目立ってきている。

多様化するAVコンテンツの形態に合わせて、さまざまな機能を持った複合機が増え、それが市場に受け入れられている現状があるということなのだろう。

今回発売される「CD 50n」と「MODEL 50」は、冒頭のとおりHDMI端子を搭載したCDプレーヤー/ネットワークオーディオプレーヤーと、シンプルなプリメインアンプ。

これらが対になるように発売されるのは、HDMIという時代の要請に応えつつ、趣味の製品として1つひとつ「コンポーネント」を集めていくという選択肢もしっかり残す趣旨であり、「伝統のコンポーネントスタイルでも、リビングのすべての音楽をシームレスにコントロール」するとしている。

参考として提示された2017年前後のマランツ製品ラインアップ。CDプレーヤー、プリメインアンプのラインアップはシンプルに垂直にまとめられ、ネットワークオーディオプレーヤーは単機能製品が存在していた

参考として提示された2017年前後のマランツ製品ラインアップ。CDプレーヤー、プリメインアンプのラインアップはシンプルに垂直にまとめられ、ネットワークオーディオプレーヤーは単機能製品が存在していた

こちらがこれからのマランツ製品ラインアップ。CDプレーヤーにもプリメインアンプにもネットワークオーディオプレーヤー機能、HDMI端子が搭載された複合機が用意されることになる

こちらがこれからのマランツ製品ラインアップ。CDプレーヤーにもプリメインアンプにもネットワークオーディオプレーヤー機能、HDMI端子が搭載された複合機が用意されることになる

HDMIの採用にあわせて音量調整回路を強化した「CD 50n」

まずはHDMI端子を搭載したCDプレーヤー/ネットワークオーディオプレーヤー「CD 50n」からその内容を見ていこう。

本体色は写真のブラックとシルバーゴールドの2種類が用意される「CD 50n」

本体色は写真のブラックとシルバーゴールドの2種類が用意される「CD 50n」

ネットワークオーディオでも11.2MHzDSD対応

機能としては、CDプレーヤー(SACDは非対応)にAmazon MusicやSpotifyなどを再生できる独自のネットワークオーディオ機能「HEOS(ヒオス)」を搭載、さらにARC対応のHDMI端子を備えることでテレビとの接続性を高めた複合機だ。デジタル音声処理を一手に引き受けるソースコンポーネントであり、組み合わせるアンプはアナログ音声処理に集中してもらえるため、合理的な構成だと言える。

テレビからのARCデジタル音声信号はHDMIインターフェイスを通らずにセレクターへダイレクトに届けられる。マランツ製プリメインアンプと同様の、高音質化の工夫だ

テレビからのARCデジタル音声信号はHDMIインターフェイスを通らずにセレクターへダイレクトに届けられる。マランツ製プリメインアンプと同様の、高音質化の工夫だ

また、USB Type-B端子を使ったUSB DAC機能も備え、対応サンプリング周波数/量子化ビット数は最大384kHz/32bit(PCM)および11.2MHz(DSD)。ネットワーク再生時の対応サンプリング周波数/量子化ビット数は最大192kHz/24bit(PCM)および11.2MHz(DSD)。以前のCDプレーヤー/ネットワークオーディオプレーヤー「ND8006」などでは5.6MHz対応だったネットワークでのDSD対応がアップグレードされている。

これは周辺回路も含めたハードウェア的な事情でもあるため、従来製品がソフトウェアアップデートで対応することはできないという。

音量調整回路にHDAMを採用

ARC対応のHDMI端子の搭載とセットで注目したいのが、音量調整回路に「HDAM」を搭載したこと。「CD 50n」は「CEC」と呼ばれるHDMIリンクでの動作に対応しているため、テレビと「CD 50n」のHDMI端子をつないだ場合、テレビのリモコンで「CD 50n」の音量調整が可能だ。せっかくHDMI端子を使うならば、ぜひこの便利な機能を使いたいところだろう。

そこで、マランツは「CD 50n」の音量調整回路に「HDAM」を使用。プリメインアンプの音量調整と同等のクオリティに仕上げることで、この機能を積極的に使えるようにケアしているのだ。

これまでのマランツのCDプレーヤーやネットワークオーディオプレーヤーも音量調整機能(可変出力)を持っていたが、コスト的な問題もあり、どうしても簡易的なものにとどまっていた。他メーカーにおいても、プレーヤーの可変出力はD/Aコンバーターの付帯機能を利用するなど簡易的なものであることは少なくない。

便利な機能でも、妥協した可変出力を使っていると思わせない音量調整回路を実装し、利便性と音質の両立を図ったのが「CD 50n」というわけだ。

「HDAM」とは、マランツがオリジナルで作り上げた電流帰還型のディスクリート(オペアンプなどを使わない、個々のパーツで構成された)アンプモジュールのこと

「HDAM」とは、マランツがオリジナルで作り上げた電流帰還型のディスクリート(オペアンプなどを使わない、個々のパーツで構成された)アンプモジュールのこと

「CD 50n」は、写真のとおり「FIXED」(固定出力)と「VARIABLE」(可変出力)2系統のアナログ音声出力を持っている。音量調整回路を通るのは「VARIABLE」(可変出力)のほうだけなので、あくまで音量調整はプリアンプやプリメインアンプに任せたい、という人も安心して使える

「CD 50n」は、写真のとおり「FIXED」(固定出力)と「VARIABLE」(可変出力)2系統のアナログ音声出力を持っている。音量調整回路を通るのは「VARIABLE」(可変出力)のほうだけなので、あくまで音量調整はプリアンプやプリメインアンプに任せたい、という人も安心して使える

デジタル、アナログ回路ともに新たに作り込まれた

上記のようにHDMIとそれに合わせた音量調整機能が目玉となるが、デジタル、アナログ回路ともに「ND8006」からさらにブラッシュアップされ、多機能であってもあくまでハイファイ製品であることを訴求している。

デジタル回路においては、D/Aコンバーター素子が改められた。「CD 50n」はESSテクノロジーの「ES9038Q2M」を採用。これに独自のデジタルフィルター「Marantz Musical Digital Filtering」を組み合わせている

デジタル回路においては、D/Aコンバーター素子が改められた。「CD 50n」はESSテクノロジーの「ES9038Q2M」を採用。これに独自のデジタルフィルター「Marantz Musical Digital Filtering」を組み合わせている

コンデンサーに新開発のカスタム品を使うほか、グランド強化のためにバスバーを採用するなど、アナログ回路にもコストがかけられている

コンデンサーに新開発のカスタム品を使うほか、グランド強化のためにバスバーを採用するなど、アナログ回路にもコストがかけられている

大型のトロイダルコアトランスを採用し、電源部の規模も「ND8006」比で大幅に拡大した

大型のトロイダルコアトランスを採用し、電源部の規模も「ND8006」比で大幅に拡大した

「MODEL 40n」の“アナログ限定”バージョンが「MODEL 50」

次に、プリメインアンプの「MODEL 50」を見ていこう。価格はかなり異なるものの、従来モデルと言えるのは「PM8006」。キャビネットのデザインが変わっただけでなく、やはりこちらもすべてにおいてグレードアップしているという。

「MODEL 50」も写真のブラックとシルバーゴールドの2種類が用意される

「MODEL 50」も写真のブラックとシルバーゴールドの2種類が用意される

技術的なバックグラウンドとしてはネットワークオーディオプレーヤー機能とARC対応HDMI端子を持った「MODEL 40n」に近く、大雑把に言えば、デジタル音声処理機能のない「MODEL 40n」だと思ってよさそうだ。

しかし、「MODEL 40n」と「MODEL 50」は競合するものではなく、それぞれに求めるユーザーが異なるだろうという見込みの製品企画とのこと。実際に「CD 50n」との組み合わせでは“DAC被り”が発生しないので、あえてアナログ回路のみのプリメインアンプを用意してくれるのはユーザーにとってはありがたい。

上記のとおり「MODEL 40n」相当の回路を持っているため、新規の要素はない。注目されるのは、電源回路の強化や低歪みを実現したプリアンプ部、瞬時の電源供給能力を高めるためのパラレルプッシュプルのパワーアンプ部など。このほか、接続用にバスバーを採用するなど、「MODEL 40n」からの改良点もあるという。

同価格帯のマランツ製品で最大級のトロイダルコアトランス+電源回路を搭載。これは「MODEL 40n」と同等だという。デジタル回路がない分、音質的には「MODEL 50」が有利になる部分だろう

同価格帯のマランツ製品で最大級のトロイダルコアトランス+電源回路を搭載。これは「MODEL 40n」と同等だという。デジタル音声処理回路がない分、音質的には「MODEL 50」が有利になる部分だろう

プリアンプ部には当然「HDAM」を採用。歪率は「PM8006」比で40%改善された

プリアンプ部には当然「HDAM」を採用。歪率は「PM8006」比で40%改善された

パワーアンプは「MODEL 40n」と同じパラレルプッシュプル構成をとる

パワーアンプは「MODEL 40n」と同じパラレルプッシュプル構成をとる

プレーヤーのS/N向上、アンプの駆動力向上は明らか!

試聴はD&Mホールディングスの試聴室で行われた。スピーカーはBowers & Wilkinsの「801 D4」

試聴はD&Mホールディングスの試聴室で行われた。スピーカーはBowers & Wilkinsの「801 D4」

内覧会の最後には試聴のデモンストレーションが行われた。米津玄師の「Lady」などが再生されたのだが、「ND8006」と「CD 50n」でCD再生を比較すると、「CD 50n」のほうが音の厚みがあるうえ、細部の情報が浮き出てくる。「Lady」は元々出汁のきいていない感じの薄味な音源なのだが、それが結構な聴き応えになる。

プリメインアンプについても、「PM8006」と「MODEL 50」を順に聴かせてもらうと、強く感じられるのは力感のさらなる向上。スピーカーをよりしっかりと鳴らしてくれる、「MODEL 50」の駆動力の向上が明らかだった。ちなみに、パワーアンプの定格出力自体はどちらも70W(8Ω)×2で変わらないとのこと。

新機能であるネットワーク経由での11.2MHz音源再生では、奥行き、広がりが心地よく、生々しさが際立つ。再生されたのは11.2MHz DSDで録音されたという仲野真世のピアノ作品だったが、好録音物をしっかりハイファイ再生できることを実証してくれた。

ハイファイ志向の音質とHDMIの利便性を同時に享受できる「CD 50n」の登場は頼もしい限り。さらに広い視点で見れば、姉妹ブランドであるデノンにはHDMI搭載のネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2000NE」があるわけで、ユーザーの好みに応じた選択の幅がより広がる。ぜひこちらにも注目いただきたい。

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2023/05/19 13:30
柿沼良輔(編集部)
Writer / Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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