Amazonから初のスマートホームコントロールパネル「Echo Hub」が2月22日に発売される。価格は25,980円(税込)だ。
Amazon初のスマートホームコントロールパネル「Echo Hub」。2月22日発売で、価格は25,980円(税込)
「Echo Hub」は、壁に取り付けて利用できる8インチタッチディスプレイ付きのスマートデバイスだ。「Echo」シリーズには、同じ画面サイズの「Echo Show 8」や、壁に取り付けて利用できる「Echo Show 15」などの似たようなデバイスがすでにラインアップされているが、「Echo Hub」ではスマートホームデバイス操作に最適化した専用UIを搭載するなど、よりスマートホーム向けに特化したデバイスとなっている。
発売に先駆けて「Echo Hub」を試す機会を得たので、今回は「Echo Hub」で何ができるのか、「Echo Show」シリーズとは何が違うのか詳しくレポートしていこうと思う。
まずは「Echo Hub」のハードウェアについて簡単に説明しておこう。
「Echo Hub」の本体は、「Echo Show 8」と同じ8インチサイズのタッチディスプレイが搭載されている。本体の厚みは約15mmで、見た目はまるで分厚いタブレット端末のよう。ちょうど「Echo Show 8」からファブリック素材で覆われた部分を取っ払ったようなサイズ感だ。ちなみに、取り付けて利用することを想定しているためか、本体カラーはグレーシャーホワイトの1色展開のみとなっている。
本体の厚みは約15mmで、分厚いタブレット端末のような見た目だ。ちなみに、ほかのAmazonデバイス同様、プライバシーに配慮してマイクビュートボタンなども用意されている
画面サイズは「Echo Show 8」と同一
画面を横にした状態で使用するようになっており、2つのステレオスピーカーが上部に来るように配置する。ベゼル上部には近接センサーと照度センサーが、ベゼル下部にはAlexa用のマイク3基が搭載されている(背面にもマイク1基あり)。ちなみに、「Echo Show」シリーズはカメラが内蔵されているが、「Echo Hub」には非搭載。代わりにZigbee規格やThread規格に対応したスマートホームハブを内蔵しており、スマートホームデバイスの操作により軸足を置いた設計となっているのがポイントだ。
ベゼルの丸い部分近くに近接センサーと照度センサーを搭載。カメラは非搭載だ
3つ穴が開いているところにはマイクが搭載されている
なお、電源供給に関しては本体背面のUSB-C端子を使用する形になっている。付属のUSBケーブルは1.8mだが、不要なケーブルは本体背面に巻き付けられるようになっており、スマートなケーブルマネジメントが可能だ。ちなみに、付属のUSBアダプターからの給電以外に、オプションのアダプターを利用することでPoE給電も利用できるとのこと。
本体背面のUSB-C端子から電源を供給して使用する形
USBケーブルとUSBアダプターも壁やインテリアともなじみやすいホワイトカラーを採用
冒頭、「Echo Hub」は壁に取り付けて利用できるデバイスだと説明したが、海外では専用スタンドと組み合わせたスタンド設置も訴求されている。実際、セットアップ時は壁掛け設置以外にスタンド設置という項目も選べるようになっており、別途スタンドを用意すればスタンド設置もできるようになっている。
セットアップ時の設置場所選択画面で壁のほかにスタンドも選べるようになっている
ただし、スタンドを使用したイメージカットには日本国内でスタンドは未発売の注釈が入っている。Amazonもローンチ時点で専用スタンドを日本国内で展開する予定はないそうだ
ただ、日本国内では壁掛け利用前提で訴求しているようで、パッケージには壁掛け金具しか付属していない。しかもこの壁掛け金具はねじ止め式で、壁に取り付ける際には壁に穴をあけなければいけないのだ。「Echo Show 15」では、壁にネジ穴を一切残すことなく固定できる専用固定金具がオプションで用意されていたが、「Echo Hub」ではいまのところこういったオプションの用意は予定していないということなので、賃貸住宅で引っ越す際に原状復帰が求められるような場合は注意してほしい。
パッケージに付属する壁掛け金具。電動ドリルを使い、壁にしっかりと穴をあけて固定するタイプだ
壁に取り付けた壁掛け金具。「Echo Show 15」の壁掛け金具に似ているが、「Echo Hub」のほうがひと回りほど小さく、互換性はない
本体背面のUSB-C端子に付属のUSBケーブル&USBアダプターを接続すると、画面上にセットアップの流れが表示されるので、Wi-Fi接続やAmazonアカウントの設定、デバイスの設置場所の指定など、画面の指示に沿ってセットアップを進めていく。「Echo Show」シリーズなどをこれまで使用しており、すでにスマートホームデバイスをAlexaと連携済みであれば、ほんの数分でセットアップ自体は完了するが、スマートホームデバイスをAlexaと連携していない場合は多少苦戦するかもしれない。こちらに関しては、後ほど詳しく触れる。
セットアップ自体はディスプレイ付きの「Echo Show」シリーズとほぼ同じ流れ
セットアップが完了すると、ホーム画面が表示される。「Echo Show」シリーズとの決定的な違いはこの部分で、スマートホームデバイス操作に最適化したというまったく新しいUIが現れる。
ホーム画面は3つのエリアに分かれており、画面左側に「ホーム」や「定型アクション」、Alexaで設定したデバイスを設置した部屋の一覧などのメインナビゲーションが、画面中央には設定したウィジェットが、画面下部にはメディアコントロール機能、照明やカメラといったデバイス種別ごとのショートカットが並び、これまでの「Echo Show」シリーズの面影はまったく残っておらず、とにかくシンプルに機能性を追求した見た目だ。
「Echo Hub」のホーム画面。左側にメインナビゲーションを配置、中央に大きくウィジェットエリアを設け、下部にショートカットキーを並べるなど、画面全体にびっしりと情報を表示し、少ないアクションでさまざまな機能に素早くアクセスできるようになっている
左側のメインナビゲーションから、部屋単位のスマートホームデバイスのコントロール画面にも遷移可能だ
そんな新しいUIのなかでも特に注目してもらいたいのがウィジェット機能だ。「Echo Show」シリーズの一部でもウィジェット機能は搭載されており、スマートホーム関連だと「よく使うスマートホームデバイス」というウィジェットが用意されていた。もちろん、「よく使うスマートホームデバイス」というウィジェット自体は「Echo Hub」でも利用できるのだが、それに加え、「Echo Hub」では部屋ごとにグループ化したスマートホームデバイスを表示できるウィジェット「スマートホームグループ」と、対応カメラのスナップショットを常時確認できるウィジェット「スマートホームカメラ」という項目が追加されている。
「Echo Hub」で利用できるスマートホーム関連のウィジェット一覧
特に部屋ごとにグループ化したスマートホームデバイスを表示できるウィジェットについては、配置できるウィジェットの個数にも制限がなく、たとえばすべての部屋のウィジェットを画面に配置すれば、ホーム画面から家じゅうすべてのスマートホームデバイスを操作することも可能だ。ホーム画面のみでスマートホームデバイスを一元管理し、少ないアクションでスマートに操作できるというのは「Echo Hub」ならではの強みと言えるだろう。
部屋ごとにグループ化したスマートホームデバイスを表示できるウィジェット「スマートホームグループ」
ウィジェットを複数作って配置も可能。ウィジェットエリアを横スクロールするだけで、複数の部屋を1つの画面でまとめて管理できるのが便利
対応するカメラを最大6台まで連携できる「スマートホームカメラ」
登録したカメラにスナップショットを設定しておけば、ウィジェットに最新のスナップショットが自動表示される。なお、スナップショット機能は、ローンチ時点では「Ring」シリーズなど一部のデバイスのみの対応になるとのこと
「スマートホームカメラ」ウィジェットをタッチすると、ライブビュー表示することも可能だ
ちなみに、これだけUIががらりと変わっていると「Echo Show」シリーズとできることが大きく違うのでは?と思われがちだが、実は以外にも違いは少ない。利用できないものとしては、ビデオ通話などのカメラを使った機能と、「Echo Show」シリーズのホーム画面で流れる「注目の話題」や「今日の新発見」、「おすすめの商品」といったホームコンテンツが設定できないことくらいだ。Alexaに話しかけて音楽や動画を再生したり、天気予報やニュースを確認したり、Amazonに注文したりすることは「Echo Hub」でも問題なく利用できる。
左が「Echo Hub」、右が「Echo Show 8」。「Echo Show」シリーズでは、ホーム画面のまま一定時間が経過するとあらかじめ設定しておいたさまざまな情報がくるくると流れる仕様だが、「Echo Hub」は天気や日時だけが表示されるなどかなりシンプルなつくりになっている。カスタマイズ性も少なく、ユーザーが変更できるのは、背景デザイン、時計や日時の表記を変更できるくらい。ちなみに、「Echo Hub」は近接センサーで人を検知すると、ホーム画面表示に自動で切り替わる仕様になっている
Alexaに話しかけて天気やニュースを音声と画面で確認できたり、ビデオ機能でAmazonプライム・ビデオやYouTubeをチェックできる点などは「Echo Show」シリーズと同様だ
「Echo Show」シリーズとの差分が少ないことはメリットにも感じられるが、いっぽうで「Echo Show」シリーズと同様の欠点を抱えてしまっている部分もある。それが、新しいスマートホームデバイスの導入方法だ。「Echo Hub」はスマートホームデバイスのコントロールに特化こそしているが、実は「Echo Hub」単体では新しくスマートホームデバイスを導入できない仕様になっている。スマートホームデバイスを一元管理することはできるが、スマートホームデバイスを追加するにはスマートフォンのAlexaアプリを使わざるを得ないというのは少々残念だ。スマートホームデバイスのコントロールに特化しているデバイスだからこそ、スマートホームデバイスの導入がもう少しスムーズにできるとよかったかもしれない。
Amazonによると、スマートホームへの需要は年々高まってきており、1人で複数台のスマートホームデバイスを所有しているという人も徐々に増えてきているという。ただ、海外のスマートホームの普及に比べると、日本はまだまだ遅れているのも事実だ。日本でのスマートホーム普及が遅れている理由は、日本独自の安全規制への対応の難しさや、日本特有の赤外線リモコン文化などもあるが、やはりいちばんの理由は導入や使い方が難しそうというのが大きいと思う。
日本国内でのAlexa対応スマートホームデバイスの取扱数はここ数年で大きく伸長しており、Echoとの連携ユーザーも増えてきているという
1年間にAlexa対応スマートホームデバイスを複数台購入する人も徐々に増えてきているという
そういった意味だと、家にある多数のスマートホームデバイスを一元管理してスマートに操作できる「Echo Hub」はなかなかよくできていると思う。もちろん、「Echo Hub」を使っても新しくスマートホームデバイスをジョインさせるにはスマートフォンのAlexaアプリの手助けが必要だし、スマートホームデバイス導入のハードルについてはまだまだ課題はあるが、あえてスマートホーム化はAlexaアプリに任せることで、家の中心に置いても、シンプルなUIで誰でも簡単に操作できるようにしたというのは“スマートホームコントロールパネル”というコンセプトどおりだと思う。
数台程度のスマートホームデバイスをコントロールするくらいなら、Alexaアプリや「Echo Show」シリーズのウィジェット機能もカバーできるし、スマートホーム化をちょっと試してみたいくらいの気持ちなら既存の「Echo Show」シリーズでも必要十分だが、今後、家じゅうのさまざまな場所にスマートホームデバイスを配置し、本格的にスマートホーム化を進めて使いこなしていくというなら、「Echo Hub」は魅力的なデバイスに映るだろう。「Echo Show」シリーズと「Echo Hub」のどちらが自分に合っているかは、自宅のスマートホーム化とスマートホームデバイスの使いこなしに対する本気度で選んでみるのがよさそうだ。