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1日中着けっぱなし! 自宅のパソコンと組み合わせてオープン型TWSを使うコツ

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ふと、「耳をふさがないオープン型ワイヤレスイヤホンって、自宅のパソコン環境に導入したら便利なんじゃない?」と思い当たった。

イヤーカフタイプのオープン型完全ワイヤレスイヤホン、Bose「Ultra Open Earbuds」(写真左)とファーウェイ「HUAWEI FreeClip」(写真右)

イヤーカフタイプのオープン型完全ワイヤレスイヤホン、Bose「Ultra Open Earbuds」(写真左)とファーウェイ「HUAWEI FreeClip」(写真右)

僕はBose「Ultra Open Earbuds」とファーウェイ「HUAWEI FreeClip」のレビューをしていて、アップル「MacBook Air」とペアリングしてビデオ会議の通話音質もばっちりテスト済み。技術的には「なにを今さら……」という話ではあるが、むしろ利用スタイルが今回のテーマだ。

昨今、ニュースなど情報系YouTubeなど、動画コンテンツを当たり前のように目にする機会が増えた。そこで時々困るのが“音の再生”をどうするか。家族が近くにいるとパソコンのスピーカーから音を出しにくいこともあるし、かといってイヤホン・ヘッドホンで周囲の音を遮断したくないということも多い。そこで、オープン型ワイヤレスイヤホンは自宅のパソコン環境との組み合わせがばっちりなのではと思い始めた次第だ。

一般的なノートパソコンでオープン型ワイヤレスイヤホンを導入するのは非常に簡単。ほとんどのノートパソコンはBluetooth機能を標準で搭載しているので、スマートフォン同様にペアリングさえしてしまえばOKだ。WindowsやMacといったOS環境に左右されることなく、音楽再生や動画再生はもちろん、ビデオ通話にもすぐに使える。

ノートパソコンならBluetoothでペアリングさえすればすぐに利用できる

ノートパソコンならBluetoothでペアリングさえすればすぐに利用できる

いっぽうで、自分でPCパーツを購入してDIYする自作パソコンや市販のデスクトップパソコンの一部にはBluetooth機能がそもそもついていないというものも多い。僕の自宅にあるパソコンも自作のWindowsデスクトップPCで、標準でBluetooth機能はついていなかった。そこで今回は、パソコンにBluetooth機能を追加できるBluetoothのアダプターの選定やオープン型ワイヤレスイヤホンの使い勝手まで、導入・検討から活用方法までまとめて紹介したいと思う。

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2024/05/03 07:00

Bluetoothオーディオアダプターはクリエイティブ「BT-W5」を導入

まずはデスクトップパソコンでオープン型ワイヤレスイヤホンを使う方法からクリアしていこう。

Bluetooth機能を搭載していないパソコンにBluetooth機能を追加して、ワイヤレスイヤホンを使うための周辺機器には大きく2つのパターンがある。

ひとつはUSB接続で使える「Bluetoothアダプター」。Windows OSでは設定メニュー「Bluetoothとその他のデバイス」から操作可能で、ノートパソコンの標準Bluetooth機能と同じように扱うことができる。今回テーマになっているワイヤレスイヤホンはもちろん、キーボードやマウスなどの周辺機器も接続でき、操作もシンプルでわかりやすい。ただ、音質に特化しているわけではなく、Bluetoothの対応コーデックもほぼSBC一択といった感じで、高品位なオーディオ体験を狙うといったことは難しい。

もうひとつは「Bluetoothオーディオアダプター」と呼ばれるもの。こちらはWindows OSからはオーディオデバイスとして認識され、扱いはヘッドホンやスピーカーとほぼ同じだ。WindowsのBluetooth機能とは別ものなので、キーボードやマウスは接続できない。いっぽう、BluetoothオーディオとしてはaptX系コーデック対応のものが多く、SBCコーデックよりも高品位なオーディオ体験を楽しめる。また、パソコン以外にも「PlayStation 5」や「Nintendo Switch」などゲーム機にも接続でき、そういった使い方を想定している人にも「Bluetoothオーディオアダプター」はぴったりだ。

今回のテーマでは、音楽リスニングなどのオーディオ用途を想定しており、せっかくならBluetoothコーデックのサポートが手厚いクリエイティブの「BT-W5」を購入した。Bluetooth 5.3に対応しており、SBCコーデックはもちろん、ハイレゾ相当の96kHz/24bitまでワイヤレス伝送可能なaptX AdaptiveやaptX HDにも対応。Androidスマートフォンでは増えてきているが、パソコンでもapX Adaptiveの高音質&ローレイテンシーな設定を使えるようになるというところが大きな魅力だ。

さっそくクリエイティブの「BT-W5」を購入。直販価格で6,800円(税込)。ちなみに直販限定特典でUSB-A変換アダプターも付いている

さっそくクリエイティブの「BT-W5」を購入。直販価格で6,800円(税込)。ちなみに直販限定特典でUSB-A変換アダプターも付いている

「BT-W5」にはパソコン向けに「Creativeアプリ」が用意されている点も見逃せないポイント。接続しているBluetoothイヤホン・ヘッドホンの切り替えや、接続モードの切り替えなどをアプリから簡単に操作でき、いろいろな製品をつなぎ替えて使う僕の用途には、トータルで見てマッチしそうという判断だ。発売開始から1年以上経つが、価格.comの「Bluetoothレシーバー・オーディオアダプタ」カテゴリーの売れ筋ランキングで上位をキープし続けており、「価格.comプロダクトアワード2023」では、金賞を受賞している。

Bluetoothオーディオアダプターは本体に設けられているボタンで操作するタイプが多いが、「BT-W5」はWindows/Mac向けに専用の「Creativeアプリ」が用意されており、パソコン側から簡単に操作することができる

Bluetoothオーディオアダプターは本体に設けられているボタンで操作するタイプが多いが、「BT-W5」はWindows/Mac向けに専用の「Creativeアプリ」が用意されており、パソコン側から簡単に操作することができる

aptX Adaptive重視なら、やっぱりBose「Ultra Open Earbuds」

続いて、クリエイティブ「BT-W5」の相棒となるオープン型ワイヤレスイヤホンを検討していく。オーディオビジュアルライターという仕事柄、検証機材としてオープン型ワイヤレスイヤホンは手元に多数あるが、やはり本命はBose「Ultra Open Earbuds」だろうか。

2024年3月発売のBose「Ultra Open Earbuds」

2024年3月発売のBose「Ultra Open Earbuds」

Bose「Ultra Open Earbuds」は僕もスマートフォンと組み合わせて普段から愛用しているオープン型ワイヤレスイヤホン。対応デバイスとはaptX Adaptiveコーデックで接続でき、高音質かつ低遅延なオーディオ体験を楽しめる。今回、オープン型ワイヤレスイヤホンをいろいろと調べていて気づいたが、オープン型ワイヤレスイヤホンでaptX Adaptive対応モデルというのはほぼない(AAC&LDAC対応モデルは多数ある)という事情もあり、クリエイティブの「BT-W5」の相棒という条件にピンポイントに合致する。

実際に自宅に設置している自作パソコンにクリエイティブの「BT-W5」を接続してセットアップ、そして「Creativeアプリ」からBose「Ultra Open Earbuds」をペアリングしてみると、すぐにaptX Adaptiveコーデックで接続してくれた。Amazon Musicで音楽コンテンツをいくつか再生してみたが、音の情報量の豊富さ、音楽再生のクオリティはスマートフォンとaptX Adaptiveコーデックで接続した際の音質とそん色はなく、Boseらしい低音はエンタメ用途には心地よい。もちろん、Bose「Ultra Open Earbuds」側のボタン操作で「Boseイマーシブオーディオ」を有効化することも可能だ。

クリエイティブ「BT-W5」。今回は直販限定特典として付属していたUSB-A変換アダプターを介して自宅のパソコンに接続した

クリエイティブ「BT-W5」。今回は直販限定特典として付属していたUSB-A変換アダプターを介して自宅のパソコンに接続した

「Creativeアプリ」からBose「Ultra Open Earbuds」をペアリング。aptX Adaptiveコーデックであっさりつながってくれた

「Creativeアプリ」からBose「Ultra Open Earbuds」をペアリング。aptX Adaptiveコーデックであっさりつながってくれた

「Creativeアプリ」にある「aptX Adaptiveの最適化」という項目から「ローレイテンシー」と「ハイクオリティ」の切り替えも行える。YouTubeの動画コンテンツを再生して比較してみたが、たしかに「ローレイテンシー」のほうがズレは少ない。音質面では若干「ハイクオリティ」のほうがよかったが、これは電波状況によるビットレート変動の結果なので(変動幅自体は279kbpsから420kbpsで同じ)、あくまで環境と状況によって変わる程度の話だ。

「Creativeアプリ」から低遅延の設定やハンズフリープロファイルのオン/オフなどをカスタマイズできる

「Creativeアプリ」から低遅延の設定やハンズフリープロファイルのオン/オフなどをカスタマイズできる

もうひとつ、クリエイティブ「BT-W5」はハンズフリープロファイルモード(HFP)に切り替えると、マイクも利用可能となる(逆に、これをオンにしないとビデオ会議等には使えない)。ただHFPモードをオンにすると音楽再生側の音質が大幅に劣化するので、必要なときのみ切り替えるのが鉄則だ。

さて、今回のテーマでは音質はもちろんだが、常時着けっぱなしでいる際の使い勝手も重要な判断基準となる。Bose「Ultra Open Earbuds」はイヤーカフ型で一般的なカナル型(耳栓型)イヤホンよりもはるかに快適ではあるが……やはり1日中着けっぱなしすると考えると重さによる耳への負担が気になってくる。バッテリーについては連続再生7.5時間(Boseイマーシブオーディオオフ時)なので、音楽をずっと流していたいというケースでない限りは問題ないだろう。ただ、若干ではあるが静かな環境だと無音時にホワイトノイズが聴こえるので、ホワイトノイズが気になる人は注意しておいたほうがよさそうだ。

Bose「Ultra Open Earbuds」の装着感は基本的に快適だが、長時間着けっぱなしとなると若干重さは感じる

Bose「Ultra Open Earbuds」の装着感は基本的に快適だが、長時間着けっぱなしとなると若干重さは感じる

もうひとつ気になったのが、Bose「Ultra Open Earbuds」はBluetoothのマルチポイント接続に非対応ということ。マルチポイント非対応でも手動で切り替えれば済む話ではあるが、パソコンの前でもスマートフォンに触れることは多いので、ここはカバーしてほしかったところだ。

ファーウェイ「HUAWEI FreeClip」は装着感とマルチポイント接続が有利

続いて、Bose「Ultra Open Earbuds」と同じイヤーカフ型のオープン型ワイヤレスイヤホンのファーウェイ「HUAWEI FreeClip」を試してみた。こちらはマルチポイント接続にも対応している。

2024年2月発売のファーウェイ「HUAWEI FreeClip」

2024年2月発売のファーウェイ「HUAWEI FreeClip」

ファーウェイ「HUAWEI FreeClip」をクリエイティブ「BT-W5」とペアリングして使い始めてみると……もちろん音楽再生は普通にできる。ただ、ファーウェイ「HUAWEI FreeClip」の対応コーデックはSBC/AAC/LDAC/LDHCコーデックなので、aptX系コーデック対応が手厚いクリエイティブ「BT-W5」とは微妙にかみ合っておらず、スタンダードなSBCコーデックでの接続になる。

ファーウェイ「HUAWEI FreeClip」をクリエイティブ「BT-W5」にペアリング。「Creativeアプリ」上でBose「Ultra Open Earbuds」との切り替えも簡単に行えた

ファーウェイ「HUAWEI FreeClip」をクリエイティブ「BT-W5」にペアリング。「Creativeアプリ」上でBose「Ultra Open Earbuds」との切り替えも簡単に行えた

もっとも、本気の音楽リスニングでなければSBCコーデックでも支障はないし、遅延についてもYouTubeの動画コンテンツを再生した限りでは特別気になることもなかった。音質についても、ファーウェイ「HUAWEI FreeClip」をスマートフォンと組み合わせた際と概ね同じ。元々中高域がシャープに立つタイプなので、トーク系の動画も聞きやすいし、臨場感あるサウンドは音楽リスニングでも十分。「Creativeアプリ」にはエフェクトとイコライザーを使ってサウンドをカスタマイズできる「Acoustic Engine」という機能も用意されており、自分好みのサウンドに調整することもできる。効果のかけ方はお好み次第だが、YouTubeなどの音声重視なら「Acoustic Engine」にある「Crystalizer」が有効に働く。

「Creativeアプリ」からサウンドを自分好みにカスタマイズできる

「Creativeアプリ」からサウンドを自分好みにカスタマイズできる

そして、ファーウェイ「HUAWEI FreeClip」で実感するのは装着の快適さだ。Bose「Ultra Open Earbuds」と同じイヤーカフ型ではあるが、ファーウェイ「HUAWEI FreeClip」のほうが装着感も軽く、耳への当たりも少ないため、数時間レベルで装着していても苦にならない。連続再生時間も約8時間とまさに理想的。

軽くて耳への当たり具合も小さいファーウェイ「HUAWEI FreeClip」

軽くて耳への当たり具合も小さいファーウェイ「HUAWEI FreeClip」

マルチポイント接続も問題なく使えていて、パソコンとスマートフォンを行ったり来たりするのが本当に楽だ。ただ、長時間無音が続くと自動で接続が切れることがあるようなので、その点は注意したい。

装着感や使い勝手はかなり優秀なだけに、クリエイティブ「BT-W5」との接続時のコーデックが限られるのはやや残念なところ。それにSBCコーデックで使うのなら一般的な「Bluetoothアダプター」でもよかったのでは? という気もするが……これはあくまで結果論だ。

ネックバンドタイプのオープン型イヤホンを使うのもアリ……!?

最後は少し視点を変えて、取り回しについて考えてみたい。Bose「Ultra Open Earbuds」とファーウェイ「HUAWEI FreeClip」は完全ワイヤレスイヤホンとしてはハイエンドなモデルで、自宅のパソコンで使うこと考えると、左右の耳が完全に分かれている必要はないのではないかと思った次第だ。

そこで、試してみたのがちょうど手元にあったEDIFIER「Comfo Run」。左右のイヤホン同士がつながったネックバンドタイプのオープン型ワイヤレスイヤホンだ。対応コーデックはSBCとAACなので、クリエイティブ「BT-W5」との接続は必然的にSBCコーデックになるわけだが、実際にペアリングして使ってみると、低音がリッチで音質面の不満は少ない。

2024年1月発売のEDIFIER「ComfoRun」。本来はスポーツ向けのモデルだ

2024年1月発売のEDIFIER「ComfoRun」。本来はスポーツ向けのモデルだ

とはいえ、今回のテーマとしてのポイントは長時間着けっぱなしでいられるかどうか。EDIFIER「Comfo Run」のネックバンドタイプの装着感が快適かといと……残念ながらベストではない。イヤーカフ型のBose「Ultra Open Earbuds」やファーウェイ「HUAWEI FreeClip」と比べると圧迫感もあるし、耳元はともかく顔を振ると首元にも軽く触れて影響が出る。

また、僕が仕事中に座っているゲーミングチェアにはネックピロー(首当て)が用意されているのだが、これに干渉するところも気になる。EDIFIER「Comfo Run」もBluetooth接続したままの状態で机の上に置いておき、必要なときに首に付けるというスタイルであれば十分活用できるが、常時つけっぱなしという前提だと、取り回しのしやすさはやはり完全ワイヤレスイヤホンタイプに軍配が上がる。

首元にバンドがあるので、装着したままハイバックのチェアに座るとやや干渉する。家の中で常時着けっぱなしで使用するというスタイルだと使いにくいシーンが出てくるかもしれない

首元にバンドがあるので、装着したままハイバックのチェアに座るとやや干渉する。家の中で常時着けっぱなしで使用するというスタイルだと使いにくいシーンが出てくるかもしれない

【まとめ】1機種を選ぶなら扱いやすい「HUAWEI FreeClip」

今回は「耳をふさがないオープン型ワイヤレスイヤホンって、自宅のパソコン環境に導入したら便利なんじゃない?」というテーマで、クリエイティブ「BT-W5」と手持ちの機材で試行錯誤してみた。結論としては、最も当初の目的に合致したオープン型ワイヤレスイヤホンはファーウェイ「HUAWEI FreeClip」だった。これはなにより、1日中着けっぱなしで過ごせる装着感のおかげだ。

もっとも、Bose「Ultra Open Earbuds」のaptX Adaptive接続の高音質&低遅延も捨てがたいので、様子見しながら両方使う(そしてバックアップとしてEDIFIER「Comfo Run」も置いておく)ということになりそうだ。

1機種を選ぶならファーウェイ「HUAWEI FreeClip」だが、結局3機種併用することになりそう

1機種を選ぶならファーウェイ「HUAWEI FreeClip」だが、結局3機種併用することになりそう

折原一也
Writer
折原一也
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家。「オリチャンネル」主催。IT系出版の編集者出身で、2004年に独立後はモノ雑誌やオーディオ・ビジュアル専門誌で活動。2009年より音元出版主催のVGP審査員。画質・音質にこだわるAV評論家ではあるが、ライフスタイルになじむ製品、コスパにすぐれた製品を評価する庶民派。2022年に立ち上げたYouTubeチャンネル「オリチャンネル」では、取材メディアの人間として一次情報の発信、検証と測定データに基づくレビューなど独自の発信も行っている。最近のマイブームはAI全般。
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遠山俊介(編集部)
Editor
遠山俊介(編集部)
2008年カカクコムに入社、AV家電とガジェット系の記事を主に担当。ポータブルオーディオ沼にはまり、家にあるイヤホン・ヘッドホンコレクションは100オーバーに。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットにも手を出している。家電製品総合アドバイザー資格所有。
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