レビュー
人気のFiio X5 2ndの強敵!

音も機能も充実! Cayin「N5」は5万円クラスのハイレゾ対応DAPのダークホース

Cayin(カイン)の「N5」は、192kHz/24bit PCM、5.6MHzまでのDSDネイティブ再生をサポートするハイレゾ音源対応ポータブルオーディオプレーヤーだ。ハイエンド機で採用される旭化成エレクトロニクスの最新DACチップを採用し、2.5mmバランス出力や同軸デジタル出力を備えるなど、高級機の流行りを取り入れつつも価格を抑えたロープライスモデル。価格.com最安価格(2016年1月12日時点)は53,000円程度。ハイレゾ対応ポータブルプレーヤーの入門機が多く存在するこの価格帯のなかでは、トップクラスの音質と機能性を備え、ポータブルヘッドホンアンプなどつなげても楽しめる、遊び心のあるモデルとなっている。

CayinのN5

CayinのN5

中国のオーディオメーカーの自社ブランド「Cayin」

Cayinは、ハイファイオーディオ機器の設計・製造を行っている中国のオーディオメーカー「Zhuhai Spark Electronic Equipment」の自社ブランド。1993年に設立され、CDプレーヤーや真空管アンプなどを手がけている。ポータブル市場への参入は2014年頃と比較的若いブランドだ。

N5は、Cayinブランドで2モデル目のポータブルオーディオプレーヤーで、最上位モデル「N6」の下位モデルに位置している。N5の特徴をまとめると以下の通り。

・物理キーによる操作インターフェイス(タッチスクリーン非搭載)
・2.5mm4極バランス出力と3.5mm同軸デジタル出力の搭載
・旭化成エレクトロニクスの最新DAC「AK4490EQ」の採用
・最大256GBまで搭載できる2基のmicroSDカードスロット
・USB 3.0インターフェイス

ディスプレイはタッチ非対応。操作は物理キー

5万円クラスのハイレゾプレーヤーはスリムなモデルも多いが、N5は大きめでしっかりとした作りだ。本体サイズは64(幅)×111(高さ)×16.4(奥行)mmで、片手で持ったとき正面の四隅に親指が届くくらいのスケール感だ。ボディは航空機グレードのアルミ削り出しで、重量は約195gと見た目ほど重くない。カラーはチタニウムグレー。表面は半光沢風の処理を施し指紋が付きにくくなっている。背面の一部分にはカーボンファイバーをあしらい、この価格帯の製品としては比較的高級感のあるデザインだ。

アルミ削り出しボディを採用。カラーはチタニウムグレー

アルミ削り出しボディを採用。カラーはチタニウムグレー

操作は物理キーのみ(タッチスクリーンは非対応)。右側にジョグダイヤル(中央は決定/再生/停止ボタン)を、左側には3つのボタンを配置し、ボタンは上から順に、1.戻る、2.次曲/早送り/右へ(上へ)、3.前曲/巻き戻し/左へ(下へ)として機能する。なお、ジョグダイヤルは2と3の機能も兼ね備えている。左側面には、ボリューム調整用のアップとダウンのほか、メニューボタンも用意されている。

画面インターフェイスはやや特殊で、起動直後のホーム画面では左右に動かしながらアイコンを選ぶのに対し、次の画面では上下に動かすという、どことなくソニーのクロスバーに似た作りとなっている。初めてハイレゾ対応DAPを購入する人は慣れるまで戸惑うかもしれないが、これまでに、比較的新しいFiioのDAPを使用したことがあるユーザーであれば、操作感は近いものがあると思う。

左右側面。左側面にボリューム調整とメニューボタンが装備されている。画面消灯時にボリューム調整ボタンを長押しすると、前曲/次曲の操作ができる

背面。カーボンファイバーをあしらったデザイン

背面。カーボンファイバーをあしらったデザイン

上面。3つの音声出力端子を搭載。左から、2.5mm4極バランス出力、ラインアウト/ヘッドホンアウト、同軸デジタル出力を備えている

ホーム画面(テーマB)。画面は、2.4インチのIPS液晶で、画面解像度は400×360ドット。解像度は大きくはないが、発色がよいため見やすい。また、付属品の中に液晶保護フィルムが付属するのはうれしいところ

再生中の画面。再生楽曲中のタイトルが白文字で表示されるため、白地のジャケットを表示するとやや見えにくい

旭化成エレクトロニクスの最新DACチップを採用し、DSDネイティブ再生をサポート

搭載するDACは旭化成エレクトロニクスの「AK4490EQ」。Astell&Kernの「AK380」でも採用された、最近の高級プレーヤーではおなじみになりつつあるチップだ。N5ではそのAK4490EQを1基搭載している。さすがにデュアルDACのフルバランス構成ではないが、同価格帯の中で同じDACを採用する製品は希少だ。

AK4490EQ自体は、最大768kHz/32bitのPCM、11.2MHzのDSDに対応しているが、N5では、PCMが192kHz/24bitまで、DSDが5.6MHzと低めの設定だ。ただ、同価格帯の中には、DSDのネイティブ再生に対応していないモデルもあり、このクラスの製品としては再生能力はけっして低くない。

合計256GB搭載できるmicroSDカードスロット

2基のmicroSDカードスロットを装備したストレージ構成も特徴だ。最近のハイレゾ対応ポータブルプレーヤーのストレージといえば、内蔵ストレージ+microSDカードスロットを併用した構成が主流。N5では、内蔵ストレージを省いた変わりに、各スロット容量128GBまでのmicroSDXCカードに対応しており、ストレージ容量を最大256GBまで増量できる。同じ中国のDAPであるFiioの「X5 2nd generation」も同様の構成だ。

さらに、PCとの接続インターフェイスにはUSB 3.0を採用。情報量の多いハイレゾ音源でも高速なデータ転送が可能だ。

本体底面。左側から、USB 3.0インターフェイス、microSDXCカード(スロット1、スロット2)となっている。なお、ここでは底面のキャップを取り外して撮影している

キャップ装着時の本体底面

キャップ装着時の本体底面

音質インプレッション

N5は、デジタルオーディオ的なキレイさやシャープさ、スピード感といった雰囲気がよく感じられるモデルになっている。全体的に明瞭で解像感も高い。ハイハットなど少し鋭いところもあるが、基本はモニターライクで録音された音をストレートに楽しみたい、という方には適した機種だと思う。この価格帯の中では際立った誇張のない自然な音調で、どんな楽曲でもあいそうな懐の深さもある。オーディオ的な力強さや密度の濃い空気感のある表現を求めるのであれば、上位モデルのN6を試聴してみてもいいだろう。

ちなみに、上位モデルN6にはなく、N5には搭載されたバランス出力だが、2015年12月に公開された最新ファームを適用した状態でも、楽曲再生時におけるノイズは解消されていない(従来は選曲画面においてもでていたが、これは解消している)。そのため、バランス出力についての評価は控えておく。

まとめ

N5は、音質や機能性のバランスにすぐれた製品だ。操作に関して中国製DAP特有のクセが見られるものの、旭化成エレクトロニクスの最新DACチップ、胸ポケットに収まる手頃な本体サイズ、航空機グレードの丈夫なアルミ筺体、豊富な音声出力と、5万円クラスのポータブルプレーヤーとしてはよく作られている。

機能に関しては改善の余地があるものもあるが、昨年の12月に公開されたバージョン3.0のファームウェアを適用すると、ライブラリーで認識できる最大楽曲数が5500曲から15,000曲に増えるほか、プレイリスト機能が追加されたり、同軸出力利用時のDSDフォーマットが2種類選べる(DoPあるいはD2P方式)ようになったりと、徐々に改善されつつもある。

ハイレゾ初心者のはじめてのDAPとしてだけでなく、エントリーから中級機へのステップアップとしても十分に耐えうる仕様だろう。5万円程度の価格帯としては、同じ中国製のFiio X5 2nd Generationの人気が高いが、その強敵といえる存在になっている。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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